「探究学習って、具体的にはどんなことをするの?」
「従来の学習法と何が違うの?」
「探究学習はどんなスキルを育てるの?」
探究学習は、単なる知識の習得にとどまらず、思考力や問題解決能力を育む学習方法です。
本記事では、探究学習の本質やその意義を解説し、現代の教育になぜ必要とされるのかを説明していきます。
具体的には、探究学習の定義や育成されるスキル、進め方、成功させるためのコツについて詳しく解説します。
この記事を読めば、探究学習の効果を実感し、自分自身や子どもたちの学びに役立てる方法がわかるでしょう。
探究学習を取り入れることで、子どもたちが批判的思考力や問題解決能力を高め、将来の社会で活躍できる力を身につけることが可能です。
探究学習の重要性を知りたい方や、具体的な進め方で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
探究学習は、問題の原因や背景を自ら調査し、解決策を見出そうとする学習方法です。
探究学習の主な特徴として、以下のようなものが挙げられます。
探究学習の導入により、生徒たちは単なる知識の暗記ではなく、実践的な問題解決能力や創造的思考力を育めます。
文部科学省は探究学習を以下のように定義しています。
総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである。 引用:文部科学省「総合的な学習(探究)の時間」 |
文部科学省が定義する「探究学習」には、具体的には以下のような要素が含まれます。
自ら課題を設定する能力の育成 |
身近な疑問や社会問題から研究テーマを見出す力 問題の本質を見抜き、適切な課題として設定する能力 |
情報の収集・分析・整理能力の強化 |
多様な情報源から必要なデータを収集する技術 収集した情報を批判的に分析し、整理する力 |
主体的・協働的な学習姿勢の推進 |
自発的に学習に取り組む態度の形成 チームワークとコミュニケーション能力の向上 |
実践的な問題解決能力の開発 |
理論と実践を結びつける思考力の養成 創造的なアイデアを実行に移す行動力の育成 |
探究学習を通じて、生徒たちは単に知識を習得するだけではなく、その知識を実際の問題解決に活用する方法を学びます。
例えば、地域の環境問題を調査し、解決策を提案するプロジェクトを通じて、環境科学の知識だけではなく、データ分析、プレゼンテーション、チームワークなどの実践的なスキルを身につけられるでしょう。
文部科学省が定める探究学習は、従来の受動的な学習スタイルから、能動的で創造的な学びへの転換を促す重要な教育アプローチとして位置づけられています。
探究学習は従来の学習法と比較して、学習の進め方や目指す成果に違いがあります。
主な違いをまとめると以下のとおりです。
項目 |
探究学習 |
従来の学習方法 |
学習の主体 |
生徒が主体 |
教師が主導 |
問題設定 |
生徒自身が発見・設定 |
教科書や教師が提示 |
学習プロセス |
問題解決のプロセス重視 |
知識の暗記と再現 |
評価方法 |
プロセスと成果物の質的評価 |
テストによる定量的評価 |
学習の場 |
教室内外、実社会との接点 |
主に教室内 |
上記のような違いにより、探究学習はVUCA時代に求められる柔軟な思考力と実践的なスキルの育成に、より適した学習方法です。
生徒たちは問題解決のプロセスを通じて、実社会で活用できる能力を身につけられるでしょう。
探究学習は、従来の学習法とは異なり、実社会で必要とされる多様なスキルを効果的に育成します。
特に育成できる5つのスキルは、以下のとおりです。
それぞれのスキルを具体的に確認していきましょう。
探究学習は、批判的思考力を効果的に伸ばします。
批判的思考力とは、情報や主張を客観的に分析し、評価する能力です。
批判的思考力が探究学習で伸びる理由は、生徒が自ら課題を設定し、多様な情報源からデータを収集・分析するプロセスにあります。
情報の信頼性評価や異なる視点の比較検討、論理的根拠に基づく結論の導出を繰り返し行うことで、批判的思考力が磨かれていきます。
批判的思考力が伸びる要因を具体的にあげると、以下のとおりです。
例えば、環境問題に関する探究活動では、生徒が地域の環境課題を設定し、企業や環境団体、政府など様々な立場の意見を調査・分析します。
この過程で、情報の信頼性評価や多角的な視点からの問題分析を行い、批判的思考力を実践的に育成します。
探究学習を通じて育成された批判的思考力は、情報過多の現代社会で適切な判断を下す上で必要なスキルです。
探究学習は、問題解決能力を効果的に育成します。
問題解決能力とは、課題を特定し、効果的な解決策を見出すスキルのことです。
探究学習で問題解決能力が磨かれる理由は、生徒が実際の社会問題に取り組み、解決策を考案・実行するプロセスにあります。
問題解決能力が伸びる要因を具体的にあげると、以下のとおりです。
例えば、地域の高齢化問題に取り組む探究学習では、生徒たちが実際に地域の高齢者にインタビューを行い、ニーズを把握します。
その後、収集したデータを分析し、具体的な支援策を考案・提案します。
プロセスを通じて、生徒は問題の多面性を理解し、実行可能な解決策を生み出す能力が養われるでしょう。
探究学習で培われた問題解決能力は、変化の激しい現代社会で直面するさまざまな課題に対応する上で求められるスキルです。
探究学習を通じて、自己管理能力が向上します。
自己管理能力とは、自分で目標を設定し、計画を立て、それを実行に移す力のことです。
探究学習で自己管理能力が伸びる理由は、生徒が主体的に学習プロセス全体を管理する必要があるからです。
教師から与えられた課題をこなすのではなく、自ら設定したテーマに取り組むため、時間管理や進捗管理のスキルが自然と身につきます。
自己管理能力が伸びる要因を具体的にあげると、以下のとおりです。
例えば、半年間の探究プロジェクトでは、生徒たちは週ごとの目標設定と振り返りを行います。
ガントチャートを使ってタスクを可視化し、計画的に作業を進めていく中で、自己管理能力を高めていきます。
探究学習で培った自己管理能力は、将来の学業や仕事でも役立ちます。
自分の時間を効率的に使い、複数のタスクを同時に進める力は、変化の激しい現代社会を生き抜く上で欠かせないスキルとなるでしょう。
探究学習は、プレゼンテーション能力を効果的に向上させます。
プレゼンテーション能力とは、自分の考えや研究成果を他者に分かりやすく伝える力です。
探究学習でこの能力が伸びる理由は、生徒が自ら設定したテーマについて調査・研究を行い、その成果を発表する機会が多いことにあります。
この過程で、情報を整理し、聴衆に効果的に伝える技術が身につきます。
プレゼンテーション能力が伸びる要因を具体的にあげると、以下のとおりです。
例えば、学校祭での研究発表では、生徒たちが壁に貼ったポスターを使って説明したり、聴衆の前で口頭発表したりします。
経験を通じて、図や表を使った情報の視覚化や、短時間で要点を伝える方法を学びます。
自分の考えを明確に伝え、他者を説得する力は、さまざまな場面で活用できるでしょう。
探究学習では、生徒たちが実際のチーム活動を通じて協働スキルを身につけられます。
協働スキルとは、異なる考えや背景を持つ人々と効果的に協力し、共通の目標を達成する能力です。
協働スキルが探究学習で育つ理由は、複雑な課題に対してグループで取り組む機会が豊富にあるからです。
生徒たちは、さまざまな視点や得意分野を持つメンバーと協力して問題解決に当たる中で、意見の調整や役割分担の方法を実践的に学びます。
協働スキルが向上する要因には、以下のようなものが挙げられます。
例えば、地域の環境問題に関する探究活動では、生徒たちが4~5人のチームを組んで調査を行います。
データ収集係や分析係、発表係などの役割を分担し、週1回のミーティングで情報を共有しながらプロジェクトを進めます。
この過程で、効果的なコミュニケーション方法や問題解決の技術を学べるでしょう。
探究学習で培った協働スキルは、将来の職場や地域社会での活動に直接活かせます。
探究学習を効果的に実施するためには、各ステップを理解して進めていく必要があります。
プロセスを明確に示すことで、生徒たちは探究学習を正しい方向で進められます。
探究学習の4つのステップは、以下のとおりです。
各ステップの詳細を見ていきましょう。
探究学習を進めるためには、まずは課題の設定をしましょう。
生徒自身が実社会や実生活に向き合い、自ら課題意識を持つことが理想的ですが、そのためには教師の意図的な働きかけが欠かせません。
課題設定の主なポイントは、以下のとおりです。
例えば、地域の高齢化問題を扱う場合を考えてみましょう。
単に統計データを見せるだけではなく、実際に高齢者施設を訪問し、高齢者との対話を通じて課題を発見させる工夫が考えられます。
このプロセスでは、生徒は自分の予想と現実のギャップに気づき、より深い問題意識を持つことができるでしょう。
教師の役割は、生徒の主体性を尊重しつつ、適切な環境設定や問いかけを通じて、実りある探究につながるテーマ選びをサポートすることです。
生徒の興味関心と社会的意義のバランスを取りながら、継続的に発展させられる課題設定を目指しましょう。
探究学習では、情報の収集は課題解決に向けた具体的な行動の段階です。
生徒は設定した課題に基づき、観察や実験、見学、調査、探索、追体験などの活動を通じて必要な情報を集めます。
情報収集の主なポイントは、以下のとおりです。
例えば、地域の環境問題を調査する場合で考えてみましょう。
生徒たちは現地でのフィールドワーク(無自覚的な情報収集)と、地域住民へのインタビュー(自覚的な情報収集)を組み合わせて行います。
このプロセスで、数値データや言語情報だけではなく、現地の雰囲気や生の声といった感覚的な情報も得られるでしょう。
教師の役割は、生徒が多様な情報源にアクセスできるよう環境を整え、効果的な情報収集方法のサポートです。
生徒自身が、自分たちで解決策を出せるよう導いてあげましょう。
探究学習では、整理・分析は収集した情報から意味ある知見を導き出すために必要な過程です。
生徒はさまざまな方法で多様な情報を集めますが、これらの情報は当初、つながりのない個別の要素です。
整理・分析の段階では、生徒がそれぞれの情報を種類ごとに分類し、細分化して因果関係を見出します。
整理・分析には、以下のような作業方法が用いられます。
作業を通じて、生徒は情報の比較や分類、関連付けなどを実践します。
整理・分析の過程で、生徒は自身で情報を吟味し、適切な整理・分析方法を決定します。
このプロセスは単なる情報の並べ替えではなく、生徒の思考力を高める機会となります。
教師は生徒の主体的な活動を促しつつ、適切なサポートを行うことで、生徒の思考力や問題解決能力の向上を支援できるでしょう。
探究学習の最終段階では、生徒が整理・分析した情報を自分の考えとしてまとめ、他者に伝えます。
この過程には大きな意味があります。
生徒の既存の知識と新しく得た情報がつながり、個々の生徒の考えが明確になるからです。
まとめ・表現で大切なポイントは、以下のとおりです。
具体例を見てみましょう。
地域の環境問題を調査した生徒が、その結果を地域住民に発表する場合を考えます。
生徒はデータをグラフ化し、写真や動画を使いながら、問題の現状と解決策を提案します。
この過程で、生徒は情報を再構成し、自分なりの視点で課題を捉え直すでしょう。
まとめ・表現の活動は、単なる情報の再現ではありません。
生徒が自分の言葉で考えを述べ、創造的な提案をする機会となります。
この段階で培われる表現力や創造力は、探究学習の成果を高めるだけではなく、将来の学習や社会生活でも活きてくるでしょう。
探究学習を成功させるためには、生徒の主体性を引き出し、効果的な学びを促す環境づくりが欠かせません。
ここでは、探究学習を成功させる3つのコツを紹介します。
それぞれ詳しく説明します。
探究学習を成功させるためには、生徒が主体的に取り組める環境が不可欠です。
教室や学校全体を、生徒の好奇心を刺激し、自発的な学びを促す空間に変えてあげましょう。
環境づくりのポイントには、以下のようなものが挙げられます。
例えば、教室の一角に「探究コーナー」を設け、関連書籍や新聞記事、タブレット端末などを自由に使える状態にします。
可動式の机や椅子を導入し、グループワークやディスカッションがしやすい配置に変更できるようにするのも良いでしょう。
環境づくりにより、生徒は自然と探究的な態度を身につけ、主体的に学習に取り組むようになります。
教師の役割は、環境を整え生徒の探究活動を見守り、適切なタイミングでサポートしてあげることです。
探究学習では、ICT(情報通信技術)の活用は学びの可能性を広げてくれる効果的なツールです。
適切なICTツールの導入により、情報収集やデータ分析、成果発表など、探究プロセスの各段階を効果的に支援できるでしょう。
ICT活用には、以下のようなメリットが挙げられます。
例えば、タブレット端末を使用して、インターネット上の最新情報を収集したり、専門家とオンラインでつながったりできる場合もあるでしょう。
表計算ソフトやグラフ作成ツールを活用し、収集したデータを視覚的に分かりやすく整理するのも可能です。
ただし、ICTはあくまでも道具であり、使用目的を明確にする必要があります。
教師は、ICTの特性を理解し、適切な場面で効果的に活用できるよう、生徒を指導してあげましょう。
また、情報モラルや著作権についてのICリテラシーも教えていく必要があります。
探究学習の質を高めるには、学校の外にある知識や経験を取り入れることも効果的です。
地域社会や各分野の専門家と連携すれば、生徒の学びはより深く、実践的なものにしていけるでしょう。
連携を成功させるポイントには、以下のようなものが挙げられます。
連携により、生徒は学校では得られない体験や気づきを得られます。
地域や社会と自分とのつながりを実感し、将来の進路選択にも良い影響を与える場合もあるでしょう。
教師の役割は、適切な連携先を見つけ、生徒と外部リソースをつなぐコーディネーターとなることです。
探究学習は、生徒が自ら問題を発見し解決策を探る学習方法です。
探究学習では、実社会の課題に取り組むことで、主体的な学びが促進されます。
文部科学省によれば、探究学習は自ら課題を設定し、情報を収集・分析する能力の育成を目指しています。
生徒は批判的思考力や問題解決能力、自己管理能力、プレゼンテーション能力、協働スキルなどを身につけられるでしょう。
具体的なステップとしては、課題設定、情報収集、整理・分析、まとめ・表現があり、これらを通じて実践的なスキルを育成します。
探究学習は、柔軟な思考力を育て、変化の激しい現代社会に対応できる力を養う教育手法です。
子どもがより深い学びを得られるように、探究学習の基礎を理解し、適切なサポートをしてあげましょう。
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