「いくら社内研修を実施しても効果が見えない」や「塾や家で長時間勉強しているのに成績が上がらない」など、学習効率を上げたいとお考えの方は多いはず。
学習効率が上がらず、結果が伴わない。そんな時に確認したいのが、ラーニングピラミッドです。
ラーニングピラミッドとは、さまざまな学習方法について、その効果や定着率をピラミッド型の図面で表したものです。
この考え方は、アメリカ国立訓練研究所が発表した研究結果で、7つの学習方法を学習の定着率順に並べています。
このラーニングピラミッドを上手く使うことによって、自分自身、または社員や家族などの学習効率を飛躍的に向上させることが可能です。
そこで今回は、ラーニングピラミッドの詳しい解説と、効率よく学習が定着する効果的な方法を紹介します。ぜひ参考にしてください。
ラーニングピラミッドとは、アメリカ国立訓練研究所が発表した研究結果で、下記の図にある7つの学習方法について「どの学習法が頭に残りやすいか」を分類したものです。
アメリカ国立訓練研究所の報告によると「講義を受ける」ことが最も頭に残りにくく、逆に「他の人に教える」ことが最も頭に残りやすいとの結果が出ています。
ただし、このピラミッドの頂点にある「講義」から「デモンストレーション」までの5つについては受動的な視点から捉えたものであり、能動的に自ら参加するものではありません。
そのため、このラーニングピラミッドについては「信用性が薄い」といった見方がされているケースも少なくありません。
そこで以下では、これらの項目についてさらに深堀しながら、効果的な学習方法を紹介します。
ラーニングピラミッドには、受動的学習と能動的学習という2つ要素があり、その中に次の7つの学習法があります。
以下では、それぞれの要素と学習方法の具体的な内容について解説します。
以下の「講義」や「読書」「視聴覚」「デモンストレーション」についての学習法は、すべて受け身で「教えられる」または「見せられる」学習を指すため、学習効率が低くなっています。
これらと同じ行為であっても、学ぶ者が自ら能動的に講義を受けたり、読書をしたりするケースでは、学習効率は飛躍的に向上します。
講義とは、学校の授業や大学の講義など、先生や教授の話を「聞いて学ぶ」学習法を指します。最も一般的な学び方であるものの、聞いて学ぶ行為には限界があるため、学習定着率(頭に残る確率)は5%と最も低い値となっています。
ただし、自ら予習と復習を行ったり、ノートやメモを取ったりすることで、学習定着率を向上させることが可能です。
読書とは、教科書や専門書などの書籍を読んで学ぶ学習法を指し、学習定着率は10%という研究結果となっています。
ただし、こちらも自ら選んだ書籍を能動的に読んだ場合には、学習定着率が高くなるでしょう。
視聴覚とは、耳で聞くだけの講義から、さらに目からの情報も入れながら学ぶ方法を指します。
対象が動画映像となるため、耳で聞く講義や読書よりも学習効率が高く、学習定着率は20%と言われています。しかしオンライン動画などを視聴する場合は、学習に集中しにくいといった環境的なデメリットがあります。
デモンストレーションとは、学習内容の現場や実験を「見て学ぶ」ことを指します。わかりやすく言えば「社会見学」のような学習法のことで、自ら実験を行うものではありません。
次に解説する能動的学習とは、アクティブラーニングとも呼ばれる学習法で、学習者が自らが積極的に学びに参加して学びます。能動的に学習することで、学習効率が高まるのが特徴です。
グループ討論では、複数の学習者がグループに別れて、議論や討論を深めていく学習法です。学習定着率は50%と比較的高いものの、意見を発するだけではしっかりと定着するまでには至りません。
そこで、さらに自らが議論のテーマについて調べ、まとめ、発表することで、学習効率は向上します。
学習者が能動的に学ぶアクティブラーニングでは、議論するテーマも学習や自らが設定するため、自分の興味や関心のある事象に対して理解を深めることができるでしょう。
このような「探究学習」は、近年日本の学校教育にも取り入れられ、注目が集まっています。
自ら体験する実践教育においては、定着率が75%と高くなっています。具体的な学習としては、実験や体験型の学習などがあります。
こちらも、あくまで学習者が学ぶ対象を自ら選び、積極的に参加することが条件となります。無理やり参加させられたり、興味のない実験や体験は含まれないので、注意しましょう。
他の人に教える学習法は、学習定着率が90%と最も高くなっています。
この学習法は、昨今文部科学省が進めている「探究学習」に最も近い手法で、学習者自らがテーマの設定からプレゼンテーションまでを行います。
ただし、自分で決めたテーマを深掘りして研究し、自らの力で情報を集めてまとめ、プレゼンテーションを行うには非常に時間が必要です。また、研究するテーマについて、深く内容を理解し、なおかつわかりやすく伝えるスキルも必要となるでしょう。
そこで学習者の年齢やテーマによっては、内容の正確さやプレゼンテーションの出来にこだわらず、積極性やプロセスに重きをおくことも大切です。
特に小学校や中学校における探究学習では、それぞれの知識の中からアイデアを出し合うことが重要であるため、成功や失敗に関係なく、学びを楽しく深めることが大切です。
アクティブラーニングとは、日本国内でこれまで行われていたような、教師による一方的な教育や指導ではなく、生徒が自ら能動的に考え、学習を進めていく教育法です。
具体的な学習方法には、グループによるディスカッションやディベート、グループワークなどがあり、これらを通じて認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験などを育成します。
このアクティブラーニング最大の特徴は、答えの決まった問題を解いたり、一般的な知識の修得を目指すのではなく「正解のない課題に対し、個々自らの考えで問題解決へ向かう思考方法を身につけること」を目的とするところです。
そのため、教師がこれまでのように正解のある問題例を挙げ、その模範解答を示すといった教育方法とは全く異なります。
アクティブラーニングでは、あくまでも生徒の主体性を重視する学習方法です。その中で、教師がファシリテーターの役目を果たし、中立的な立場にたって生徒の考えや議論に対してサポートできる体制が求められます。
アクティブラーニングは、世界中のトップクラスの教育機関(ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などが有名)で実践されてきた学習法で、日本国内でも以前よりその必要性が訴えられていました。
そして近年、このようなディベート型の学習方法が日本でスタートした背景には、現代日本の抱える社会問題と大きく関係していると言えるでしょう。
これまでの日本といえば、優秀で真面目な国民性により、皆が同じ方を向いてベルトコンベア式に安くて高性能な製品を作り上げ、戦後の数十年の間に急成長してきました。
しかし現代の日本では、少子高齢化やグローバル化への対応、労働人口の減少による国家財源の減少、社会保障問題など、AIで答えを導き出せない問題が山積しています。
偏差値の高い大学に入れば「一生安泰」が保障されていたような昭和の時代とは異なり、これからの時代は「考える能力と課題解決力」が必要です。
そのためには、さまざまな問題に対するアプローチ方法や解決方法を自ら想定し、仮説を立て、検証し、言語化して発表する能力が必要となります。そして個々が主体性を持ちつつ、日本人が得意な協調性を発揮することで、次世代を引っ張るリーダーとしての資質を養うことができるのです。
このような「主体性と協調性をもって、自らで課題を見つけて解決する能力」を養うためには、これまで主流であった「正しい知識の暗記や、決まった答えのある問題の解き方を教える」教育法では不可能といえるでしょう。そこで「課題の発見と解決に向けて主体的かつ協働的に学ぶ」という、深く探究できるアクティブラーニングが必要なのです。
このアクティブラーニングは、生徒や学生だけでなく、ビジネスパーソンにも当てはまる重要な学習法です。
アクティブラーニングの基本となる行動は「問題や課題(テーマ)の設定」→「情報収集」→「整理と分析」→「まとめ・表現」という過程を繰り返しながら議論を深めていくことです。
そのためには、学習者が予習し、主体的に学び、考えの異なる人と議論しようと試みる姿勢が必要となります。そして、これらの要素が揃っていれば、アクティブラーニングの実践が可能です。
アクティブラーニングを実施する際は、次のポイントを重視しましょう。
上記について、教師やリーダーが直接指導するのではなく、あくまでも寄り添いながらサポートすることが大切です。
もちろん、学習者が学校の生徒や学生である場合と、企業におけるビジネスパーソンである場合を比較すれば、最終的なゴールや結論の方向性が大きく変わります。
ただ、アクティブラーニングにおける重要なポイントは「正解を導き出す」ことではなく「ゴールに向けて正しくアプローチできているか」にあります。
もし学習者が問題の捉え方や解き方を間違えている場合には、答えを教えるのではなく、問題の捉え方や解き方について再度ディスカッションしながら探究を深めることが重要です。
このようにして「なぜ間違えたかを理解し」さらに「間違えた点と正しい点の違いを理解する」ことで、問題を解いていくためのアプローチの仕方やプロセスを体系的にまとめることができるでしょう。
そして、学習者が間違えたポイントや苦手な項目についてさらに調べ、より知識を深めていくことが大切なのです。
アクティブラーニングによって得た知識やスキルは、習得してからできるだけ早く、他の人に教えることが大切です。
効果的な学習方法とは、ただ知識を詰め込むインプット型学習ではなく、誰かに伝えることを前提としたアウトプット型の学習を意識することです。
この学習法によって、よりアクティブラーニングが効果的となり、勉強やビジネスの成績や実績が格段に向上するでしょう。
このように、ラーニングピラミッドを活かしながらアクティブラーニングに取り組むことで、自らが取り組む課題や問題の解決方法を導き出す能力の向上に期待できます。
学校や企業で効果的な学習や研修を行うために、これまでの受動的な学び方ではなく、アウトプットを意識した能動的な学習方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
2021年7月、神田昌典が経営するアルマ・クリエイションは大阪万博の共創パートナーとして認定されました。これを機に、アルマ・クリエイションは全国の高校や大学と連携しながら、学生によるビジネスコンテストを毎年開催する予定です。
そして、神田昌典がこれまでにインプットとアウトプットを繰り返しながら確立してきたマーケティング業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を教育分野に応用し、教育DXによるこれまでにない教員と学生が教え学び合う関係を構築します。
今後、世界経済はより一層混迷を極めることは容易に想像できます。特定地域の人口減少と人口爆発、世界的な気候変動、宗教人口比率の変遷、疫病の発生増加など、これまでになく深刻な状態です。
今はまだ豊かな日本のイメージがありますが、現実をみると、すでに経済基盤をアジアや中東諸国に追い抜かれてしまっている分野も少なくありません。
これからは、ICTを教育やビジネスでより効率的に使い、日本国内外に向けて勝てるビジネスパーソンを育てることが重要です。
アルマ・クリエイションでは、来る2025年の大阪万博に向けた取り組みとして、これまでのビジネス教育からさらに拡大した【探究教育】を実施して参ります。
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