会社に入り、営業担当を経験する中で「社内コンペ用の企画書を書いて欲しい」と言われることがあるでしょう。
しかし「企画書ってどう書けば良いのだろう」と困っている方も多いはず。なぜなら「企画書の書き方」に決まった形式はなく、学校で習うことがないため、ほとんどの方が見よう見まねで作成しているからです。
しかし、クライアントや社内コンペで採用される企画書には、ある程度の決まりごとがあり、書くべきポイントをしっかりと押さえておく必要があります。
そして大切なポイントさえ理解してしまえば、良い企画書を書くこともそれほど難しくはないでしょう。
そこで今回は、初めての方でもすぐに理解できる「良い企画書の書き方」について、社内コンペに勝つためのマーケティング戦略の企画書を参考にしながら徹底解説します。
これから企画書を書く方は、ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。
クライアントの社外コンペで勝つためのマーケティング戦略の提案書に関しては『マーケティング戦略の提案書を書く際のポイントと手順を徹底解説』をご参照ください。
企画書とは、主に自社の新しい事業や商品の企画などの目的を達成するために「アイデアや提案を誰が見てもわかるようにまとめた資料」です。
企画書を作成する目的は、企業の目的達成のためのアイデアを共有し、社内の意思決定や既存の問題解決を促すことです。仮に良いアイデアがあっても、社内全体で理解して共有しなければ、企業の目的を達成できません。
そこで、売上やコストなどの予算をまとめ、成功へ向けたプランを具体的に示すのが企画書の役割となります。
企画書を書く上で最も大切なことは、企画を実現することでどのようなベネフィット(利益)があるかを、わかりやすく明確に伝えることです。
良い企画書とは、誰がみてもわかりやすく、実行と再現性の高い内容が書かれた書類です。
そこで大切なのは、次の5つのポイントを押さえることです。
以下では、良い企画書を書くための5つのポイントを解説します。
企業が新しい企画を立案・実行するにあたっては、企画の背景と自社にある課題やマーケット状況と、社内のリソースなどの外的要件と内的要件を照らし合わせることで、具体的な施策が立案しやすくなります。
企画書を書き起こす最初の段階では、まずその企画の必要性をわかりやすく示すことが重要です。
現状の整理と分析ができれば、次に解決すべき課題を洗い出して目標を設定します。
市場を分析した結果、自社の市場で新商品が必要なこともあれば、既存の商品やサービスのマイナーチェンジを行うべきケースもあるでしょう。
このように、企画の目的を設定すれば、最終的なゴールへの導線がわかりやすくなります。
企画の目的が決まれば、次に「6W2H」のフレームワークを使って、より具体的に内容を整理していきましょう。
6W2Hの使い方は、以下の6つのWと2つのHで構成します。
これらの項目に沿って、企画を精査します。
企画書を書くときは、実現可能なスケジュールを立てることも大切です。
もしタイトなスケジューリングによって遅れが生じそうな場合は、速やかに見直しを行い、チーム内で共有しましょう。
最後に最も重要な収益計画です。企画を立ち上げるための投資額がいくらかかるのか、そしていつ、どの部分の利益で回収できるかをしっかりと明記してください。
マーケティングとは「市場におけるニーズへの理解を深め、そのニーズに合った商品やサービスの創造と広報活動を行うこと」を意味します。
そのためマーケティング活動は、業種や業態、取り扱う商品やサービスの種類に関係なく、ビジネスにおいて必要不可欠と言えます。
その中でも、まず最初に行う「マーケティング戦略の立案」においては「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するか」を決める最も基本的で重要な取り組みです。
具体的には、競合他社に対して自社製品の優位性を図りつつ「どのような顧客に」「どのような価値を」「どのように提供するか」を考えます。
そして企業の最終目的として、顧客のLTV(顧客生涯価値)の向上を目指すのがマーケティングの本質と言えるでしょう。
マーケティング戦略が重要視される理由は、企業のリソースを最適化することで、収益の最大化を見込めるからです。
経営者の経験値や勘に頼ったビジネス展開を行っているうちは、企業の経営資源(ヒト・モノ・カネなど)を浪費しているケースも少なくありません。
そこで、これらの経営資源を最大限に有効活用するために、マーケティング戦略の立案が必要となるのです。
また収益の最大化以外にも、マーケティング戦略の立案過程において、企業の商品やサービス、もしくは会社そのものの立ち位置を明確にできるメリットもあります。
それは、マーケティング戦略を立案するプロセスにおいて業界全体や競合分析を行う中で、自社の強みや目指すべき方向、現在の立ち位置を可視化できるからです。
その他にも、マーケティング戦略は社外のステークホルダー(投資家や銀行などの利害関係者)と対等なコミュニケーションをとるためにも重要な役割を果たします。
なぜなら、マーケティングによる市場の分析結果を基にして、説得力のある交渉ができるからです。市場分析による具体的な数値や指標を示すことで、より多くの資金提供や金利の引き下げに有利な交渉材料の1つとなるでしょう。
マーケティング戦略の立案において重要なポイントは、次の5つです。
まずは、この5つを押さえておきましょう。
それぞれについて解説します。
まず最初に、クライアントとクライアントの商品やサービスが現在置かれている環境の分析を行います。
具体的には、クライアントの顧客と市場、競合といった外部環境からの分析が必要です。また一方で、内部環境としてクライアントの企業分析も行います。
この段階では「3C分析、PEST分析、SWOT分析」といった市場分析のフレームワークを活用します。(※各フレームワークは次の章で解説します)
次に、顧客の「ターゲティング」を行います。
現代のマーケティングでは、できるだけ詳細にペルソナ設定することがマーケティング成功のポイントといっても過言ではありません。
狙う顧客層の性別や年齢はもちろん、職業や居住地域、趣味嗜好など複数の軸でターゲットを設定しましょう。またBtoBの場合は、業種や業態、企業規模などを考慮します。
ポジション選定では、マーケティング戦略を立案する際に、競合他社を含めた市場全体の中で自社の製品がどのポジションを狙い、ユーザーにどのような認識を持って欲しいかを決定します。
ここでは自社や製品が目指すべきゴールを明確にする必要があるため、マーケティングチームとの綿密な打ち合わせが必要です。
基本的には、市場の中で最も優位性の高いポジションを獲ることがベストとなります。
ペルソナ設定やポジション選定においては、STP分析が効果的です。
上記のペルソナやポジションの設定を踏まえ、次の段階ではユーザーにどのようなベネフィット(価値)を提供できるかを具体化します。
ここでは、ユーザーが自社の商品やサービスを購入するメリットや、それらが解決できる課題、競合に対する優位性などを深く検討する段階です。
「ユーザーが求める価値」「自社が提供できる価値」「競合が提供できていない価値」の3つが重なる領域を見つけ出し、この領域を意識した提案を行うことが、企画提案成功への近道となるでしょう。
販売戦略の決定では、ここまでに見えてきた価値を、どのようにしてユーザーに提供するかを検討します。
まずはユーザーの視点に立ち、ユーザーの目につきやすく手に取りやすい、価値を享受しやすい届け方について考えましょう。
また自社の商品やサービスが、競合の製品よりもよりも入手しやすい提供方法を策定することも必要となるため、競合他社の分析も必要です。
販売戦略においては、4P/4C分析などのフレームワークを活用します。
前章で紹介したように、マーケティングの戦略を立案する際には、さまざまなフレームワークによって市場分析を行います。
以下では、市場分析に必要となるフレームワークを紹介します。
3C分析とは、次の3つの視点から、企業のマーケティング施策を客観的に分析するためのフレームワークです。
3つの視点
このような3つの「C」を分析することにより、成功要因の発見に繋げるのが目的です。
どの分析でも言えることですが、企業(自社)と競合企業を分析する際は「客観的な視点」でデータを観察することが重要です。
経営者の目や意見に左右されないように、マーケターや担当者の方は、正確な情報とデータをもとに意見しなければなりません。
PEST分析とは、次の4つの要因からマクロ環境を分析するマーケティングフレームワークです。
これらの要因は、企業側ではコントロールできません。このような外部的な要因を分析するのがPEST分析の役割となります。
PEST分析によって、世の中の動向やトレンドに合わせた事業展開が可能となります。
例えば近年では、新型コロナウィルスの蔓延により、さまざまなオンラインツールをはじめとするWebサービスが急進した。
このようにマーケティング戦略は外部環境の変化による影響を受けやすいため、常にマクロ環境を調査・分析し、必要に応じて企業の戦略を見直すことも重要です。
SWOT分析とは、次の4つの視点から分析を行うフレームワークです。
SWOT (スウォット) 分析とは、企業のビジネス全体や特定のプロジェクトにおいて、強み、弱み、機会、脅威となる要因を特定するための手法です。
SWOT分析は、事業の規模や形態を問わず、さまざまな組織で幅広く利用されています。
SWOT分析では、市場を取り巻く外部環境と企業の商品やサービスの価格や品質などの内部環境について、プラス要因とマイナス要因の両面から客観的に分析可能です。
STP分析とは、次の3つで構成されるフレームワークです。
STP分析では、セグメンテーションで市場の全体像を把握し、ターゲティングでその中から狙うべき市場を選定し、ポジショニングで競合他社との位置関係を決定する方法です。
あくまでもユーザー目線に立ち、ユーザーの行動を客観的に把握し、それに応じた事業展開を行うことが重要です。
4C分析は、次の4つの要素(4C)について分析するフレームワークです。
顧客目線に立って、価値のある商品やサービスがどのようなものかを把握するために活用します。
4P分析は、次の4つの要素(4P)について分析するフレームワークです。
こちらは4C分析とは逆に、企業目線で商品やサービスにフォーカスしたフレームワークです。
マーケティング戦略における企画書を書く際の手順は、次の流れに沿うことが基本となります。
それぞれ解説します。
マーケティング施策の立案について、まずは次の5つの分析結果を抽出します。
このように、マクロ環境から自社の内部環境の分析へと、順に環境を狭めつつ環境動向の分析を実施しましょう。
次に、提案する施策に必要となる市場の強みや弱み、機会や脅威を、SWOT分析によって解析します。
上記で抽出した分析結果から、クライアントに提案するマーケティング戦略のテーマを設定します。
上記のテーマに基づいて、次の6つの施策に戦略を落とし込みましょう。
この6つの流れに沿って企画書をまとめることで、誰にとっても見やすくわかりやすい企画書を作成できるでしょう。
それでは最後に、誰もが納得できる企画書を書く際の具体的な流れとプレゼン方法を解説します。
次の6つの流れで制作することで、誰もが納得できるわかりやすい企画書を書くことができるでしょう。
それぞれ解説します。
企画書の導入部では、企画によって起こる今後の展開をわかりやすく要約し、関係者の興味を沸き立てるような説得力のある文章を心がけましょう。
導入文で伝えるべき内容は次の3つです。
これらの項目について詳しく説明するため、導入部では簡潔にまとめましょう。
次にプロジェクトの背景を説明しましょう。
先に紹介したSWOT分析や3C/4C分析、また参考資料や統計などを用いて、この企画の意義と価値を説明します。
この項目では、以下のような課題の概要や過去の取り組みと結果、その考察も盛り込みましょう。
また問題解決で、自社にどのような影響があるかも説明できます。
ここでは、前項で提起した課題や問題に対する解決策を提示します。
具体的に、以下のような項目を提示しましょう。
これらを必要に応じて記載します。
プロジェクトの成功を定義することは、企画書を作成する上で重要なポイントです。
プロジェクトを遂行する上で、関係者は最終的な成功の着地点を明確に知っておく必要があります。
それは、プロジェクトの成功(ゴール)が明確であるほど、最短距離で企画を運営できるからです。
プロジェクトの概要を明らかにしたら、次にプロジェクトを達成するために必要なリソースを詳しく説明します。
ここでは、以下のような項目を具体的に明示します。
ここまでの詳細をプロジェクト計画に落とし込むことで、納得のできる企画書となっているはずです。
しっかりとシミュレーションを行って、発表までになんども計算ミスなどがないかチーム内で確認しましょう。
最後に結論をまとめます。
冒頭の導入部で話した内容に対し、さまざまな角度から検証した内容を説明してきました。それらを踏まえて、企画したプロジェクトの意義や必要性を結論としてまとめましょう。
このように、マーケティングの企画書を作成する場合には、自社の製品に関する市場の立ち位置や分析が欠かせません。
そのため、営業担当者だけで企画書をまとめることは難しいのが現実です。
自社のマーケティングチームやマーケターと連携し、最新の詳細な情報を基に分析を行うことが大切です。
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