働き方改革によるリモートワークの普及や、新型コロナウイルスの感染症防止の観点から、これまでのフィールド営業をオンライン営業に切り替える企業が増えています。
オンライン営業とは、Web会議ツールやウェビナーツールなどを使って行う「非対面式」の営業スタイルを指します。しかし、オンライン営業が急速に広まったことで、まだ使ったことがない方や、やり方がわからないという方も多いのではないでしょうか。また「非対面式」の営業に懐疑的な方もいるかもしれません。
そこで今回は、オンライン営業で成約するための8つのコツと、顧客と商談する際のコミュニケーション術を詳しく解説します。すでにオンライン営業をしている方も、これから始める方も、ぜひ参考にしてください。
「オンライン営業」と従来の「オフライン(訪問型)営業」の大きな違いは、目的を達成するまでの商談プロセスにあります。
「オフライン営業」では、営業担当者が訪問先と打ち合わせをするためのアポイントを取り、最終的な成約に至るまで何度も訪問を繰り返しながら営業します。
そのため、挨拶だけのために遠方の会社を訪ねたり、会社に到着しても担当者が不在といった無駄が多いなどのデメリットがありました。
それに対し「オンライン営業」では、自社のWebサイトやLP(ランディングページ)、メールやSNSなどを活用し、直接顧客からの問い合わせを受けます。そして、メールや電話などを使ってアポイントをとった後に、Web会議ツールやウェビナーツールなどでオンライン商談を行うのが一般的です。
このようにオンライン営業では、会社を訪問する際の交通費や時間の無駄がなく、お互いに都合の良い時間を調整しやすいといったメリットがあります。
そんな無駄が少ないオンライン営業ですが、顧客と直接顔を合わせずに営業活動を進めるため、不誠実と考えて導入を見送る会社もありました。
しかし新型コロナウイルスの蔓延により、感染防止の観点からオンライン営業が急速に普及し、今では多くの企業が採用しています。
オンライン営業には、営業をする企業から見て、以下の4つのメリットがあります。
以下でそれぞれ解説します。
オンライン営業では、社員が会社のオフィスや自宅で商談相手と交渉できるため、移動する時間や交通費がかからないメリットがあります。また、商談時に使う企業のパンフレットやカタログをデジタルデータで相手に渡すため、パンフレットやカタログなどの制作コストも削減できます。
オンライン営業では、訪問する工数がかからないため、積極的にアプローチを掛けて前回の商談から期間をあけずに成約まで話を進めることが大切です。このように、リードタイムを短縮し、商談回数を増やすことで、成約率の向上を目指しましょう。
オンライン営業では、商談相手の負担も軽減できます。オフライン営業では、営業される側も約束の時間に必ずオフィスにいないといけないため、スケジュールの調整が大変でした。
しかしオンライン営業では、商談の時間にWi-Fiなどのインターネット回線さえ確保できれば、出張中でも移動中でも商談可能です。
このように、オンライン営業は、商談される側の負担が減るのも特徴です。
オンライン営業最大の強みは、インターネット環境さえあれば、世界中の相手が顧客になり得る点です。国内でも国外でも、これまで物理的にアプローチできなかったクライアントを
獲得できる可能性があるため、これまでの営業方針を大きく変えることも重要となるでしょう。
ここまでオンライン営業のメリットを解説しましたが、もちろんデメリットもあります。以下で、オンライン営業のおもなデメリットを3つ紹介します。
以下でそれぞれ解説します。
オンライン営業では、当然ながらインターネット環境が必須となります。また、相手側にもインターネット環境とPCやWeb会議ツールなどの準備が必要です。ただ、インターネット環境が広く普及している現代では、BtoBにおける商談で問題となることは少ないと言えるでしょう。
オンライン営業で最も懸念されるのが、オフラインの営業に比べて、会話や商談に熱が入りにくい点です。そこで、普段よりも大きなジェスチャーや話し方に抑揚をつけるなど、できるだけ工夫しましょう。
オンライン営業では、PCの画面を通して商談をするため、会話が成り立ちにくく、話が一方的になりがちです。そこで、上手く進めるために「SPIN話法※」などのヒアリングを取り入れながら、相手の課題をしっかりと聞き出し、その課題を解決できる提案営業を進めることが大切です。
次に紹介する「オンライン営業で成約するコツ」で解説する会話術を、ぜひ参考にしてください。
※SPIN話法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。
このようにオンライン営業では、オフラインの従来の営業方法とは異なった「コツ」が必要となります。そこで以下では、オンライン営業で成約するための8つのコツを紹介します。
これからオンライン営業を始める方はもちろん、これまでオンライン営業で良い結果が出せていない方も、ぜひ参考にしてください。
オンライン営業で成約する8つのコツは以下の通りです。
以下で、それぞれ解説します。
オンライン営業では、インターネット環境やWeb会議ツールの準備だけではなく、営業資料やサンプルなどを、事前に相手に送付しておく準備も必要です。
オフライン営業のように、自分で資料を持参できないため、早めに準備を整えておきましょう。デジタルカタログや動画などは、あらかじめメールで送付し、届いているかを確認しておきましょう。
アイスブレイクとは、商談の前に、世間話などで相手との距離を縮める会話の手法です。特に初回の商談では、お互いに初めての顔合わせとなるため、お互いの自己紹介などを通じて信頼関係の構築に努めましょう。
商談では、自社の商品やサービスを売り込むだけではなく、相手の持つ痛みや課題を解決できる提案が重要です。
そこで、一方的に喋るのではなく、相手の課題を抽出できるように、インタラクティブな会話を意識しましょう。相手の課題を抽出する話法に「SPIN話法」があります。ぜひ活用してください。
相手の課題が抽出できたら、自社の商品やサービスを活用することで、相手にどのようなメリットがあるかを端的にわかりやすく説明することが成約のポイントです。
回りくどく話すのではなく、ストレートにメリットを伝えましょう。
オンライン営業は、一般的にPCを使うことが多いため、カメラ越しに意識してオーバーアクションを取らなければ相手に単調な印象を与えてしまいがちです。
そこで話す声に抑揚をつけたり、手振りをつけるなど、普段よりも意識して行動することが重要となります。
オンラインで商談をする場合は、直接顔を合わせて商談するよりも、手短にするのがポイントです。すぐに成約に至らなくても、早めに次の約束を取り付けてクロージングすることも大切です。
しつこい営業は、オンラインでもオフラインでも相手に不快感を与えるケースがあります。もし相手に今回の商談で成約の意思がないと判断したら、30分程度でクロージングし、次回の商談のアポイントをとって終了しましょう。
オンライン商談では、商談が終わったら速やかにお礼のメールを相手に送付します。そして、貴重な時間を割いてもらったことに対するお礼をするだけでなく、商談の要点や伝えきれなかったこと、自社の商材のアピールポイントなどを付け加えることも忘れないようにしましょう。
その際には、相手が疑問に思ったことがないか、また質問などがあればすぐに連絡できるように自社の連絡先を必ず記載しておきます。そして反応がない場合には、1週間を目処にアフターフォローの連絡を入れるなどして対応しましょう。
オンライン営業は、常に多くの顧客にアプローチできるのがメリットです。
そのため、個々の営業先に粘り強く営業をかけるよりも、反応の良い営業先にどんどんアプローチしていく攻めの姿勢が大切です。
取り付けた商談をドタキャンしたり、度々商談の日程を変更してくるリード(見込み顧客)の場合は、ある程度で見切りをつけることも必要です。
現時点では反応が良くないものの、連絡を返してくれるような将来に成約の見込みがあるリードには、ナーチャリングを優先して行い、じっくりと優良顧客へ育成できるのもオンライン営業の強みと言えるでしょう。
このようにオンライン営業では、従来のオフライン営業とは全く異なるアプローチで商談を進めるため、成功(=成約)するための手法が全く異なります。
特にオンラインの営業では、WebサイトやSNSなどを活用することで、効果的に自社の商品やサービスに興味のあるリードを獲得できるため、積極的に商談を重ねていくことが大切です。
商談を進めるにあたっては「PASBECONA(パスビーコーナ)の法則」に従って、顧客の痛みや悩み、課題を解決することを念頭に提案しましょう。そして脈のあるリードとの商談と成約を優先することが大切です。この手法は神田昌典氏の「非常識な成功法則※」にある-第5の習慣-殿様バッタセールスで詳しく書かれていますので、ぜひ参考にしてください。
これからの営業スタイルは、オンライン営業なくしては成り立たなくなるでしょう。そこで、いち早くオンライン営業のコツを掴み、どんどん結果を出し続けてください。
※『非常識な成功法則』
▲出典:非常識な成功法則
著者:神田 昌典
出版社 : フォレスト出版
発売日 : 2002/6/1