リーディング・ファシリテーターの下良果林(しもらかな)です。
リードフォーアクションの読書会の輪が、日本国内のみならず
海外にも広まりつつあることをご存じでしょうか。
今回は、タイ・バンコクで読書会を開催された
リーディング・ファシリテーターまき のりこさんに、
開催のいきさつや読書会の様子、
今後やってみたいことなど伺いました。
* * * * *
普段は、ODA(政府開発援助)の仕事をしています。
2016年6月から、生業である国際開発コンサルティングの仕事は
在宅勤務に変更してもらい、自営業の夫と共に
タイ・バンコクに移り住みました。
ある7月の午後、主に駐在員奥様を対象とした
趣味クラブ「VOICE HOBBY CLUB」の
「New Member ティーパーティ」という集まりに参加しました。
そのとき、事後アンケートに
「日本でやっていたことがあるので、
機会があれば会場を借りられないか?」と書いたところ、
CLUBの経営者の岡範子様が後でわざわざ電話をくださったんです。
それが、リードフォーアクションの読書会を
バンコクで開催することになったいきさつです。
岡様はCLUBの経営のほか、
タイのラジオ番組のDJも行われていますし、
またフルーツカービング
(ナイフで果物に模様を掘り、美しく盛り付けるタイ伝統文化)
の先生としてもご活躍中の方です。
読書会開催のきっかけを岡様からくださいまして、
本当にありがたいことです。
実は8月に、リードフォーアクションの読書会について
少しデモンストレーションさせていただきました。
岡様からは「非営利な感じがよくわかったので」とOKくださいました。
開催の背景に「何かを売る」といった営利目的があると、
OKしないつもりでいらしたそうです。
洋書と和書、それぞれの読書会を企画して、チラシを作成しました。
すると洋書のほうに参加希望の反響をいただいたので、洋書で開催することに決めました。
開催にあたっては、
シニア・リーディング・ファシリテーターの木村祥子さんから、
いろいろとアドバイスをいただきました。
理由は主にふたつあります。
ひとつ目は、政情不安、貧困、差別などの山積みの課題の中で、
自身の信念のために戦う少女マララさんの圧倒的な強さについて、
南アジアによく行くため比較的状況を詳しく知る
自分が紹介したかったからです。
[第一部 タリバン以前]で出てくるような、
イスラム教徒の方々の信心深く、慎ましく、
穏やかな日常も伝えたいと思いました。
ふたつ目は、読書や学問ができる幸せについて考えたいから。
「女性は教育なしでいい」とか、「政情不安で学校閉鎖」
とかいうことがどんなに辛いことなのか、
というのをこの本を通して伝えたかったのです。
この本を読むと、今までの自分の学習環境にも改めて感謝できます。
リードフォーアクションの読書会では、
まず読書会での目標設定をおこないますよね。
その目標設定では、ご参加くださった方から
「前よく使っていた英語を使わなくなってしまったので今回の参加を通じてもっと使いたい」
「パキスタンの友人のために、パキスタンのことを知りたい。自分で洋書やタイ語の読書会を開きたい」
ということをシェアしてくださいました。
それから『I am Malala』の中でも特徴的な3つの章について、
私を含めて、章ごとに読む方法で読んでいきました。
最後に、先にシェアしてくださった目標に対する達成度を聞くと、
「この短い間でも洋書がよく読めた気がした。英語の勉強をもっと続けたいと思った」
「もっと友人の国のパキスタンのことを調べたいというきっかけになった。
その場で読むという新しい読書会の知識が得られて良かった」
ということを言ってくださいました。
知識を得るだけでなく、明日からの行動に移せる、
というのもリードフォーアクションの読書会の特徴。
お一人の方は早速「TEDを見て感想をいう会」を作ったそうです。
初回特典として「具体的な行動のための個別相談を承ります」
というのをつけましたが、
もうお一人の方も後日そちらで色々ご相談していただいて、
方向性を見つけるお手伝いをしました。
これからも同じように、日本以外の色んな国の本を紹介する読書会がしたいですね。
留学生として住んでいた北米や、仕事でよく行く機会のあるインド、
バングラデシュなどアジア各国などについて開催したいと思っています。
バンコクだけでなく、帰国時には東京でもおこないたいです。
<人間と自然が共生するライフスタイルが人々を魅了して止まないハワイ諸島。学生としての居住中、大学の環境教育事業に関わった。>
<仕事先のバングラデシュにて。グラミン銀行×ユニクロのコラボ店舗の開店日に撮影。ユヌス博士の「ソーシャルビジネス」の一環。>
仕事柄、自分は常に日本を外から見ている、旅人のような気がしています。
その一方で、海外にいると、よく、奈良時代の遣唐使だった
阿倍仲麻呂の百人一首の和歌を思い出すのですが、
祖国に対して恋焦がれる気持ちも強いです。
他の国の本を読むことによって、敢えて出かけなくとも、
海外に出る勇気や情熱が生まれますが、
それと同時に祖国への愛情も生まれると思います。
こうした感覚は、現代の鋭い国際感覚が求められる時代に必要かと感じています。
この感じを色んな人に伝えていきたいと思います。
あと、東欧や、アフリカ、南米など、
普段あまりなじみのないような珍しい国の本の読書会もしていきたいです。
※まきさんブログ
賢い留学・無駄な留学
(留学経験による留学アドバイスや、読書、語学習得、発展途上国の新聞を紹介)
(2016年11月取材 下良果林)
[s_ad]