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提案営業とは?顧客を成功に導く効果的な営業のやり方を徹底解説

作成者: 水落康稀|2022.10.5

インターネットの発達や働き方改革などにより、営業の手法も近年は多岐に及んでいます。

そんな中でも「提案営業」は従来から行われている営業の1つで、顧客の潜在的な課題をヒアリングによって顕在化し、自社の商品やサービスによって解決に導く営業手法です。

提案営業は成約率が高い反面、顧客自身が自社の課題に気づいていないケースも多いため、成功させるには営業担当者が顧客の市場を熟知している必要があるハードルの高い営業手法の1つでもあります。

そこで今回は、提案営業の施策をスムーズに行い、成約率を上げる営業のやり方と流れを徹底解説します。フィールドセールスを行う営業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

 

提案営業とは

提案営業とは、ただ顧客に自社の商品やサービスを購入してもらうだけではなく、自社の製品を使うことで「顧客にある課題を解決する」ことを目的とした営業手法です。

ただ顧客自らが自社にある課題に気づいて相談してくるケースは稀であるために、営業担当者が顧客との商談やヒアリングをする中で、クライアント企業の潜在的な課題を見つけ出す必要があります

そのため営業担当者は、クライアント企業が商品やサービスを提供している市場にある課題を理解しておかなければなりません。提案営業を行う営業担当者には、経験豊富な人材が抜擢されるケースが多いのもそのためです。

 

提案営業のやり方と流れ

以下では、提案営業のやり方と流れを解説します。

提案営業は、次の4つの施策の順に行うのが一般的です。

  1. ヒアリング
  2. クライアントへのナーチャリング
  3. プレゼンテーション
  4. クロージング

以下でそれぞれ解説します。

1.ヒアリング

提案営業でまず最初に行うのがヒアリングです。しかし、いきなり「クライアントの課題に対してヒアリングする」のは無理があります。

そこで、自社で収集した市場とクライアントの状況を把握し、質問しながら自然な流れでクライアントにある「潜在的な課題」を浮き彫りにしていくことが重要です。

ヒアリングで大切なことは、営業担当者が「話さないこと」です。営業が話さなければ、クライアントの悩みや問題を聞き出せないと思うかもしれません。しかし、営業担当者が「聞き出した悩み」は、クライアントにある本当の課題ではないケースがほとんどです。

なぜなら、本質的な問題を社外に相談する経営者や責任者はいないからです。

そこで重要となるのが「クライアントのいる業界にある本質的な課題」に営業担当者が切り込み、クライアントが抱える課題や問題を「話させる」もしくは「見つけさせる」ことにあります。

例えば、同業他社の多くの企業では、今〇〇の影響で新規顧客の獲得に伸び悩んでいますが、御社は影響はございませんか?

そんな中でも新規顧客の獲得が伸びている企業では、顧客管理を徹底している特徴があります。

実際に顧客管理ツールを活用し始めた企業は、業績が落ちた企業の既存顧客を含めて、どんどん市場でのシェアを奪っている状況です。御社では、どのような顧客管理を実施していますか?

など、わかりやすい質問を繰り返しながら、現在の市場にある現実的な課題について質問しましょう。そして、成功している企業と、失敗に終わっている企業の違いを明確にしてくことで、クライアントの課題が見えてくるはずです。

2.クライアントへのナーチャリング

近年は「ナーチャリングの重要性」が急速に高まっています。その背景には、次の3つの理由があります。

  • ・購買プロセスが長期化、複雑化している
  • ・検討期間中のコミュニケーションが必要
  • ・リードへのアプローチは計画的に行う必要がある
  •  

それぞれ解説します。

購買プロセスが長期化・複雑化している

BtoB企業の購買プロセスにおいては、企業のさまざまなステークホルダーが契約に関与します。そのため、購買プロセスが長期化・複雑化しやすい傾向にあります。

また、近年はインターネットが普及したことで、誰でも・いつでも製品に関する情報収集が可能なため、購買プロセスが複雑化しているのも原因の1つです。

そして、今後もこのような傾向が加速的に増加し続けていくと考えられます。

これまでのマーケティング担当者は、自社の商品やサービスに関する情報の大部分を、社内の営業担当者から聞くのが一般的でした。しかし現在では、インターネット上にある情報をマーケターが自ら収集し、然るべき企業に、然るべきタイミングでアプローチすることがスタンダードとなっています。

インターネットの普及により、入手できる情報が増えたこと、そして情報収集の段階で「成約確率の高そうな企業」を絞り込むことが可能です。

このように、購買プロセスが長期化・複雑化しやすい状況下で見込み顧客に対して適切なタイミングで適切なアプローチをかけていくために、リードナーチャリングが重要な役割を果たします。

検討期間中のコミュニケーションが必要

さまざまなマーケティング活動を通じて獲得したリードは、大半が「購入検討中」の段階にあります。このようなリードに対し、いきなり営業活動を仕掛けても、スムーズに受注できることはほとんどありません。

そこでナーチャリングを行い、リードを実際に購入に導くための施策が必要です。

ナーチャリングを行うことで、受注確率の低い顧客をリードとして繋ぎ止めることができます。そして継続的にリードとのコミュニケーションを図り、良い関係性を構築することが大切です。それは、ナーチャリングによって長期的なコミュニケーションを取り続けることで、リードに自社の商品やサービスに関する認知と信頼度が増して成約率が高まるからです。

リードへのアプローチは計画的に行う必要がある

獲得したリードは、獲得時点で商品やサービスに対する理解が十分に進んでいるとは言えません。この段階でリードに直接アプローチをかけても顧客の興味や関心を得るのは難しいのが現実です。

そこで重要なのが、リードナーチャリングを通じて見込み顧客の購入確率を把握し、ベストなタイミングでアプローチをかけることです。これにより、営業活動の効率化を飛躍的に進めることができるでしょう。

3.プレゼンテーション

リードへのナーチャリングが十分にでき、提案営業をかけるタイミングが来れば「提案書」を作成してプレゼンテーションを実施ます。

プレゼンテーションの成功は、提案書の完成度で決まると言っても過言ではないため、良い提案書を書くことに全力をあげましょう。

良い提案書の書き方は、提案する相手や内容が違っても、相手に伝わりやすく書くのが共通のポイントです。

社外のクライアントに対して提出する提案書を作る際の重要ポイントととして、下記の6つのポイントを押さえましょう。

  • ・提案書の目的を明確にする
  • ・提案先の課題を把握する
  • ・提案後の流れを明確にする
  • ・提案内容の裏付けをとり、信頼性の高い資料を作成する
  • ・提案を採用するメリットを明確にする
  • ・伝わりやすい文章やデザインを使う
  •  

それぞれ解説します。

提案書の目的を明確にする

提案書は、クライアントの課題を解決する施策を説明する資料です。

そのため、提案書の最終目的は「クライアントに自分が提案する解決策を採用してもらい、課題を解決する」ことにあります。 

ただ、提案を採用してもらうためには、クライアントにとって魅力的な内容であることが必要です。

なぜなら、提案書をだす場合は、競合他社の提案書と比べられるケースがほとんどだからです。

そこで、自社の解決策が他社よりも優れていることをしっかりアピールしなければなりません。 

提案先の課題を把握する

クライアントの課題を解決するためには、しっかりとクライアントのマーケット状況や、課題についての調査を行う必要があります。

取引先の業種により、抱える課題は千差万別です。営業だけでなく、マーケティングチームと連携して、しっかりと調査しましょう。

提案採用後の流れを明確にする

提案書を書くときは、提案後の流れも明確に示しましょう。

提案した企画が通ってから施策の実行を開始するまでの期間や、最終的な目的達成のゴールがいつになるのかなど、スケジュール管理も徹底して行います。

また予算計画も必要ですが、実際にかかる経費よりも安く書きすぎて後からトラブルにならないよう、しっかりと精査しましょう。

提案内容の裏付けをとり、信頼性の高い資料を作成する

提案書に記載する内容は、信頼性の高い内容でなければなりません。

具体的な数値を記す場合には、どの資料を参考にしたのか。またマーケットの調査をいつどこで行い、誰が発表したのかなどを明示しましょう。

提案を採用するメリットを明確にする

提案書を書く際は、まず自社の企画する提案を採用してもらうことが目的となりますが、クライアントにとっての採用目的は「その企画を実施することで得られるメリット」です。

そこで、自社の企画を採用することによって「どのようなメリットがあるか」をできるだけ明確に、わかりやすく記載しましょう。

伝わりやすい文章やデザインを使う

提案書の書き方として、難しい表現や専門用語、ビジネス英語などを多用する必要はありません。まず大前提として、相手にわかりやすく伝えることを第一に考えましょう。

とくに新しいツールやスキルなどのビジネス英語は、使いやすい反面、相手に伝わらないリスクがあります。

どうしても使用せざるを得ない場合は、その概要を記しておくと親切と受け取られ、相手方へ好印象をあたえられるプラス材料となるでしょう。

また、わかりやすい図表などを積極的に使い、見やすい提案書を作ることも大切です。

提案書の書き方によって、営業の成否に大きな影響が出ます。さらに詳しい提案書の書き方については『提案書の書き方|相手に伝わる構成やテンプレート作成の流れを解説』の記事をぜひご参照ください。

4.クロージング

提案営業のクロージングは、他の営業手法と比較しても非常に重要なプロセスとなります。それは、契約後もプロジェクトを実行するなど、クライアントと深く関わったままで業務を遂行するからです。

もし強引にクロージングを行い、契約後のフォローがいい加減だと、自社の信用を著しく落とす可能性もあります。そこで提案営業のクロージングでは、クライアントの悩みや課題に寄り添いながら、確実に成功へ向けた施策を実施しましょう

クライアントに満足いただくためにも、常に正確な進捗状況をクライアントに伝え、市場の動向についての情報共有を怠らないようにします。また提案営業で契約するプロジェクトは、一般的に金額も大きな契約となるケースが多いため、しっかりと責任感のある営業活動を行うことが大切です。

 

提案営業成功のコツ

提案営業で成功するコツは「話法」と「提案書」の2つに尽きると言っても良いでしょう。

もちろん提案に必要なデータの収集や精度の高さも重要ですが、それらはマーケティングチームやマーケターの領域となる仕事なため、営業担当者は上記の2つに集中しましょう。

提案営業で必要な話法は「SPIN話法」と呼ばれ、専門的な研究も行われています。あまり耳にしたことがない方もいるかもしれませんので、ぜひ『SPIN話法とは|商談や成約に繋がる営業ヒアリングのフレームワーク』の記事でご確認ください。

また、提案書の作成に関しては、すでに紹介した『提案書の書き方|相手に伝わる構成やテンプレート作成の流れを解説』を参考に、クライアントに響く提案書を作成しましょう。

 

提案営業のまとめ

このように提案営業の成功には、営業担当者だけではなく、マーケターなどの協力も必要です。しかし、直接クライアントの決済者に対してさまざまな営業活動を行うことができる営業担当者にとっては、もっとも力量が問われる営業スタイルの1つとも言えるでしょう。

一般的に、提案営業を行うのは各企業の営業パーソンのエースクラスです。それは、提案営業のテクニックがあれば、どの営業スタイルでも抜群の結果を出すことができるからです。

ぜひ貴社においても、これらのスキルを共有して、全社をあげて営業スキルの向上に努めてください。もし営業スキルの向上にお悩みの企業経営者の方は、ぜひアルマクリエイションにご相談ください。

営業スキルアップについては『これだけでいい!たった3つの営業スキルとスキルアップをする方法』の記事もぜひ参考にしてください。

 

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