『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』の要約|書籍紹介
タイトル:世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
著者:津川 友介
著者略歴
津川 友介(ツガワ ユウスケ)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)助教授
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)内科学助教授。東北大学医学部卒、ハーバード大学で修士号(MPH)および博士号(PhD)を取得。聖路加国際病院、世界銀行、ハーバード大学勤務を経て、2017年から現職。共著書に『週刊ダイヤモンド』2017年「ベスト経済書」第1位に選ばれた『「原因と結果」の経済学:データから真実を見抜く思考法』(ダイヤモンド社)。ブログ「医療政策学×医療経済学」で医療に関する最新情報を発信しています。
ファシリテーターの感想・おすすめのポイント
今回ご紹介するのは
≪世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事≫です。
著者は、≪津川友介(つがわゆうすけ)≫氏。
本書は、
≪信頼できる最新データで体が変わる 病気になりにくいダイエットにも効果抜群≫です。
目次
第1章 日本人が勘違いしがちな健康常識
1 科学的根拠にもとづく本当に体に良い食事
2 食品に含まれる「成分」に惑わされるな
第2章 体に良いという科学的根拠がある食べ物
1 オリーブオイルやナッツは脳卒中やがんのリスクを下げる
2 果物は糖尿病を予防するが、フルーツジュースは糖尿病のリスクを上げる
3 魚は心筋梗塞や乳がんのリスクを下げる
第3章 体に悪いという科学的根拠がある食べ物
1 「白い炭水化物」は体に悪い
2 牛肉、豚肉、ソーセージやハムは健康に悪い
特別編 病気の人、子ども、妊婦にとっての「究極の食事」
本書の要点
はじめに
「もっと早くに先生の食事の話が聞きたかったよ」。
数年前、外来診察中に時間に追われながら、食事に関する注意点をしていた私に、ある患者さんがかけた言葉である。
病院で会う患者さんの多くは、何らかの病気をかかえている。
がんかもしれないし、糖尿病かもしれない。
10年前に私がその患者さんに会って、食事に関するアドバイスをしていたからといって、何も変わっていなかったかもしれない。
でも、ひょっとしたら、その人の食生活を良い方向に変えることができていたら、その人は病気で苦しまずに済んだかもしれない。
自分の中の一部がそう思っていた。
本書の読み方
本書を手に取ったあなたは、きっと健康への意識が高い人だろう。
残念なことに、日本のテレビやインターネット、本屋の健康本コーナーで目にする健康情報の多くは科学的根拠にもとづいておらず、間違ったものも多い。
今あなたが信じている健康情報は本当に正しい情報だろうか?
「科学的根拠のない健康情報」とは、一見正しそうな以下のようなものが該当する。
①炭水化物は健康に悪く、食べると太る。
②βカロテンやリコピンは健康に良い。
③果汁100%のフルーツジュースは健康に良い。
「イエス」と答えた人はぜひこの本を読んでほしい。きっと目からうろこが落ちるような発見があるだろう。
医師や栄養士が正しいとは限らない
「でも、医者や栄養士がそう言っていたのに……」と思う方もいるかもしれない。
専門の資格を持っていると正しいことを発信しているように見えるが、残念ながらそうとは限らない。
「○○が健康に良い」という情報は、商品の売り上げに大きな影響力を持つため、科学的根拠のない健康情報がマーケティングの一環として利用されてしまっているという側面があることも忘れてはならない。
膨大な研究論文からわかった「究極の食事」
せっかく健康意識の高い人が、テレビや本の誤った情報を信じてしまうことでその努力が無駄になったり、不健康になったりしてしまうのはとても残念なことだ。
この本では、健康になるという観点において、現時点で最も「正解に近い」と考えられている食事を説明している。
ここで推奨されている内容が、近い将来、新しい研究によって大幅に変わるとは考えにくい。
第1章 日本人が勘違いしがちな健康常識
1 科学的根拠にもとづく本当に体に良い食事
不動の「本当に健康に良い食品」5つ
結論から言おう。
長生きするためには、科学的根拠にもとづいた正しい食事をとることが最も確実である。
数多くの信頼できる研究によって本当に健康に良い(=脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる)と現在考えられている食品は、①魚、②野菜と果実(フルーツジュース、じゃがいもは含まない)、③茶色い炭水化物、④オリーブオイル、⑤ナッツ類の5つである。
逆に健康に悪いと考えられているのは、①赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない。ハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪い)、②白い炭水化物、③バターなどの飽和脂肪酸の3つである。
2 食品に含まれる「成分」に惑わされるな
「成分信仰」の落とし穴
「成分」は多くの消費者の興味をひきつけるため、マーケティングに使われているということを忘れてはいけない。
生活習慣の予防やダイエットを念頭に健康的な食事を考える場合は、成分に注目するのではなく、食品や食生活全般に注目するべきである。
「成分」は重要ではない
健康的な食事をするために必要なのは体に良い「食品」を選ぶことであり、成分が重要なのではない。
緑黄色野菜は体に良いが、それに含まれるβカロテンやリコピンといった「成分」が体に良いわけではない。
第2章 体に良いという科学的根拠がある食べ物
1 オリーブオイルやナッツは脳卒中やがんのリスクを下げる
日本食が体に良いと思っている人は多いだろう。
しかし、実は日本食が健康に良いというエビデンスは弱い。
日本食と健康に関する信頼できる研究結果が出るまでは、イメージだけで日本食が体に良いと盲信するのは危険である。
日本食が体に良いというエビデンスが弱い一方で、地中海沿岸地域の食生活である「地中海食」は健康に良いというエビデンスが複数ある。
地中海食はがんや糖尿病も減らす
フランスのリヨンで行われた研究では、バターやクリームを、αリノレン酸を豊富に含む特殊な油と置き換えることで、心筋梗塞の再発を50〜70%予防することができた。
また、地中海食は糖尿病になるリスクを30%下げることも他の研究によって報告されている。
2 果物は糖尿病を予防するが、フルーツジュースは糖尿病のリスクを上げる
野菜・果実は心筋梗塞や脳卒中のリスクを減らす
16の観察研究をまとめたメタアナリシスによると、1日の果物の摂取量が1単位(バナナなら1/2本、リンゴなら小玉1つ)増えるごとに、全死亡率(原因にかかわらず死亡する確率)は6%減り、野菜の摂取量が1単位(小皿1杯)増えると死亡率は5%減るとされている。
野菜や果物は食べれば食べるほど死亡率が減るものの、1日の摂取量が5単位(約385〜400g)を超えると、それ以上摂取量が増えても死亡率は変わらなくなる。
つまり、1日5単位食べれば健康上のメリットは十分であると言っても良いと考えられている。
「フルーツジュース」は糖尿病のリスクを上げる
英国医師会雑誌に掲載された大規模な観察研究の論文によって、果物をとっている人ほど糖尿病のリスクが低いことが明らかになっている。
果物の中でも、ブルーベリーやブドウを食べている人ほど特に糖尿病のリスクが低いことがわかっている。
さらに興味深いことに、フルーツジュースを多く飲んでいる人ほど逆に糖尿病のリスクが高いことがわかった。
3 魚は心筋梗塞や乳がんのリスクを下げる
魚を食べていたら長生きできるのか?
魚と健康に関してどこまでわかっているのだろうか。
まず死亡率を見てみよう。
2016年に欧州の権威ある栄養学の雑誌に12個の観察研究(合計67万人)のデータを統合したメタアナリシスの結果が掲載された。
その結果、魚の摂取量が多い人ほど死亡するリスクが
低いことが明らかとなった。
1日60gの魚を食べるとそれ以上食べてもプラスアルファのメリットは少ないと考えられる。
1日60gの魚を食べていた人は、魚を全く食べない人と比べて12%死亡率が低かった。
第3章 体に悪いという科学的根拠がある食べ物
1 「白い炭水化物」は体に悪い
健康に良い炭水化物と、健康に悪い炭水化物
巷では「糖質制限ダイエット」や「低炭水化物ダイエット」が流行っている。
これらのダイエット法に共通しているのは、「炭水化物」の摂取量を減らして、代わりにタンパク質や資質の摂取量を多めにするということである。
しかし、この炭水化物なら何でも減らすべきという考えは間違いである。
炭水化物には、「健康に良い炭水化物」と「健康に悪い炭水化物」がある
精白されている「白い炭水化物」は、血糖値を上げ、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による病気が起こるリスクを高める可能性があることが、数多くの研究から報告されている。
2 牛肉、豚肉、ソーセージやハムは健康に悪い
2015年10月、世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC)が、「加工肉は発がん性があり、赤い肉はおそらく発がん性がある」と発表した。
脳卒中や心筋梗塞のリスクも上昇
加工肉の摂取量が多くなるほど、全死亡率、脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化による死亡率、がんによる死亡率がいずれも上昇することが明らかになっている。
日本人においても牛肉や豚肉などの赤い肉や、ハムやソーセージなどの加工肉は、大腸がんのリスクを上げるだけでなく、脳卒中や死亡率の上昇にもつながる体に悪い食品であると考えられる。
特別編 病気の人、子ども、妊婦にとっての「究極の食事」
糖尿病の人にとっての「究極の食事」
糖尿病の患者さんにとって一番重要なのは、血糖のコントロールである。
そして、血糖値にとって大敵なのは、白い炭水化物と糖分である。
実は、ステーキなどの肉を食べても血糖値はほとんど上がらない。
赤い肉や脂質をたくさん摂取したら、血糖値は下がるかもしれないが、心筋梗塞や大腸がんなどのリスクが高まってしまう。
糖尿病患者さんの治療の目的は、血糖値というデータを直すことではなく、糖尿病によって起こる脳梗塞や腎臓病を防ぐことにある。
単に「数字合わせ」で血糖値のデータを良好に保っても意味がない。
いかがでしたか?この本からあなたの課題の解決につながる情報は見つかりそうですか?
今回ご紹介した書籍に、少しでも興味が沸いた際は、是非以下のリンクから本書の購入後ご検討ください。
【本書のAmazon紹介ページを確認する】
アルマ・クリエイションでは、日本最大級の読書会「リード・フォー・アクション」を運営しています。
リードフォーアクションは、日本最大級の、“行動するための読書会”ネットワークです。
話題の本の感想を分かち合ったり、仲間と一緒に読むことで、内容をより深く理解したり、新しい自分に出会ったり、同じ問題意識をもった仲間たちと解決方法を見つけ出すことができます。
気になる方は以下のリンクから、リードフォーアクションの情報をメールで受け取ることができますのでお気軽に会員登録をしてみてくださいね。
他の書籍も気になる方は以下のリンクからご自分にあった書籍を探してみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。