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ナレッジマネジメントとは?4つの構成要素や導入手順まで徹底解説

作成者: 水落康稀|2024.8.31

組織内の知識や経験を効果的に共有・活用できていますか?

多くの企業が「ベテラン社員の退職でノウハウが失われる」「部門間の情報連携がうまくいかない」のような課題に直面しています。

これらの問題を解決する手法として注目を集めているのが、ナレッジマネジメントです。

しかし「具体的に何をすればいいのか」「自社に本当に必要なのか」と疑問を抱く方も少なくありません。

本記事では、ナレッジマネジメントの本質から、実践に不可欠な4つの構成要素、そして具体的な導入ステップまでを徹底解説します。

ナレッジマネジメントを正しく理解したい方や導入を検討したい方は、ぜひ参考にしてください。

ナレッジマネジメントとは?

ナレッジマネジメントとは、組織内の知識やノウハウを効果的に共有・活用する経営手法です。

個人が持つ専門的な技術や経験の活用が目的です。

「ナレッジ」は業務に役立つ幅広い情報を指し、個人の持つ専門知識から現場で培われたスキルまでを含みます。

例えば、ベテラン社員の経験則、過去のプロジェクト情報、顧客対応のコツなどが該当します。

働き方の多様化や企業環境の急速な変化により、従来の長期的な人材育成や自然なノウハウ継承が難しくなっています。

そのため、意図的にナレッジを共有し、イノベーションを促進する取り組みが重要です。

ナレッジマネジメントが重要視される理由

ナレッジマネジメントが重要視される理由は、ビジネス環境の急速な変化に対応するためです。

従来の長期的な人材育成や自然なノウハウ継承が困難になっている現代では、組織的な知識共有は不可欠です。

具体的には、以下の点でナレッジマネジメントの重要性が高まっています。

従業員の流動性増加

知識流出のリスク上昇

長期的な人材育成の困難化

技術革新の加速

新知識の継続的な取り込みが必要

既存知識の陳腐化が早い

ナレッジマネジメントを実践すれば、これらの課題に効果的に対応できます。

ナレッジマネジメントの効果には、以下のような効果が挙げられます。

効果

具体例

知識継承

ベテラン社員のノウハウをデータベース化

新人育成の効率化

体系化された知識で早期戦力化を実現

イノベーション促進

部門を越えた知識共有で新アイデア創出

ナレッジマネジメントは、現代のビジネス環境が抱える多くの課題に対する有効な解決策です。

組織の知識資産を適切に管理し活用すれば、企業は変化に柔軟に対応し、継続的な成長と競争力の強化を実現できます。

ナレッジマネジメントを理解するための4つの構成要素

ナレッジマネジメントを効果的に実践するには、本質を理解する必要があります。

しかし、多くの企業が「知識を共有すればいい」と表面的な理解にとどまり、真の効果を得られずにいます。

ナレッジマネジメントの構成要素は、主に以下の4つです。

  • 暗黙知と形式知
  • SECIモデル
  • 「場(ba)」
  • 知識資産

それぞれ説明します。

暗黙知と形式知

ナレッジマネジメントでは、暗黙知と形式知は基本的な概念です。

  • 暗黙知:言葉で表現しにくい個人の経験や感覚に基づく知識

例えば、熟練工の「匠の技」や営業マンの「商談の勘所」が該当します。

暗黙知は個人に蓄積された貴重な知識ですが、他者への伝達が困難です。

  • 形式知:言語化された客観的な知識

業務マニュアルや社内データベース、報告書などが形式知の例です。

形式知は誰もが理解し、活用できる特徴があります。

ナレッジマネジメントの目的は、暗黙知を形式知に変換し、組織全体で共有することです。

例えば、ベテラン社員の経験則をマニュアル化したり、成功事例をデータベース化したりする取り組みがこれに当たります。

共有された形式知を個々の社員が自分の暗黙知として吸収し、新たな知識創造につなげるサイクルを作る必要があります。

このプロセスを体系化したものが「SECIモデル」です。

SECIモデル

SECIモデルは、ナレッジマネジメントの核心となる知識創造プロセスを表現したものです。

SECIは4つの段階の頭文字を取って名付けられました。

共同化(Socialization)

個人の暗黙知を他者と共有

表出化(Externalization)

暗黙知を言葉や図で表現し、形式知に変換

連結化(Combination)

既存の形式知と新しい形式知を組み合わせ体系化

内面化(Internalization)

形式知を実践を通じて暗黙知として吸収

SECIモデルの特徴は、4つの段階の循環です。

SECIモデルを意識してナレッジマネジメントを実践すれば、常に変化する市場環境に柔軟に対応できるようになります。

場(ba)

「場(ba)」は、ナレッジマネジメントでは知識が創造・共有・活用される空間や状況、文脈を指す概念です。

物理的な空間だけではなく、バーチャルな環境や心理的な状況も「場」に含まれます。

具体例には、以下のようなものが挙げられます。

  • 会議室やオフィスのフリースペース
  • 社内SNSや電子掲示板などのオンライン空間
  • 組織の理念や文化といった抽象的な要素

「場」の重要性は、知識の実践と深く関わっています。

例えば、マニュアルで学んだ知識も、実際の業務環境(「場」)では上手く適用できない場合があります。

これは、「場」に応じた暗黙知の重要性を示しています。

効果的な「場」を設定すれば、暗黙知と形式知の交換が促進され、より深い理解と実践力が養われます。

知識資産

知識資産は、企業の成功を左右する重要な財産です。

財務諸表には現れませんが、会社の強みとなる知識や経験の集積が知識資産です。

例えば、独自の製造技術、顧客対応のノウハウ、効率的な業務プロセスなどが知識資産に該当します。

知識資産は大きく4つの種類に分けられます。

経験的知識資産

社員の実務経験から得られたスキルやノウハウ

(熟練工の技術や営業マンの商談力など)

概念的知識資産

組織の方向性を示す抽象的な概念

(企業理念や経営ビジョンなど)

体系的知識資産

新人教育や業務の標準化に活用される形式化された知識

(マニュアルやデータベースなど)

恒常的知識資産

組織の日常業務に埋め込まれた知識

(業務フローや慣習など)

これらの知識資産を効果的に創造、蓄積、活用することが、ナレッジマネジメントの核心です。

知識資産の戦略的管理は、イノベーションの促進や業務効率の向上、さらには持続的な競争優位の獲得につながります。

ナレッジマネジメントを導入するための3つのステップ

ナレッジマネジメントの重要性は理解できても、実際の導入は困難を伴うものです。

多くの企業が「どこから始めればいいのか分からない」「社員の協力が得られない」のような課題に直面しています。

しかし、適切なステップを踏めば、効果的なナレッジマネジメントを実現できます。

具体的なステップは、以下のとおりです。

  • 現状の把握と目標設定
  • ナレッジマネジメント戦略の策定
  • 必要なツールとシステムの選定

それぞれ詳しく説明します。

現状の把握と目標設定

ナレッジマネジメントの導入を成功させるためには、まず自社の現状を正確に把握し、明確な目標を設定する必要があります。

現状把握の段階では、既存の知識共有の仕組みや、社員の意識調査などを行いましょう。

例えば、部門間の情報連携の度合いや、ベテラン社員の退職による知識流出のリスクなどを把握します。

目標設定では、具体的かつ測定可能な指標を用いることが効果的です。

「社内の情報アクセス時間を30%削減する」「新人の戦力化期間を2ヶ月短縮する」といった明確な目標を立てます。

また、ナレッジマネジメント導入の目的を全社員に周知してください。

なぜ今、ナレッジマネジメントが必要なのか、導入によってどのようなメリットがあるのかを具体的に説明します。

例えば、社内FAQやWikiの作成による業務効率化、ベストプラクティスの共有による生産性向上などを示せば、社員の理解と協力を得やすくなるでしょう。

ナレッジマネジメント戦略の策定

ナレッジマネジメント戦略の策定では、「何を」「どのように」共有し活用するかを具体的に決めていきます。

具体的には、以下のような手順で進めていきましょう。

顧客対応のノウハウや製品開発のアイデアなど、具体的な知識領域を洗い出す

  • 知識の収集・整理・共有・活用の方法を選定する
  • 知識の質を保証する仕組みを構築する
  • 優れた知識提供者への表彰制度や評価制度への組み込みなど、社員の積極的な参加を促す仕組みを作る
  • ナレッジベースの利用率、問題解決時間の短縮率など、具体的な数値目標を定める

これらのステップを踏めば、組織に適したナレッジマネジメント戦略を策定できます。

ただし、戦略は固定的なものではありません。

実施しながら定期的に見直し、改善を重ねていく必要があります。

自社の状況に合わせて柔軟に調整しながら、知識の共有と活用を推進していきましょう。

必要なツールとシステムの選定

ナレッジマネジメントを効果的に実践するには、適切なツールとシステムの選定が不可欠です。

主な選択肢として、エクセルとITシステムが挙げられます。

エクセルは操作が簡単で導入しやすいのが特徴です。

小規模な組織や、ナレッジ蓄積が主目的の場合に適しています。

例えば、顧客対応履歴や業務マニュアルの管理などに活用できるでしょう。

一方、より高度な機能が必要な場合はITシステムが有効です。

具体的には以下のようなものがあります。

データベース型ファイルサーバ

大量の文書や資料を体系的に保存・管理

企業内SNS

リアルタイムの情報共有やコミュニケーション促進

エンタープライズサーチ

社内の膨大な情報を効率的に検索

選定の際は、組織の規模や業務の特性、予算、セキュリティ要件などを総合的に考慮します。

また、ユーザーインターフェースの使いやすさも大切です。

社員が日常的に活用できるシステムを選べば、ナレッジマネジメントの効果を最大化できます。

まとめ

ナレッジマネジメントは、組織の知識を効果的に共有・活用する経営手法です。

本記事では、その定義から重要性、4つの構成要素、そして具体的な導入ステップまでを詳しく解説しました。

ナレッジマネジメントの導入は、長期的な視点で取り組む必要がありますが、その効果は計り知れません。

今すぐに自社の知識資産を見直し、ナレッジマネジメントの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

そこでもし、ナレッジマネジメントに関する疑問や質問のある方は、いつでもアルマ・クリエイションにご相談ください。貴社に最適なソリューションを提供いたします。

 

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