タイトル:GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代
著者:アダム グラント
▲引用:GIVE & TAKE
著者略歴
ペンシルベニア大学ウォートン校教授。組織心理学者。1981年生まれ。同大学史上最年少の終身教授。『フォーチュン』誌の「世界でもっとも優秀な40歳以下の教授40人」。『ビジネスウィーク』誌の「Favorite Professors」に選ばれるなど、受賞歴多数。「グーグル」「IBM」「ゴールドマンサックス」などの一流企業や組織で、コンサルティングおよび講演活動も精力的に行なっている。
ファシリテーターの感想・おすすめのポイント
今回ご紹介するのは『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』です。
著者は、アダム・グラント氏。
本書は、結局最後に成功するのは、どんな人なのか?世界中の人々の働く意義を変えた画期的名著で、内容を9つの章で紹介しています。
ビジネスだけでなく、人生においても、成功の秘訣を知りたい方におすすめの1冊です。
1 あなたは、まだ「ギブ&テイク」で人生を決めているのか
―いま「与える人」こそ、幸せな成功者となる
誰が「成功のハシゴ」をのぼるのかーある投資家のストーリー
大きな成功を収める人びとには三つの共通点がある。
それは「やる気」「能力」「チャンス」だ。
成功とは、勤勉で、才能があり、かつ幸運な人びとによって達成されるものである。
極めて重要であるにもかかわらず、なおざりにされがちなことーそう、成功とは、人とどのように「ギブ・アンド・テイク」するかに大きく左右されるということだ。
そして、ビジネスで誰かとかかわるたびに、こんな選択をすることになるー相手からできるだけ多く価値のあるものを受けとるべきか、それとも見返りを気にせず価値のあるものを与えるべきかー。
一方を「テイカー(受け取る人)」、もう一方を「ギバー(与える人)」と呼ぶことにする。
「テイカー」は常に、与えるより多くを受けとろうとする。
ギバーはギブ・アンド・テイクの関係を相手の利益になるようにもっていき、受けとる以上に与えようとする。
テイカーが自分を中心に考えるのに対し、ギバーは他人を中心に考え、相手が何を求めているかに注意を払う。
仕事においては、ギバーかテイカーかにはっきりと分かれることはほとんどなく、たいていの人が第三のタイプになる。
それが、与えることと受け取ることのバランスをとろうとする「マッチャー(バランスをとる人)」だ。
やり手の起業家が選ぶ相手とは
「与えること」が一般的に考えられているよりも、どれほど素晴らしいものになりうるか、驚くべき研究結果とエピソードを紹介していきたい。
ギバーは「お人好しで、他人のいいように使われる人」と思われがちだが、実は意外にも成功者が多い。
いったい何がお人好しと成功者を分けるのだろうか。
それは、生まれついた才能や素質というより、その戦略や選択に関係している。
もちろん、ギバーも、テイカーも、マッチャーも成功することは可能だし、現に成功してもいる。
ギバーは成功から価値を得るだけでなく、価値を生み出す。それがテイカーやマッチャーと違っているのだ。
2 「名刺ファイル」と「フェイスブック」を見直せ
―「与える人」の才能(1)「ゆるいつながり」という人脈づくり
仮面をかぶった「泥棒」は誰だ
これまでに初対面の人と会ったときに身構えたことがあるなら、それはおそらく、相手が利己的な下心を抱いていることに感づいたからだろう。
テイカーが近づいてくるのがわかると人は心のドアを閉ざして交流を拒み、協力も信頼もしないことで自己防衛する。
有力者と接するとき、テイカーはまさにペテン師になる。
相手に気に入られようとせっせとおべっかを使うため、有力者はテイカーに好印象を持つ。
ドイツの心理学者トリオによれば、初対面で一番好感をもたれるのは、「権利意識が強く、人を操作したり利用したりする傾向のある人びと」だという。
人と会うまえに考えておきたいこと
マッチャーはたいてい、「あなたが何かしてくれるのなら、私も何かしてあげますよ」という態度にもとづいて行動している。
だからマッチャーは、「自分が得た利益が、人に与えた利益と少なくとも同じくらいになるような関係だけに留める。人を助けるたびにお返しを求めるのなら、ネットワークは非常に狭いものになるだろう」
マッチャーが、受けとることを期待して与える場合、助けてくれそうな人にだけ与える。
マッチャーとしては、親切が報われないのなら意味がないからだ。
こうしたギブ・アンド・テイクの関係のデメリットが生じてくるにつれて、テイカーとマッチャーが構築するネットワークは質・量ともに制限されていく。
基本的に、ギバーのアプローチは広範囲におよぶので、たとえ利益を求めていなくても、利益がもたらされる可能性は高くなる。
3 チームの総力を活かせる人
―「与える人」の才能(2)利益の「パイ」を大きく増やす働き方
「僕は優れた一兵卒になりたい」
人を魅了したり、世界を変えたりするようなアイデアを生み出す孤高の天才は、特別視されがちである。
スタンフォード大学の心理学者らの研究によれば、アメリカ人は孤立を強さの象徴、頼り合うことを弱さの印と考えるという。
これはとくにテイカーに当てはまり、テイカーは、自分が他の人より優れていて、別格の存在だと考える傾向がある。
だから他人に頼りすぎると、守りが甘くなってライバルに潰されてしまうと思っているのだ。
ギバーは、頼り合うことが弱さだとは考えない。
それよりも、頼り合うことは強さの源であり、多くの人びとのスキルをより大きな利益のために活用する手段だと考えている。
人を動かす人が、必ずやっていること
責任バイアス
お互いに自分の貢献度合いを過大評価している。
相手の努力に対して自分の貢献を高く見積もることをいう。
お互いの貢献度を正しく判断するカギは、「他人がした貢献に注目すること」である。
それには、自分自身がやったことを評価するまえに、相手がしてくれたことをリストにするだけでよい。
4 荒野で“ダイヤモンド”を見つける法
―「与える人」の才能(3)可能性を掘り出し、精鋭たちを育てる
「スター」を育てる確実な方法
のべ一八クラスの幼稚園から小学五年生までの生徒が、ハーバードの知能検査を受けた。
このテストでは、学習や問題解決に不可欠とされる、会話能力と推理力を客観的に判定する。
生徒の約二◯%が、知力面で才能を開花させる可能性を示していた。
その時点では違いはわからなかったが、検査結果はこれらの「ブルーマー(才能を開花させる人)」が、学年が上がるにつれて「知力面ではめざましい進歩」を遂げることを示していた。
一年後、生徒が知能検査を受けると、ブルーマーたちはほかの生徒よりもスコアが上がっていたからだ。
ブルーマーとされた生徒は二年後も知能を伸ばし続けた、それはどの生徒がブルーマーとされたのか知らない、まったく別の教師が教えていたときでさえ変わらなかった。
教師が生徒の可能性を信じたために、「自己成就予言」(他人から期待されると、それに沿った行動をとって期待どおりの結果を実現すること)が働いたのである。
成績のよくない生徒や、差別を受けているマイノリティグループの生徒の成績と知能検査のスコアを向上させるには、教師が生徒に対し期待を抱くことがとりわけ重要だということなのだ。
5 「パワーレス」の時代がはじまった
―「与える人」の才能(4)「強いリーダーシップ」より「影響力」
知らず知らずのうちに心をつかむ「説得術」
ノースカロライナ大学のアリソン・フラゲイル教授は、ゆるいコミュニケーションのエキスパートだ。
フラゲイル教授によれば、話し方でギバーかテイカーかがわかるという。
テイカーは強気な話し方をする傾向があり、独断的で、率直だ。
一方、ギバーはもっとゆるい話し方をする傾向があり、控えめな言葉を使って話す。
ギバーはゆるい話し方をすることで、相手に「あなたの利益を一番考えていますよ」というメッセージを伝えている。
だが、控えめに話さないほうがいい立場が一つだけある。
それは、リーダーシップをになっている場合だ。
「他人に好かれる人」の行動
ギバーによって有利な交渉術がある。
それは「アドバイスを求めること(アドバイス・シーキング)」だ。
直近の調査では、自分に権威がない場合に人に影響をおよぼすための、驚くほど効果的な方法であることがわかっている。
調査では、知識のある同僚にしょっちゅうアドバイスや助けを求めている人は、まったく求めない人よりも、上司の受けがいいことがわかっている。
人間は自分の時間、エネルギー、知識や情報を投資して誰かを助けると、相手がそれに値する人だと必死で信じようとする。
6 「与える人」が気をつけなければならないこと
―「成功するギバー」の、したたかな行動戦略
「意味のない仕事」に誰もが燃え尽きる
ギバーが燃え尽きるのは、与えすぎたことよりも、与えたことでもたらされた影響を、前向きに認めてもらえていないことが原因なのである。
ギバーは、与えることに時間とエネルギーを注ぎ込みすぎるせいで燃え尽きるものではない。
困っている人をうまく助けてやれないときに、燃え尽きるのである。
人助けは「まとめてやる」
カーネギーメロン大学の心理学者ビッキー・ヘルゲソンは、多くの調査から、自分の幸せをかえりみず与え続ければ、精神的・肉体的健康を害するリスクが高まることを発見した。
しかし、他人のことだけでなく自分自身のことも思いやりながら、他者志向に与えれば、心身の健康を犠牲にすることはなくなる。
7 気づかいが報われる人、人に利用されるだけの人
―「いい人」だけでは絶対に成功できない
「テイカー」と、どう付き合えばいいのか
テイカーと付き合うときには、マッチャーになればいいのだ。
ただし、最初はギバーでいたほうがよいだろう。
信頼は築くことこそ難しいが、壊すのは簡単だからだ。
しっぺ返しは与えることと相手に合わせることを、交互に繰り返すほうが有利なことがわかっている。
これを「寛大なしっぺ返し」という。
「寛大なしっぺ返し」のルールは「よい行いはけっして忘れず、悪い行いはときどき大目に見る」ことだ。
テイカーを相手にするときには、自衛のために、マッチャーになるのがいい。
ただし、三回に一回はギバーに戻って、テイカーに名誉挽回のチャンスを与える。
8 人を動かし、夢をかなえる「ギブの輪」
―未来を変える「因果応報」のルール
「テイカー」を「ギバー」に変えられるか
誓約にサインすることで、ギバーとしての信用を確立し、与えるよりも多くを受けとっていいという心理的な許可をもらうことになったのかもしれない。
相手の信念を変えることからとりかかり、同じ行動をさせようとする。
「ギバーとして行動します」と宣誓させれば、思いやりを大切にするようになり、実際に人の役に立つ、誠実な人間になるだろうと思うのだ。
しかし多くの心理学の研究から、この推論は逆効果であることがわかっている。
これと正反対のアプローチをとるほうが、はるかに効果的に影響を及ぼすことができるのだ。
つまり、最初に人びとの行動を変えれば、信念もあとからついてくるのだ。
9 「成功への道」を切り拓く人たち―あとに続くのは誰だ
頭のいい人ほど早く行動している
「与える人」は”その一歩先”を見る
多くの人がギバーとしての価値観をもっているのにもかかわらず、仕事ではそれを表に出したがらない。
しかし、人と人とが密接に結びついた世界で、チームワーク、サービス業、ソーシャルメディアといったことがますます重要になっていくにしたがって、ギバーが人間関係や個人の評判を築き、成功を拡大させるチャンスが広がっているのだ。
起きている時間の大半を仕事に費やしている私たちが、ほんの少しでもギバーになったら、もっと大きな成功や、豊かな人生や、より鮮やかな時間が手に入るだろうかー。
それは、やってみるだけの価値はある。
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