営業で質の高いプレゼンテーションを行うことは、自社商品の売上や、会社の収益に直結する重要なプロセスの1つです。そのため、プレゼンテーションを行う際は、話し方に気をつけたり、スライドを使って視覚に訴えたりするといった、高度なテクニックが必要となります。
また、営業だけではなく、仕事上のコミュニケーションのほとんどでプレゼンテーションスキルが必要であると言われており、ビジネスに関わるすべての人にとってプレゼンテーション能力は無縁ではありません。
プレゼンテーション能力の向上には、企業内の必要な部署や人材に対して研修を行い、営業人材の底上げを図るのが効果的です。
そこで今回は、プレゼンテーションで必要となる売れる提案資料の構成の仕方や話し方の流れを詳しく解説し、研修制度へ落とし込む方法も紹介します。営業プレゼンテーションに課題があるとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
営業プレゼンテーションを行う目的は、自社の商品やサービスの魅力を見込み顧客などに効果的に伝えることで、購入や契約などの行動を起こしてもらうことにあります。
いくら見込み顧客を多く集めることができたとしても、プレゼンテーションが上手くできなければ、売上や収益に結びつけることができません。そのため、営業スタッフのプレゼンテーションスキルを上げて成約率を高めることは、企業にとって非常に重要なポイントとなります。
プレゼンテーションスキルを高めるためには、プレゼンテーションを行う際のプロセスを理解し、それぞれの項目ごとに内容を精査する必要があります。そこで以下では、プレゼンテーションのコツや流れについて詳しく解説します。
営業プレゼンテーションを行う際のコツは、自社の商品やサービスを相手に購入、契約してもらうために、相手が抱える問題やニーズをしっかりと把握して、その問題や課題を解決し、ニーズを満たすことができる提案を行うことです。
そこで、プレゼンテーションを行う際は、次のようなポイントに注意しましょう。
それぞれ解説します。
プレゼンテーションを行う際は、目的を明確に示すことが大切です。プレゼンテーションの目的は、相手に必要な情報を伝え、アクションを起こさせることです。
そこで、相手の悩みや課題を分析した上で、自社の商品やサービスを導入することで、その問題や課題を解決できるといったメリットを相手に示し、購入してもらうなどの目的を明確にします。
プレゼンテーションの目的を明確にすることで、内容がブレることなく、相手にわかりやすいプレゼンテーションを行うことができます。
プレゼンテーションで相手に伝えたい内容を、できるだけシンプルに表現することが大切です。相手にわかりやすいプレゼンテーションを行うには、難しい専門用語や社内用語を、できるだけ省く必要があります。
近年はITが浸透したことで、わかりにくいカタカナ用語や、英略語が頻繁に使われています。しかし、普段自社内で使っている用語が、必ずしも他社でも通じるとは限りません。
そこで、プレゼンテーションで話す場合は、できるだけ一般的に使われている言葉を使い、相手に分かりやすい表現を使うようにしましょう。
プレゼンテーションの内容は、あくまでも「相手の知りたいこと」でなければなりません。
もし、相手のビジネスに関連性が低かったり、メリットが少なかったりするプレゼンテーションをしても、相手に成約や購入してもらうというプレゼンテーションのゴールに至ることはまずないでしょう。
よくある失敗例としては、自社の商品やサービスの紹介を一方的に話してしまい、相手にどのようなメリットがあるかが伝わっていないケースです。
顧客にとって必要な情報は、自社にある課題や悩みを解決できるかどうかであり、導入する商品やサービスの内容ではありません。そのため、価格や特典などをアピールするのは、あくまでも導入を決めてからで十分です。
まずは、相手の知りたい情報を整理して、アピールすべきポイントをまとめるところから始めましょう。
プレゼンテーションにストーリー性を持たせることも大切なポイントです。ストーリー性のあるプレゼンテーションは、聞き手の共感や感情移入を促すため、相手にプレゼンテーションの内容を深く印象づけることができます。
プレゼンテーションにストーリー性を持たせるためには、たとえ話や提案する理由をわかりやすく織り交ぜることが大切です。そこでおすすめの手法が「ストーリーテリング」です。ストーリーテリングとは、物語を使って伝える手法を指します。ビジネス上の経験談などを利用することで、相手に提案や主張を明確に伝えることが可能です。
ただし、すべての説明をストーリーテリングで行うと、プレゼンテーションが長くなりすぎてしまう可能性があります。
そこで、相手に一番伝えたい、重要な内容にストーリー性を持たせることが大切です。それ以外の内容は、後で解説する「SDS法」や「PREP法」などを活用すると良いでしょう。
プレゼンテーションでは、視覚的な情報を効果的に使うことも大切です。プレゼンテーションで視覚的な情報を効果的に使うためには、パワーポイントなどのソフトを使ったスライド画像を積極的に使うのが一般的です。
スライド資料で効果的なプレゼンテーションを行う際は、以下の点に注意しましょう。
上記のポイントを押さえることで、相手に響くプレゼンテーションができるでしょう。
次に、プレゼンテーションの基本的な流れや、利用頻度の高いフォーマットを解説します。
プレゼンテーションは、以下の基本的な流れに沿うのがおすすめです。
営業プレゼンテーションにおいて、イントロダクションは非常に重要です。
イントロダクションは、聴衆を引き込み、興味を持たせるためのもので、その後のプレゼンテーションの流れを決める重要な要素の一つです。
そこで、まずは聴衆に対する問題意識を引き出し、その問題に対する解決策を提示します。そして、自社の商品やサービスの特徴や利点を端的に伝え、聴衆にアピールすることも大切です。
また、イントロダクションには「3つのストーリー」を盛り込むことが効果的です。第一に「自分自身のストーリー」を、第二に「相手のストーリー」を、そして最後に「共通のストーリーを持つ人々のストーリー」を盛り込むことで、相手に響くプレゼンテーションができるようになります。
営業プレゼンテーションの本編においては、以下のポイントに注意することが重要です。
まず、プレゼンの目的を明確にすることが大切です。自社の製品やサービスを紹介するだけでなく、相手(顧客)の問題やニーズに合わせた提案をする必要があります。
また、プレゼンテーションの内容は、相手が理解しやすく、印象に残るように構成することが大切です。具体的なデータや事例を用い、相手に説得力を持たせるようにしましょう。
さらに、プレゼンテーションの途中に質問を挟むことで、相手とのコミュニケーションを促し、興味を持たせることができます。質問に対する返答は、的確かつスムーズに行うことが重要です。
そして、プレゼンテーションの終盤にしっかりとまとめを行い、相手の印象に残るメッセージを伝えましょう。
営業プレゼンテーションで結論を伝える際のポイントは、相手に伝えたいメッセージを簡潔にまとめることです。そして、クロージングでは、相手に感謝の意を述べたり、連絡先を示したりします。
具体的には、次のようなポイントがあります。
また、上記以外にも、比較的利用頻度が高いプレゼンテーションの構成フォーマットとして、次のようなものがあります。
以上が、プレゼンテーションの構成についての基本的な流れや、利用頻度の高い構成フォーマットです。プレゼンテーションを成功させるために、提案する内容を明確にし、適切な組み立てを行いましょう。
プレゼンテーションの資料作成で気をつけるポイントは、誰にプレゼンテーションを行うかを明確にすることです。
プレゼンテーション資料は、クライアントとなる社外の担当者や責任者に見てもらうための資料であるため、自らの提案を採用することで「どのようなメリットを得られるか」や「どのように問題を解決できるか」を伝えなければなりません。
そこでおすすめしたいのが「PASBECONA(パスビーコーナ)」の法則に則って資料を作成する方法です。
PASBECONAとは、以下の単語の頭文字をとった造語で、それぞれに次のような意味があります。
このように『P・A・S・B・E・C・O・N・A』に沿うことで、わかりやすく、提案力のあるプレゼンテーションの提案資料を作成できます。
以下で、さらに詳しく解説します。
まずは、相手の仕事上にある問題や課題を特定し「痛みや悩み」を明確化します。そして「その痛みや悩みの解消法」を相手に提示しましょう。
ここで明確化する内容は、この件についてリサーチした中から、最も大きな悩みを提示することが重要です。なぜなら提示した最大の問題解決法は、提案書の訴求ポイントとなるため、重要度の低い問題を指摘しても相手の興味を引くことができないからです。
そのため、最も大きな悩みや問題について、ピンポイントで改善方法を指摘することを意識しましょう。
次に、提示した最大の問題点を明確にして、相手の気持ちに寄り添います。
さまざまな資料やグラフを用いてデータの信用性を確保して、相手に同調しながら親近感を持ってもらえるように働きかけることが大切です。
相手の問題や課題をはっきりさせた上で、その問題や課題の解決方法を具体的に提示します。
プレゼンテーションを行う上で、このSolutionが最も相手にアピールできるポイントとなります。
例えば「貴社の課題について、弊社の〇〇を活用することで解決可能です」や「問題を解決できる根拠となる資料として、自社商品の〇〇を実際にご活用いただいて業績がV字回復した△△社のデータがあります」など、自社の商品やサービスがクライアント企業の問題解決に役立つことを積極的にアピールすることが大切です。
Benefitでは、上記にある問題を解決することで、相手にどのような利益やメリットがあるかを提示します。
例えば「◯◯を解決することで、年間で△△%の経費を削減できる可能性があります」など、できるだけ具体的に記すことが大切です。
Evidenceとは、証拠を示すことで、上記の利得に対する根拠を示します。
上記の「◯◯を解決することで、年間△△%の経費を削減できる可能性があります」の根拠となる部分です。
「〇〇のデータをもとに試算したところ、実際に年間△△%の経費を削減できるという結果がでました」など、信頼できるデータを用いるようにしましょう。
Contentsは、具体的に販売する商品やサービスを説明します。上記であらかじめ示した内容を含め、より詳細に紹介しましょう。
Offerでは、具体的な商品やサービスを購入する際の条件を「提案」します。例えば「1年間の無料サポートが利用できます」といった内容が該当します。
具体的な解決策を提案した後は、その解決策を提供できる期間や数量が限定されていることを伝えましょう。
提案した内容に、限定や緊急といった要素を持たせることで、成約の可能性が高い顧客を絞り込みやすくなります。
例えば「この〇〇という商品は、諸事情により供給できる数が限定となります」や、提案する業務に緊急性を持たせたい場合などは「今、この商品の市場が成長時期にある」といった具合に、ライバルが少ない今のうちに参入することで市場の優位性を確保できるといった提案を行います。
もし「自社の商品やサービスに限定性が当てはまらない」場合には、営業マンのサポートやアフターサービスといった付加価値に対して限定性をかけることも可能です。
アクション(行動)では、相手に対して成約する際の具体的な行動施策を提示します。
例えば、オンラインによる商談や、Web上での契約が可能など、できるだけ費用や時間をかけずに契約できるといった内容を具体的に示すことが大切です。
営業プレゼンテーションにおける効果的な話し方については、次の3つの手法を、プレゼンテーションの各シーンごとに取り入れるのが効果的です。
SDS法は、汎用性の高い、結論を端的に伝える際に最適な構成手法です。
上記の手順に沿って、まず初めに全体の要約を伝え、詳細な説明を行い、最後にまとめます。
PREP法は、相手に問題意識を持たせて、説得力のある解決策を提案するのに効果的な手法です。
上記のように、まず結論を紹介し、結論を理由づけることで、相手に「なるほど!」と思わせるのがポイントです。
DESC法は「相手の立場や立ち位置」を尊重しながら、自らの主張や思いを伝える手法です。
上記のプロセスに沿うことで、相手に自らの主張を受け入れざるを得ない方向に導くことが重要です。
プレゼンテーションの苦手意識は、しっかりとした準備と練習を行うことで克服できます。
プレゼンテーションが苦手な方は、次のポイントを押さえることが重要です。
まずは、研修の目的を明確に設定します。プレゼンテーションで、なかなか成約に結びつかない場合は、どこかに改善するポイントがあるはずです。改善点としては、製品知識が足りない、クロージングの仕方に問題がある、話し方が悪いなど、原因はさまざまあります。
そこで、普段行っているプレゼンテーションを社内で再現し、課題を見つけることが大切です。その上で、どのようなスキルを身につけたいのか、どのような課題を解決したいのかを具体的に定め、それに向けた研修プログラムを作成しましょう。
プレゼンテーションスキルを高めるためには、実際にプレゼンテーションを繰り返し行うことが不可欠です。講師をはじめ、製造に関わるスタッフや、インサイドセールススタッフなど、マーケティングに関わる人材を対象にプレゼンテーションのシミュレーションを繰り返すことで、営業チームだけでは気づかない課題が見つかるかもしれません。
また、プレゼンテーション研修では実践的なトレーニングを行いながら、できるだけリアルな状況に即したプレゼンテーション能力を身につけることが大切です。
プレゼンテーションのトレーニングを実施した後は、フィードバックが大切です。フィードバックを行う際は、講師や他の受講者などがプレゼンテーションの質や改善点について指摘を行います。
例えば、製造スタッフから自社製品の強調すべき強みを聞いたり、インサイドセールスチームから見込み顧客のニーズを聞き出すことができるかもしれません。
このように、プレゼンテーション研修を行うことで、自己評価だけでは気づけなかった問題点や課題を発見することができ、より効果的な改善に繋がるでしょう。
プレゼンテーションスキルを高めるためには、資料作成や話し方のテクニックを習得することも大切です。具体的なプレゼンテーションのやり方や、効果的なスライドの作り方など、実践的なテクニックを研修から学ぶことができます。新たなテクニックやソフトウェアなどを導入する際は、専門家を交え、効率的に行うようにしましょう。
プレゼンテーション研修では、受講者一人ひとりの課題に合わせた対応が必要です。
研修によって明らかとなった課題を改善するのはもちろんのですが、研修前にアンケート調査を行い、受講者が抱える課題や要望に対応することで、より効果的なトレーニングを行うことができるでしょう。
このように、売れる営業プレゼンテーションを行うコツは、まず質の高いプレゼンテーションスキルを習得することにあります。質の高いプレゼンテーションを行えば、営業力がアップするのはもちろん、売上や顧客満足度が向上し、クレームが減るといったメリットもあります。
そこで、まずは上記の内容を参考にして、自社の商品やサービスを顧客に対して効果的に紹介、提案するためのフォーマットを作ることが大切です。そして、自社の営業スタッフに効果的なプレゼンテーション研修を行いながらPDCAを回して、より質の高いプレゼンテーションを行えるようにしましょう。
もし、プレゼンテーションの組み立て方や、スキルアップ研修に関する疑問や質問がある方は、いつでもアルマ・クリエイションにご相談ください。それぞれの企業に合わせたソリューションを提供いたします。