営業プレゼンと商品プレゼンの違いとは、商品を売り込み購入(契約)してもらうことを目的としているプレゼンテーションか、商品を紹介することを目的としているプレゼンテーションかの違いです。
営業プレゼンの相手は基本的に取引先や見込み顧客ですが、商品プレゼンの場合は取引先や見込み顧客だけでなく、社内コンペも対象となります。
この営業プレゼンと商品プレゼンは、そもそもの目的が異なるため、同じような資料の作り方や内容では良い効果がでないケースがほとんどです。しかし、一般的なマニュアル本では、その違いや具体例が紹介されていません。
そこで今回は、営業プレゼンと商品プレゼンの違いや、効果的な資料の作り方と話し方を解説します。営業職や企画部署で、効果的なプレゼンの仕方がわからないとお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
プレゼンテーションとは、特定のテーマや内容について、聴衆に情報を伝えることを目的としたコミュニケーションの形式です。一般的なプレゼンテーションでは、スピーチやビジュアル向けツール(スライドやグラフィックなど)を使って、アイデア、プロジェクト、製品、サービスなどを説明・紹介します。
ビジネスプレゼンテーションは、主にマーケティングや営業などの分野で活用されていますが、社内コンペなどでも積極的に実施されることがあります。
効果的なプレゼンテーションは、聴衆への明確な情報伝達と、その後の決断にも影響力を与える重要な施策の1つです。そのため、相手に共感と感動を与えたり、専門的な知識をわかりやすく伝えるといったテクニックが必要となります。
プレゼンテーションの成功が企業の成果に直結する可能性が高いため、企業や組織は軽視することなく研修やトレーニングを行うことが大切です。
営業プレゼンと商品プレゼンは、目的や対象、内容などに関していくつかの違いがあります。以下では、それらの違いを詳しく解説します。
営業プレゼンテーションの主な目的は、社外の顧客に対して製品やサービスを購入・契約させることです。そこで、営業担当者が顧客のニーズや要望に合わせて提案を行い、価値を伝えて契約を獲得することを目指します。
一方、商品プレゼンテーションの主な目的は、製品やサービスの特徴や利益を社内に伝え、自分チームや個人のアイデアや企画を採用してもらうことです。これは「社内コンペ」とも呼ばれ、さまざまな企業で行われている手法です。
運営プレゼンテーションの対象は、基本的に個別の顧客です。
顧客のニーズや要望に対して具体的な提案を行うために、パーソナライズされたアプローチを行うことが重要です。
一方、商品プレゼンテーションの対象は、社内のステークホルダーに向けて行われるケースが多いのが特徴です。社内コンペなど、マーケティングプロセス上で行われるのが一般的です。
営業プレゼンテーションの内容は、顧客のニーズや課題に焦点を当て、それに対する解決策を具体的に提案します。そこで、顧客の関心を引きながら、顧客との良好な関係を構築することが重要です。
一方、商品プレゼンテーションの内容は、製品やサービスの特徴、注意、使い方、価値の提供方法などをアピールします。そして、社内の関係者に製品に対する理解と関心を高めることが重要です。
営業プレゼンテーションでは、顧客のニーズに合わせたカスタマイズが重要です。顧客の業界や課題、要望を踏まえ、それに合わせて資料を作成します。
営業プレゼンテーションに必要な要素として、顧客の課題解決策の提案と利益の強調を行い、実際に顧客が成功した事例などを明確に伝えることが重要です。
また、顧客からの質疑応答にも十分に時間を使い、納得してもらう必要があります。
すでに市場に出回っている製品の場合には、利用者のレビューや口コミを確認するのも良い方法です。
一方、商品プレゼンテーションの場合は未完成の商品をプレゼンするケースが多いことから、視覚的な要素を重視する必要があります。そこで、魅力的なビジュアル要素を取り入れ、製品の写真やデザインを効果的に使用し、商品のメリットを視覚的に伝えましょう。また、製品の特徴やメリットをわかりやすく伝えることも大切です。効果的な比較表やグラフを使用して、商品の優位性を強調します。
もし新しく紹介する商品やサービスのサンプルがある場合には、積極的にデモ機を取り入れることで、商品の使い方を具体的にイメージしてもらうことも可能です。
すでに市場に出回っている製品の場合には、利用者のレビューや口コミを確認するのも良い方法です。
上記のように、両方のプレゼンテーションに共通する効果的な資料作成のポイントは、わかりやすい具体的な情報を伝えること、聴衆の興味を引く要素を盛り込むこと、質問や反応に対応する準備をすることなどです。目的と対象に合わせた適切な資料作成を行い、プレゼンテーションの成功につなげましょう。
営業プレゼンと商品プレゼンは、話し方においても異なるアプローチが求められます。以下にそれぞれの効果的な話し方のポイントを比較して解説します。
営業プレゼンの効果的な話し方のポイントとして、まずは対話的なアプローチ方法が挙げられます。営業プレゼンでは、聴衆との対話を重視します。質問やフィードバックに耳を傾け、顧客のニーズを把握することが重要です。
また、営業プレゼンでは、顧客が中心のコミュニケーションを重視します。顧客の関心や課題に焦点を当て、製品やサービスの導入によって、顧客にどのような価値を提供できるかを明確に伝えましょう。
そして、顧客のニーズに的確に応えることで良好な信頼関係の構築を目指すのが、営業プレゼンでの重要な要素です。そのため、あくまでも顧客の立場に立ったアプローチが効果的です。
営業プレゼンでは、実際の顧客の成功事例や顧客からのフィードバックを基に、柔軟に営業方法をカスタマイズできることも重要です。そのため、個別の顧客に対応したコンテンツを提供するのもおすすめです。
一方、商品プレゼンでは、魅力的な言葉遣いや表現を使いながら商品の特長や特売をアピールします。
魅力的な表現には、視覚的な魅力や、商品のメリットを具体的に強調し、聴衆にとってのメリットを明確に伝えることが重要です。
また、商品プレゼンでは社外への営業プレゼンよりも熱意と情熱が伝わるように語りかけ、聴衆に商品への興味を持ってもらうことが目的です。
営業プレゼンと商品プレゼンのどちらの場合も、聴衆を引き込み、興味を持ってもらうことが大切です。営業プレゼンが対話アプローチと顧客中心のコミュニケーションが特徴的であるのに対し、商品プレゼンは視覚的なアピールや商品への興味を引くことを重要視します。
相手に伝わるプレゼンテーションの話し方には、基本的なルールがあります。
まず、良いプレゼンテーションとは、相手に自分の伝えたいことがしっかりと伝わるプレゼンテーションでなければなりません。そのためには、目的が明確で、伝えたいことがシンプルで分かりやすく、相手の知りたいことに答えられていることが重要です。また、プレゼンテーションの成功は話し方によって左右されると言われており、どんなに優れた商品やサービスなどを紹介したとしても、話し方次第で魅力が十分に伝わらないことがあります。
プレゼンテーションの話し方が重要な理由は、次の3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
ビジネス取引の多くは商談などの交渉を経て成約に至るケースが多いため、話す力というプレゼンテーションスキルが必須となります。近年は、オンラインでの交渉や契約が増えていますが、基本的な話し方などのプレゼンテーションスキルが必須であることに変わりはありません。
プレゼンテーションを行う際に話し方のスキルレベルが低いと、いくら良い商品やサービスを提供できる実力があったとしても、競合他社に契約を取られてしまうこともあります。
このように、企業間の取引における話す力とプレゼンテーションスキルは、非常に重要な要素です。
プレゼンテーションの目的は、話す相手に行動を起こさせることにあります。そのため、プレゼンテーションを行う相手に対し、自らの情報を一方的に提供するだけではプレゼンテーションの目的を達成することはできません。
プレゼンテーションを成功させるためには、まず相手の要望や悩みを知り、状況を分析し、最適な解決策を提示する必要があります。そのため、相手に寄り添いながら、わかりやすく行動を促す話し方が求められます。
また、相手の問題や課題を親身になって考え解決に導くことで、自社の存在価値や魅力を十分に伝えることができるでしょう。
プレゼンテーションは、ビジネス上の取引先との良好な関係を構築するのに役立ちます。しかし、取引先との関係を構築するだけではなく、自社の内外に自分自身をアピールするためにも非常に効果的な方法です。
高いプレゼンテーションやコミュニケーション能力のある人材は、どの業界でも優秀な人材として需要があります。そこで、話し方が上手く、高いプレゼン能力を持つことで、ビジネス人材としての存在価値を高めることができます。
終身雇用や年功序列といった、従来の日本的経営形態が崩壊した今、ビジネス人材としての幅を広げるためにも「話す力」が強い武器となるでしょう。
プレゼンテーションを成功に導くポイントとして、次の3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
プレゼンテーションを成功させるには、対象となるクライアントの事前調査や準備が欠かせません。クライアントの属性や市場を十分に理解した上で調査を行い、それぞれに合わせた資料作成とプレゼンテーションの練習を行います。
そこで研修を行う場合は、新しいクライアントだけでなく、すでに取引のある企業を対象にシミュレーションをするのも良い方法と言えるでしょう。その際に、実際に成功した資料やプレゼン内容を精査し、次の成功に繋げる分析とPDCAを回すことが大切です。
相手に合わせた資料作りも大切な仕事です。プレゼンテーションに成功した資料があるからといって、次のクライアントにも使い回して上手くいくとは限りません。現代のように、顧客ニーズが細分化された市場では、プレゼンテーションを行うたびに、毎回カスタマイズを行うことが必須と言えます。
一見すると効率が悪いように感じるかもしれませんが、成約率を高めるためには、各企業ごとに資料作成やプレゼンテーションの内容を変える方が効果的です。いろいろなバリエーションのプレゼンテーションを繰り返すことで、スピードや精度も上がるため、研修の際にしっかりと浸透させるようにしましょう。
プレゼンテーションを行う際のポイントとして最も重要なのが、伝えるべき内容を明確にした上で、資料作成やプレゼンテーションの内容を組み立てることです。
もし、伝えるポイントがズレていたり、重要視するポイントが多すぎたりすると、ピントのボケたプレゼンテーションとなってしまいます。プレゼンテーションの目的は、自社の商品やサービスを売ることではありません。自社の商品やサービスを採用することで、クライアントが持つ問題や課題を解決できることをアピールするのが目的です。ここを間違えると、せっかくプレゼンテーションを行う機会を持てたとしても、ピントのボケたプレゼンテーションになってしまう可能性があるため、注意が必要です。
プレゼンテーションでは、次の3つのやってはいけないことがあります。
それぞれ解説します。
準備した資料を読むだけのプレゼンテーションは、絶対にやってはいけない失敗事例です。しっかりと作り込んだ資料でも、その内容を理解した上で、相手に響くプレゼンテーションを行わなければ意味がありません。資料を参考にしながらその内容に沿った解説を行い、クライアントの心に刺さる内容と話し方をしなければ、なかなか成約には至りません。
資料は、あくまでもプレゼンテーションを補足するためのものであり、資料を補足するプレゼンテーションとならないように注意しましょう。
プレゼンテーションでは、各クライアントごとにカスタマイズした内容を話すのが基本です。そのため、それぞれのクライアント企業の状況を精査した上で、予想される課題や質問に対する解決策や答えを準備しておかなければなりません。
また、クライアントにある課題と解決策、質問と答えを準備することで、的を外さないプレゼンテーションが可能となります。プレゼンテーションの基本的なことではありますが、絶対に必要なプロセスとして注意すべきポイントです。
プレゼンテーションの内容を暗記して話すことも、ついやりがちな失敗です。特に新しい商品やサービスなどのプレゼンテーションを行う際は、メリットやアピールポイントを理解せず、丸覚えして話しがちです。
丸覚えで話すのがダメな理由は、クライアントからの質問があった場合に適切な回答ができず、相手に不信感や不安感を持たれる可能性があるからです。
プレゼンテーションを行う前に、自社の商品やサービスを熟知して、イレギュラーな質問などに対応できるように研修を実施しておきましょう。
プレゼンテーションを成功させる話し方として、以下の10のコツを解説します。
それぞれ解説します。
ビジネスプレゼンテーションを行う際は「結論から話す」のが基本です。これは、資料の作成も同じで、資料のタイトル部分に結論がわかるキーワードを記すのと同じです。
そこで、プレゼンテーションを行う際は「PREP法」で話すことを心がけるのがおすすめです。
PREP法とは、相手に問題意識を持たせ、説得力のある解決策を提案するのに効果的な手法として使われます。
Point(結論を伝える)・Rason(結論の根拠を理由づける)・Example(具体例を示す)・Point(結論をまとめる)という順番で話します。
まず結論を紹介し、結論を理由づけることで、相手に「なるほど!」と思わせるのがポイントです。
プレゼンテーションを行う際に、話にストーリー性を持たせることで、クライアントに深い印象を与えることができます。プレゼンテーションにストーリー性を持たせるには、いわゆる「たとえ話」を取り入れるのが一般的ですが、紹介する商品やサービスの開発に至ったきっかけや事例を具体的に話すことも良い方法です。
また、クライアントの現状を調査する中でわかった課題などがあれば、その課題や原因を解消できるようなストーリーを持たせることで、クライアントに強く訴えることができるでしょう。
プレゼンテーションでは、1つの文章を短く簡潔にまとめて話すことも重要です。長い文章で話してしまうと、何を言いたいのかが相手に伝わりにくくなります。
具体的には、1つの文章を50文字程度に抑えるのがおすすめです。最初はなかなか難しいかもしれませんので、慣れるまで研修を重ねながら訓練しましょう。
プレゼンテーションでは、緩急や強弱をつけて話すのも重要なスキルとなります。特に強調すべきポイントを、ゆっくり・大きな声で・ハッキリと話すことで、相手に強く印象づけることができます。ただし、緩急が多すぎるとどこが重要かわからなくなるケースもあるため、適度に使うことも大切です。研修で何度も練習しながら、チームで適切な指標を作りながら共有しましょう。
緩急や強弱をつけて話す場合には、重要なポイントをゆっくりと話すのがおすすめですが、そのまえに「強調する語句を入れる」のもテクニックの1つです。
例えば「ここが今回紹介する商品で最も重要なポイントです」や「いまから説明する点については、しっかりと理解しておいてください」といった具合に強調することで、相手に集中して話を聞いてもらうことができるでしょう。
プレゼンテーションを行う中で、特に強調したい部分がきたら、ボディーランゲージを交えて話すのもおすすめです。身振り手振りを加えることで、自分自身の話し方にもリズムや強弱を付けやすくなります。
ただし、常に動きっぱなしになったり、人を指さすといったNG行為もあるため、研修でしっかりと練習しておくことが重要です。
プレゼンテーションでは、語りかけるような話し方を心がけるようにしましょう。ただし、わざとらしい話し方をするのは良くありません。相手に不快を与えない程度に、しかもわざとらしくならずに話すコツは、具体例や数値をあげて、相手にわかりやすく話すことです。
また、少しゆっくり目に話すのも、語りかけるように話す際のポイントです。
プレゼンテーションを行う際は、必ず相手の目を見て話すようにしましょう。ただし、プレゼンテーションを行う場合は相手が複数いることが多いため、それぞれ順番に目を見ながら話すのが効果的です。また、プレゼンテーションに参加しているクライアントには必ず序列があるため、決裁権のある方や、もっとも役職の高い方を中心として話をすることも大切です。
プレゼンテーションを行う際は、必要なことだけを話すのが基本です。「えー」や「とりあえず」といった必要のない言葉を発することで、次に続く話も、プレゼンテーションに必要のない内容になりがちです。
ただし、このようなある種の「癖」は、本人や周りが気づかないこともあります。そこで、普段の研修や練習を録画して聞き返すことで自分の癖に気づき、直すことができるでしょう。
プレゼンテーションを上手くできるようになるには、何度も練習を重ねるのが一番です。練習するほど自信がつき、成果もでるようになりますので、全社で取り組むのがおすすめです。
良いプレゼンテーションとは「相手にわかりやすい内容である」ことが基本です。そのため、社内で使っている専門用語や業界用語を多用するのは厳禁です。また、クライアントが頻繁に使っている略語であっても、プレゼンテーションを行う際は誰もがわかりやすい言葉に直して話すのがおすすめです。
近年はIT用語などで略語などを使うケースが増えていますが、誰もが知っていると考えるのはよくありません。もしクライアントに伝わらなければ意味がありませんし、マイナスイメージを与えるかもしれません。
言葉を丁寧に使うことが、プレゼンテーションの基本であることを認識して、研修に取り組みましょう。
このように、プレゼンテーションのやり方は、目的や対象によって選ぶことが重要です。
もし、プレゼンテーションに関する疑問や質問がある方は、いつでもアルマ・クリエイションにご相談ください。それぞれの企業に合わせたソリューションを提供いたします。