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アクティブラーニングとは?文部科学省の定義や注目される理由も簡単に解説!

作成者: 水落康稀|2024.12.2

「アクティブラーニングって何?」

「なぜ今、注目されているの?」

「具体的にどんな効果があるの?」

最近よく耳にするアクティブラーニングですが、その意味や実践方法がよく分からず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、文部科学省の定義から具体的な手法、期待される効果まで、アクティブラーニングの全体像を簡単に解説します。

本記事を読めば、アクティブラーニングの基本が理解でき、教育現場での実践に役立つ知識が得られるでしょう。

現代社会では「主体性」「協調性」「課題解決力」などのスキルが求められます。

これらの力を育むアクティブラーニングの手法をしっかりと理解していきましょう。

アクティブラーニングとは?簡単に解説

アクティブラーニングとは、生徒が能動的に考え、学習する教育法です。

具体的には、グループディスカッションやディベート、グループワークなどを通じて、生徒自身が主体的に学習に参加します。

この過程で、認知的能力や社会的能力、教養、知識、経験などを総合的に育むことを目指します。

特に重要なのは「正解の暗記」ではなく「問題解決への考え方を学ぶ」という点です。

教員は正解を教える講師ではなく、生徒の学びをサポートする進行役として関わります。

文部科学省の定義

文部科学省は、アクティブラーニングを「学修者の積極的な授業への参加を促す授業や学習法」と定義しています。

この定義の背景には、学習者が主体的に学びに関わることの重要性があります。

学習効果を高めるため、知識を受け取るだけではなく、積極的な参加が不可欠となりました。

具体的には、内化プロセス(必要な知識の習得)と外化プロセス(積極的なアウトプット)の2段階で学びを深めます。

まず基礎知識を学び、その後グループディスカッションやディベートを通じて理解を深める方法です。

参照:文部科学省「アクティブ・ラーニングに関する議論

アクティブラーニングの注目される理由

アクティブラーニングが注目される背景には、現代社会の変化が挙げられます。

特に以下のような社会変化により、新しい教育方法が求められるようになりました。

  • グローバル化や少子高齢化による社会構造の変化
  • AIやロボット技術の発展による単純作業の自動化
  • 新しい価値を創造する人材への需要増加

このような変化に伴い、従来の知識詰め込み型や指示待ち型の教育では、革新的な発想や実践的な問題解決力を育むことが難しくなってきました。

そこで、2012年の大学教育での導入を皮切りに、2014年には高校教育でもアクティブラーニングの必要性が示されました。

従来の授業との違い

従来の授業とアクティブラーニングでは、学習方法や教員の役割が異なります。

両者の主な違いは、以下のとおりです。

 

アクティブラーニング

従来の授業

生徒の姿勢

能動的に参加・発言する

受動的に講義を聞く

教員の役割

学びをサポートする進行役

知識を教える講師

授業の形態

一方向の講義中心

対話や活動を中心

このような違いがあるのは、社会で求められる能力が変化したためです。

知識を蓄えるだけではなく、その知識を活用して考え、表現する力が必要とされるようになってきました。

特に注目すべき点は、教員の役割の変化です。

従来は正しい知識を伝える講師としての役割が中心でしたが、アクティブラーニングでは生徒の主体的な学びを支援する進行役となります。

また、学習者同士の対話や協力を促すことで、多様な視点から物事を考える機会を提供することも重要な役割となっています。

アクティブラーニングの主な効果

主体性の育成

アクティブラーニングでは、学習者の主体性が身につきます。

これは、学習者の立場が大きく変わるためです。

従来の座学中心の授業では、教員が一方的に知識を伝え、学習者は用意された問題を解くだけの受動的な立場でした。

しかし、アクティブラーニングでは、学習者自身が考え、他者と関わりながら学習を進めることが求められます。

主体性が身につく具体的な場面には、以下のようなものが挙げられます。

  • 自分で課題を見つけ出す
  • 積極的に意見を発言する
  • グループ活動で役割を担う

例えば、授業中のグループワークでは、自分の意見を述べるだけではなく、他者の意見に耳を傾け、議論を通じて新しい発見をする機会が増えます。

また、課題解決の過程では、自ら情報を集め、考え、行動する経験を重ねることができるでしょう。

生徒自身が主役となって自ら学ぶ環境が整えられることで、確実に主体性を身につけられます。

協調性の強化

アクティブラーニングは、学習者の協調性を効果的に高める教育方法です。

これは、他者と関わりながら一つの課題に向き合う機会が多く設けられているためです。

主な活動としては、以下のようなものが挙げられます。

  • グループディスカッション
  • チームでのプロジェクト活動
  • ディベート形式の討論
  • グループ単位での発表準備

このような活動を通じて、さまざまな場面で協調性が育まれていきます。

例えば、グループでの課題解決では、メンバーそれぞれが異なる意見を持ち寄り、時には対立する場合もあるでしょう。

しかし、その過程で意見の調整方法を学び、お互いの考えを尊重する姿勢が育まれていきます。

このように、他者と協力しながら学ぶ経験を重ねることで、社会で求められる協調性が自然と身についていきます。

課題発見と解決力の向上

アクティブラーニングは、課題発見力と解決力を効果的に育成します。

従来の学習では、用意された問題の正解を導き出すことが中心でした。

しかし、現代社会では、まず何が問題なのかを見出し、その解決策を考える力が求められます。

アクティブラーニングは、まさにこの力を育てる学習方法です。

課題発見力と解決力は、以下のように育成されます。

課題発見力

  • 問題の本質を探る視点が養われる
  • 多角的な分析力が身につく
  • 隠れた課題を発見する感覚が磨かれる

解決力

  • 複数の解決策を考える思考が身につく
  • 実現可能なアプローチを選ぶ判断力が育つ
  • 最適な方法を導き出す力が培われる

正解のない問いに向き合い、試行錯誤しながら解決策を導き出す経験を通じて、実社会で必要とされる確かな力が育まれます。

アクティブラーニングの3つの手法

アクティブラーニングには、さまざまな手法があります。

ここでは、以下の3つの手法を紹介します。

  • ジグソー法
  • KP法
  • PBL(プロジェクト・ベースト・ラーニング)

それぞれの内容を詳しく確認していきましょう。

ジグソー法|パズルのように組み合わせて学習

ジグソー法は、複数の知識をパズルのように組み合わせて学ぶ、効果的なアクティブラーニング手法です。

この手法が注目される理由は、学習者が主体的に知識を共有し、全体像を理解できる点にあります。

大きなテーマを小さな課題に分解し、それぞれの専門家として学んだ内容を持ち寄ることで、複雑な課題への理解が深まります。

例えば「ゲームのつくり方」というテーマでは、以下のように学習が進められます。

第1段階

キャラクターや音楽、プログラミング、ストーリーなど、各分野を専門的に学ぶグループに分かれる

第2段階

異なる分野を学んだメンバーで新しいグループを作り、それぞれの知識を共有・統合する

このように、自分が学んだ内容を他者に分かりやすく伝え、また他者の知識も吸収することで、テーマ全体への深い理解が実現できます。

KP法|視覚的な要素を活用

KP法(紙芝居プレゼンテーション法)は、視覚的な要素を効果的に活用した、分かりやすいアクティブラーニング手法です。

この手法は、日本環境教育フォーラム理事長の川嶋直氏が提唱したもので、学習内容を紙に整理し、進行に合わせて黒板やホワイトボードに貼り付けながら説明を進めます。

従来のプレゼンテーションと異なり、内容が徐々に構造化されていく点が特徴です。

KP法の実施手順は、以下のとおりです。

事前準備

重要な内容を紙に記載

実施時

  1. 説明に合わせて紙を順次掲示
  2. 内容の関連性を矢印で示す
  3. 全体の構造を視覚的に表現

このように、情報を視覚的に整理しながら進めることで、学習者の理解が深まり、主体的な学びが促進されます。

PBL(プロジェクト・ベースト・ラーニング)|自ら課題を発見し解決

PBL(Project Based Learning)は、実践的な課題解決を通じて学ぶ、アクティブラーニングの手法です。

この手法では、与えられた課題や自ら発見した課題に対して、グループで解決策を模索します。

模範解答のある課題だけではなく、実社会の未知の問題にも取り組むため、実践的な問題解決能力を養えます。

PBLの学習プロセスは、以下のとおりです。

課題設定段階

課題の提示または発見

問題の本質を理解

解決策検討段階

グループでアイデアを出し合う

必要な調査項目を特定

情報収集と分析

実践・発表段階

解決策の実行

成果の発表と共有

このような段階的な取り組みを通じて、実社会で求められる本質的な課題解決能力が育成されます。

アクティブラーニングの主な課題

教員側の準備不足と負担増

アクティブラーニングの導入する際の課題の一つが、教員の準備不足と負担増加です。

この課題が生じる背景には、アクティブラーニングの特徴的な性質があります。

従来の講義型授業と異なり、多様な手法への理解や緻密な授業設計が必要となるため、教員には新たな知識と準備時間が求められます。

教員が直面する具体的な課題は、以下のとおりです。

  • 新しい教育手法の学習
  • 詳細な授業計画の立案
  • 教材やワークシートの作成
  • グループ活動の設計

これらの準備に加え、教員には部活動指導や生活指導など、既存の業務も存在します。

そのため、アクティブラーニングを効果的に実施するためには、教員の業務負担の適正化と、十分な準備時間の確保が不可欠となります。

授業時間の制約

アクティブラーニングでは、授業時間の制約も課題の一つです。

この課題が生じる理由は、授業形態の特性にあります。

グループでの議論やフィールドワークなど、生徒が主体的に参加する活動は、従来の座学より多くの時間を必要とします。

しかし、学習すべき項目数は変わらないため、時間配分が難しい状況が生まれています。

具体的な時間に関する課題は、以下のとおりです。

  • グループ活動の時間確保
  • 十分な議論時間の確保
  • 発表や共有の時間確保
  • 通常の学習項目との両立

特に深刻なのは、生徒の積極的な参加によって授業が活性化するほど、予定していた時間を超過しやすくなるジレンマです。

生徒の主体的な学びを大切にしながらも、限られた時間内で効果的な学習を実現することが求められます。

評価基準の曖昧さと公平性の問題

アクティブラーニングでは、評価基準の曖昧さと公平性の確保も課題の一つです。

従来の講義型授業では、提出物や定期テストの点数のような明確な基準で評価が可能でした。

しかし、アクティブラーニングでは、授業への参加態度や発言内容、グループへの貢献度など、数値化が困難な要素を評価する必要があります。

評価する際の問題点としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 授業参加度の数値化の難しさ
  • グループ活動の個人評価
  • コミュニケーション能力の差
  • 多面的な評価の必要性

このように、対話が苦手な生徒や内向的な性格の生徒が不利にならないよう配慮しながら、かつ客観的で公平な評価基準を設定する必要があります。

まとめ

アクティブラーニングは、生徒が主体的に学ぶ現代的な教育手法です。

文部科学省が推進するこの手法は、従来の座学中心の授業から、より能動的な学習への転換を図るものです。

この教育手法を通じて、生徒は主体性を身につけ、協調性を高め、課題を発見し解決する力を養えます。

その実践方法としては、ジグソー法やKP法、PBLなど、さまざまな手法が確立されており、学習の目的や状況に応じて選択しなければなりません。

一方で、教員の負担増加や時間的制約、評価基準の曖昧さなど、実践する際の課題も存在します。

これらの課題に適切に対応しながら実践すれば、現代社会で求められる力を育む効果的な教育が実現できます。

アクティブラーニングは、新しい時代の学びを支える重要な教育手法として、今後さらなる発展が期待されます。

もし、アクティブラーニングに関する疑問や質問のある方は、いつでもアルマ・クリエイションにご相談ください。貴社に最適なソリューションを提供いたします。

 

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