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ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違いを解説!活用方法も紹介

作成者: 水落康稀|2025.12.29

「論理的に考えたい」

「物事を多角的に見たい」

上記のようなニーズが、ビジネスの現場で高まっています。

そんな中で注目を集めているのが、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングです。

しかし「どちらを使えばいいのかわからない」「違いがはっきりしない」などの声も多く聞かれます。

実は、この2つの思考法は相互に補完し合う関係にあり、場面に応じて使い分けることで、より効果的な問題解決が可能になります。

本記事では、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違いから、実践的な活用方法まで、具体例を交えながら解説します。

より良い意思決定や問題解決を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

ロジカルシンキングとは論理的思考法

ロジカルシンキングは、ビジネスパーソンに必要なスキルとして注目を集めています。

ロジカルシンキングとは、情報や事実を論理的に整理し、筋道立てて考えるための思考法です。

単なる直感や経験則だけに頼るのではなく、根拠に基づいて結論を導き出すプロセスを重視します。

例えば、営業部門の売上が低下している問題に直面した際「景気が悪いから」と漠然と結論付けるのではなく、データに基づいて要因を分析していきます。

具体的には「前年比での売上推移」「商品カテゴリー別の変化」「顧客層の変化」といった要素を順序立てて検証し、本質的な課題を特定していく思考法です。

ロジカルシンキングは問題解決で、感覚的な判断ではなく、事実やデータに基づいた合理的な意思決定を可能にします。

ビジネスの現場で直面するさまざまな課題に対して、効果的なアプローチを見出すための重要なスキルといえるでしょう。

根拠と結論を結びつけるプロセス

ロジカルシンキングで大切なのは、根拠と結論をしっかりと結びつけることです。

「なぜそう考えたのか」「どうしてその結論に至ったのか」を明確に説明できるようになれば、より説得力のある提案や判断ができるようになるでしょう。

根拠と結論を結びつけるプロセスは、以下の4つのステップで構成されています。

事実の収集

客観的なデータを集める

信頼できる情報源から情報を得る

具体的な数値やデータを重視する

情報の整理・分析

MECEの原則(漏れなく、重複なく)で整理する

「内部要因」と「外部要因」に分類する

「短期的影響」と「長期的影響」を区別する

論理的な推論

因果関係を明確にする

論理の飛躍がないか確認する

反証可能性を検討する

結論の導出

根拠に基づいた結論を出す

説得力のある形でまとめる

検証可能な形で提示する

例えば、新規事業の企画を立案する場合、このプロセスは次のように活用できます。

  1. 市場規模、競合状況、顧客ニーズなどのデータを収集
  2. 収集した情報をカテゴリーごとに整理
  3. 各要素の関連性を分析

データに基づいた実現可能な事業計画を策定

ステップを意識しながら進めることで、感覚的な判断ではなく、事実に基づいた説得力のある結論を導き出せます。

日々の業務の中でこのプロセスを実践していけば、ロジカルシンキングのスキルを着実に向上させられるでしょう。

問題解決における役割

ロジカルシンキングは、ビジネスでの問題解決で重要な役割を果たします。

感覚や経験だけに頼るのではなく、論理的なアプローチで問題に取り組むことで、より効果的な解決策を見出せるからです。

問題解決におけるロジカルシンキングの具体的な役割は、以下の3つです。

問題の本質を特定する

表面的な症状と根本原因を区別する

優先して取り組むべき課題を明確にする

解決すべき問題の範囲を定める

解決策の選定をサポートする

複数の選択肢を客観的に評価する

コストと効果を定量的に分析する

リスクと実現可能性を検討する

実行計画の立案を助ける

具体的なアクションプランを作成する

必要なリソースを明確にする

期待される成果を数値化する

例えば「営業チームの売上が低下している」という問題に直面した際、以下のように活用できるでしょう。

1.問題の本質を特定

売上データの時系列分析

商品別・地域別の売上傾向確認

顧客フィードバックの分析

2.解決策の検討

商品ラインナップの見直し

営業プロセスの改善

新規市場の開拓

3.実行計画の策定

具体的な数値目標の設定

必要な研修やツールの選定

スケジュールとマイルストーンの設定

ロジカルシンキングを活用すれば、感覚的な判断ではなく、データと論理に基づいた問題解決が可能になり、より効果的で持続可能な解決策を導き出せるでしょう。

クリティカルシンキングとは批判的思考法

クリティカルシンキングは、物事を批判的・多角的に分析し、より良い判断を導き出すための思考法です。

「批判的」の言葉から否定的な印象を受けるかもしれませんが、実際には建設的に物事を見直し、より良い判断や決定を導くための思考プロセスを指します。

クリティカルシンキングの本質は、ある考えに対して、その前提となる事実を明らかにし、多角的・論理的に検討することにあります。

例えば「これまでうまくいっていたから、このまま続ければよい」などの考えに対して、本当にうまくいっているのか、その判断の根拠は何か、環境の変化は考慮されているのかなど、さまざまな観点から検証していきます。

大切なのは、単なる否定ではなく、より良い結論を導き出すために、思考のプロセスを丁寧に進めることです。

情報の信頼性を確認し、異なる立場からの意見を検討し、感情に流されることなく客観的な評価を行います。

このプロセスを通じて、より確かな判断や意思決定が可能になるでしょう。

ビジネスの現場では、日々さまざまな判断を求められます。

その際、表面的な情報だけではなく、背景にある前提を確認し、多角的な視点で検討し、より適切な意思決定ができるようになります。

前提を疑う重要性

クリティカルシンキングでは、前提を疑う姿勢は最も基本的で大切な要素です。

私たちは無意識のうちに、さまざまな思い込みや固定観念に基づいて判断を下しがちです。

この思い込みに気づき、検証する姿勢がクリティカルシンキングでは求められます。

前提を疑うべき典型的な場面には、以下のようなものがあります。

「当たり前」と思っている状況

「これまでこうやってきたから」

「みんながそう言っているから」

「業界の常識だから」

情報の信頼性

データの出典は信頼できるか

調査方法は適切か

最新の情報か

思い込みが生じやすい判断

年齢による能力の決めつけ

性別による役割の固定化

過去の成功体験への過度な依存

例えば「若手社員は新しい技術に強い」などの前提は、実際の技術力や経験を見落とす原因となりかねません。

年齢ではなく、個々の能力や経験値で判断すれば、より適切な人材配置が可能になるでしょう。

前提を意識的に疑い、検証する習慣を身につけることで、より確かな意思決定ができるようになります。

ただし、すべての前提を疑う必要はありません。重要な判断を行う際に、その判断の土台となる前提の妥当性を確認する習慣をつけることが大切です。

複数の視点を取り入れる思考法

クリティカルシンキングでは、複数の視点から物事を検討する必要があります。

一つの視点だけでは、重要な要素を見落としたり、偏った判断を下したりする可能性があります。

効果的に多角的な視点を取り入れるためには、以下のようなアプローチが有効です。

ステークホルダー分析

顧客の視点

従業員の立場

取引先への影響

社会全体への影響

時間軸での検討

短期的な影響

中期的な変化

長期的な展望

異なる専門分野からの分析

財務的な観点

技術的な視点

法的リスク

人材育成の側面

例えば、新しいサービスの導入を検討する場合は、以下のような視点で検討が必要です。

1.顧客視点

利便性の向上

コストパフォーマンス

使いやすさ

2.社内視点

運用負荷

必要な研修

コスト効率

3.市場視点

競合との差別化

市場ニーズとの適合性

将来性

複数の視点を意識的に取り入れることで、より包括的で深い分析が可能になります。

チーム内で異なる視点を共有すれば、新しいアイデアや解決策が生まれやすくなるでしょう。

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違い

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、似ているようで異なる思考法です。

しかし、どちらを使えばいいのか、違いがわからないと考える方も少なくないでしょう。

ここでは、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの主な違いを説明します。

それぞれの特徴と違いを理解すれば、ビジネスでのさまざまな課題に、より適切にアプローチできるようになるでしょう。

思考アプローチの違い

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングでは、問題へのアプローチ方法が異なります。

この違いを理解すれば、状況に応じた適切な思考法の選択が可能になります。

アプローチの違いをまとめると、以下のとおりです。

ロジカルシンキングのアプローチ

クリティカルシンキングのアプローチ

問題から結論まで順序立てて考える

事実やデータを重視する

合理的な推論プロセスを重視

筋道の通った説明を目指す

前提や仮説を疑って検証する

多角的な視点からの分析を重視

思い込みや偏見を見直す

より良い選択肢を探求する

例えば、営業戦略の立案場面では、以下のようなアプローチの違いがあります。

ロジカルシンキングの場合

クリティカルシンキングの場合

  1. 現状の売上データを分析
  2. 市場動向を調査
  3. 具体的な数値目標を設定
  4. 実行計画を策定
  1. 既存戦略の前提を検証
  2. 異なる市場アプローチを検討
  3. 従来の常識を見直し
  4. 新しい可能性を探求

ロジカルシンキングが「筋道立てて結論を導く」ことに重点を置くのに対し、クリティカルシンキングは「前提を疑い、より良い選択肢を探る」ことに焦点を当てます。

両方の思考法を状況に応じて使い分けられれば、より効果的な問題解決ができるでしょう。

活用目的の違い

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、それぞれ異なる目的で活用されます。

場面や状況に応じて、適切な思考法を選択する必要があります。

2つの思考法の活用目的の違いをまとめると、以下のとおりです。

ロジカルシンキングの活用目的

クリティカルシンキングの活用目的

問題の構造化と整理

説得力のある提案作成

効率的な意思決定

プロセスの最適化

既存の方法の見直し

新しいアイディアの創出

リスクの事前発見

より良い選択肢の探索

具体的な活用シーンの例には、以下のようなものが挙げられます。

1.プロジェクト計画の立案

ロジカルシンキング:実行手順の整理、必要リソースの算出

クリティカルシンキング:計画の前提条件の検証、代替案の検討

2.新規事業の検討

ロジカルシンキング:市場分析、収益計算

クリティカルシンキング:ビジネスモデルの妥当性検証、潜在リスクの洗い出し

目的に応じて両方の思考法を組み合わせることで、より効果的な問題解決が可能になります。

まずクリティカルシンキングで方向性を見直し、その後ロジカルシンキングで具体的な計画を立てる流れが、多くの場面で有効です。

共通点と相違点の整理

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの特徴を、共通点と相違点の両面から整理すれば、それぞれの思考法の特性がより明確になります。

共通点には、以下のようなものが挙げられます。

  • より良い判断を導くことを目指す
  • 客観的なデータや事実を重視する
  • 感情に流されない冷静な分析を心がける
  • ビジネスににおける意思決定を支援する

一方、相違点を整理すると以下のような違いが見えてきます。

観点

ロジカルシンキング

クリティカルシンキング

思考の方向性

直線的・順序的

多角的・探索的

重視する要素

論理の筋道

前提の検証

主な目的

効率的な結論導出

より良い選択肢の発見

得意とする場面

明確な目標がある状況

新しい可能性を探る状況

例えば、新規プロジェクトの立ち上げでは、クリティカルシンキングで「本当にこのプロジェクトは必要か」と前提を検証し、その後ロジカルシンキングで具体的な計画を組み立てていきます。

このように、両者は対立するものではなく、相互に補完し合う関係にあります。

ビジネスでの活用方法

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、ビジネスのさまざまな場面で活用できる実践的なスキルです。

これらを効果的に使いこなすことで、問題解決力が高まり、より質の高い意思決定が可能になります。

具体的な活用シーンとそれぞれの思考法の使い方を見ていきましょう。

ロジカルシンキングの活用ポイント

ビジネスシーンにおけるロジカルシンキングの活用は、主に「問題分析」と「提案・説明」の場面で効果を発揮します。

特に重要なのは、情報を整理し、筋道立てて伝えることです。

例えば、新規プロジェクトの提案では、以下のような流れで活用できます。

現状分析

具体的な数値やデータの提示

課題特定

問題点の明確な整理

解決策

実行可能な対策の提示

期待効果

具体的な数値目標の設定

この際のポイントは情報の「MECE(漏れなく、重複なく)」な整理です。

例えば、業績低下の原因を「内部要因」と「外部要因」に分類し、それぞれの要素を詳細に分析していきます。

そうすれば、問題の全体像を把握しやすくなり、より効果的な対策を立案できます。

提案や報告の場面では「結論」→「理由」→「具体例」の順序で説明すれば、聞き手の理解を促進できるでしょう。

ロジカルシンキングを活用すれば、より説得力のある提案や効果的なコミュニケーションが可能になります。

クリティカルシンキングの活用ポイント

ビジネスでクリティカルシンキングを活用するポイントは「当たり前」を疑う姿勢です。

特に重要な意思決定や戦略立案の場面では、この思考法が効果的です。

例えば、新規事業の検討では、以下のような視点で分析を行います。

  • 「市場は本当に成長するのか」
  • 「競合他社の参入余地はないか」
  • 「顧客ニーズは本当にあるのか」

上記のような問いかけを通じて、見落としがちなリスクや新たな機会を発見できます。

既存の業務プロセスを見直す際にも「なぜこの作業が必要なのか」「もっと効率的な方法はないか」といった視点で検証すれば、革新的な改善案が生まれやすくなるでしょう。

ただし、すべてを疑う必要はありません。

大切なのは、特に影響の大きな判断や前提に対して、慎重に検証を行うことです。

バランス感覚を持って活用すれば、より質の高い意思決定が可能になるでしょう。

両方を効果的に使うための方法

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、それぞれを単独で使うよりも、組み合わせた活用により大きな効果を発揮します。

効果的な活用方法は、まずクリティカルシンキングで方向性を見極め、その後ロジカルシンキングで具体的な計画を立てます。

例えば、業務改善プロジェクトでの活用シーンを見てみましょう。

1.クリティカルシンキングで検証

現在の業務プロセスは本当に必要か

改善の方向性は適切か

他のアプローチの可能性はないか

2.ロジカルシンキングで計画

具体的な改善ステップの整理

必要なリソースの算出

スケジュールの策定

上記のように、まず大きな方向性を確認してから具体的な計画に落とし込むことで、より効果的な問題解決が可能になります。

大切なのは、両方の思考法の特徴を理解し、状況に応じて適切に使い分けることです。

まとめ

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、それぞれ異なる特徴を持つ思考法です。

ロジカルシンキングは筋道立てて結論を導き出し、クリティカルシンキングは前提を疑い多角的な視点で検討します。

どちらも、ビジネスでの意思決定や問題解決に欠かせないスキルです。

実務では、まずクリティカルシンキングで方向性を見極め、その後ロジカルシンキングで具体的な計画を立てる組み合わせが効果的です。

状況に応じて両者を使い分けることで、より質の高い意思決定が可能になります。

まずは日々の業務で意識的に実践してみましょう。

そこでもし、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングに関する疑問や質問のある方は、いつでもアルマ・クリエイションにご相談ください。貴社に最適なソリューションを提供いたします。

 

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