自分を信じる力をフォトリーディングがくれた
―会社を辞めて独立されたのは、どんなきっかけだったんですか?
神田さんの実践会で勉強していると、周りの方々はみんな中小企業の経営者でしょう。私は、会社の中の広報担当だったんですけど、社長さんたちはみんな、自分で広告を打って自分で効果を計っていたんです。どういう広告を打つと、どういう反応が取れるか。私は従業員 100 人以上の会社にいたから、成果が分かりにくいんですよ。例えば、広告を出したあと電話が何件かかってきたかなんて分からない。そうすると、自分でお金を出し、リスクを取り、自分で成果を得るというビジネスの醍醐味は味わえない。それで、「これは自分でやらなきゃ」と思ったんです。
何で独立するかというのは何もなかったんです。私は歌を歌っていたからビジネス経験はあまりないし、神田先生のところで学んだことくらいしか分からないでしょう。これではだめだから、とにかく勉強しようということで、資格をまず取ろうと思いました。それが中小企業診断士です。
診断士はコンサルタントの資格だから、内容がすごく幅広いんですね。これならビジネス全般が学べる。さらに、どうせ勉強するなら1年で取ろうと決めました。結構難しいんですよ。1 年で合格する人って 3 %ぐらいだったんですけど、思い込んだら一直線(笑)。ものすごく勉強しました。会社に勤めながら 16 ヵ月、1500 時間ぐらい。下の子がまだ 2 歳ぐらいで、家族の助けがあったからできたんですけどね。そのときは本当に勉強していたと思います。ちょうどその 1 年前にフォトリーディングを受けていました。
―そういうタイミングだったんですね。
そうそう。ちょうど診断士の勉強を始めようとしていたときです。フォトリーディングって、本のページをパラパラめくると潜在意識がどうのこうのって、怪しいんですけど、本当にあのおかげで合格できたの。
勉強って、もちろんテキストをちゃんと読まないと絶対にだめなんですよ。パラパラっとなんかじゃだめなんですね。だけど、私は予備校で授業を受ける前に、必ずテキストをめくっていた。先生がいらっしゃる 5 分前に、パラパラ、パラパラめくって。試験の日もパラパラ、パラパラ。脳を活性化させる体操(Edu-K)も試験の休憩時間にやりました。
当時、自分はフォトリーディングができていないと思っていました。でも、いま振り返ると、フォトリーディングが活用できていたと分かるんですよ。スキルそのものというより、フォトリーディングを習ったことで、自分の潜在意識や脳の活用の仕方を変えられるということに気がつく。そして、自分を信じられるようになる。というか、自分はフォトリーディングを習ったんだからできる、と思えるようになるんです。
当時、自分はフォトリーディングができていないと思っていました。でも、いま振り返ると、フォトリーディングが活用できていたと分かるんですよ。スキルそのものというより、フォトリーディングを習ったことで、自分の潜在意識や脳の活用の仕方を変えられるということに気がつく。そして、自分を信じられるようになる。というか、自分はフォトリーディングを習ったんだからできる、と思えるようになるんです。
―塚原さんは、フォトリーディングは資格試験の勉強に非常に役立つということをホームページなどでもおっしゃっていますが、そういった、自分を信じられるようになる、という部分が大きいのでしょうか?
2つあると思うんですね。勉強の仕方そのものということと、もう 1 つは、自分自身を目標に向かわせるということ。資格試験は目標実現だから、だらだらしていたのではだめで、短期間である程度の結果を出さないといけないんですよね。そのためには、自己管理とかモチベーションの維持が必要です。飲み会に誘われても行かなかったりとかね。それができるのは、自分を信じてがんばり切れる人じゃないですか。私は、フォトリーディングを勉強したことで、自分の潜在能力を信じてあげられた。「自分にはできる」とまず思う。その力をフォトリーディングがくれる、と私は思っています。
フォトリーディングを開発したポール・シーリィも、そういうことを私たちに伝えたいのかなって思うんです。単純なテクニックではなく、人間が自分の力を信じられる、そういうものを開発したいという思いが彼の中にはある。フォトリーディングの講座の一番大事なところはそこだと私は思っています。
本をパラパラめくることの効果は 2 つあって、1 つは、脳に刺激を注入すること。もう 1つは、これを説明するの難しいんだけど、メンタル面で相当、自分をポジティブにできる。自分は一度この本の全ページを見ているから読みやすい、見ているから頭に入りやすい、そう思うと、脳はそういうふうに働いてくれる。このことは、1 回聞いただけでは分かりづらい面もあると思うんですけどね。
―それは、自分で実践して体感するしかない…。
体感もしづらいんですよね。無意識がやっていることだから。私の感じとしては、例えば、何年か経って、自分が変わっていて、思い出してみたら、あ、あのフォトリーディングの講座の日からなんだ、とかね。そういう変化じゃないのかな。
学べば、仕事に積極的に関わることができる
もちろん、マインドチェンジだけではなく、学習法としても優れていますよね。中でも、問いを持つということは特に素晴らしい。ドラッカーも「いかによい質問を作るかがすべてである」と言っていますよね。まさしくそうで、本をきっかけにして「自分が本当に知りたいことは何だろう」と考える。答えはその本にあるかもしれないし、別の本にあるかもしれない。もしくは、別の生活の中に答えがあるのかもしれない。私たちが本当に学んでいかなければいけないのは、その一番大事な問いに対する答えですから、これは単純に本の内容を理解するということより、もっと奥深い学習だと思います。
―効果や結果は早く求めてはいけないんですね。
そういう奥深い学習をしようと思える人は、本当に優秀ですよね。そういう人にとってはフォトリーディングはすごくいいものなんだけど、目の前のことさえできればいいというタイプや、依存型で魔法のツールを求めてきちゃったみたいな人にとっては、だめなんですよ。なかなかね、私もそこを理解してもらうのに本当に苦労している。
―講座以外にも、受講生のアフターフォローとして勉強会と読書会を毎月開催されていますね。
紀尾井町ラーニングカフェと、紀尾井町リーディングマラソンです。最初は、うちも余裕がなくて講座をやるのに必死だったのですが、2 年ぐらい経ったとき、講座をやりっぱなしではなく、昔の受講生の方がいつでも気軽に来られるような場を作りたいと思ったんです。まず始めたのがラーニングカフェ。月 1 回、金曜日の夜 6 時半から 9 時ぐらいまで勉強会をやって、そのあと 11 時まで近所の居酒屋さんでみんなで飲んでいます(笑)。リピーターがとても多くて、はまるとすごく楽しいみたいです。
勉強会のテーマは毎回変えていて、ヒプノセラピーやったり、アクションラーニングやったり、全脳思考もやらせてもらいました。私が発表をするときもあるし、受講生に発表してもらうときもあります。最近受講生の発表がだいぶ増えて、フェルデンクライスという体操を教えてくれる人や、イメージコンサルティングについて話してくれる人が出てきて、すごく好評です。
―参加者はいつも何人くらいなんですか?
以前は場所の関係で 12~13 人程度で締め切っていましたが、最近、広いセミナールームができたので、20 人くらいまで入れるようになりました。ラーニングカフェで出会った人たち同士がビジネスを始めたり、コミュニティを作ったりということも始まっているんですよ。
リーディングマラソンは、フォトリーディングの復習の場ということで、本を紹介しあったり、その場で本を読んだりします。フォトリーディングを習っていない方も参加できるようにしています。1 人だとフォトリーディングがどうしてもできないという方も、みんなとやるとできるんですね。フォトリーディングってステップは簡単なんだけど、結構みんな大事なところを落としているんですよね。例えば、ミカン集中していなかったり、質問の作り方が浅かったり。だから、こういう場で復習するといいと思うんです。ほかの人がどうやっているかが分かるし、私もヒントを出せるし。
リーディングマラソンはスタンプ制で、ひと月に読んだ本の冊数に応じてスタンプがもらえるんです。読んだ本の内容をもっとも実践に移せている人にはリーディング実践大賞、1 ヵ月に読んだ本が一番多い人にはリーディングチャンピオンという賞も差し上げています。
―フォトリーディングを学び、勉強会や読書会にも参加する。意欲的な受講生の方が多いんですね。
フォトリーディングの講座には、会社員の方もいらっしゃるし、会計士、弁護士、医師といった専門家の方もいらっしゃる。自衛官の方もいます。医師の方などは特にそうですが、勉強しなければならない人たちは特にいらっしゃいますね。
私は以前会社に勤めていて、診断士の勉強をするまでは、ビジネスの上で何がいいのかもよく分からないし、どういうふうに会社のことを考えていいのかも分からなかった。でも、ちょっと不満もあったりして、悶々としていました。そして、診断士の勉強をしたらいろんなことが見えてきて、「こういうふうに考えるのがいいと思う」って自分で意見を持てるようになったんです。だから、会社に勤めている方々も、やっぱり勉強した方が絶対にいいんですよ。そうすれば積極的に関われるじゃないですか。受け身で、上から言われたことだけをやらされていたら、モチベーションも上がらない。全部が自分の考えるようにならなくても、参加していくことができれば、仕事は楽しくなる。そうなっていかないと、1 人ひとりもそうだし、やっぱり日本も元気になりませんよね。
聞き手:山下聡子
(2012 年 5 月 (株)ヒューマン・リスペクトにて)