セールス研修とは、営業に必要なスキルや知識を身につけさせることで、自社の営業社員のスキルを均一化し、営業成績を向上させるために行う研修の1つです。
セールス研修は、社外の研修機関に委託して実施されるのが一般的です。しかし、社外の研修機関に委託することで費用がかかるだけでなく、研修内容が自社にマッチしないリスクが発生します。また、どの研修機関を選べば良いかわからないという方や、研修の効果が見えないといった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、セールス研修を自社で内製化する際の効果的な実施方法やメリットについて徹底解説します。セールス研修を内製化したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
セールス研修には、目的によっていくつかの種類があります。そこで、自社に合った研修を実施するために、まず研修の種類を決めましょう。
基礎研修は、営業活動に関する基礎的なスキルや知識などを身につけるために実施します。基礎研修は、一般常識に関する知識なども教育するため、営業手法の種類にかかわらず実施すべき研修と言えるでしょう。
社外研修では教えてくれない、自社の業界特有のルールや常識がある場合には、この研修でしっかりと教育しておくことが大切です。
基礎研修で教育するのは、業界特有の常識や営業ルールだけではありません。営業に関わる「マインド」や「行動」の基礎が身につくような研修を心がけましょう。
「マインド」教育は、営業を行う目的についての教育です。営業のもっとも重要な役割は、自社の売上を確保しつつ利益を上げることに他なりません。しかし、企業の利益を確保するのは経営陣の仕事であり、営業担当者が利益を追求するのは間違いです。
営業とは、顧客に自社製品の活用で得られるベネフィットをわかりやすく説明し、購入に繋げる活動であることを教育します。
「行動」教育では、営業で「売り込む」のではなく、顧客の悩みや課題をしっかりと聞いたうえで「解決策を提案する」方法を教育します。
このような内容は、一般的な研修機関で教育することが少ないので、社内研修でしっかりと教育しましょう。
提案型営業の研修目的は、自社製品で「顧客の悩みや課題を解消すること」にあります。
そのために提案型営業の研修では、顧客の悩みを解決するための知識や実践的なスキルを身につける必要があります。
提案型営業で必要となる主な研修項目は、次の5つです。
高いヒアリング能力を身につけ、市場を分析しながら自分で仮説をたてて検証し、企画した営業プランを提案してクロージングするのが営業の実戦手順です。
上記の5つの能力を身につけることで、新人やベテランに関係なく、営業力を発揮できるでしょう。
インサイドセールスとは、近年急速に浸透している営業手法の1つです。
インサイドセールス研修は、企業の働き方改革や企業のIT化、DXにより、営業活動にインターネットを活用して効率化させるために行います。
インサイドセールスでは、主に顧客よりもリード(見込み顧客)の獲得に重きをおくため、提案型の営業研修とは内容が異なります。
インサイドセールス研修で実施する研修内容には、電話でのテレアポスキル研修やメールによるセールス文章の作成研修、Webマーケティング研修などがあります。
自社のインサイドセールスの実施方法や目的に合わせて実施しましょう。
それでは次に、効果的なセールス研修を実施する方法と5つのステップについて解説します。
効果的なセールス研修を実施するためには、研修の内容はもちろん重要です。しかし研修を手順よく行うことで、効率よく研修を行い、早く営業現場で活かすことができます。
そこで、以下の手順を参考にしながら研修プランを策定しましょう。
自社の営業力を高めるためには、営業担当者それぞれの力量が必要となります。ただ上記でも述べたように、営業活動を行う目的や目標は各企業ごとに異なるため、自社における営業の基本的な概念を策定してから研修を実施しましょう。
自社の商品やサービスを提供することにより、顧客の悩みや課題を解決するのが一般的な営業の基本概念です。しかし、企業が取り扱う製品によっては、顧客のどのような悩みに寄り添うべきかが異なります。
そこで、自社が提供する商品やサービス、顧客にとってどのような満足を満たすのかという基本概念を社内研修で共有しておくことが大切です。
営業のゴールは、企業の営業形態や商品・サービスの種類によって大きく異なります。
BtoBやBtoCなど、新規顧客に商品やサービスを販売するケースが一般的な営業活動と言えるでしょう。しかし、近年ではSaaSなどのサブスクリプション型の商品やサービスが増えたことで、アップセルやクロスセルをWEB上で営業するといったケースも少なくありません。
このように、自社の営業スタイルや顧客の種類、販売する製品に合わせて営業研修の内容も変える必要があります。そこで、まずは自社の営業のゴールが何かを明確にすることが重要です。
営業の基本やゴールが決まれば、自社の営業活動を具体化し、実際の営業現場に見立てた「ロールプレイング」を実施します。
「ロールプレイング」を実施する際のポイントは「失敗できる」ことにあります。最初から完璧を目指す必要はなく、営業の定量的な目標値を目指しながらも、個々の個性を活かした営業方法を実践してみることが重要です。
各営業担当者の対応力を磨くためにも、ロールプレイングの段階では、さまざまな手法を試してみるのも大切です。
ロールプレイングである程度の経験を積めば、実際の営業現場へでて、営業活動に参加しましょう。最初のうちは、挨拶回りを兼ねて上長などについてもらうのも良い方法です。
いきなり1人で新規顧客の開拓をさせる企業もありますが、結果的に効率の良い方法とはなりません。まずは現場の空気や、自社と取引先との距離感などを肌で感じるところからスタートしましょう。
現場に同行する営業活動も、ある意味では研修の一貫です。その感覚をもって、企業全体で研修参加者を見守ることも大切です。
実際に営業現場やロールプレイングを実施したら、その後に必ずフィードバックを行い、PDCAを回しましょう。
セールス研修は、研修をすることが目的ではなく、研修によって営業スタッフの技量を向上させるのがゴールとなります。
そのため、研修中や研修後のフィードバックについては、その評価内容に確実性を持たせるためにもできるだけ複数の上長や先輩の方々が評価やアドバイスを行うようにしましょう。
このようにセールス研修では、営業の基本から実際の営業現場での研修まで、さまざまな内容が含まれます。そのため外部に委託する場合でも、結局はその後に社内研修が必要となります。
そこでセールス研修を内製化することにより、費用や期間を抑えながら、最も効果的な研修が実施できるでしょう。
セールス研修については、必ず実施している企業もあれば、実施したことがない企業もあることでしょう。ここでは、セールス研修を行うメリットについて解説します。
セールス研修を実施するメリットは、主に次の3つがあります。
それぞれ解説します。
セールス研修を実施することで、営業成績の向上に期待できます。特にこれまで研修を実施してこなかった企業では、大幅に売上や利益が上がる可能性があります。
営業成績は、個々の営業スタッフの力量に左右されやすい特徴があります。そのような企業では、営業活動が属人化しているケースが多く、成績の良い人材の営業スキルやコツを共有できていないケースが少なくありません。
営業成績が良いスタッフには、他のスタッフとは異なるスキルがあることが多く、そのコツを共有したことで企業の売上が倍増するケースも少なくありません。
ただ、営業成績の良いスタッフの技術を、他のスタッフに無償で提供して共有するのは不公平です。営業スキルを提供するスタッフには、特別手当や昇給など納得のいく手当を用意しましょう。ただ一方的にスキルの提供を共有するようでは、転職されてしまうリスクが高まるので注意が必要です。
セールス研修を効率よく実施することで、社内の営業リソースへの教育コストを削減できます。セールス研修を実施しない企業では、先輩社員が一定期間つきっきりで指導したり、経験豊富な営業社員が独自に指導するケースもあるでしょう。
しかしこのような方法では、社内教育が体系的に行われないことにより、社員の質にバラつきが生じてしまいます。
社員の質がバラバラになると、配置換えや新たなチームで業務に当たる際に上手くまとまることができず、新たな教育の時間とコストが必要となるでしょう。
そこで定期的にセールス研修を実施することで、安定したスキルと体系的な営業活動が可能となります。
セールス研修は、新たな営業手法を定着させる際にも効果的です。特にインサイドセールスの手法はこれからも増える可能性があり、自社の製品や営業スタイルに合わせ、柔軟に対応することが大切です。
そのため、一部のスタッフが特定の社外研修にでて学ぶよりも、社内に講師を招いたり、社内の優秀なスタッフが研修を行うスタイルの方が効果的な研修を実施できる可能性が高いと言えるでしょう。
営業やビジネスのスキルは、社会や時代の流れによって常に変化しています。そこで社内や社外を問わず、新しい研修を取り入れて、常に客観的な視点で事業をフィードバックするように心がけましょう。
それでは最後に、セールス研修を成功させるためのポイントについて解説します。
セールス研修を成功に導くポイントは「再現性のある研修を行うこと」と「社内に研修体制を構築すること」です。
再現性のある研修とは、研修で得た知識やスキルが実際の営業に活かせるかがポイントです。自社で研修を内製化することにより、他のどの研修よりも高い再現性を実現できるでしょう。また、セールス研修を内製化することにより自社内で研修体制を構築でき、営業スタッフ全体のスキルの向上に期待ができます。
このように、セールス研修を内製化することで、自社の営業に最適な研修を効果的に実施できるでしょう。セールス研修を成功させるには、優秀な成績を上げている既存の営業スタッフや経験豊富なベテランスタッフ、マーケターなどが協力することで、質の高い研修を実施可能です。もしセールス研修などの内製化でお困りの際は、アルマ・クリエイションにお気軽にご相談ください。