残業しないことは目的ではなく、
手段であり実現したいものがあるはず!
これを逆にしてしまうと、
本来の目的が損なわれてしまうのでは?
なぜ組織でこうしたことが起きるのか?
リーディング・ファシリテーターの
佐藤裕耶(さとうひろふみ)です。
多くの組織で働き方改革が進められています。
しかし、組織で事業を進めようとすると、
時に手段が目的化されてしまうことも
少なくありません。
例えば、残業しないことは目的ではなく、
それを手段として実現したいものがあるはず。
それを逆にしてしまうと、
本来の目的が損なわれてしまうことも…。
なぜ組織でこうしたことが起きるのか、
その解決のヒントを得たくて
この本を手に取りました。
うまくいかないことを
他の部署や人のせいにしてしまうと、
ますますその不満は勝手に膨らみ、
組織はモンスター化する。
これを解決するには、
組織のメカニズムを正すことが大切であり、
それには単純に組織制度を変えればよいのではなく、
組織に対する社員の安心感を作ることが大切
と書かれています。
この組織のメカニズムの正し方は会社ごとに違うため、
正し方のスキルを上げるには、経験を積むしかなく、
それを疑似体験できるように、
本書では 8 つの事例を紹介しています。
この答えのヒントが本書のCase 8 に書かれていました。
トップから指示を出されるだけだと、やらされ感が残り、
行動が前向きになりません。
こうした中で、いつの間にか手段が目的化されてしまいます。
ただ指示を出すだけでなく、自ら考えさせ、
工夫させることが大切と本書では説いています。
本書では組織の本質的課題として、
「二元論の幻覚病」「ゴシップ蔓延病」「武勇伝の陶酔病」
というものを挙げています。
本当は見方によってはどちらも正しいかもしれないのに、
お互いを間違っていると非難しあい(二元論の幻覚病)、
それを悪気もなく陰で言ってしまうと話に尾ひれがついて、
ますます対立構造が深刻化してしまいます(ゴシップ蔓延病)。
また、その対立構造において、一方に過去の成功体験があると、
それに縛られて、新しい事業を推進する力に
ブレーキがかかってしまいます(武勇伝の陶酔病)。
このような状況では、社員は組織に対して安心感を持てません。
言い換えると、組織内に安心感をもたらすにはどうしたらよいか。
そのキーワードとして、
「柔軟でフラットな組織づくり」が書かれています。
具体的な方法の一つとして、
著者である「株式会社リブ・コンサルティング」で
実施されている「ライフウェイク」というものが紹介されています。
これは社員全員で、幼少期から現在までの人生を共有し、
価値観や自身のルーツについて理解し合うというものです。
これを定期的に行うことで、
社内に相互尊重が生まれます。
このような組織にはとても安心感があります。
「モンスター組織」というタイトルを見て、
自分には関係ないと思った方こそ、発見があると思います。
場の安心感というキーワードは、組織だけでなく、
日常のコミュニティ作りにも通じ、
多くの方に役立つスキルだと思います。
執筆者プロフィール
佐藤裕耶(サトウ ヒロフミ)
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