近年、文部科学省が推奨するアクティブラーニングという概念が、教育現場において大きな注目を集めています。
アクティブラーニングでは、主に探究学習という名目で、さまざまなテーマに対して課題や問題を解決するためのプロセスの習得を目指しています。
課題(問題)解決型学習(PBL)とは、探究学習の枠内にある「実践的な問題解決を行いながら学習を進める方法」です。
ただ、課題(問題)解決型学習(PBL)について、どのように実施し、どのような効果があるのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、課題(問題)解決型学習(PBL)の基本的な知識と、教育の必要性や授業の実践方法を詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
課題(問題)解決型学習とは、英語ではProject (Problem) Based Learningで表され、 どちらもPBLと略されます。
この2つはほぼ同じ意味で使用されているため、以下では「課題解決型学習(PBL)」で統一表記します。
課題解決型学習(PBL)とは、学習者が自ら課題を見つけて解決していく中で、解決能力や実践能力を育もうとする学習方法です。
課題解決型学習(PBL)で教師が果たすべき役割は、学習者となる生徒自身の自発性や関心、能動性を引き出し、生徒をサポートをする立場で学習を進めていくことです。
ただし、課題解決型学習(PBL)における課題の答えは、一様に決まっているわけではありません。
そのため教育者が重視すべきポイントは「答えのない課題についての議論を通じて、課題や問題解決へのアプローチ方法や、協働的、主体的に解決能力を身につける」ことです。
このような学習法は、1900年代初頭にアメリカの教育学者ジョン・デューイによって、初めて教育現場に取り入れられたとされています。
課題解決型学習(PBL)などのアクティブラーニングという学習法は、以前から日本国内で必要性が唱えられていました。そして近年、探究学習や課題解決型学習(PBL)としてようやくスタートした背景には、現代の日本社会が抱える問題と大きく関係があります。
これまでの日本社会では、優秀で真面目な国民性と、皆が同じような行動を取る迎合主義が歓迎されてきました。
しかし現代の日本では、少子高齢化やグローバル化への対応、労働人口の減少による国家財源の減少、社会保障問題など、これまでの思考法やAIでも導き出せない問題が山積しています。
偏差値の高い大学に入れば「一生安泰」が保障されていた昭和の時代とは異なり、これからの時代は「考える能力」と「課題解決力」が必要です。
そのためには、さまざまな課題に対するアプローチ方法や解決方法を自ら想定し、仮説を立て、検証し、言語化して発表できる能力が必要となります。
そして個々が主体性を持ちつつ、日本人が得意な協調性を発揮することで、次世代を引っ張るリーダーとしての資質を養うことができるのです。
このような「主体性と協調性をもって、自らで課題を見つけて解決する能力」を養うためには、これまで主流であった「正しい知識の暗記や、決まった答えのある問題の解き方を教える」教育法では不可能といえるでしょう。
そこで「課題の発見と解決に向けて主体的かつ協働的に学ぶ」という、深く探究できるアクティブラーニングが必要なのです。
日本の学校で実施されているアクティブラーニングでは、まず探究学習という大枠を学びます。そして、さらに解決能力や実践能力を育もうとする学習方法が、課題解決型学習(PBL)となります。
課題解決型学習(PBL)には、原則として決まった形式はありません。実際に、全国各地で多種多様な授業が展開されています。
ただし、小学校や中学校における課題解決型学習(PBL)では、まずグループで1つの課題に取り組み、グループ学習でロジカルシンキングやクリティカルシンキングを習得した後、高等教育で個人の取り組みを進めていくと良いでしょう。
課題解決型学習(PBL)の基本となる学習行動は「問題や課題(テーマ)の設定」→「情報収集」→「整理と分析」→「まとめ・表現」という過程を繰り返しながら、それぞれのグループで議論を深めていくことです。
そのためには、生徒自身が予習し、主体的に学び、考えの異なる人と議論しようと試みる姿勢が必要となります。これらの要素さえ揃っていれば、課題解決型学習(PBL)の実践には、特別な設備などは必要ありません。
課題解決型学習(PBL)の教育方法には「チュートリアル型」と「実践体験型」の2種類があります。
チュートリアル型は、課題に対して架空のシナリオ(仮説)をたてて、この仮説に基づいて「問題や課題(テーマ)の設定」→「情報収集」→「整理と分析」→「まとめ・表現」という過程を繰り返す方法です。
一方の実践体験型は、課題を実際の社会問題や課題の中に設定し、企業などと連携しながら「問題や課題(テーマ)の設定」→「情報収集」→「整理と分析」→「まとめ・表現」のプロセスを繰り返します。
なおチュートリアル型の方が実施しやすいため、学校教育における課題解決型学習(PBL)の主流となっています。
課題解決型学習(PBL)では、教師が次のポイントに注意することが大切です。
上記のように、教師が直接指導するのではなく、あくまでも寄り添いながらサポートすることが大切です。
また教師や大人が考える「正しさを押し付ける」のではなく、生徒それぞれの考えを尊重しつつ、課題解決の能力を高められるように導くことを目的と考えましょう。
それでは次に、国内の教育現場で実際に行われた課題解決型学習の事例を2つ紹介します。
仙台高等専門学校では「知識を知恵に変える実践を行うプログラム」として、約3カ月のインターンシップ期間を設けて地元企業へ学生を派遣。これまでに学校で学んだ知識が、実社会でどのように役立つかを学習しました。
学習内容については、下記のプログラムで実施しました。
この学校では、高等専門学校の特徴を活かし、専攻科1年生に対してインターンシップを実施する3ヶ月の間に通常授業を入れない時間割を組んでいます。
上記のインターンシップを経験したことで、生徒の学習に対する姿勢が積極的になるといった変化が報告されました。
またインターンシップの期間中は、受け入れ企業の方の出張にも同行させてもらい、地元企業の魅力と地元で生きて行く地方創生の意義を考える良い機会となりました。
また、インターンシップ内で進めた課題解決型学習(PBL)により、企業の抱える問題に生徒と企業が一緒に取り組むことで、相互にメリットがあるのも魅力となっています。
新潟大学の農学部では、新潟市食育・花育センターでインターンシップを実施し、市民と小学生を対象に8月~9月の間の2週間で、体験学習講座の学習支援を実施しました。
まずは学生自らでプログラムを企画・運営し、プログラムの終了後に課題の洗い出しを行います。そして1ヶ月後、再度体験授業内容の企画を練り直して、インターンシップ先の事業所へ提案を行いました。
インターンシップに課題解決型学習(PBL)を取り入れたことで、学生自身が自分の弱みや強みを知ることができただけでなく、就業に必要な企画力やコミュニケーション能力などを養うこともできました。
この成果については、事前事後に行ったCANチェックや、PROGテストの測定結果にも現れています。また参加した学生アンケートによれば、当初予想していた以上に得るものが多くあり、前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力などの社会人としての基礎力が身に付いたと回答しています。
このように、課題解決型学習(PBL)は優れた学習方法ではあるものの、下記のような課題もあります。
課題解決型学習(PBL)では、生徒の学習をサポートできる人材が必要です。
チュートリアル型の場合は、助言を行う立場のチューターを、原則として学校の教師が担当します。しかし、そもそも学校教員に社会経験が少ないという問題があります。
また課題解決型学習(PBL)では、どのように学習効果を判断するかについても、教員の主観が入りやすく、客観的な評価が難しいでしょう。
それ以外にも、学習効果が学習者や課題に左右されやすいという問題もあります。課題が学習者の知識量に関係なく与えられる場合には、個々の学習者が得られる知識や学習効果を把握するのが難しく、深く学べないケースも想定されます。
そこで指導を実施する方は、課題解決型学習(PBL)で注意するポイントに留意して、個々の学習者のサポートに努めましょう。
このように、現代の日本の教育現場では、情報化やグローバル化といった急激な社会変化のスピードに対応するために、課題解決型学習(PBL)を含むアクティブラーニングが注目されています。
アクティブラーニングにおける探究学習や課題解決型学習(PBL)では、学習者自らが課題を見つけて解決していくプロセスにおいて、解決能力を養いながら、さまざまな知識を獲得できる学習方法です。
アクティブラーニングの導入によって、これまでの学習よりも知識の定着が増し、表現力が養われるなどのメリットがあります。そのため課題解決型学習(PBL)は、今後さらに教育現場での重要性が高まると予想されます。
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今後、世界経済はより一層混迷を極めることは容易に想像できます。特定地域の人口減少と人口爆発、世界的な気候変動、宗教人口比率の変遷、疫病の発生増加など、これまでになく深刻な状態です。
今はまだ豊かな日本のイメージがありますが、現実をみると、すでに経済基盤をアジアや中東諸国に追い抜かれてしまっている分野も少なくありません。
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