グループワークとは、数人のグループで行う議論を通して成果物を作成することを指し、研修や学習の場でよく行われる活動です。グループワークを通して、コミュニケーション能力や協調性、問題解決能力などを身につけることが可能です。
しかし、グループワークを効果的に進めるには、いくつかのポイントや注意点があります。例えば、グループのメンバーの役割分担や目標設定、進捗管理、フィードバックなどです。これらの要素が不十分だと、グループワークがうまくいかないケースもあります。
そこで今回は、グループワークの進め方と、研修効果を高めるポイントや注意点を徹底解説します。社内研修にグループワークを取り入れたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
グループワークとは、数人のグループで行う議論を通して成果物を作成することを指します。グループワークの目的は、参加メンバーのコミュニケーション能力や協調性、主体性、成果物を完成させるスキルなどを評価したり、チームビルディングをしたりすることです。
グループワークを行うことで、異なる視点や意見を聞くことで、自分の考え方を広げたり、新しいアイデアを得たりできるメリットがあります。
また、他の人と協力して問題を解決することで、リーダーシップやフォロワーシップ、役割分担などの能力を身につけたり、向上させたりできるでしょう。
さらに、仲間と一緒に目標に向かって努力することで、やりがいや達成感を感じたり、仲間意識や信頼関係を築いたりできるのもメリットです。
以下では、グループワークを進める際のコツを6つに分けて解説します。
グループワークでは、メンバーの役割分担が非常に重要です。
役割分担をすることで、以下のメリットがあります。
グループワークの役割には、主に以下の4つがあります。
司会は、グループワークの進行を管理し、メンバーの意見を引き出したり、整理したりするのが役割です。司会者には、リーダーシップやコミュニケーション力が必要です。
書記は、グループワークの内容を記録し、最終的な結論や提案をまとめる役割を果たします。書記には、傾聴力や情報整理力が必要です。
タイムキーパーは、グループワークの時間配分を管理し、時間内に結論を出せるように促すのが役割です。タイムキーパーには、時間管理力や判断力が必要です。
その他の参加メンバーには、グループワークのテーマに沿ったアイデアや意見を積極的に出すことが求められます。そのため、グループワークの参加メンバーには、創造力や発想力が必要です。
役割決めの方法は、以下のようなものがあります。
自己申告とは、メンバーが自分の希望する役割を自由に申し出る方法です。自己申告制は、メンバーの意思が尊重されやすいメリットがある一方で、競合や譲り合いが発生する可能性があります。
抽選制は、メンバーがくじ引きなどでランダムに役割を決める方法です。公平性が高いのがメリットですが、メンバーのスキルや適性と合わない可能性があるため、注意が必要です。
相談制は、メンバーが互いの得意分野やスキルを話し合って役割を決める方法です。メンバーの特性を活かせるメリットがありますが、役割決めに時間がかかる可能性があります。
役割決めの注意点は、以下のようなものがあります。
議論の方向性を決めることで、以下のメリットがあります。
議論の方向性を決める方法は、以下のようなものがあります。
あまりに抽象的なテーマだと、メンバーの解釈がバラバラになりやすいので、具体的な問題や課題に落とし込むことが大切です。
例えば、「環境問題」だと広すぎるので、「プラスチックごみの削減策」などに絞るとよいでしょう。
テーマを具体化したら、それに関連するキーワードをメンバーで出し合い、共有します。キーワードは、テーマに対するメンバーの知識や関心を表すもので、議論の方向性を決める際の参考となります。
例えば、「プラスチックごみの削減策」に関するキーワードとして、「リサイクル」「バイオプラスチック」「エコバッグ」「海洋汚染」などが挙げられるでしょう。
キーワードを抽出したら、それらをもとに、テーマに対する視点を設定します。視点とは、テーマをどのような角度から考えるかということで、議論の深さや幅を決める要素です。
例えば、「プラスチックごみの削減策」に対する視点として、「消費者の意識」「企業の責任」「政府の役割」「国際協力」などが考えられるでしょう。
視点を設定したら、それらに優先順位をつけます。優先順位とは、テーマに対してどの視点が重要かということで、議論の順序や重点を決める要素です。
優先順位をつける際には、メンバーの意見や根拠を聞き合い、合意を得ることが大切です。例えば、「プラスチックごみの削減策」に対する優先順位として、「消費者の意識>企業の責任>政府の役割>国際協力」という順番になるかもしれません。
議論の方向性を決める際には、以下のコミュニケーションのコツを意識しましょう。
メンバーの発言に対しては、否定的な態度や言葉を避け、肯定的なフィードバックや質問をすることで、メンバーの意見を引き出しやすくします。
例えば、「それは面白い視点ですね。どうしてそう思いましたか?」というように、相手の発言に興味を示すとよいでしょう。
メンバーの発言に対しては、自分が正しく理解しているかどうかを確認することで、誤解や食い違いを防ぎます。
例えば、「あなたの言っていることは、~ということで合っていますか?」というように、相手の発言を要約して確認するとよいでしょう。
メンバーの発言に対しては、それらを整理して、議論の方向性に沿っているかどうかを判断することで、議論の軸をぶらさないようにします。
例えば、「今出ている意見は、~という視点からのものですね。では、この視点でテーマに対してどのような結論が出せるでしょうか?」というように、メンバーの意見をまとめて次のステップにつなげるとよいでしょう。
議論の方向性を決めたら、以下の方法と注意点を確認しましょう。
議論の方向性を決めたら、それをホワイトボードや模造紙などに書き出して、メンバーに見えるようにします。
これにより、メンバーが議論の方向性を常に意識できるようになります。また、議論の途中で方向性がずれていないかを確認しやすくなります。
議論の方向性を決めたら、それを定期的に確認します。これにより、メンバーが議論の目的やゴールを忘れないようになります。また、議論の進捗や問題点を把握しやすくなります。
例えば「今のところ、議論の方向性は~ということでよろしいですか?」「このまま進めていくと、時間内に結論が出せますか?」というように、メンバーに確認するとよいでしょう。
メンバーの意見を引き出すことには、以下のメリットがあります。
より深くメンバーの意見を引き出すためには、以下の姿勢とスキルが必要です。
メンバーに話す機会を与えるために、自ら率先して質問したり、反応したりすることが大切です。
また、メンバーの発言に対しては、積極的に聞き入ったり、目を見たり、うなずいたりすることで、興味や関心を示すことができます。
メンバーに自由に意見を言わせるために、自分の意見や感情を抑えることが大切です。また、メンバーの発言に対しては、肯定的でも否定的でもなく、客観的に評価することができます。
メンバーに新しい視点やアイデアを出させるために、自分の考えや常識に固執せず、メンバーの発言に対しては、柔軟に受け入れることができます。
意見を引き出すための質問のコツは、以下のようなものがあります。
メンバーに自由に意見を言わせるために「はい」や「いいえ」で答えられるような質問ではなく、複数の答えがあり、詳しく説明が必要な質問をすることが効果的です。
例えば「どう思いますか?」や「どうしてそう考えましたか?」というような質問がオープンエンドの質問です。
メンバーに意見を深めさせるために、メンバーの発言に対して、さらに詳細や根拠を聞くことが効果的です。
例えば「具体的にはどのようになりますか?」や「それはどのようにしてわかりましたか?」というような質問がプローブの質問です。
メンバーに意見を広げさせるために、メンバーの発言に対して、関連する別の視点やアイデアを聞くことが効果的です。
例えば「それと同じように考える人はいますか?」や「それに対して異なる意見はありますか?」というような質問がフォローアップの質問です。
意見を引き出すための質問の注意点は、以下のようなものがあります。
メンバーの意見を引き出すためには、質問をすることが必要ですが、質問が多すぎると、メンバーが圧迫されたり、自分の考えがまとまらなかったりする可能性があります。
また、質問のタイミングも重要で、メンバーが発言し終わる前に質問をすると、メンバーが話を切られたと感じたり、質問の内容が理解できなかったりする可能性があります。
質問の数や頻度は、メンバーの反応や状況に応じて調整することが大切です。
メンバーの意見を引き出すためには、質問の内容や言い方が重要です。
質問の内容がメンバーの興味や関心に合わないと、メンバーが無関心になったり、回答に困ったりする可能性があります。また、質問の言い方が攻撃的だと、メンバーが反発したり、沈黙したりする可能性が高まります。
質問の内容や言い方は、メンバーの感情やニーズに配慮することが大切です。
意見を整理することで、以下のメリットがあります。
意見を整理するためには、以下のツールとスキルが必要です。
議論の内容や結論を文章や図で書き出して、メンバーに見えるようにします。これにより、メンバーが議論の内容や結論を常に意識できるようになります。
また、議論の途中で内容や結論が変わっていないかを確認しやすくなるでしょう。
議論の内容や結論を書き出すときに、単に文字で書くのではなく、図や記号を使ってわかりやすく表現するスキルです。これにより、メンバーの理解や記憶を助けることができます。
軌道修正することで、以下のメリットがあります。
軌道修正するときの判断基準は、以下のようなものがあります。
軌道修正するときのスキルは、以下のようなものがあります。
議論の流れや内容を把握することで、軌道修正が必要なタイミングやポイントを見極めることができます。
議論の流れや内容を把握するためには、メンバーの発言を注意深く聞くことや、議論の内容や結論を可視化することが有効です。
議論の誘導や調整することで、議論の軌道を修正することができます。
議論の誘導や調整するためには、メンバーに質問したり、フィードバックしたり、提案したりすることが有効です。
議論の場を和やかにすることで、メンバーの協力や信頼を得ることができます。
議論の場を和やかにするためには、メンバーの発言に対して肯定的に反応したり、笑顔やジェスチャーを使ったり、ユーモアを交えたりすることが有効です。
軌道修正する際の言い方のコツは、以下のようなものがあります。
メンバーの発言を否定すると、メンバーが反発したり、沈黙したりする可能性があります。メンバーの発言を否定しないためには「でも」や「だけど」などの否定的な接続詞を避け、「そして」や「それから」などの肯定的な接続詞を使うとよいでしょう。
例えば、「それは面白い考えですね。それでは、もう少しテーマに沿った話をしましょうか」というように、メンバーの発言を肯定しつつ、話題を変えるとよいでしょう。
メンバーの意見を尊重すると、メンバーが協力的になったり、信頼感を持ったりする可能性があります。
メンバーの意見を尊重するためには「あなたの意見は大切です」や「あなたの意見は参考になります」などの言葉を使うとよいでしょう。
例えば「あなたの意見はとても参考になります。ただ、時間が少なくなってきたので、結論に近づけるために、もう少し具体的な話をしましょうか」というように、メンバーの意見を尊重しつつ、話の方向性を修正するとよいでしょう。
メンバーの協力を求めると、メンバーが一体感を持ったり、責任感を持ったりする可能性があります。
メンバーの協力を求めるためには「一緒に」「みんなで」「協力して」などの言葉を使うとよいでしょう。例えば、「一緒に議論の目的やゴールを確認しましょうか」「みんなで議論の時間を意識しましょうか」「協力して議論の内容や結論を最適化しましょうか」というように、メンバーの協力を求めるとよいでしょう。
グループワークでは、議論を通して最終的に何らかの結論を出すことが目的です。結論を導くことで、グループワークの成果を明確にし、他者に伝えることができます。
そこで以下では、結論を導く方法とメリットを説明します。
結論を導く方法は、議論の過程で出た意見を整理し、共通点や相違点を見つけることです。整理した意見をもとに、グループの立場や目的に沿った結論を導き出します。
結論は必ずしも一つである必要はありませんが、参加メンバー全員が納得できる形での結論が理想的です。
結論を導くメリットは、グループワークの目的を達成し、自分たちの考えを明確にすることです。また、結論を導くことで、自分たちの意見に自信を持ち、他者に対して説得力を持って発表することができます。
結論を導くときの時間配分は、グループワークの全体の時間のうち、約10~20%を目安にしましょう。結論を導く時間が短すぎると、意見がまとまらないまま終わってしまう可能性があります。
逆に、結論を導く時間が長すぎると、細かい部分にこだわりすぎてしまう可能性があります。時間配分を決めたら、タイムキーパーと協力して時間を管理しましょう。
結論を導くときに必要なスキルは、情報整理力と合意形成力です。情報整理力とは、多くの意見を分類し、重要なポイントを抽出する能力です。一方、合意形成力とは、メンバーの意見を尊重し、共通の目標に向かって協力する能力を指します。
これらのスキルを身につけることで、スムーズに結論を導くことができます。
結論を導くためのプレゼンのコツは、以下の3つです。
議論の過程でどのような意見が出たか、どのような視点で考えたか、どのような根拠があるかなどを明確に伝えましょう。
結論に対して自分たちが納得していることを、言葉や態度で示しましょう。自信がないと、聞き手も納得しにくくなります。
プレゼン中に聞き手の表情や態度を見て、理解度や興味度を確認しましょう。質問や意見があれば、丁寧に対応しましょう。
なお、結論を導くためのプレゼンの注意点は、以下の2つです。
話が長くなると、聞き手の注意力が散漫になります。結論に至るまでのポイントを絞って、簡潔に伝えましょう。
話が論理的でないと、聞き手に納得してもらえません。話の筋道が通っているか、前提や仮定が明確か、根拠や証拠があるかなどを確認しましょう。
グループワークは、チームワークやコミュニケーション能力を向上させるための有効な手段ですが、実施する際には以下のようなポイントに注意するとより効果的です。
グループワークを行う前に、何を達成したいのか、どのような成果物を作るのかをはっきりさせましょう。
それによって、メンバーのモチベーションや方向性が統一されます。
グループワークの効果を高めるためには、参加メンバー全員が思ったことを積極的に言える雰囲気が大事です。
そのためには、リーダーやファシリテーターがメンバーの発言を促したり、質問したり、フィードバックしたりすることが重要です。
グループワークでは、メンバーの相互理解や信頼がチームワークに影響します。そのためには、グループワークの前後に自己紹介やアイスブレイクなどの交流を行うことが効果的です。
グループワークでは、議論や成果物の作成にさまざまなツールを活用することが可能です。例えば、オンラインでグループワークを行う場合は、ビデオ会議やチャット、ホワイトボードなどのツールを使ってコミュニケーションや共同作業を行うことができます。
このように、グループワークを効果的に活用することで、参加メンバーのコミュニケーション能力や協調性、主体性、成果物を完成させるスキルなどを評価したり、チームビルディングを構築できます。
そのため、企業内で定期的なグループワーク研修などを行うのがおすすめです。
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