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『パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術』の要約|書籍紹介

作成者: 水落康稀|2022.11.17

タイトル:パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術

著者:アンドリュー・ソーベル、ジェロルド・パナス

 

 

▲引用:パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術

 

著者略歴

アンドリュー・ソーベル Andrew SOBEL
クライアントとの間に信頼関係を築き、実りある関係を持続させるスキルと戦略に関する著書で世界的に著名。ベストセラーとなった処女作Clients for Life(邦訳『選ばれるプロフェッショナル』英治出版刊)はビジネス書の新たなジャンルを確立した。シティバンク、ゼロックス、コグニザントなど有名企業トップに対するコンサルタントとして30年におよぶキャリアを誇り、『ニューヨーク・タイムズ』『USAトゥデイ』『ハーバード・ビジネス・レビュー』など主要紙誌に大きく取り上げられた。ダートマス大学タック経営大学院でMBAを取得。

ジェロルド・パナス Jerold PANAS
1968年の設立以来、大学や美術館、ヘルスケアセンターなど主に非営利の2,500を超える組織や団体に資金調達に関するアドバイスを行なってきた世界最大のコンサルティング会社、ジェロルド・パナス、リンジー&パートナーズのCEO。フィランソロピーのトレーニングを提供し、「ドナー」を養成するInstitute for Charitable Givingの設立者でもある。これまでに13冊の著書があり、なかでも常にベストセラーリストに登場するAskingとMega Giftsが有名。全米各地で年間50回以上の講演をこなしている。

 

ファシリテーターの感想・おすすめのポイント

F・ルーズベルト、ソクラテス、シェイクスピア、イエス・キリストの共通点は何か?

それは「パワー・クエスチョン」の使い方を知っていたこと。この本書を読めば、あなたも仲間入りできる!―マーシャル・ゴールドスミス

閉ざされた扉を開き、問題の核心に切り込み、会話を驚くほど楽しいものに変える。

「パワー・クエスチョン」を使うことで、下記のポイントが可能となるでしょう。

  • 相手とすばやく打ち解ける
  • 問題を定義しなおして解決策を探る
  • 商品やアイデアをどんどん売り込む
  • 迅速な意思決定を促す
  • 隠れた能力を引き出す
  • 相手の「夢」にアクセスする
  • 顧客や同僚、友人に影響力をおよぼす
  •  

本書では、バリエーションやフォローアップの質問も含め、337の「パワー・クエスチョン」を紹介しています。

 

目次

1 いい質問は安易な答えに勝る

2 どん底に落ちたくなかったら穴を掘るな

3 四語

4 売り込みがうまくいかないとき

5 ミッションは重要なのではない。すべてだ

6 洞窟から抜け出す

7 初めから始める

8 やり直す

9 理由がわかれば克服できないものはない

10 秘密

11 これはあなたにできるベストですか?

12 ゴリラの砂投げ

13 決まり文句は禁物

14夢をおばわれないで

15沈黙が最善の答えとなるとき

16最良の師

17堰を切ったように

18仕事の本質

19苦渋の決断

29人生の岐路

21私を誰だというのですか

22人生で最高の瞬間

23あなたのための計画ですか?

24こだわりを捨てて、立場を変えてみる

25剣幕をなだめる方法

26深く、深く掘り下げる

27常に忠実を

28私の欠点は煮え切らないところだった。  さて、今日はどうだか

29長すぎる説明

30今日は特別の日

31決して遅くはない

32人生の棚卸し

33何よりも気がかりなこと

34今を精一杯

35パワークエスチョンの驚くべき威力

 

本書の要点

1 いい質問は安易な答えに勝る

  「コンサルタントにしろ、銀行家にしろ、弁護士にしろ、どういう質問をするか、そして、こちらの話にどれだけ熱心に耳を傾けるかで、その人間の経験と洞察力がわかる。それだけのことだ」

  この言葉は、人間関係を築く上でなにが重要か端的に言い尽くしている。

  すなわち、いい質問は答えよりはるかに効力がある場合が多いという事実だ。

  的を得た質問をされると、私たちはいやでも考えさせられる。新たな視点から問題をとらえ直そうとする。

  そうすることで自分の思い込みに気づき、これまでの考え方を捨てることになる。

  つまり、質問が契機となって、もっと学び、新たな発見をしたいという気分になるわけだ。

  昔から、ソクラテスやイエス・キリストといった世界を大きく変えた人物は、実に効果的に質問を活用している。

  彼らにとって質問は教材であり、周囲の人々を根底から変える手段でもあった。

  本書は「パワー・クエスチョン」というタイトルにした。

  この本で紹介する質問には、会話を驚くほど楽しいものに生まれ変わらせるパワーがあるからだ。

  パワー・クエスチョンは、問題の核心に切り込む強力なツール、閉ざされた扉を開く鍵である。

  質問が持つパワーを活用できるようになると、仕事の上でも私生活でも効率がどんどんよくなる。

  いい質問の変革力を駆使する心構えができただろうか?それでは、始めよう。

 

2 どん底に落ちたくなかったら穴を掘るな

  今思い出しても、身の縮む思いがする。まさしく若気の至りだった。私は輝きたかったのに、みごとに顔をつぶしてしまった。

  私が勤めていたコンサルティング会社が、新規顧客の獲得をめざす大手テレコミュニケーション会社にプレゼンに出向いたときのことだ。

  この大物クライアントを獲得して点数を稼ごうと意気込んでいた。いや、意気込みすぎていたというべきだろう。

  なんとしてでも成功させようと私は心に誓っていた。そのために万全の準備をした。

  だが、結局、見当違いの準備だったのだ。

  簡潔さという点で、私はまったく準備不足だったのである。

  やがて、クライアントが最初の質問をした。

  「御社のことを少し教えてください」

  コンサルタントとして適任なのは我々しかいないと一点の疑いも残さず相手に印象づけなければ。

  しかし、説明に気をとられて、私は向かい合って座っているクライアントのことをすっかり忘れていた。

  三〇分ほどして、同僚と私はやっとプレゼンテーションを終えた。沈黙が返ってきた。

  副社長のひとりが重ねたホルダーに手を伸ばした。

  取り出したのはスケジュール帳だった。「とても参考になりました。ありにく、次の会議の時間なので」

  人間関係はほとんど築けなかったーいや、皆無といっていい。

  それから一年後。同じような営業訪問に上司のデウィットと出かけた。

  そのときもクライアントは同じ質問をした。

  「まず御社のことを教えてもらえませんか?」

  デウィットはちょっと考え込んだ。そして、顔をあげて問い返した。

  「弊社のどんな点に興味をお持ちですか?」

  すると、クライアントの質問が具体的になった。

  これがきっかけとなって、活発なやりとりが始まった。

  デウィットの質問のおかげで、この会社が別のコンサルティング会社と契約してうまくいかなかったことがわかった。

  このときのプレゼンは、一年前のテレコミュニケーション会社の場合と違って、はるかに充実したものだった。まさに新しい関係の始まりだったのである。

 

 4 売り込みがうまくいかないとき

  ディーン・ケーメンは並外れた発明家だ。

  二〇〇一年一二月、ケーメンは新商品を発表した。

  それがセグウェイ、充電式立ち乗り二輪車である。

  セグウェイは通勤や通学にどんどん使われただろうか?そういうわけにはいかなかった。

  セグウェイは売り込みの決め手となる最初の質問に肯定の答えができなかったのだ。

  すなわち、相手はそれによって解消できる大きな問題や状況を抱えているだろうか?

  解消する必要がないなら、うまくいかない。

 

  話は変わって、その二十五年ほど前の一九七七年四月十七日、ジミー・カーター大統領が全米放映されるテレビ番組に出演した。エネルギー危機に関して熱のこもったスピーチをしたのである。

  一九七七年当時、アメリカ人はエネルギー問題に責任を感じていなかった。

  国民が大統領のエネルギー計画を受け入れようとしなかったのは、売り込みの決め手となる第二の質問に肯定の答えができなかったからだ。

  すなわち、相手はその問題を自分のこととしてとらえているだろうか?

  相手には行動を起こす力がなければならない。

さて、また話は変わって、カーター大統領が存在していた一九七〇年代には、ハイファイ革命が全米を席巻しつつあった。

  4チャンネルステレオという画期的な方式が現れた。二つではなく四つのスピーカーを設置し、それぞれから個別の音を楽しめるのだ。

  結果的に4チャンネルステレオは大失敗だった。コストがかかりすぎたのだ。

  4チャンネルステレオは、売り込みの決め手となる第三の質問に肯定の答えができなかった。

  すなわち、相手は現在提供されているもの、あるいは、その改善率に健全な不満を不満を抱いているだろうか?

  不満を抱いていなければ、うまくいかない。

  また話は変わる。二〇〇五年のドバイ・ポーツ・ワールドによるイギリスの船舶会社P&Oの買収は、売り込みの決め手となる第四の条件を満たせなかった例である。

 ドバイ・ポーツ・ワールドは、アラブ首長国連邦を構成するドバイ首長国の国有企業である。

 一方、P&Oは、アメリカ国内で二十の主要港の港湾運営を請け負っていた。

 アメリカの多くの港が、間接的にせよ、中東の政府の管理下に入ってしまうと、政治家たちはいち早く反対の声をあげた。

 この買収は各方面から猛攻撃を受けた。

 こうした激しい反発を受けて、ドバイ・ポーツ・ワールドは最終的に譲歩し、P&Oが行ったアメリカ国内での港湾運営をアメリカ企業に売却した。

 ドバイ・ポーツ・ワールドは、売り込みの決め手となる第四の質問に肯定の答えができなかったのだ。

 すなわち、相手はあなたをその仕事の適任者として信頼するだろうか?

 信頼が得られなければ、うまくいかない。



18 仕事の本質

  クライアントのクレアと昼食をとったときのことである。

  クレアは大企業の一部門の責任者だ。

  「外部との衝突が大変で。大口顧客を探したり、供給業者と会ったり、いろいろ。それに、社内では毎日仕事に追われて。週七〇時間労働よ。へたをしたら一〇

〇時間になりそう」クレアはため息をついた。

  私はクレアの仕事をくわしく知りたかった。

  「クレアどういうことかな……この部門のCEOに就任して一年以上になりますね。今の仕事を振り返ってみて、なににもっと時間を充てたいと思いますか?逆に、かける時間を減らしたいと思うことは?」

  数ヶ月後、クレアはチームを再編成して、サポート役を新たに追加した。

  次にクレアに会ったときには、CEOになってから初めて見るほど生き生きして、新たな意欲をみなぎらせていた。

  クレアに必要だったのは、自分の役割と優先順位を新たな観点から見直すことだった。



20 人生の帰路

  私の身内には医療に携わる人間が多かった。

  大学に入ると、私は医学部の予科コースを選択した。

  医学部に入るにはもう勉強するしかない。

  プレッシャーは大きくなるばかりだ。

  二年生のとき、大学新聞でこんな広告を見つけた。「キャリア・ガイダンス・セミナーー効力のある履歴書の書き方」

  私はそのキャリアアップのためのワークショップを受講することにした。二日間、履歴書の書き方を習った。

  二日目の午後、最後の課題が出された。「これが最後の練習問題です」講師が言った。

   「紙を配りますから、一時間以内に自分の死亡記事を書いてください。地元の新聞に載せる生前の略歴です。どんな記事にしたいですか?どんな人生を描きたいですか?

  医者としての輝かしい実績を描いた。

  だが、二〇分ほど経つと、突然、書くのをやめた。なんとも気持ちが落ち着かない。

  そして、はたと悟ったのだ。

  私が本当にしたいのは旅だ。海外に住みたい。そして、起業家になりたい。

  二〇歳の私が自分の死亡記事を描いた。それはとりもなおさず人生設計を描くことだった。

  私は夢中になった。私の人生なのだ。父の人生ではない。

 

31 決して遅くはない

 

  ロジャーは私が知るかぎり有能で自信にあふれたコンサルタントだ。

  「ある企業から、大々的な戦略開発プロジェクトの依頼を受けた。世間的にも注目されそうなプロジェクトだ。契約から三ヶ月あって、ようやくCEOとの面談にこぎつけた。それまでにも数回顔を合わせたが、いつも言葉を交わす程度だった。今度は一対一で、しかも時間はたっぷりあった」

  困ったのは……このCEOになにか気の利いたことを言おうとしても、何も思いつかないことだった。

  数日考えたが、戦略分析をしたところで、特に目新しいことが出てくるわけでもないと気づいた。

  結局、インパクトの強い質問をしようと決めた。

  『振り返ってみてーほかにしたかったことはありませんか?まだ果たしていない夢は?』

  彼ははっとして私を見つめた。

  『ロジャー、君も知ってのとおり、私は長年にわたって取締役会と密接な関係を保ってきた。多くの投資銀行家やコンサルタントと仕事をしてきたし、数多くの財団にも関わってきた。さまざまな分野の一流の人々に接してきた。だが、誰一人こんなことは訊かなかった。こんな質問をされたことはない、ただ一度も』

  私たちの距離がこの質問をきっかけにぐんと縮まって、今日に至るまでの親密な関係を保てるようになった。

 

35 パワー・クエスチョンの驚くべき威力

 パワー・クエスチョンを駆使して、限りない探究とチャンスの扉を開こう。

 そして、豊かな人間関係を築き、新しいビジネスを獲得し、周囲の人に影響をおよぼしていただきたい。



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パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術

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