タイトル:急成長を導くマネージャーの型
地位・権力が通用しない時代の“イーブン"なマネジメント
著者:長村 禎庸(ながむら よしのぶ)
▲引用:急成長を導くマネージャーの型
著者略歴
株式会社EVeM代表取締役。
2006年 大阪大学卒、株式会社リクルート入社。
2009年 株式会社ディー・エヌ・エーに入社。広告事業部長、㈱AMoAd取締役、採用マネージャー、経営企画マネージャー、PMIプロジェクトリーダー、㈱ぺロリ 社長室長 兼 人事部長など、さまざまなチームのマネージャーを担当。
2017年 株式会社ハウテレビジョンに入社。取締役COOとして、管理部門以外のすべての部門を統括。停滞する業績を急成長をさせ、2019年同社を東証マザーズ上場に導く。
2020年8月、ベンチャーマネージャーを育成する株式会社EVeMを設立。創業1年にしてベンチャー中心に100社以上の経営者・マネージャーにオンライン完結型のマネジメントトレーニングを実施。
情報経営イノベーション専門職大学客員教授も務める。
ファシリテーターの感想・おすすめのポイント
「経験を重ねるしかない」「センスで決める」で終わらせない、成果が出るフレームワークがわかる!
★マネジメントは経験でもセンスでもない、フレームワークを実行するのみ
数字の話ばかりで、仲間も自分も疲弊させてしまう。
メンバーを犠牲にして残した成果は、持続性のない、偽物ではないか?
数々の失敗から学び、小さなベンチャー企業を上場まで導いたプロフェッショナルマネージャーのノウハウを一挙公開。
目次
序章 マネジメントは経験でもセンスでもない、「型」を身につけ実行するのみ
1章 マネージャーの役割を認識する
マネージャーの4つの役割
組織のステージごとにマネージャーの役割は変わる
2章 正確で素早い現状把握でロケットスタート
変化の激しい環境では現状把握力が求められる
現状把握の具体的手法
3章 チームの役割、目標、意義を設定する
チームの役割とその先にある意義を「自分で」決める
役割に基づき野心的な目標を掲げる
無機質な目標に意義をつける
4章 チームの戦略3点セット[方針・KPI・重要アクション]
人もお金も少ないベンチャーで立てるべき戦略とは
方針に実現度を測る計器をつける
KPIを達成するための重要なアクションだけを実行する
方針・KPI・重要アクションはフレキシブルに変更する
5章 強いチームをつくる
体制パターン
アサインメント
権限設計
リクルーティング
相互理解とルールでチームを強くする
6章 戦略と組織を動かす「推進システム」を作る
チームを推進する5つの仕組み
ミーティングマネジメント
7章 初期の成果とモメンタムをつくりだす
初期の成果を早めにあげる
モメンタムを生む
8章 改善で継続的に成果を出し続ける
答えのないベンチャーでは、変化し続けるチームが勝つ
良い答えを生むための方法
9章 個人目標設定で成長のきっかけを与え、評価で努力に報いる
個人目標設定と評価こそがメンバーのエネルギーの源泉
評価活動のプロセス
コメントは「事実に基づいて」おこなう
10章 ピープルマネジメントでメンバーを動かす
人は感情の生き物
見る
指示する
関与する
11章 3つのコミュニケーション技術を使いこなす
コミュニケーションの3つの技術
ティーチング
コーチング
フィードバック
12章 マネージャーの立ち位置と心得
立ち位置
心得
慢性的に退職が起こり続ける理由
終章 マネージャーにとって一番大事なこと
本書の要点
序章 マネジメントは経験でもセンスでもない、
「型」を身につけ実行するのみ
弱肉強食のベンチャー企業でわかったこと
同じ「マネージャー」でも、その役割は大企業とベンチャーで全然違います。
大企業に求められるマネジメント:内乱を抑えるマネジメント
ベンチャーに求められるマネジメント:勝利にこだわるマネジメント
ベンチャー企業のマネージャーの仕事とは
環境変化や外敵と戦いながら弱い会社を強くすることです。
マネジメントは経験でもセンスでもない
(著者の長村(ながむら)さんが、)
10年にわたるベンチャーでのマネージャー経験や、
たくさんの組織・個人への研究を通じて体系化したものが、
「マネジメントの地図」です。
マネジメントの地図の内容としては、
1.役割
2.基本動作
・現状把握
・役割/目標/意義の再定義
・方針/KPI/重点施策の策定
・チーム体制構築
・システム構築
・初期の成果/モメンタム
・個人目標設定/評価
・改善
3.ピープルマネジメントの技術
4.立ち位置と心得
となります。
大事なのは、何かが起こった時に
「何が要因として考えられるか」と
要因を探せる「地図」を頭に入れておくことです。
その地図から、今何をすべきなのかを探し、実行することです。
マネージャーに必要なのは、経験からでもセンスでもなく、
「地図」と「地図を使いこなせる力」です。
1章 マネージャーの役割を認識する
マネージャーの4つの役割
とは
となります
組織のステージごとにマネージャーの役割は変わる
あなたの会社・組織においてマネージャーに求められる役割は、この4つの役割それぞれどのような比重でしょうか?
それを認識し、その会社におけるマネージャーの役割・定義を
自分なりにおこなってから業務に臨める人は、
どんなベンチャーでも活躍できるマネージャーになれるでしょう。
2章 正確で素早い現状把握でロケットスタート
変化の激しい環境では現状把握力が求められる
事業内容、目標、組織、メンバーなど
あらゆるものがコロコロ変わり続ける、
そのような環境下で
成果の出せるマネージャーの条件とはどのようなものでしょうか?
それは、「素早く、正しく、現状把握をおこなえること」です。
現状把握のスキルは、変化の激しい環境の中で、
常に会社を伸ばすことにコミットし続ける
マネージャーの重要な第1歩となります。
2章では、
現状把握のチェックリストや現状把握の具体的手法を説明 しています。
3章 チームの役割、目標、意義を設定する
チームの役割とその先にある意義を「自分で」決める
会社にチームが存在している理由は
「役割」と「目標」があるからです。
役割:会社の中でどのような役割を担うことを期待されているのか?
目標:どのような結果を残すことを期待されているのか?(定量・定性)
それは、いつまでに残すことを期待されているのか?
チームの役割と目標は
上司や会社から降ってくるのが一般的でしょうが、
ベンチャーではそうはいきません。
ベンチャーでは社長ですら「プレイングマネージャー」です。
マネジメント専任で動ける人などだれもいません。
かつチームの役割目標もコロコロ変わり、
都度状況にフィットした役割・目標をタイムリーに考えてくれる人など誰もいません。
役割・目標は自分で考え、上司にぶつけて承認をもらいます。
また、目標の先にある「意義」を言語化する必要もあります。
「その目標達成にはどんな意味があるか」を明確にしておかないと、
チームメンバーは疲弊します。
意義を言語化して、チームの共通認識にしていく必要があります。
この章では、
チームが活動をスタートさせる前提の「役割」「目標」「意義」をどのように決めていくのか、お伝えしています 。
「会社の目標・課題」×「チームの現状」でチームの役割を決める
より経営に資するように、チームの役割はどうあるべきなのか?
自分のチームの役割を
「既存事業のマーケティングをおこなう」と認識しているチームと、
「既存事業のマーケティングを効率化し、
新規事業の立ち上げをマーケティング面で支援する」と認識しているチームでは、
スタートしてから会社の貢献度に雲泥の差が出ます。
会社の状況にフィットした役割認識で業務をおこなえば、
日々の努力がダイレクトに会社への貢献につながります。
役割に基づき野心的な目標を掲げる
目標とは「その達成を目指すことでチーム・個人の能力を
最大限に引き出すもの」です。
目標設定のための分析・検討はほどほどにし、
野心を根拠に設定します。
「この ラインが妥当だ」ではなく、
「ここを目指したい」という意思をもって目標を決めます。
写真を根拠に設定する目標は、どのラインで設定するのが妥当なのでしょうか。それは
、「手が届くギリギリのライン:70%程度は達成方法の想像はつくが、30%は達成イメージがつかない程度」で設定することです。
達成イメージがつかない部分があるからこそ、チームは「創意工夫」を試みます。
創意工夫をおこなうことで、チームの能力は向上します。
無機質な目標に意義をつける
人は人生に「意義」を求めます。
仕事が人生の大半を占めるのであれば、
仕事においても意義が必要です。
「その野心的な目標を達成したその先に何があるのか?」
という意義があるからこそ、 目の前の高い目標に人は向き合えるのです。
3つの軸で意義を創出する。
①社会軸:対象に貢献したい
②市場軸:市場において、自分たちがどういう存在になりたいか
③自社軸:日々の業務を通じて、自分たちがどのような存在になるか
この三つの軸で意義のアイデアを出し、そのアイデアの中から良いものを選んだり、アイデアのいくつかを統合することで、チームの意義を創出します。
この意義とセットで、野心的な目標をメンバーに伝えましょう。
無機質な目標だけを伝えることでチームを疲弊させるのではなく、意義とセットで伝えることで、生き生きと目標を追いかけるチームを作ります。
4章 チームの戦略3点セット[方針・KPI・重要アクション]
人もお金も少ないベンチャーで立てるべき戦略とは
目標のためのアクションは無数に考えられますが、
その選択基準が「方針」です。
方針とは、目標達成のために取るべきアクションの方向性を指します。
4章では
方針は「工数小×インパクト大」で策定、
ほど良い抽象度で設定、
チームの状況に合わせて策定する、
などを紹介しています。
方針に実現度を測る計器をつける
定性的な方針には、
定量的なKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指数)を付加します。
KPIは、方針が実現できているかどうかを常にチェックするための「計器」になります。
<例>
方針:サービスAの認知度を高めるため、Youtubuチャンネルを開設し、活動動画を企画・投稿する
KPI:チャンネル登録数3万人
KPIを達成するための重要なアクションだけを実行する
方針・KPIがない中でアクションを出しても、
どこから手をつけていけば効果的なのかわかりませんが、
方針・KPIがあればアクションは絞れます。
5章 強いチームをつくる
チームを柔軟に変化させるには、
チーム体制の構成要素1つ1つを深く理解することが必要です。
チーム体制は、
・状況に応じた構造を選択する
・メンバーの特性を見極め、アサインする
・チームの中でだれが何を決めるのか、権限を設計する
この3つの要素がかけ合わさることで、
機能するチームを作ることができます。
5章では、それらはどのような時に
どう活かすべきなのかについて解説しています
6章 戦略と組織を動かす「推進システム」を作る
チームを推進する5つの仕組み
①進捗の可視化
②情報共有
③報告
④議論
⑤意思決定
この5つの仕組みをチームに装着することで、
作った戦略・組織が動き出します。
マネージャーはこの仕組みをデザインし、
戦略、組織が機能するようにしなければなりません。
ミーティングマネジメント
5つの仕組みを推進するにあたり、
「会議」からは逃げられそうにありません。
会議は、次の6点を言語化し、設計します。
①目的
②目標(会議が終わった時の状態はどのようなものか)
③アジェンダ
④参加者
⑤頻度
⑥時間
7章 初期の成果とモメンタムをつくりだす
マネージャーが最初におこなうべきことは、
「初期の成果」を早めにあげることです。
「任せれば大きな成果を出せるんだ」と事実を持って説明するのです。
また、初期の成果をあげることと並行してて、
「モメンタム」を生みにかかります。
「モメンタム」というのは、チームの中に流れる、
「自分たちは必ず成功できる」と信じる気持ちから生まれる「勢い」のこと、
「野心的な目標に日々近づいているなという実感」です。
成果がまだ出ていなくても、この実感があればモメンタムは生まれます。
8章 改善で継続的に成果を出し続ける
8章では、活動の振り返りをおこない、
マネジメントシステムに反映させる方法について解説しています
9章 個人目標設定で成長のきっかけを与え、評価で努力に報いる
個人目標設定と評価こそがメンバーのエネルギーの源泉
目標には2つの目標があります。
「個人目標」と「チーム目標」です。
チーム目標で目標を設定すると、
どうしても自分ごとに感じられなかったり、
振り返りをする際に自分の成長余地が見つかりにくかったりします。
やはり、目標は「個人」のレベルまで落とし込んで設定します。
評価活動の目的は2つあります。
①メンバーの飛躍的成長の実現
②メンバーの本質的なモチベーションの向上
評価活動のプロセス
評価活動には大事な前提があります。
それは、評価は「納得解」であるということです。
評価は複雑で、完全に正確な答えのような評価ができない以上、
メンバーがその評価に「納得」し、受け止め、
そこから成長課題を設定し、
モチベーションを向上させることができれば、評価は成功です。
9章では、「納得解」を生むための評価プロセスを紹介しています。
10章 ピープルマネジメントでメンバーを動かす
人は感情の生き物
「正しいこと」より「共感できること」
マネージャーの言ってることは筋が通っていたとしても、
そのマネージャーのことが信用できないならメンバーは動きません。
逆に、マネージャーの言ってることがよく理解できなかったとしても、
そのマネージャーが信用できるなら、メンバー動きます。
「人は感情の生き物である」ことを肝に銘じ、
正しいことを言うだけではなく、
信用されるマネージャーになることが重要です。
信用される3つの方法
①全身全霊、全人格を以て相手の話を聞く
②惜しみなく与える
③敬意を持つ
見る
マネージャーは、メンバーにとって最高の観客であれ
誰かが見てくれると力が湧いてきますが、
誰も見ていないなら力は出ません。
マネージャーが見ているから、メンバーはがんばります。
マネージャーは、メンバーの活躍も失敗も「見る」のです。
見るとはどういうことか
マネージャーがおこなうべき「見る」という業務は、
次の3つをぐるぐると回し続けることです。
①興味を持つ
②把握する
③伝える
指示する
イーブンな関係における指示のあり方
チームの目標達成のために、チーム全体を把握したうえで、
メンバー個々に的確な指示をするのは、マネージャーの仕事です。
偉いからではなく、
仕事として、役割として、遠慮なく堂々と指示をします。
その際、必ず「背景とセットで」指示をします。
「なぜ、その業務が必要なのか?」をひと言添えるのです。
メンバーへの敬意があれば、
そもそも背景がない、もしくは曖昧な業務、
つまり必要かどうかも分からない業務を乱暴にお願いすることはありません。
イーブンな関係でメンバーの意見が活発に出るチームを作り、
その意見の中から答えを見つける
ー そんなチームを運営するならば、
指示のあり方には相当こだわるべきです。
11章 3つのコミュニケーション技術を使いこなす
コミュニケーションの3つの技術
メンバーの目標達成を支援するコミュニケーション技術として、
ティーチング、コーチング、フィードバックの3つがあります。
・ティーチング:知らないことや、足りないことを相手に教える
・コーチング:相手に質問し、相手に気づきを与え、相手を導く
・フィードバック:相手が気づいていない客観的な事実を伝える
メンバーの状況に応じて三つの技術を使い分ける力が
マネージャーには求められるのです。
12章 マネージャーの立ち位置と心得
ここまで、ベンチャーマネージャーとしての技術面を型にお伝えしてきましたが、いくら技術を身につけたところで、
正しいあり方・人間性が備わってなければ、その技術は活きません。
あり方・人間性には「立ち位置」と「心得」というものがあります。
立ち位置は、ベンチャー企業におけるマネージャーとはどの位置で、
どのような立場であることを意識して仕事をすべきなのか、
その認識のことを指します。
どれだけ技術に長けていても、
そもそも会社における自分の立ち位置を誤れば、
メンバーを動かすことはできません。
心得は、ベンチャー企業のマネージャーが特に肝に銘じるべき、
マネジメント業務に臨むスタンスのことを指します。
スタンスがまちがっていれば、技術も有効に働きません。
終章 マネージャーにとって一番大事なこと
「良い」マネージャーって何だろうか
成果だけに執着して、成果という大義名分の下、
メンバーを犠牲にして残した成果は、持続性のない、偽物の成果なのではないか。
メンバーの本質的な成功・成長に執着した結果、
残るのが成果であって、そういう成果こそが本質的な成果というものではないか。
成果を作るのは、マネージャーではなく、メンバーです。
そのメンバーを大事にする、そのメンバーの本質的な成功・成長にコミットする。
まずはそこだけを見て仕事をしてみてください。
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