タイトル:未来企業 レジリエンスの経営とリーダーシップ
著者:リンダ・グラットン
著者略歴
ロンドン・ビジネススクール教授。人材論、組織論の世界的権威。経営学界のアカデミー賞とも称されるThinkers50ランキングのトップ12に選ばれている(2011年)。フィナシャルタイムズ紙では「今後10年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論家」と賞され、英エコノミスト誌が選ぶ「仕事の未来を予測する識者トップ200人」の一人。組織のイノベーションを促進するHot Spots Movementの創始者であり、仕事の未来を考えるグローバル企業のコミュニティ、Future of Workコンソーシアムを率いる。
シンガポール政府のヒューマンキャピタル・アドバイザリーボードメンバー。
日本で2013年ビジネス書大賞を受賞した『ワーク・シフト』をはじめ、『Hot Spots』『Glow』など、一連の著作は20カ国語以上に翻訳されている。ロンドン在住。2人の息子がいる。
ファシリテーターの感想・おすすめのポイント
世界が変わる。働き方が変わる。
企業が変わる。真の「働きがい」を求めて。
『ワーク・シフト』のリンダ・グラットン教授が日本の読者に送る、新たなメッセージ。
世界はいま、数々の深刻な問題に直面している。若年層の失業、根深い貧困、エネルギー・環境問題など、どれも一国、一地域で解決できるものはない。これまでグローバルな大企業は諸問題の根源とも批判されてきたが、いまこそ知識、技術、ネットワークを有効に生かして「解決者」の役割を担うべきである。
組織、地域、世界のレジリエンスを高めるための経営のあり方とは? そのために不可欠な新しいリーダー像とは?
「働き方の未来」研究における第一人者の著者が、希望を感じさせる企業の取り組みを紹介しながら、経営者も従業員も自らの仕事に心から誇りを持つことができる「未来企業」の姿を描く。
日本の読者のみなさんへ
はじめに 企業へのラブレター
第1章 変わり続ける企業と仕事
第2章 レジリエンスの三つの領域
第3章 知性と知恵を増幅する
第4章 精神的活力を高める
第5章 社会的つながりを築く
第6章 よき隣人としての行動規範
第7章 サプライチェーンの末端まで
第8章 研究とイノベーションの力
第9章 展開力と動員力
第10章 複数のステークホルダーと協力する
第11章 リーダーシップ像の変容
第12章 本物のリーダーの条件
第13章 世界を見据える視座を持つ
第14章 未来企業のリーダーとフォロワーへの手紙
日本の読者のみなさんへ
この本で私は未来の世界を形づくる要因が、企業とそこで働く人々にどんな影響を及ぼすのかについて書きました。
企業は今後、どのような活動にどのような方法をもって取り組むべきか。
その中核にあるのは、不確実性の増す世界において最も重要な能力は「レジリエンス」である、という考え方です。
レジリエンス:ストレスからの回復力、困難な状況への適応力、災害時の復元力という意味合いで使われています。
企業のレジリエンスについては、「三つの領域で考えています」
一つ目の領域が、従業員が知性と知恵を増幅し、精神的活動力を高め、お互いに結びつきを深めることができるような職場環境です。
二つ目の領域
地域のことを考え、 サプライチェーンの末端まで配慮した活動です。
三つめの領域
企業がその資源や能力を活用して若者の失業問題や、気候変動といったグローバルな課題に取り組むことによって実現されます。
この未来企業では、未来を見据えて、この3領域のそれぞれにおいてレジリエンスを強める取り組みを行っている企業の事例を、日本を含め、世界中から集めて紹介しています。
はじめに 企業へのラブレター
私たちの世界は、昔は想像もできなかったテクノロジーやグローバル化によって様変わりした。
困ったことに、かつて役に立った革新的なツールが未来の問題の解決には使えなくなりつつある。
この不安定な世界においては、企業の従業員や経営者がそれらに立ち向かう意志を持ち、中心的な役割を担うことが極めて重要である。
実際、企業は正しい人材が正しく舵をとれば、こうした問題に立ち向かうためのイノベーションを見出すうえで鍵となる役割を担うことができる。
そのために考えるべき困難な課題もある。
ストレスや緊張が高まるこの世界で、従業員のレジリエンスを高め、意欲をかきたてるために何ができるか。
従業員は自分たちの働き方について何を期待してしかるべきか。
現代の企業には実に多くが求められている。
その期待に応えるべく企業を機能させるには、私たち一人一人の果たすべき役割がある。
企業で働いているあなたは、実際に行動を起こせる立場にある。
企業が作り出した商品を購入しているあなたは、消費動向や社会への発言を通して、企業が世界をより良くするための力になれることを証明できる立場にある。
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