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『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』の要約|書籍紹介

タイトル:リーダーになる人に知っておいてほしいこと

著者:松下 幸之助

▲引用:リーダーになる人に知っておいてほしいこと

著者略歴

パナソニック(旧松下電器)グループ創業者、PHP研究所創設者。明治27(1894)年、和歌山県に生まれる。9歳で単身大阪に出、火鉢店、自転車店に奉公ののち、大阪電灯(株)に勤務。大正7(1918)年、23歳で松下電器を創業。昭和21(1946)年には、「Peace and Happiness through Prosperity=繁栄によって平和と幸福を」のスローガンを掲げてPHP研究所を創設。

 

ファシリテーターの感想・おすすめのポイント

パナソニックグループを創りあげた松下幸之助がその私財70億円を投じてはじめられた松下政経塾は、その後政財界に多くのリーダーを輩出してきた。

それから30年が経ち、いまの日本は「百年に一度」の危機に瀕している。

それは実体経済面だけの話ではない。企業人、政治家・官僚が精神の危機に陥っているという点では、まさしく未曾有の危機なのかもしれない。

2008年後半からの景気悪化にともない、給与・賞与削減、人員削減といったリストラ策を決断せざるを得ない状況のなかで「リーダー不在」が叫ばれる日本。リーダーたるものまたリーダーを目指す人は日々なにを心がけておくべきか。

本書は、松下が当時の塾生たちにその思いを切々と伝えつづけた未公開テープ約百時間を中心にしつつ、政経塾の人間教育をベースにして構成されたものである。

物事の本質を見極め衆知を集めつつ道を切りひらいていく人材となるために大切なことが凝縮された一冊。



目次

[I部]成功するために知っておいてほしいこと 

  • 第1章 素直な心で衆知を集める 
  • 第2章 自修自得で事の本質を究める 
  • 第3章 日に新たな生成発展の道を求める 

[II部]リーダーになる人に知っておいてほしいこと 

  • 第1章 素志貫徹 ――道を切りひらくために 
  • 第2章 自主自立 ――智慧と力を集めるために 
  • 第3章 万事研修 ――すべてに学ぶ人となるために 
  • 第4章 先駆開拓 ――新たな歴史の扉を開くために 
  • 第5章 感謝協力 ――真の発展を目指して

 

本書の要点

序にかえて

成功する人とは

  成功の条件は、頭のよさでも勤勉さでもない、というのです。

  そして、ならばその条件は何かと問われると、「運」と「愛嬌」、そしてそのうえでの賢さ、勤勉さなどの能力

  

 成功するリーダーとは

  「知識でなく知恵」、知識でわかるのではなく、心でわかる、つまり「悟る」ということでした。

  日頃の些細なことを大事にし、それに真剣に取り組むことの必要性を説いたのです。

  危機の時代だからこそ、リーダーたる人はまず目先の厳しい現実と闘わなければなりません。

  リーダーたるもの、またリーダーを目指す人たちは、みずから軸足を固め、眼前の目標に全精力を傾けていく覚悟が必要とされる時代がやってきました。

  本書の内容が、多くの方々に幾ばくかお役に立つことができれば幸いです。

 

[I部]成功するために知っておいてほしいこと 

第1章 素直な心で衆知を集める 

 物事の本質を見る眼

  素直になれば、物事を色眼鏡で見ないようになる。

  赤は赤、黒は黒に見えるようになる。

  本質が見えるようになる。そうすると、過ちが少なくなる。

  融通無碍な人間になれる。

  「素直な心になりましょう。素直な心はあなたを正しく聡明にします」 

 

 よいことは素直に取り入れる

  戦術・戦略も大事。

  しかしそれ以上に、何が正しいかということを忘れてはならない。

  そうでなければ大事は決行できないものだ。

  ぼくはね、じっと考えてみたら、いちばん素直な人は太閤秀吉やと思うな。

  「素直な心になりましょう」というて標榜しているやろ。

  その素直な心を、誰よりも強いものをもっとるのや、秀吉は。

  だから意見が出るわけや。

  真実がわかる、実相がわかるから、それを表現するわけや。

 

 知恵がどんどん湧いてくるコツ

  大きく生きる。

  小さなことにはこだわらず大きく生きる。

  知識にとらわれないで大きく生きる。

  それができるようになると、知恵がどんどん湧いてくる。

  知識にとらわれたりしたらあかんで。

  そうすると、知識以外のことが、どんどん出てくるわけや。

  それが自分の身に降りかかってくるようにならないと具合悪いな。

 

第2章 自修自得で事の本質を究める 

 知識にふり回されない

  知識は道具である。

  知識の奴隷になってはいけない。

  知識の”主人公”になる。

  縦横無尽に知識を使いこなす。

  われわれは勉強することがたくさんある。

  お互いにだんだんと人間の把握をしていくと。

  その間に、技とか知識とか、そういうものを広げなくてはならない。

  そういう人間についての把握ができていなければ、知識が進むほど問題が多くなってくる。

  ついには知識と知識とが噛みあって、ケンカばかりしているということになる。

 

 成功のコツをつかむまでやめない

  一事に成功すれば万事に成功する。

  一事に成功できない者が、あせって万事に手を出してもそうそう成功するものではない。

  まずは成功のコツをつかむまで努力をやめない。

  そして、使命感と気力、この二つなくして真の成功はない。

  一つの道において経営のコツをつかんだ、いわば名人に達した人なら、どんな仕事をしても必ず成功する。

  

 人間の本質を知る

  われわれ人間は、お互いに「飼いあい」をしていると考えればいい。

  だから、成功しようと思うのなら、まずは「相手の本質を知る」、つまり「人間というのはこんなもんや」ということを知る。

  そこから出発していけばいい。

  そやから会社を経営するうえでも、成功しようと思ったら、従業員も人間やから、人間とはこんなもんやという本質を知る、そこから出発しないといかんわな。

 

第3章 日に新たな生成発展の道を求める 

 その日その日を生きる

  人間は大きな運命の流れの中で生きている。

  その流れに素直に乗るには、まずはその日その日を充実させて生きていくことが大切である。

  人間というのは、わからんもんや。

  予定どおりにやろうとしても、そんな予定どおりにいくものではない。

  その日その日を充実してやったら、ちゃんとやっていけるやろうと、こうまあ思っているわけや。

 

 迷うだけ迷う

  迷うだけ迷えばいい。

  けれどもそのあいだはじっとしていること。

  光明が見えるまで、迷いながらも勉強し研究し続けること。

  その迷いが大きいほど、偉大なものが生まれるはず。

  でも、迷わないでいいことでは、決して迷わないように。

 

 すべてのものが生かされている

  すべてのものが、すべての分に応じてこの世に生かされている。

  人知が進めば、それはいつの日か実現するはずだ。

  廃物利用という言葉があるけれども、まったくの廃物というものはない。

  利用する道を知らんから廃物と言っているわけや。

  

 

[II部]リーダーになる人に知っておいてほしいこと 

第1章 素志貫徹 ――道を切りひらくために 

 初志を貫いて生きる

  一事を貫くということは、むずかしいようで非常に効率的である。

  いやだと思う仕事でも、腹を決めて取り組む。初志を貫くことで道はひらけてくる。

  成功している人を見ると、やはり困難があっても途中でやめずに、初志を貫いていった人が成功しているな。

  転々とする人は転々としたことによって成功するという場合もあるけど、概して失敗が多い。  

 

 正しい思いは必ず成就する

  今ほど成功しやすい時代はない。

  瞬間に成功を得ることができる。

  もちろん逆もまた然りである。

  だから、まずは思うこと。

  それが正しい思いであれば、必ず成就する。

  成就しないのは、他が悪いのではなく、自分自身に過ちがあると思うべきだ。

  必ずこれはやってみせる、やれるにちがいないという信念があったら、ほとんどかなうということや。

 

 勝つか負けるかわからないときには

  仕事の勝負と賭け事は違う。

  絶対に成功するということを確実にしてやるべきだ。

  これはやるべきものだと思い、行動の善なることを信じてやる。

  そのために勉強もする。

 

第2章 自主自立 ――智慧と力を集めるために 

 何事にも熱意が基本

  何事にも基本となるのは、熱意である。

  四六時中、頭の中は仕事のことでいっぱいになる。

  そうなると不思議なもので、新しいことが浮かんでくるものだ。

  浮かばないとしたら、それは熱意がたりないことにほかならない。

  基本は熱意や。単なる知識や小手先で考えたらいかん。

  熱意、求めるもの、要望するものがなかったら何もできん。

  熱心さは必要に迫られ、切羽詰まったら自然に生まれてくる。

 

 一言一句の力

  成功する人は、一言一句が相手の胸を刺すものだ。

  しかもそれが自然と出てくる。

  心の動くままに言葉にあらわれてくる。

  成功する人の一言一句は全部相手の胸を刺すわけや。

  そういうものは刺そうと思わなくても自然に出てくる。

 

 進退きわまると人間は強い

  進退きわまったときの人間ほど強いものはない。

  「やらざるを得ない。これをやらなければ、あす死んでしまう」くらいの気持ちがあれば、たいていのことは成就するものだ。

  やっていいか悪いかということが世間ではわからんことでも、自分の信念によって、これをやらないといかんと思って、やれば、誰かがやっぱりそれを認めてくれる。

 

第3章 万事研修 ――すべてに学ぶ人となるために 

 教訓はいたるところにある

  心して見る。

  そして、尋ねてみる。

  すると、幾とおりもの答えが出てくる。

  幾とおりもの、ものの見方があることがわかってくる。

  心して見れば、教訓はいたるところにあるわけやな。

 

 簡単な一歩から始める

  武士は、いずまいを正すこと、つまり「座る」ことが基本だった。

  仕事にも儀礼がある。

  挨拶や掃除は、業績とは一見関係がないように思えるけれど、人間としての基本であり、きわめて大切なことである。

  服装とか、身の回りをきちんとする。

  何事もこれが基本。

  現在、いくら業績がよく順調であっても、結局において成功するのは、そういう基本的なことをまじめにやっているところやな。

 

 きょうの仕事を忘れない

  どんなに向上心があっても、きょうの仕事を忘れてはいけない。

  まずは世間の味を知り、人間を知る。

  それがいずれ国家への思いにつながる。

  その大きな理想への過程の一コマが、きょうの一コマである。

 

第4章 先駆開拓 ――新たな歴史の扉を開くために 

 自分の力で生み出す

  やると決めたからには、日本一、世界一を目指す。

  世間の常識は必要、しかしそれにとらわれていては、大事はなせない。

  結局は、君自身に学校へ行かなくてもやれるんだというくらいの強い意思がなかったらあかんで。

  そこへ行かないと困る、あそこへ行ったほうがいいというようなことにとらわれていたら、大人物にはなれない。

 

 知識にとらわれない

  今までやってきたこと、それを一ぺん白紙に戻す。

  その知識にとらわれず、一からやり直す。

  すると、その捨てたものも有意義に働き始める。

 

  あんまりとらわれて、やらんほうがいい。

  まあ一ぺん白紙に返すことや。

  一からやり直しても、いったん習ったものは忘れない。

  やっぱり身についているから。

  けれどもな、それにとらわれたらあかん。

 

 現実が大事

  百歩先、十歩先、一歩先、それぞれを見ることが大事である。

  しかし、まずは一歩先を見なければならない。

  一歩先を見る人は成功する、十歩先を見る人はあまり成功しない、百歩先を見る人は失敗すると、こう世間では言うな。

  それは現実が大事やということを言うているわけや。

 

第5章 感謝協力 ――真の発展を目指して

 自分を使いこなす

  人間の心は伸縮自在である。

  まずは自分の心を使いこなすこと。

  自分を使いこなすことができないようでは、他人を使いこなすことなどできるわけがない。

  

 長所と欠点

  部下や後輩や生徒には教えるだけでなく、裸の一個人の人間としてつきあい、話しあい、学びあう姿勢を忘れない。

  生身の人間というものは長所もあれば欠点もある。

  そのつもりでつきあってもらわないと、この人は偉い人やと思ってつきあっていたら、偉い人の欠点がわかったときに失望する。

 

 和がなければすべてが無となる

  和を第一とする。

  和なくして強い力は生まれない。

  それを頭でわかるのではなく、心に入れておく。

  和をもって協力するということが何より大事やから、そいつをしっかりとひとつ頭に入れておいてくれや。

  頭に入れるより、胸に入れてくれや。

  心に入れておいてくれや。それが大切や。

 

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