『MI:個性を生かす多重知能の理論』の要約|書籍紹介
タイトル:MI:個性を生かす多重知能の理論
著者:ハワード ガードナー
▲引用:MI:個性を生かす多重知能の理論
著者略歴
ガードナー・ハワード
1943年、ペンシルベニア州生まれ。ハーバード大学大学院修了、Ph.D.現在、ハーバード大学教育学大学院教授(認知・教育学)、プロジェクト・ゼロ運営委員長。専門は認知心理学、神経心理学
ファシリテーターの感想・おすすめのポイント
◆IQはひとつではない!◆知能は、たった一つのIQで表されると信じられています。しかし、アインシュタインもイチロー選手も、共にすぐれた大脳の能力を示す人の例ですが、二人をIQで比較しても意味がありません。それぞれ、異なる能力なのです。著者ガードナーは、ハーバード大学のたいへん有名な心理学者ですが、このように、知能には「いろいろな」知能があり、人間はそれぞれに、そのいずれかに優れていたり苦手だったりするのだと述べ、「多重知能=MI理論」を提唱しました。この理論の最新の考え方を、著者自ら書き下ろした本書は、発売以来、心理学ばかりでなく教育や実業界にまで大きな反響を呼んでいます。
目次
日本の読者へ
1章 知能と個性
2章 多重知能理論が現れる前
3章 多重知能の理論―私的な観点から
4章 追加できる知能はあるか?
5章 道徳的知能はあるか?
6章 多重知能についての誤解と真実
7章 多重知能をめぐるQ&A
8章 創造者とリーダーの知能
9章 学校における多重知能
10章 理解を高めるMI学習法
11章 学校の外における多重知能
12章 知能をもつのはどういう人か?
本書の要点
日本の読者へ
教育方法が効果的であるためには、二つの要因が必要です。
一つは、確固たる科学根拠にもとづいていることです。
もう一つの要因として、価値や目標もまた、絶えず考慮する必要があります。
新世紀になって、日本やアメリカなど主要国の成功と失敗がどうであれ、教育をその根本から考え直す必要があります。
この本に述べる個人差や学習についての考え方がそういう努力に対して、なにほどか貢献できればと思っています。
1章 知能と個性
知性ある人
過去数世紀にわたって、とくに西洋社会では、ある特定の理想が広まることとなった。すなわち「知性ある人」という理想である。
しかし、新しいミレニアムを迎えた今日、二種類の新しい知的達人が重きをなすようになった。
シンボルアナリストは、通常コンピュータ画面に表示される数や言葉の羅列の前に何時間も座って、複雑に入り組んだ記号のなかの意味をすぐさま取り出すことができる。
マスターオブチェンジは、新しい情報をただちに得て、問題を解決し、たえず移動し拡散している人々と「緩やかに」つながりながら、変化する状況にやすやすと順応する。
知能検査から多重知能(MI)へ
ほんの過去半世紀のあいだに、人間の心と人間の脳についての私たちの理解は、根本的に変わった。
人間は一連の能力や洗剤能力をもっているー<多重知能(MI)>をもつという証拠を示そう。
これらの知能は、個々に、また互いに協調して、さまざまに生産的に用いることができる。
新ミレニアムの課題は、たんに私たちのさまざまな知能を研ぎすまし、それらを適切に利用する。
私たちは、どのように知能と道徳とを協同させて、多様な人々が生きたいと願うような世の中を創り出すことができるのかを、見つけ出さねばならない。
2章 多重知能理論が現れる前
知能についてカギとなる三つの疑問
単一か、複数か?
一番目の疑問は、知能は単一だろうか、それとも、さまざまな比較的独立した知的能力があるのだろうか、というものである。
純粋主義者は、単一の、いかなる能力にも付随する「一般知能」の概念を擁護してきた。
多元論者は、知能は多くの分離可能な要素によって構成されていると解釈した。
遺伝するか?
知能は(単一であれ複数であれ)、主として遺伝によって決まるのだろうか?
統計では、IQがかなり遺伝されるということが示されているわけだが、それでも多くの学者は、「生物学的家系が知能を大部分決定する」という見方に反対している。
検査にバイアスがないか?
知能検査にはバイアスがあるのだろうか?
初期の知能検査では、特定の項目に含まれる文化的な仮定が目立っていた。
3章 多重知能の理論―私的な観点から
最初に提唱された七つの知能
<言語的知能>に関するのは、話し言葉と書き言葉への感受性、言語を学ぶ能力、およびある目標を成就するために言語を用いる能力などである。
<論理数学的知能>は、問題を論理的に分析したり、数学的な操作を実行したり、問題を科学的に究明する能力に関係する。
<音楽的知能>は、音楽的パターンの演奏や作曲、鑑賞のスキルを伴う。
<身体運動的知能>は、問題を解決したり何かを作り出すために、体全体や身体部位(手や口など)を使う能力を伴う。
<空間的知能>は、広い空間のパターンを認識して操作する能力(たとえば、航海士やパイロットが用いる能力)や、また、もっと限定されたはにのパターンについての能力(彫刻家や外科医、チェス・プレーヤー、グラフィック・アーティスト、建築家などに重要な能力)が特徴である。
<対人的知能>が指しているのは、他人の意図や動機づけ、欲求を理解して、その結果、他人とうまくやっていく能力である。
<内省的知能>は、自分自身を理解する能力に関係する。
4章 追加できる知能はあるか?
博物的知能
事例をある集団(より正しくは種)のメンバーだと認識し、ある種のメンバー間を区別し、他の近接の種の存在を認識し、そして、正式、非正式に、いくつかの種間を図示するという、中核となる諸能力
実存的知能
宇宙の深奥ー無限大と無限小ーに自らを位置づける能力であり、それに関連して、人生の意義、死の意味、物理的・心理的な世界の究極の運命、人を愛したり芸術作品に没頭するなどの深遠な経験といった、人間的な条件の実存的特徴との関係に自らを位置づける能力である。
5章 道徳的知能はあるか?
道徳的領域を記述する
道徳的な領域では、「生の尊厳」を支配する規則や行動、態度への関心が中心となる。
生の尊厳はとくに、人命の尊厳、または多くの場合、あらゆる他の生物と、それらが住む世界の尊厳である。
道徳的意識には、そのような問題を認めて判断する能力が要求される。
6章 多重知能についての誤解と真実
誤解1
八つないし九つの知能が見つかったのであるから、研究者は、各種のテストを作り、それぞれに関する得点をとらえられるし、たぶん、そうすべきだ。
真実1
MI理論は、研究者が構成概念を取り出し(外向性やだまされやすさなど)、それから、その程度を評価するためにテストを作るという標準的な精神測定のやり方を批判している代表者だと言える。
したがって、MIテストのバッテリーをもつというのは、この理論の主張と一致しない。
7章 多重知能をめぐるQ&A
Q1
用語には混乱してしまう。知能とは、成果、過程、内容、スタイルなのだろうか、あるいはこれら全部なのだろうか?
A1
基本的に、知能は、特定の種類の情報を特定の種類の方法で処理するような、私たちの種の生物心理学的な潜在能力のことを指している。
そのようなものとして、明らかに、専用の神経ネットワークによって実行される<過程>に関係している。
はたらいている知能を表現する神経回路を特定できるようになるまでは、あるときにどの知能がはたらいているのかを明確に知ることはできないだろう。
8章 創造者とリーダーの知能
リーダーの知能
第一に、リーダーは言語の才能がある。
彼らは効果的なストーリーを語り、しばしばうまく書くことができる。
第二に、彼らは強い対人的スキルを示す。
彼らは、自分が影響を与えられる他人の、熱望や恐怖を理解する。
第三に彼らは良い内省的な意識をもっている。
つまり、自分の長所や短所、目標を鋭く自覚している。
最後に、最も有能なリーダーは、実存的な疑問に対処することができる。
徴収が生活状況を理解し、目標を明確にし、有意義な探究にたずさわっていると感じるように、手助けする。
9章 学校における多重知能
MI環境を確率するための手順
MI理論を実践する手順
1 MI理論と実践について、もっとよく知る
2 研究グループを作る
3 MIの考え方を実践している機関を訪問する
4 MIの考え方をテーマにした会議に出席する
5 学校のネットワークに参加する
6 MI理論と方法の世界に取り組むことから発展する活動、実践、プログラムを計画し開始する
10章 理解を高めるMI学習法
多重知能による、焦点を絞った学習法
入口
生徒に興味をもたせ、トピックのただなかに置く方法を見つけることから始めよう。
私は少なくとも、七つの別個の入口を確認した。
これらはおおよそ、特定の知能と結びついている。
1 語りによる入口
2 量的・数的入口
3 論理的入口
4 根本的・実存的入口
5 美的入口
6 体験的入口
7 社会的入口
アナロジーを話す
ここでは、教師(または生徒)は、あまりなじみのないトピックの重要な側面を伝えることができる有効なアナロジー(類推)を、すでに理解している教材から引き出すように求められる。
核心に迫る
「長所や表象形式には個人差があるという心理学的な知見を用いて、トピックの最も重要な、つまり核心となる概念を、確実に伝えられるような教育法を創造できるだろうか?」
カギとなるステップは、概念がよく理解され、理解していることを十分よく示す行動を起こせるのは、その概念の核心となる特徴をいくつかのやり方で表象するときだけであるということを認識することである。
11章 学校の外における多重知能
ビジネスと教育の世界
仕事で生き残っていこうとすれば、仕事しながら学び続けねばならない。
どちらの組織も、快適に働き、学べる共同体を創造しなければ、困ることになる。
ビジネスは、学校と同じように、ますます過渡的な状況にあるとはいっても、共同体であり、人々がうまくやっていくことを学ばなければならない。
12章 知能をもつのはどういう人か?
知能の評価
どんな社会でも、最もふさわしい人たちを重要な地位に就けたいが、望ましいニッチには、受け入れられるよりずっとたくさんの候補者がいることが多い。
したがって、何らかの形の<評価>が、ほとんど不可避になる。
しかし、知能の定義を制限しても、どういう評価の方針に従うべきか、という重要な問題が残る。
重要なのは、知能を個々に、または協調させて使って、社会的に価値ある課題を実行することである。
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