日本のトップマーケターであり、アルマ・クリエイション株式会社の代表でもある神田昌典は、経営コンサルタントとして独立してから25周年を迎えます。そして、この25年間の間に執筆・発表してきた数々のベストセラーを含めたビジネス書や小説が、いよいよ100冊に到達します。
神田昌典をこの世に知らしめた「あなたの会社が90日で儲かる!」が出版されて以降、ビジネス界に「before神田・after神田」という言葉ができるほど、マーケティングに関する概念が根本から大きく変化しました。
国内経済が停滞し、所得の二極化が進む現代は、本物の価値を作り出せる人だけが勝ち残れる時代です。そんな中、インターネットをはじめとする情報技術が発達したことで、神田昌典の本を読み「成功者」となる人が増えています。
ただし、神田昌典の本を読んだすべての人が成功しているわけではありません。さまざまなWebサイト上にある著書の評価を見ても、マーケティングの本質を理解し、本物の価値を理解していない人も多いからだと感じます。
そこで今回は、神田昌典の著書からマーケティングの本質を正しく学び、本物の価値を作り出すための思考について解説します。これからマーケティングを勉強しようとしている方はもちろん、現在マーケターとして活躍中の方も、ぜひ参考にしてください。
神田昌典のプロフィールはこちら→https://www.kandamasanori.com/profile/
マーケティングとは、一般的に「商品やサービスを売るための仕組みを作ること」と言われています。そこで、顧客のニーズや悩みに合わせた商品やサービスを企画・開発して販促活動を行い、さまざまな販売チャネルを経て消費者に提供します。
この点においては、今も昔も、基本的なマーケティングの概念は同じです。ただし、すべての人に対して平等にマーケティング活動を行い、すべての人に売り込むのは大きな間違いであることを理解しなければなりません。
なぜなら、現代のマーケティングは「売り込む」のではなく、自社または自分の商品やサービスが欲しい人を集め「喜んで買ってもらう」ことだからです。
戦後の高度成長期と呼ばれた時代は、日本国内にマーケティングという概念が注目されなかった時代です。この頃は、戦後の爆発的な人口増加と近隣諸国に起きた戦争の特需などの影響も大きく、モノを作れば売れる時代でした。
1970年代に入り、百貨店や量販店が日本各地に進出し始めたことをきっかけに、地域の商店街や個人商店を保護するための「大規模小売店舗法(※通称)」が制定され、販売者側の売り手市場に近いビジネス環境が続きます。しかし、1990年代に入り、米国の政治的な外圧などの影響から大規模小売店舗法の規制が徐々に緩和され、2000年6月1日に施行された「大規模小売店舗立地法」によって事実上廃止されました。
※正式名称:大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律(1974年3月1日施行)
このような流れを受け、2000年以降は、国内市場がどんどん過当競争に晒されてデフレ状態となっていきます。そして、消費者がより安いモノを求めるようになり、生産者もそれに合わせるように労働力の安い周辺のアジア諸国へ生産拠点を移すようになりました。
20世紀後半の日本は「ものづくり大国」と呼ばれるほど質の高い工業製品を輸出する国だったにもかかわらず、21世紀になると輸出が減って輸入が増加します。このような状況下においては、もともと天然資源の少ない日本がデフレを脱却するのは非常に困難といえるでしょう。そこで、さまざまな企業が差別化を図るためにマーケティング手法を取り入れ、競争が激化する市場で生き残りを模索するようになりました。
2010年頃からインターネットが急激に普及し始め、今では国民のほとんどがスマートフォンやタブレット、PCなどを使い、さまざまな情報を自由に得られるようになりました。
これにより、現代のマーケティングは、従来のマスマーケティングからニッチマーケティングなどと呼ばれる「ターゲットを絞ったマーケティング」へと変化しています。
2000年以降の売り手市場ではなくなった市場において、効率よくマーケティング活動を行うために取り入れられているのが「ダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)」です。
ダイレクトレスポンスマーケティングとは、幅広い顧客に対してブランディングやイメージ戦略を行うのではなく、自社の広告やWebサイトで発信した情報に対して問い合わせや資料請求をしてくれたリード(見込み顧客)だけに商品やサービスの販売を直接行うマーケティング手法です。ダイレクトレスポンスマーケティングを行うことで、企業は成約率の高い顧客を獲得でき、少ないコストで大きな成果が期待できます。
ダイレクトレスポンスマーケティングの発想を1998年頃に日本に持ち込み、提唱したのが神田昌典です。その後ダイレクトレスポンスマーケティングは、瞬く間に日本中のマーケターや企業の経営者にも浸透していきました。
上記のように、国内市場が売り手市場から買い手市場に変わり、市場競争が本格的に激化した頃に登場したのが神田昌典です。
そもそも米国で浸透していたダイレクトレスポンスマーケティングを日本国内に持ち込み、日本の市場にマッチするようにアレンジしながら普及させたのは、神田昌典自身の経験に基づいた確信によるものです。
神田昌典は、かつて米国の家電メーカーの日本代表として活動していました。しかし、日本における白色家電のシェアは国内メーカーがほとんど独占していた時代でもあったため、大きくて無骨なデザインの電化製品がなかなか売れず、決められた期日までに予算を達成できなければ日本から撤退することになったのです。
その頃の神田昌典は、もちろん今のような地位もなければ、子どもが生まれたばかりでお金も必要なときでした。この大ピンチで、効率よく見込み顧客を集め、さらに有望な顧客だけに営業を行う「集めて切る」というマーケティング手法を実践して成功します。そしてこの成功を期に、マーケターとして独立するきっかけを掴んだのです。
神田昌典がさまざまな書籍で訴えているのが、買ってもらうための「お願い営業」をやめることです。営業に「辛い仕事」や「やりたくない仕事」といったネガティブなイメージが定着しているのは、顧客に愛想笑いを浮かべながらペコペコ頭を下げて媚びへつらわなければならないという思い込みからくるものでしょう。
このような営業手法であなたがいくら頭を下げたとしても、売上が向上することはありません。それどころか、足元を見られて「もっと安くしろ」と値切られる可能性が高くなるだけです。
もしあなたが良質な商品やサービスを真っ当な価格で提供しているのであれば、顧客に媚びるのではなく、必要か必要でないかを選択してもらうだけで良いのです。そうすることで、本当に質の高い顧客だけを相手にすれば良くなるため、必要のない営業や残業もなくなるでしょう。
ただ、上記の営業手法を実践するには、いくつかのテクニックが必要です。営業テクニックを解説している書籍はいくらでもありますし、神田昌典の「あなたの会社が90日で儲かる!」や「非常識な成功法則」などを読んで学び、自らの成功体験のように語られた本やSNS動画なども散見されます。この点において、神田昌典の書籍の内容が他の成功本と違うのは、経験値に基づいた体験談であるがゆえに、より具体的に語られていることです。
そのため、初めて神田昌典の書いた本を手にした人の中には、信じられないと感じる方も少なくありません。
しかし、あなたが売りたい商品やサービスが良質で価格や料金も妥当であれば、購入意欲の低い顧客にしつこく営業をかけるよりも、今すぐ欲しい顧客との商談を優先させるのが正しい営業です。あなたが売りたい商品やサービスに興味があるけど、今すぐに成約しない見込み顧客には、ナーチャリングを続けて購入機会を見逃さないようにフォローするだけで良いのです。
営業スタッフとして成功するためにすべきことは、まず「やりたくないこと」をリスト化することです。
これは仕事以外にも活かせる重要なポイントです。普段の生活でも仕事でも、やりたいことをあげればキリがないでしょう。しかし、あなたが「絶対にやりたくないこと」は、そう多くはないはずです。
そこで重要なことは、これからの生活や仕事を「ポジティブリスト」から「ネガティブリスト」へ転換してみてください。それだけで、仕事への取り組み方やモチベーションが大きく変わるはずです。これだけはしたくないことをリスト化し、それ以外のことに全力で取り組むことで、仕事のやる気や効率が急に上がり、結果も必ずついてくるようになります。
神田昌典が1998年に1冊目の「小予算で顧客をつかむ方法」を出版してから2023年4月までに発表した主な書籍は、次の98作品となっています。
上記の中から、まず絶対に読むべき最初の書籍5冊を紹介します。
▲出典:新装版・非常識な成功法則
著者:神田 昌典
出版社 : フォレスト出版
発売日 : 2011/10/28
一般的なビジネスの成功本は「幸せはお金で買えない」「謙虚であれ」「出会いを大切に」といった「常識的」な言葉を「成功法則」として紹介しています。
しかし、これから仕事の実力をつけ、成長していこうとするビジネスパーソンにとっては、これらが本当に役に立つ成功法則かといえば疑問です。
お金を考えずに、謙虚に無理な交渉を受け入れ、出会いを大切にしてやりたくない仕事ばかり引き受けて「本当に成功するか?」といえば、答えは「NO」となるはず。
本書の著者である神田昌典氏は、これから「成功者がさらに成長するため」に必要なことが、ここで書かれている「非常識な成功法則」にあることを解説しています。
本書では、神田昌典氏本人が、外務省から米国家電メーカーの日本代表を経て、経営コンサルタントとして成功を収めた「目標の作り方」「潜在意識の活用方法」「セルフイメージを高める方法」が、誰でもすぐできるのに実行している人の少ない成功メカニズムであることを、わかりやすく解説しています。
そしてこれらを解説した上で、さらに成功できるテクニックとして、速読術の「フォトリーディング」などの情報獲得術、相手から「売ってください」と頼まれる殿様営業術などを紹介しています。
この本には、お金に管理されることなく「お金を管理する原則」や、将来に向けた決断を下す方法など、成功を収める上での心構えから、あまり触れられることのない「成功のダークサイド」な部分にまで言及されていています。
そのため、本質を読み間違えると、本当に「非常識な」一冊かもしれません。しかし、本気で営業成績を上げたい方や収入をアップさせたい方、独立や起業を目指している方に、ぜひ読んでいただきたい最初の1冊です。
▲出典:あなたの会社が90日で儲かる!
この本は、無駄な時間をかけずに売り上げを飛躍的に伸ばしたい営業マンにピッタリの1冊です。
これまで、マーケティングの常識は「お客様主体の営業」でした。しかしこの本では、本来の営業にあるべき「営業側主体の営業」への転換方法や、お客様をどのように生み出し、利益を生み、営業効率を飛躍的に上げるかというエモーショナル・マーケティングの具体的なメカニズムが書かれているため、この最強の技術を習得可能です。
一度読めば、いつの間にか神田昌典のビジネス観とその魅力に引き込まれるでしょう。
また注目すべきは、ビジネス本には珍しいショッキングピンクの表紙と、最初に目に付く奇抜な前書き「なぜ、あなたはこの本を手にとりましたか?」という言葉。そして、裏表紙には本書による驚くべき成功実績の一覧表がびっしりと書かれています。
この本のつくり自体が「エモーショナル・マーケティング」の手法によって構成されており、営業に応用可能な仕組みがわかるはず。発売から今なお増刷を重ねていることが納得できる、読めばわかる1冊です。
本書は「3. あなたの会社が90日で儲かる!」の続編で、あなたの〜を読めば、必ず読みたくなる本です。
このように、営業だけでなく、ビジネスの本質をわかりやすい例で紹介する内容となっています。そのため、今営業職に従事していながら「今後は独立して起業したい!」とお考えの方に特におすすめしたい1冊です。
▲出典:口コミ伝染病〜お客がお客を連れてくる実践プログラム〜
この本では、口コミ5つの間違った常識とお客がしゃべりたくなる7つの引き金、口コミの伝染プロセス、鍵となる6つの設定条件、口コミを伝染させ売り上げもアップする5つのステッププログラムをわかりやすく解説しています。
「口コミ」をキーワードに、お客の話題になる会社づくり、営業販売戦略づくりをし、口コミを味方につけようという考えは、一般的にBtoCのみで有効と考えられるスタイルをBtoBでも活かすことができます。
本書は一部を会話形式で構成しているため、マーケティングの知識がない人でも読みやすく、非常に理解しやすい内容となっています。
ただし、実際のフィールドセールスのシーンでは役に立つ内容ばかりであるため「口コミなんて関係ない業種」とお考えの営業マンにも、絶対に一読の価値ある1冊です。
▲出典:禁断のセールスコピーライティング
禁断のセールスコピーライティングを読むことで、あなたが手に入れることができるのは、単なるコピーライティングの技術だけではありません。
コピーライティングにとって最も重要で、プロとして生き抜くチカラとなる『ゼロから1を生み出す能力』が身に付く本です。この本を読めば、コピーライティングとマーケティングの意味が理解できるでしょう。