探究学習って、単なる教科書の学習とは違うって聞いたけど、具体的にどんなことをするの?
子どもたちの成長にどんな影響があるの?
探究学習の効果や子どもの成長にどう貢献するのか、疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
探究学習は、ただ知識を学ぶだけではなく、子どもたちの「考える力」や「自分で課題を解決する力」を伸ばすための教育方法です。
本記事では、小学校における探究学習の目的や、実践するための具体的なステップを詳しく紹介します。
さらに、探究学習が子どもたちにどんな成長をもたらすのか、そしてその成果をどう評価すべきかについても詳しく解説しています。
探求学習に関して詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
探究学習は、子どもたちが自ら問いを立て、課題を見つけ、その解決に向けて主体的に取り組む学習方法です。
従来の教科書中心の一方向的な学習とは異なり、子どもたち自身が学びのプロセスを作り上げていきます。
具体的には、以下のような流れで進められます。
プロセスを繰り返すことで、柔軟な発想力や多様な価値観を受け入れる力、新しいことに挑戦する行動力が育まれます。
小学校では、主に「総合的な学習の時間」を通じて探究学習が実践されています。
2020年度から全面実施された新学習指導要領では、自ら学び考える力を育てることが重視され、探究学習はその役割を担っています。
小学校における探究学習は、子どもたちが主体的に学び、考え、行動する力を育てる教育方法です。
AI時代の到来を見据え、機械では代替できない思考力と行動力を育む探究学習の重要性は、今後さらに高まっていくでしょう。
探究学習は、文部科学省が掲げる「生きる力」の育成に直結します。
探究学習を通じて育成される資質や能力をまとめると以下のとおりです。
項目 |
概要 |
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学びに向かう力・人間性等 |
どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか |
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知識・技能 |
何を理解しているか、何ができるか |
幅広い知識 情報収集・整理スキル ICT活用能力 プレゼンテーション技術 |
思考力・判断力・表現力等 |
理解していること・できることをどう使うか |
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参照:文部科学省「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開」
探究学習では、三つの柱を意識しながら学習活動を設計し、子どもたちの総合的な「学ぶ力」を育成していきます。
例えば、環境問題をテーマにした探究学習で考えてみましょう。
上記のように学習を進めていきます。
探究学習は単なる知識の暗記ではなく、実社会の課題解決に必要な総合的な能力を育成する学習方法です。
探究学習は、子どもたちが心身ともに成長し、将来の社会で必要とされるスキルを身につける育成をしてくれます。
具体的には、自分で考えたり、他の人と協力したりする力を育て、柔軟な発想や問題解決能力を養います。
探究学習は子どもたち自身が主体的に課題を設定し、解決策を模索するプロセスを通じて、単なる知識の習得を超えた多面的な能力開発を可能にするからです。
探究学習により、子どもたちは課題に対処できる力を備えられるでしょう。
主な効果をまとめると以下のとおりです。
主体性と自己効力感の向上 |
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創造性と問題解決能力の発達 |
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協働性とコミュニケーション能力の向上 |
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学習意欲の向上と教科横断的な学び |
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メタ認知能力の発達 |
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例えば、地域の環境問題を探究する活動では、子どもたちは自ら情報を収集し、分析し、解決策を提案します。
学習の過程で、主体性や創造性、協働性、学習意欲、メタ認知能力などが総合的に育成されます。
教師の役割は、これらの成長を支援し、子どもたち一人ひとりの可能性を引き出すことです。
探究学習の各段階で適切な指導とサポートを行うことで、より効果的な学びを促進できるでしょう。
文部科学省が探究学習を推進する背景には、急速に変化する社会への対応が挙げられます。
文部科学省は、変化の激しい現代社会に適応し、未来を創造できる人材の育成を目指して、探究学習を積極的に推進しています。
AI技術の発展やグローバル化など、予測困難な時代で、既存の知識の習得だけでは不十分だからです。
子どもたちには、自ら課題を見つけ、解決する力が求められています。
例えば、新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」が重視され、探究学習はこの理念を具現化する方法として位置づけられています。
OECD(経済協力開発機構)のPISA調査でも、知識の活用力や問題解決能力が重視され、探究学習はこれらの能力育成に効果的です。
文部科学省が探究学習を推進する背景には、社会の変化や国際的な教育動向、そして子どもたちの将来を見据えたさまざまな理由があります。
探究学習を効果的に実践するためには、5つのステップを踏むことが大切です。
具体的なステップは、以下のとおりです。
各ステップの詳細と実践のポイントを見ていきましょう。
課題の設定は探究学習の中でも最も大切なステップです。
適切な課題設定が、子どもたちの興味・関心を引き出し、主体的な学びを促すからです。
また、この段階で探究の方向性が決まるため、後の学習活動全体に大きな影響を与えます。
例えば「私たちの町をもっと魅力的にするには?」のような大きなテーマから始め、以下のような流れで具体的な課題を設定します。
適切な課題設定をできれば、子どもたちは探究活動に主体的に取り組めるでしょう。
情報の収集では、多様で信頼性の高い情報を効果的に集める能力が求められます。
適切な情報収集により、課題に対する理解が深まり、より質の高い分析や解決策の提案が可能になるからです。
この過程で情報リテラシーや批判的思考力が育成されるでしょう。
今の時代は、たくさんの情報に溢れています。
ただし、情報を収集する際には、以下のポイントに注意する必要があります。
多様な方法で信頼性の高い情報を収集できれば、探究の質が向上します。
また、この過程自体が学びとなり、子どもたちの情報活用能力や課題解決能力の向上につながります。
整理・分析は、収集した情報から意味を見出し、課題解決につながる洞察を得るために必要なステップです。
このステップで、子どもたちは収集した情報を系統立てて整理し、批判的に分析し、論理的思考力や批判的思考力、情報を統合する力が育成されます。
整理・分析の際には、以下の点に注意する必要があります。
整理・分析のステップを丁寧に行うことで、子どもたちは情報を多角的に捉え、創造的な解決策を導き出す力を養えます。
整理・分析のステップを通じて、子どもたちは単に情報を羅列するだけでなく、深い洞察と創造的な発想を得られます。
まとめ・表現は探究学習の最終段階であり、子どもたちが自分の学びや発見を他の人にしっかりと伝えるためのプロセスです。
このステップでは、学んだことを整理し、視覚的な資料やプレゼンテーションを用いて、わかりやすく発表する力を養います。
子どもたちは自分たちの探究プロセスと成果を整理し、他者に分かりやすく伝えることで、表現力やコミュニケーション能力を向上させられるからです。
具体的には、以下のようなポイントが大切です。
発表後の質疑応答や意見交換の時間を設け、子どもたちは探究の成果を発信する喜びを感じ、さらなる学びへの意欲を高められます。
また、このプロセスは、将来的に社会で必要とされるプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力の基礎となります。
振り返りと次の課題の発見は、探究学習のサイクルを継続し、学びを深化させるステップです。
次の探究につながる新たな問いを見出すことで、学びの連続性が生まれ、より深い理解へと発展させられます。
振り返りでは、以下のようなポイントが大切です。
振り返りと次の課題の発見を通じて、子どもたちは自身の学びを追及し、探究のプロセスそのものへの理解を深められます。
この経験は、生涯学習者としての基礎を築き、さまざまな場面で直面する課題に対して主体的に取り組む力を育成できるでしょう。
探究学習の評価は、従来のペーパーテストだけでは不十分であり、多面的で継続的な評価方法が必要です。
探究学習では、知識の習得だけではなく、思考力や判断力、表現力、学習に向かう態度など、多様な資質・能力の成長を見取る必要があるからです。
ここでは、探求学習の際の評価方法を3つ紹介します。
具体的な評価方法は、以下のとおりです。
それぞれの評価方法を確認していきましょう。
ルーブリック評価は、評価基準を明確にした表(ルーブリック)を用いて、学習者の達成度を段階的に評価する方法です。
評価基準をいくつかの項目に分け、それぞれの項目に対して達成度を段階的に示します。
ルーブリック評価をすすめる理由には、以下のようなものが挙げられます。
ルーブリック評価を活用すれば、探究学習の多面的な評価が可能となり、生徒の主体的な学びと成長を効果的に支援できます。
教師と生徒が評価基準を共有し、継続的に活用すれば、探究学習の質を高めやすくなるでしょう。
ポートフォリオ評価は、成果物や活動記録を系統的に収集し、それらを基に総合的に評価する方法です。
ポートフォリオ評価が効果的な理由には、以下のようなものが挙げられます。
「地域の伝統工芸を守ろう」のテーマの探究学習を例に、ポートフォリオ評価を考えてみましょう。
ポートフォリオには、探究計画書や陶芸家へのインタビューメモ、陶芸の歴史をまとめたポスター、最終レポートが含まれます。
教師はこれらの資料を総合的に見ることで、生徒の情報収集力、分析力、表現力、思考の深まりを評価します。
ポートフォリオ評価によって、生徒の探究プロセス全体を多角的に評価でき、個々の成長を時系列で捉えやすくなるでしょう。
自己評価と相互評価は、探究学習で生徒の主体性と協働性を高められる評価方法です。
自己評価とは、生徒が自分自身の学習過程や成果を振り返り、評価する方法です。
具体的には、設定した目標に対する達成度や学習態度、理解度などを、生徒自身が判断し、評価シートなどに記録します。
相互評価は、生徒同士が互いの学習成果や発表を評価し合う方法です。
グループ活動やプレゼンテーションの後に行われ、設定された評価基準に基づいて、他の生徒の取り組みや成果に対してフィードバックします。
それぞれの評価方法が効果的な理由は、以下のとおりです。
生徒たちは、仲間からのフィードバックを通じて、自分では気づかなかった視点の不足に気づくような場合もあるでしょう。
自己評価と相互評価を通じて、生徒たちは自身の学びを深く理解し、他者の視点を取り入れることの大切さを学んでいけます。
探究学習を効果的に進めるためには、学校と家庭の連携も大切です。
学校と家庭が一体となって子どもの成長を支援すれば、探究心や学ぶ意欲を持続的に育めるからです。
ここでは、保護者と連携した進め方として、以下のポイントを説明します。
それぞれのポイントを確認していきましょう。
家庭での適切なサポートは、子どもの探究学習の促進につながります。
家庭は子どもにとって身近な学びの場であり、日常生活と探究学習をつなげやすいからです。
保護者のサポートにより、子どもの興味関心がより深まり、学校での学びが実生活にも活かされることが期待できます。
探究学習のテーマが「環境保護」の場合、家庭でできる具体的なサポート方法には以下のようなものが考えられます
家庭でのサポートを通じて、子どもは探究学習を日常生活に結びつけ、より実践的な理解を得られるでしょう。
保護者向け説明会は、探究学習に対する理解と協力を得るための機会です。
説明会を通じて、保護者に探究学習の意義や進め方を理解してもらうことで、家庭での適切なサポートが期待できます。
保護者向けの説明会では、以下のようなポイントを説明すると良いでしょう。
ポイントを押さえた説明会を開催すれば、保護者の探究学習への理解が深まり、協力を得やすくなります。
学校と家庭が同じ方向を向いて子どもの成長を支援すれば、探究学習の効果をより深められるでしょう。
探究学習は、子どもたちの主体的な学びを促進し、今後必要とされる力を育むための教育方法です。
本記事では、探究学習の意義から具体的な実践方法、評価方法、保護者との連携まで幅広く解説しました。
探究学習を成功させるためには、5つのステップ(課題設定、情報収集、整理・分析、まとめ・表現、振り返り)を丁寧に実施することが大切です。
ルーブリック評価やポートフォリオ評価、自己評価と相互評価を適切に組み合わせることで、子どもたちの多面的な成長を捉えられるでしょう。
さらに、保護者との連携を深めることで、家庭での学びをサポートし、探究学習の効果を最大化できます。
一連の取り組みを通じて、子どもたちは生涯学習者としての基礎的なスキルを身につけ、変化の激しい社会を生き抜く力を育んでいけるでしょう。
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