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『あなたのチームは、機能していますか?』の要約|書籍紹介

作成者: 水落康稀|2022.11.17

タイトル:あなたのチームは、機能していますか?

著者:パトリック・レンシオーニ

 

▲引用:あなたのチームは、機能していますか?

 

著者略歴

パトリック・レンシオーニは、ビジネス マネジメント、特にチーム マネジメントに関する本のアメリカ人著者です。彼は、仕事チームのダイナミクスを探求し、チームのパフォーマンスを向上させるためのソリューションを提供する、人気のあるビジネス寓話である「チームの 5 つの機能不全」の著者として最もよく知られています。

 

ファシリテーターの感想・おすすめのポイント

競争における究極の武器はチームワークである!

経験豊富な経営陣、完全無欠な事業計画、他の企業には望むべくもない一流の投資家、ことさら慎重なベンチャーキャピタルも列をなして投資を申し込み、オフィスも決まらないうちに有能なエンジニアが履歴書を送ってくる。そのベンチャー企業の将来はバラ色に見えた。しかし2年後、業績不振のため37歳のCEOは解任され、新たに150名の社員の頂点に立ったのは、古くさいブルーカラー企業出身の57歳の女性だった……。

チーム作りの天才である新任CEOが活気あふれるチームへと再生させていくプロセスとノウハウを、ビジネス・フィクションの形で描き出したレンシオー二渾身の1冊です。

 

目次

寓話

 幸運

第1部 業績不振

 経緯

 キャスリン

 理由

 不満

 観察

 スタッフ

第2部 端緒

 最初の試練

 遠回し

 境界線

 ナパ

 スピーチ

 応酬

 危険領域

 個人の歴史

 進展

 プールサイド

 回復

 覚醒

 自尊心

 目標

 深層

 攻撃

 公開

 フィルム・ノワール

 実践

第3部 苦難の時

 社内会議

 火事場

 リーク

 第二回社外会議

 開墾

 説明責任

 個人の貢献

 対話

 最後の抵抗

 集中砲火

 重労働

 再結集

第4部 牽引力

 収穫

 腹の内

 行進

モデル

 モデルの概要

 チームの評価

 五つの機能不全の理解と克服

 

本書の要点

はじめに

 競争における究極の武器はチームワークである。

  「組織のすべての人間におなじ方向を向かせることができれば、どの業界でも、どの市場でも、どんな競争相手に対しても、どんなときでも、圧倒的な優位に立てる」

  強力なチーム作りは可能であり、驚くほど単純なことでもある。

  しかし、それはとてつもなく難しい。

  チームを崩壊させ、機能不全のもとである政治的かけひきを生み出す人間的な行動性向を克服したチームだけが成功を手に入れることができる。

 

  本書も他の拙著と同様、まずは現実にありそうな架空の組織の物語から始まる。

   仕事に追われ日常の些事に気をとられて単純きわまりない作業でさえ途方もなく感じられる状況で、これらのルールをどのように利用したらよいかを理解する手がかりにもなる。

   それぞれのチームが抱える機能不全を解消し、個人の力では到底なしえないことを実現するために役立てば幸せである。

 

寓話

 幸運

  キャスリンがディシジョンテック社のCEOにふさわしいと考えたのは一人だけだった。

  会社がこの短い間にどれほどの窮地に陥ったのか、またこれからの数ヶ月の間に何が自分を待ち受けているのか、キャスリンは知るよしもなかった。

 

第1部 業績不振

 

 経緯

  ディシジョンテックは政治的なかけひきが多くて働き心地がよくないとの噂が立っていた。

  取締役会は、その評判に我慢がならなかった。

  トップにいるのはジェフだ。取締役会がCEO解任の決定を告げたとき、誰もがほっと息をついた。

  三週間後、キャスリンが後任に就くまでは。

 

 不満

  キャスリンが何か問題行動を起こしたとか、見当違いなことをしたというわけではない。

  実は、ほとんど何もしなかったのである。

  唯一の実質的な行動は、これから数ヶ月、ナパバレーで二日間ずつ数回にわたって経営幹部の社外会議を行うと発表したことである。




第2部 端緒

 

 スピーチ

  「私たちはチームとして機能していません。まったくの機能不全に陥っています」

    「私たちがこの場所に集まったのも、そしてこの会社にやってきたのも、理由は一つだけ。結果を出すためです。」

  キャスリンはホワイトボードに三角形を描き、そのなかに四本線を引いて五つのエリアに分けた。

  「これから二日間でこのモデルを埋めていき、一つずつ問題に取り組んでいきます。」

  「それじゃあまず、一つめの機能不全から始めましょう。『信頼の欠如』です」と言ってキャスリンは後ろを向き、その言葉を三角形の一番下に書いた。

  「信頼は本物のチームワークの基礎です。」

  「優れたチームというのは、互いに遠慮しません。隠しておきたいことでも、迷わずさらけ出します」

 

 覚醒

  「チームワークは信頼を築くことから始まると言いましたね。そのための唯一の方法は、完全無欠でありたいという気持ちを克服することです。」

  「そこでこれから、リスクは低いけれど有効なやり方で、自分の弱点を人に見せていきます」

  それから全員に五分間を与え、ディシジョンテックの成否に最も大きく関わると思われる自分の強みと弱みを一つずつ考えるように指示した。

 

 自尊心

  「さて、これから一気に最後の機能不全へと進みますが、弱みへの恐怖と信頼の必要性については、今後一ヶ月のうちに何度もくりかえし話をします。」

  「図の一番上へ進んで、究極の機能不全について話し合います。それは、チームのメンバーが個人として認められ、注目されることを求めて、結果を犠牲にすることです。結果というのは全体の結果、チーム全体の目標のことです」

  「大事なのは、チーム全体の自尊心を個人の自尊心より優先することです」

  「全員が結果を重視し、結果によって成功したかどうかを判断すれば、自尊心が手に負えなくなる心配はありません。チームのなかの個人がどれほど自分の状況に自信をもっていても、チームの負けは全員の負けなんです」

  「もちろん、すぐに把握できるくらい明快に、すぐに対応できるぐらい具体的に、目標を、結果を定義することが大事です。利益はすぐに対応できる目標とは言えません。もっと日常の仕事に密接な目標が必要なんです。」

 

 公開

 「なぜ信頼が重要だと思いますか?お互い信用しないグループの実質的な弱みは何だと思いますか?」

 「信頼の欠如」のすぐ上に、「衝突への恐怖」と書いた。

  「お互いを信頼していないと、腹を割って前向きに考えをぶつけ合おうとしません。そして、表向きの調和を守ろうとし続けるだけ」

  「衝突がないことが問題なの。調和自体はいいことだと思うわ。絶えず問題を切り抜け衝突がくりかえした結果の調和ならね。でも、それが自分の意見や正直な不安を押し殺した結果なら、いいことではない。そんな偽りの調和よりは、問題について実のある議論をする意思があって、言い争っても何もしこりを残さずにいられるチームの方がいいわ」

   「次のチームの機能不全は『責任感の不足』、決定したことをきちんと支持できないことです」

   「これは『あいまいな態度』となって表れます」

   「ここで言っているのは計画や決定を実行しようという責任感のこと、つまり全員が明確に決定を支持することです。そのために衝突が大切なの」

   「チームは完全な合意を求めて議論から先に進めないために、身動きがとれなくなってしまうことがあります」

 説明責任の回避

   「全員が明確に決定を支持したら、やると約束したことについて、水準の高い仕事をして、行動をとるよう、互いに説明責任を求める必要があります。簡単なことに思えるかもしれないけど、たいていの経営幹部は人間関係に波風を立てたくないから、これをいやがるの。特に、同僚の行動に対してはね。」

 

 

第3部 苦難の時

 社内会議

  会社に戻ると、キャスリンでさえ予想しなかったほど、社外会議で見られた進歩はたちまち失われた。

  チームが社外会議でまなんだことをまったく生かせずにいることには失望したが、最初はこんな反応があたりまえなのは知っている。

 

  再結集

   それからの二週間、キャスリンは以前にも増して、チームの行動についてきびしい要求を出すようになった。

   キャスリンがしたこと以上に重要なのは、キャスリンが受けた反応である。

   そのときは抵抗しているように見えることもあるが、キャスリンに指示されたことを本当にやるべきかどうか疑問に思う者はいなかった。

   チーム全体の目的を本当に理解していたのだ。

 

第4部 牽引力

 収穫

  ナパバレーの最後の社外会議は、それまでのものとは違う雰囲気だったが、とりあえずいつものスピーチで始まった。

  それからの二日間、そのような苦難はやってきた。ときには協調精神で助け合いながら、ときには互いにつかみかかりながら、グループは事業の問題に取り組み、一つひとつ解決へ導いていった。

   以前の社外会議のようにばらばらに行動するのではなく、チームが一緒に過ごすようになった。

   次に、以前よりやかましくなった。なかでもよく聞こえてくるのは、笑い声である。

 

 行進

  それから一年で、ディシジョンテックの売上高は急増し、3四半期めにして年間の売上目標を達成した。

  業績が大幅に向上したことで、会社を辞める社員は減り、士気は着実に高まったが、会社が目標を達成できなかったときだけ一時的にわずかに悪化した。

  そんなときには、会長までもがキャスリンに電話し、進歩していることはまちがいないのだから、あまりがっかりしないようにと励ました。

 

モデル

 モデルの概要

  筆者は二つの重要な事実に気づいた。

   第一に、たいていの企業において本物のチームワークはいつになっても実現しにくいものである。

   第二に、組織がチームワークの実現に失敗するのは、自然だが危険な五つの落とし穴に気付かぬうちに陥ってしまうせいである。

 

  五つの機能不全

   第一の機能不全は、チームメンバー間の信頼の欠如である。

    これは本質的に、グループ内で弱みを見せようとしないことから来ている。

   信頼を気づけないことが問題になるのは、それが第二の機能不全、衝突への恐怖を生み出すからである。

    信頼の欠如したチームは、腹を割って激しく意見をたたかわせることができない。

   健全な衝突がないと、チームの第三の機能不全、責任感の不足をまねく。

    チームメンバーは、オープンな激しい議論のなかで意見を出さなければ、会議中に表面的には同意しても、本当にその決定を支持し責任感を持つことはできない。

   本当に責任を持って支持する姿勢がなければ、第四の機能不全、説明責任の回避に走るようになる。

   明確な行動計画に責任をもって取り組んでいなければ、いくら集中力と意欲を持った人でも、チームのためにならない行動や態度を取った仲間をとがめるのに躊躇することがある。

  互いの説明責任を追求しないと、第五の機能不全が蔓延る環境が生じる。結果への無関心が起きるのは、メンバーがチーム全体の目標より個人のニーズ(自尊心、キャリア開発、評価など)や自分の部門のニーズを優先させたときである。

 

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