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『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』の要約|書籍紹介

著者:ピーター・F・ドラッカー (著)

▲引用:マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

著者略歴

ファシズムの起源を分析して、イギリスの後の宰相ウィンストン・チャーチルの絶賛を受けた初の著作『「経済人」の終わり』、GMのマネジメントを研究した『企業とは何か』をはじめ、40冊近い膨大な著作群は、「ドラッカー山脈」とも呼ばれる。

ドラッカー教授の専門領域は、政治、行政、経済、経営、歴史、哲学、心理、文学、美術、教育、自己実現など多方面にわたっており、さまざまな分野に多大な影響を及ぼした。

東西冷戦の終結、高齢化社会の到来、知識社会への転換といった社会の根源的な変化をいち早く示した現代社会最高の哲人であるとともに、マネジメントの体系を確立し、「分権化」「自己目標管理」「民営化」「ベンチマーキング」「コアコンピタンス」などマネジメントスキルのほとんどを生み出したマネジメントの父である。

GEのジャック・ウェルチ、P&Gのアラン・ラフリーなど、ドラッカー教授を師と仰ぐ世界的経営者は多い。『エクセレント・カンパニー』のトム・ピータース、『ビジョナリー・カンパニー』のジム・コリンズといった著名な著述家たちも薫陶を受けている。

親日家としても知られる。1934年、ロンドンの街角で雨宿りに偶然入った画廊で目にした日本画の虜となり、室町水墨画などのコレクションを有する。

2005年、あと8日で96歳の誕生日を迎えるという日に永眠。「20世紀の知的巨人」「マネジメントの父」など教授を称する言葉はたくさんあるが、本人は自らを社会生態学者と規定した。

ファシリテーターの感想・おすすめのポイント

ドラッカーが自らのマネジメント論を体系化した大著『マネジメント――課題、責任、実践』のエッセンスを、初心者向けに一冊にまとめた本格的入門書。本書は、マネジメントの仕事とは実践であり、成果を出すことであると明確に規定する。そして、そのためにマネジメントが果たすべき使命と役割、取り組むべき仕事、さらには中長期的に考えるべき戦略について、具体的に解説する。組織で働く人に、新しい目的意識と勇気を与える書。

目次

日本の読者へ

まえがきーなぜ組織が必要なのか

序 ー 新たな挑戦

Part1 マネジメントの使命

1 マネジメントの役割

第1章 企業の成果
2 企業とは何か
3 事業とは何か
4 事業の目標
5 戦略計画

第2章 公的機関の成果

6 多元社会の到来
7 公的機関不振の原因
8 公的機関成功の条件

第3章 仕事と人間

9 新しい現実
10 仕事と労働
11 仕事の生産性
12 人と労働のマネジメント
13 責任と保障
14 「人は最大の資産である」

第4章 社会的責任

15 マネジメントと社会
16 社会的影響と社会の問題
17 社会的責任の限界
18 企業と政府
19 プロフェッショナルの論理 ー 知りながら害をなすな

Part2 マネジメントの方法
20 マネジメントの必要性

第5章 マネジャー

21 マネジャーとは何か
22 マネジャーの仕事
23 マネジメント開発
24 自己管理による目標設定
25 ミドルマネジメント
26 組織の精神

第6章 マネジメントの技能

27 意思決定
28 コミュニケーション
29 管理
30 経営科学

第7章 マネジメントの組織

31 新しいニーズ
32 組織の基本単位
33 組織の条件
34 五つの組織構造
35 組織構造についての結論

Part3 マネジメントの戦略

36 ドイツ銀行物語

第8章 トップマネジメント

37 トップマネジメントの役割
38 トップマネジメントの構造
39 取締役会

第9章 マネジメントの戦略

40 規模のマネジメント
41 多角化のマネジメント
42 グローバル化のマネジメント
43 成長のマネジメント
44 イノベーション
45 マネジメントの正当性

結論
付章 マネジメントのパラダイムが変わった
編訳社あとがき

 

本書の要点

Part1 マネジメントの使命
第1章 企業の成果
第3章 仕事と人間
第4章 社会的責任


Part2 マネジメントの方法

第5章 マネジャー
第6章 マネジメントの技能
第7章 マネジメントの組織

Part3 マネジメントの戦略

要約

日本の読者へ

 私の大部の著作『マネジメント――課題・責任・実践』からもっとも重要な部分を抜粋した本書は、今日の日本にとって特に重要な意味を持つ。日本では企業も政府機関も、構造、機能、戦略に関して転換期にある。そのような転換期にあって重要なことは、変わらざるもの、すなわち基本と原則を確認することである。そして本書が論じているもの、主題としているもの、目的としているものが、それら変わらざるものである。

 事実、私のマネジメントについての集大成たる『マネジメント』は、一九五〇年代、六〇年代という前回の転換期における経験から生まれた。まさにその時期に、二〇世紀のアメリカ、ヨーロッパ、日本の経済、社会、企業、マネジメントが形成された。日本を戦後の廃墟から世界第二位の経済大国に仕上げたいわゆる日本型経営が形成されたのもこの時期だった。 

 私のマネジメントとの関わりは、第二次大戦中、当時の最大最強の自動車メーカーGMでの調査に始まり、アメリカの大手鉄道会社と病院チェーンへのコンサルティング、カナダの政府機関再編への協力、日本の政府機関、企業への助言と進んでいった。



 それらの経験が私に教えたものは、第一に、マネジメントには基本とすべきもの、原則とすべきものがあるということだった。

 第二に、しかし、それらの基本と原則は、それぞれの企業、政府機関、NPOのおかれた国、文化、状況に応じて適用していかなければならないということだった。英語文化と仏語文化の共存が大問題であるカナダの政府機関再編での経験は、日本の自治体の再編、国との関係の再構築についての助言という私の次の仕事には役に立たなかった。同じように、歴史のあるアメリカのグローバル企業の組織構造は、たとえ同じ産業にあっても、創業間もない日本のベンチャー企業の組織の参考にはならなかった。

 そして第三に、もう一つの、しかもきわめて重要な「しかし」があった。それは、いかに余儀なく見えようとも、またいかに風潮になっていようとも、基本と原則に反するものは、例外なく時を経ず破綻するという事実だった。基本と原則は、状況に応じて適用すべきものではあっても、断じて破棄してはならないものである。



 ところが私は、当時、経験豊かな成功している経営者さえ、それらの基本と原則を十分把握していないことに気がついた。そこで私は、数年をかけて、マネジメントの課題と責任と実践にかかわる基本と原則を総合的に明らかにすることにした。

 

 実はその二〇年前、すでに私は、企業や政府機関のコンサルタントとしての経験と、二つの大学で役員を務めた経験から、同じ問題意識のもとにこの問題に取り組んでいた。その成果が、三〇カ国語以上に翻訳されて世界中で読まれ、今日も読まれ続けている『現代の経営』だった。それは全書というよりも入門書だった。

 

 しかし『マネジメント』は、初めからマネジメントについての総合書としてまとめた。事実それは、マネジメントに関わりをもち、あるいはマネジメントに関心をもつあらゆる人たち、すなわち第一線の経営者から初心者に至るあらゆる人たちを対象にしていた。

 その前提とする考えは、マネジメントはいまや先進社会のすべて、すなわち組織社会となった先進社会のすべてにとって、欠くことのできない決定的機関になったというものである。さらには、あらゆる国において、社会と経済の健全さはマネジメントの健全さによって左右されるというものである。そもそも国として、発展途上国なる国は存在せず、存在するのはマネジメントが発展途上段階にある国だけであるということに私が気がついたのは、ずいぶん前のことだった。

 

 『マネジメント』が世に出た後も、無数の経営書が出た。勉強になる重要なものも少なくない。しかしそれらのうちもっともオリジナルなものでさえ、扱っているテーマはすでに『マネジメント』が明らかにしていたものである。事実、この三〇年に経済と企業が直面した課題と問題、発展させた政策と経営のほとんどは、『マネジメント』が最初に提起し論じていた。

 『マネジメント』は、世界で最初の、かつ今日に至るも唯一のマネジメントについての総合書である。しかも私が望んだように読まれている。第一線の経営者が問題に直面したときの参考書としてであり、第一線の専門家、科学者が組織とマネジメントを知る上での教科書としてであり、ばりばりのマネジャー、若手の社員、新入社員、学生の入門書としてである。うれしいことには、企業、組織、マネジメントに直接の関わりをもたない大勢の人たちが、今日の社会と経済を知るために『マネジメント』を読んでくれている。

 

 マネジメントの課題、責任、実践に関して本書に出てくる例示は、当然のことながら、本書初版刊行時のものである。しかし読者におかれては、気にする必要はまったくない。それらの実例は、基本と原則を示すためのものであり、すでに述べたように、それらのものは変わらざるもの、変わりえないものだからである。

 したがって読者におかれては、自らの国、経済、産業、事業が今直面する課題は何か、問題は何か、行うべき意志決定は何か、そしてそれらの課題、問題、意志決定に適用すべき基本と原則は何かを徹底して考えていっていただきたい。さらには、一人の読者、経営者、社員として、あるいは一人の知識労働者、専門家、新入社員、学生として、自らの前にある機会と挑戦は何か、自らの拠り所、指針とすべき基本と原則は何かを考えていただきたい。

 

 世界中の先進社会が転換期にあるなかで、日本ほど大きな転換を迫られている国はない。日本が五〇年代、六〇年代に発展させたシステムは、他のいかなる国のものよりも大きな成果を上げた。そしてまさにそのゆえに、今日そのシステムが危機に瀕している。すでに周知のように、それらの多くは放棄して新たなものを採用しなければならない。あるいは徹底的な検討のもとに再設計しなければならない。今日の経済的、社会的な行き詰まりが要求しているものがこれである。

 

 二一世紀の日本が、私と本書に多くのものを教えてくれた四〇年前、五〇年前の、あの革新的で創造的な勇気あるリーダーたち、とくに経済のリーダーたちに匹敵する人たちを輩出することを祈ってやまない。そしてこの新たな旗手たちが、今日の日本が必要としているシステムと戦略と行動、すなわち、その構造と文化においてあくまでも日本のものであって、しかも新しい世界の現実、新しい働く人たち、新しい経済、新しい技術に相応しいシステムと戦略と行動を生み出し生かすうえで、本書がお役に立てることを望みたい。

本書がこの偉業に貢献できるならば、これに勝る喜びはない。それは私にとって、私自身と、体系としてのマネジメントそのものが、これまで日本と、日本の友人、日本のクライアントから与えられてきたものに対するささやかな返礼にすぎない。 

…… 

 二〇〇一年一一月

 カリフォルニア州クレアモントにて

                   ピーター・F・ドラッカー 

まえがきーなぜ組織が必要なのか

 

我々の社会は、 信じられないほど短い間に組織社会になった。

社会には、 組織が供給する財とサービスなしに やっていく意思も能力もない。

知識を通じて生活の質を稼ぎ、せいか分けて社会に貢献する機会が豊富に存在するのは、組織だけだからである。

 

組織をして高度な成果をあげさせることが、自由と尊厳を守る唯一の方法である。

その組織に成果を出せるものがマネジメントであり、マネジャーの力である。

 

経営者のほとんどが、もっぱらマネジメントの仕事を扱っている。

それらはマネジメントを内から見ている。

 

これに対し、本書はマネジメントの使命、目的、役割から入る。

マネジメントを外から見、その課題にいかなる次元があり、

それぞれの次元において何が要求されるかを見る。

しかる後に、マネジメントのための組織と仕事を見る。

さらにトップマネジメントと戦略を見る。

 

マネジメントは、以前にも増して大きな成果を上げなければならない。

本書の動機と目的は、今日と明日のマネジメントをして成果をあげさせることにある。

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マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

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