SNSの利用が日常生活の一部となった今では、その口コミやリアクションを利用する「ファンマーケティング」の活用が企業にとっても欠かせなくなっています。
ファンマーケティングを上手く取り入れることで、大手企業はもちろん、中小企業においても大きな宣伝効果を期待できます。
ファンマーケティングでは、自社の熱狂的なファンをどのように獲得するかが最も重要な課題です。またファンマーケティングには、大きなメリットがある反面、注意すべきポイントもあります。
そこで今回は、ファンマーケティングでSNSや口コミを効果的に活用するメリットや注意すべきポイント、成功事例について徹底解説します。
これからファンマーケティングに取り組もうとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
ファンマーケティングとは、自社や自社の製品のファンとのコミュニケーションを深めることにより、LTV(顧客生涯価値)を高める施策です。
ファンマーケティングが成功すれば、中長期的な売上や収益の向上に繋がるだけでなく、販促費の大きな削減も可能となります。
ファンマーケティングが近年注目されるようになった理由としては、スマートフォンをはじめとするデバイスの普及と、SNSや情報メディアの多様化があります。
現代ではインターネットを通じて買い物をするユーザーが増えましたが、その際に商品の紹介や価格だけではなく、口コミを参考にするのが一般的となりました。
そこで、自社製品のファンをより多く獲得し、SNSなどを通じてWeb上に良い口コミや評判を書き込んでもらうことが非常に効果的で重要となっています。
良い口コミが増えると「ユーザーが継続的に購入」→「ユーザーがSNSなどを通じて口コミで紹介してくれる」→「口コミを見た新規ユーザーが購入する」という循環が期待できます。
ファンマーケティングが成功すれば、上記のような自動的な良いサイクルが生まれ、自社のプロダクトが長きに渡り利益を生み出してくれるでしょう。
ファンマーケティングの主なメリットには、次の3つがあります。
それぞれ解説します。
ファンマーケティングの最も大きなメリットが「売上基盤の構築」です。
自社や自社の製品にファンがつくことで固定客化して売上が安定するだけでなく、顧客ロイヤリティを高めることでLTVの増加を望めます。
このように、ファンマーケティングには「売上の安定化」と「売上と収益の向上」という2軸の効果を期待できます。
ファンマーケティングのメリットには、口コミから新規顧客を獲得できるという側面もあります。
特にSNSなどを通じて、ユーザーが意図せずに商品を紹介してくれるケースも少なくありません。そのようなケースでは「ユーザーが継続的に購入」→「ユーザーがSNSなどを通じて口コミで紹介してくれる」→「口コミを見た新規ユーザーが購入する」という好循環が生まれる可能性があります。SNSや口コミでは、これまで自社の製品を認知していない、または興味のなかったユーザーにもアプローチが可能です。
このように自社の商品やサービスのファンが積極的に情報を発信してくれるため、ファンマーケティングは非常に効果的なマーケティング活動の1つと言えるでしょう。
さらに企業が注目すべきメリットとして、口コミから製品のフィードバックができる点です。
ファンからの口コミには、生産者側からの視点では気づきにくいポイントや改善点が多くあります。特にファンからのフィードバックは、自社のイメージやブランドに合わせた意見が多いことから、一般的な批評よりも参考にすべきポイントが多いと言えるでしょう。
このような口コミを基にPDCAを回すことで、市場調査にかける費用を削減しながら、効果的な改善を図ることも可能です。
ファンマーケティングでは、次の3つのポイントに注意しましょう。
それぞれ解説します。
ステルスマーケティングとは、いわゆる「やらせ」を行って口コミを生成することを言います。自社のマーケチームや社員によって組織的に良い口コミを大量に配信すると言った方法で、もしその事実が分かれば自社の信用を失いかねません。
ユーザーを騙すような行為は、絶対にしないようにしましょう。
自社のWebサイトなどに、SNSやECサイトの口コミ投稿を転載する際には、必ず投稿したユーザーの許可を取りましょう。
良い口コミを投稿してくれたユーザーに迷惑な行為となれば、自社にとっても大きな損害となりますので、口コミの転載にも十分に注意しましょう。
自社製品に対する口コミでも、その中に他者(もしくは他社)の著作権を侵害するものや、薬機法に抵触する内容(例えば〇〇病が治ったなど)があれば、絶対に転載しないようにしましょう。
特に近年は、Webサイト上の違法な投稿に対する取り締まりが強化されています。そこで口コミを転載する際は、内容によっては専門的な知識のある方に検証してもらうことも大切です。
ファンマーケティングでは次の4つの施策を行うことで、効果的に実施できる可能性が高まります。
それぞれ解説します。
ファンミーティングとは、特定の顧客のみを対象としたイベントのことで、自社製品の購入者やファンを対象として実施します。
ファンミーティングは、新商品の展示会や会社見学などが一般的です。
ファンコミュニティは、ファンミーティングをより手軽にしたイメージで、SNSやWeb上でグループを作り、ファンにとって有益な情報を配信する形で行います。
基本的には誰もが参加できるようにすることで、新しい顧客に対してのナーチャリング効果もあるためおすすめです。
会員制度やサブスクリプション制のサービスは、無料もしくは有料制でユーザーを限定します。
登録したユーザーのみに提供される情報やサービスを設けることで限定制が増し、顧客満足度とブランドのプレミアム感が向上するメリットがあります。
また有料化することで、より効果的なブランディングができるため、積極的に取り入れる企業も増えています。
ただし有料制の場合、金額に見合ったサービスを提供しなければ、客離れが起きるリスクもあるため注意が必要です。
メルマガ配信するためには、顧客のメールアドレスが必要です。
メールアドレスを登録してくれる顧客は、すでに自社を信用してくれているファンであることが多いため、その顧客に向けて積極的にメルマガなどの有益な情報を配信しましょう。
メルマガ配信するコンテンツは、できるだけ限定感をだし、ユーザーの満足度の高い内容にすることが大切です。そして、じっくりと時間をかけながらナーチャリングすることが大切です。
次に、ファンマーケティングを成功させるポイントを紹介します。
口コミ効果は、一見すると検証できないように思いますが「バイラル係数」を用いることで数値化し、検証できます。
バイラル係数とは、既存のユーザー経由で獲得、またはコンバージョンした新規ユーザー数で表されます。
バイラル係数は、次の公式で求めることが可能です。
バイラル係数 = 1ユーザーあたりの招待数 × 招待コンバージョン率(CVR)
たとえばある既存のユーザーが友人の6人に対して自社製品を紹介し、そのうち3人が購入してくれた場合のバイラル係数は『6×0.5=3』となります。
このバイラル係数が1を超えると、企業や製品の成長が見込める目安となりますので、ぜひ参考にしてください。
ファンマーケティングでは、できるだけ多くのファンを獲得するために、複数の媒体を使って情報を発信することが重要です。
ターゲットによってSNSやWebサイトなどを効果的に使い分け、効率よくファンを誘導しましょう。
ファンマーケティングの基本施策として、顧客にアンケートを実施して、自社の製品にどのようなイメージを持ち、何を望んでいるかといったニーズの調査を行いましょう。
その結果を基にして、常に新しい企画やPDCAを回すことで、製品のライフサイクルを伸ばすことも可能となります。
ファンマーケティングにおいては、SNSなどを通じた口コミが非常に重要な役割を果たします。
口コミにはユーザーが購入を判断する際の優先順位を押し上げる効果があるため、購入を迷っているユーザーが購入を決断する後押しをしてくれます。
そこで、自社製品についてのSNSや口コミの投稿を推奨する施策が重要です。
それではここで、実際にSNSや口コミによるファンマーケティングの成功事例を2つ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
シャープの公式Twitterは、少々過激な内容がウケています。
ユーザーからの質問に対して他社の製品を勧めたり、別の投稿では『投げ銭はいいから家電をかってくれ』とツイートしたりと、なかなか普通の企業が投稿しない内容がウケて、プロモーション効果を発揮しています。
この成功の裏には、長い歴史の中で築いてきた、企業と顧客との信頼関係があると言えるでしょう。新興の企業が行うには若干ハードルが高く、逆に反感を買うリスクがあるかもしれません。
『カメラを止めるな!』は、2018年に公開された日本映画で、制作予算はわずか300万円で制作されました。上映開始直後は比較的小規模な映画館のみでの上映でしたが、その後の口コミなどによる爆発的な人気により、興行収入30億円を越える大ヒットとなりました。
この成功の裏には、劇場での監督や出演者の舞台挨拶の内容や写真を観客が積極的にSNSで拡散するように促し、その投稿に対して監督や出演者が「いいね」やコメントをつけるといった戦略がありました。この行動がファンの熱量を盛り上げ、作品自体の面白みと相まって、口コミがどんどん拡散していきました。また、テレビで活躍する有名人が次から次へとツイートしたことで強いインフルエンサーとなり、結果的に全国的なブームを起こしました。
このような成功も一見すると偶然の結果とも感じられますが、実際には緻密に計算することで、どのような企業においても再現可能なマーケティング戦略となり得るでしょう。
このように、ファンマーケティングは自社の製品やブランドを愛用してくれている顧客と、密にコミュニケーションを取りながら信頼関係を構築していくマーケティング手法の1つです。
これから労働人口だけでなく、人口そのものの減少傾向が進む日本においては、非常に効果のあるマーケティング施策と言えるでしょう。
ただし、ファンマーケティングにおける施策には、1つ間違えるとリスクのある内容も少なくありません。そこで、さまざまなアイデアを出しながらも必ず検証を行い、問題のない施策となるかの確認をしてから実施することを忘れないようにしましょう。
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