営業活動を進める中で、リード顧客やクライアントが必要としている具体的な商品やサービスが何かわからず、提案に困るといった経験がある方も多いのではないでしょうか。
相手が抱える課題や悩みがわからなければ、いくら営業しても、なかなか商談にまで発展させることができません。
このように、相手が必要とする「潜在的な課題」や「課題の解決法」がわからない時は「SPIN話法」という、4つのキーワードを使った質問のフレームワークが役立ちます。
このSPIN話法を使いながら相手に質問し、答えてもらうだけで、相手が抱える潜在的な課題や問題を発見し、解決に導くための手段を提供できるかもしれません。
そこで今回は、営業で成果を出すためのヒアリング能力を向上させる「SPIN話法」を徹底解説します。営業活動で商談に発展しない、または商談が成立しないとお悩みの方も、ぜひ参考にしてください。
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SPIN話法とは、次の4つの言葉を会話に取り入れることで、顧客の潜在的なニーズに対して適切な提案や、解決法を提供できるフレームワークです。
SPIN話法の4つの言葉とは
このS・P・I・Nの順で質問をすることで、相手自身も気づいていない潜在的な課題を抽出できるため、多くのビジネスシーンで使われています。
このSPIN話法は、ヒアリング力や提案力が必要となる社外のビジネスシーンだけでなく、社内業務や日常生活でも活用できる便利な手法です。
SPIN話法の提唱者はイギリスのニール・ラッカム氏で、シェフィールド大学にて行動心理学の研究者となったのち、1973年にハスウェイト社を創業します。
その後約12年間にわたって、世界で取引された約35,000件もの商談を調査研究し、独自のセールス法を確立しました。
その手法を元にハスウェイト社は、セールスに関するコンサルティングやトレーニング、セミナーを幅広く手がけ、アメリカ有数のコンサルタント企業に成長します。
ハスウェイト社のセールス・プログラムは、その後世界中の23カ国で展開され、マイクロソフトやIBM、GEといった、フォーチュン500社(米国の経済誌であるフォーチュン誌が年1回発表する企業の収入ランキング上位500社のこと)の半数以上で採用されています。
まずはSPIN話法のフレームワークを理解するために、以下ではSPIN話法で用いる4つの質問をそれぞれの事例ごとに解説します。
ここでは、あるリード顧客(見込み顧客)へ営業に出向いた時に、相手の状況を聞き出しながら商談に繋げていく会話を例に、SPIN話法の取り入れ方を解説します。
SPIN話法を取り入れる際は、必ずS・P・I・Nの順番を守ることが重要です。ぜひ以下の例を参考に、自社の商品やサービスでシミュレーションしてみてください。
まず最初に行うのが「状況質問」です。相手が具体的な課題や問題を把握しきれていない場合でも、状況質問を繰り返す中で「潜在的な課題や悩み」を引き出せることが多いため、必ず念頭において質問しましょう。
状況質問の例として「年間の商談目標に対して、現在は毎月どのくらいの件数をこなしていますか?」といったKPI進捗や「目標の達成に必要な売上は、あといくら必要ですか?」といったKGIに対する質問などがあります。お気づきのように、状況質問では「具体的な数値」を問うことで、相手の課題をより具体的に抽出し、確認します。
次は「問題質問」です。ここでは、顧客の抱える課題を引き出すことが重要となるため、基本的に「はい」は「いいえ」で答えられる質問となります。
問題質問では「営業活動の中で、自社の提案が顧客にマッチしていないと感じたことはありませんか?」や「顧客自身が自社の課題や問題に気づいておらず、提案に困った経験はありませんか?」など、相手の悩みに働きかけて共感し、顧客が抱えている潜在的な問題を「顕在化」して行きます。
相手の問題が顕在化すれば、つぎは「示唆質問」の出番です。示唆質問とは、まだ顧客が自身の課題を認識していないときに、それとなくヒントを出しながら(示唆しながら)質問する方法です。
示唆質問は「顧客が抱える課題を明確にできないために、適切な提案ができないことでお困りではないですか?」や「提案させて欲しいばかりで、顧客に“うるさい営業”と思われていませんか?」など、相手の課題に直結した質問となります。話しの内容によっては、多少の配慮が必要となるものの、しっかりと相手の悩みに共感しながら会話を進めましょう。
そして最後に行うのが「解決質問」です。解決質問とは、顧客の課題に対する解決策を、あえて質問という形で提案することを言います。
解決質問では「顧客の課題を明確にできる“SPIN話法”を取り入れることで、より質の高い提案ができると思いませんか?」や「SPIN話法をマスターすれば、より適切な提案ができて、さらに営業成績が向上するのではないでしょうか?」など、相手に分かりやすく解決方法を示します。
SPIN話法がビジネスで重要とされているのは、次の3つの効果を期待できるからです。
以下でそれぞれ解説します。
相手に質問を投げかけながら会話を進めていくことで、顧客が「営業されている」という感覚よりも自分の悩みや課題を聞いてもらっていると感じるため、顧客が持つ悩みや課題を自発的に話してもらえます。
顧客の話に共感しながら潜在的な課題を顕在化する質問や、課題を明確化する質問を織り交ぜることで、顧客自身が気付けなかった潜在的なニーズを引き出せる可能性もあります。SPIN話法を活用し、顧客の本音を引き出すことで、結果的に営業成果の向上にも繋がるでしょう。
SPIN話法の利点は、ただ顧客の潜在ニーズを掘り起こせるというだけではありません。顧客が抱える課題や問題を顕在化した上で、スムーズに商談へとつなげるための会話に移行できるのも大きなメリットです。
そのためにも、常日頃からSPIN話法を意識したシミュレーションを行い、スムーズな解決質問でクロージングできるスキルを身につけておきましょう。
SPIN話法によって顧客が抱えている潜在的な課題や悩みを抽出し解決できれば、クライアントから「あなたに相談すれば、気づかなかった課題が解決できる」という絶大な信頼を得ることができるでしょう。
そうなれば、顧客は課題解決できる商品やサービスの導入に対しても前向きとなり、あなたが提案する営業施策への信頼も高くなり、商談から成約につながりやすくなるはずです。
SPIN話法を使う際は、次の流れに沿って活用することが重要です。順番を間違えないようにしましょう。
それぞれ解説します。
まずは営業する顧客の情報を調査しましょう。その際に注意するポイントは、顧客が扱う商品やサービスに起こり得るトラブルや欠点、課題などをあらかじめ抽出し、質問のシナリオを作成することです。
事前準備なしではSPIN話法のメリットを活かしきることができませんので、しっかりと準備しておきましょう。
SPIN話法のポイントは、以下のフローが重要です。
この流れを忘れずに実践しましょう。
SPIN話法を使った営業では、まず相手の話を聞くことが先立つため、自社の商品やサービスの提案は最後までしません。相手が課題に気付くまで、じっくりと質問しながら課題へと誘導しましょう。
相手の課題が見つかり、顕在化できたら、その課題(問題)がもたらす悪影響を具体的に意識させましょう。そうすることで顧客が課題解決の重要性を認識し、あなたが提案する商品やサービスの導入への抵抗がなくなり、成約する可能性が高まります。
自社の商品やサービスの提案は、あくまでも最後に行います。しっかりと相手の課題や問題を抽出できれば、スムーズな提案ができるはずです。あらかじめ事前準備しておいたポイントを中心に提案し、クロージングしましょう。その際は、次回のアポ取りも忘れずに行ってください。
営業で大事なのは、クロージングした後のフォローです。最初の営業で成約すれば問題ありませんが、なかなかそうは行きません。そこで、クロージングしたらすぐに営業で話したヒアリング結果をまとめ、解決方法とともに資料としてメールしましょう。
表立っての内容は、あくまで営業させていただいた「お礼」としての挨拶をし、そこに添付する資料として送ります。
お礼とともに、これまで気づかなかった課題や解決できるソリューションまで提示されれば、相手も悪い気がするはずがありません。ただ、いきなり見積もりなどを添えると営業されていると捉えられる可能性があるため、次回のアポが取れている場合は深追いしないことも大切です。
このようにSPIN話法を使うことで、相手の知りたい情報を得られるだけでなく、相手が持つ潜在的な課題に気づかせることができます。
これまで気づけなかった課題を抽出してあげることで、相手はあなたが提案する課題解決に必要なソリューションを受け入れやすくなるはずです。
この記事をお読みいただいたあなたの営業手法の1つに、SPIN話法をぜひ追加してください。