『鬼速PDCA』の要約|書籍紹介
タイトル:鬼速PDCA
著者:冨田 和成
▲引用:鬼速PDCA
著者略歴
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。現在は複数のメディアにて連載を持つなど、本業とシナジーのある分野において金融専門家としての活動も行っている。
ファシリテーターの感想・おすすめのポイント
★こんな方におすすめ
- キャリアアップと高収入を目指すビジネスマンの方
- チーム目標を任されているすべての管理職の方
- 急成長を目指す中小ベンチャーの経営者の方
- TOEIC高得点・MBA取得などを目標に勉強中の方
- 仕組みづくりにお悩みの店舗経営者の方
- 激しい市況の変化に対応している個人投資家の方
- お子様の受験勉強をサポートされている方
- パフォーマンスアップを目指すアスリートの方
目次
1章 前進するフレームワークとしてのPDCA
2章 計画初級編:ギャップから導き出せる「計画」
3章 計画応用編:仮説の精度を上げる「因数分解」
4章 実行初級編:確実にやり遂げる「行動力」
5章 実行応用編:鬼速で働くための「タイムマネジメント」
6章 検証:正しい計画と実行の上に成り立つ「振り返り」
7章 調整:検証結果を踏まえた「改善」と「伸長」
8章 チームで実践する鬼速PDCA
本書の要点
★「鬼速PDCA」のしくみ
- 目標へのロードマップの全貌をロジカルに導く「因数分解」
- キャパオーバーを防ぐ「工数棚卸しシート」
- 仕事の先送りがなくなる「半週ミーティング」
- 仕事のモレ・ムダがなくなる「鬼速進捗管理シート」
- 日々の気づきを行動に変える「なるほどシート」
- 自分を成長させる習慣を定着させる「ルーチンチェックシート」
★本書の特徴
- 272ページで40点以上の図版。圧倒的な「量」と「質」でPDCAを完全解説
- 営業と英語学習を事例に、各ステップを具体的にわかりやすく説明
要約
1章 前進するフレームワークとしてのPDCA
PDCAこそ最強のビジネススキルである
今の世の中、正解がどんどん変わる。
変わる前に手を打てる先見の明があれば理想だが、
それがなくても変化を察し順応する柔軟性があるだけでも、十分価値がある。
それはまさに PDCA 力である。
PDCA は対象を選ばない。
どのような業界、どのような職種であっても応用できる。
これほど万能なビジネススキルは存在しないと言っていい。
正確に言えば PDCAは個別のビジネススキルとは全く別の次元にある。
PDCAは、 個別のスキルの習得を加速させるためのベースだからである。
一般的なスキルアップ=
勉強量 × 勉強効率 × 経験量 × 経験効率 × ベース能力
そのうち、
勉強量 × 勉強効率 × 経験量 × 経験効率は、
いづれもPDCAで上昇させられる。
その上昇率も、PDCA習熟でアップが可能なのだ。
世間が抱くPDCAの6つの誤解
- 簡単だと思っている
PDCA自体も成長して行くものであって、終わりなどない。
- 管理職向けのフレームワークだと思っている
PDCAサイクルは統計学者が品質改善を目的として考案したマネジメント手法である。
そのイメージが強いばかりに、「自分がチームを持つ立場になったら考えればいい」と思っている若い世代が大勢いる。
PDCA は対象を選ばない。
ゴールを定め、そこへ最短距離を探りながら練習を続けるための原動力になるのが PDCA である。
個人レベルで、そしてプライベートな目標でも積極的に活用できるのである。
- 失敗するのは検証(C)が甘いからだと思っている
「仕事を進めるにあたって計画は誰でも入ってるし、 実行もできる。
ただ定期的な振り返りをしないからやりっぱなしになって、
結果的に同じ失敗を繰り返してする」と、検証フェーズをボトルネックと考える人が実に多い。
しかし、実は計画の段階で曖昧な計画しか立てておらず、
その結果、振り返りがしたくても大雑把な検証しかできていないというケースがほとんどだ。
- 課題解決のためのフレームワークだと思っている
最初の計画で立てたゴールを達成することである。
それにもかかわらず、多くの人は検証のフェーズで
「うまくいかなかった原因」ばかりに着目しようとする。
- 改善さえすれば終わっていいと思っている
PDCAには階層がある。
PDA サイクルはあたかもプロジェクトベースでひとつだけ回ってるような印象を受けるが、あらゆる PDCA には、さらにそれを含む上位の PDCA とそれを細分化した下位のPDCA がある。
例えば、ソフト開発の過程で致命的なバグが見つかり「バグを解決するための PDCA」 を行う。しかし、本来であればプロジェクトリーダーは「プロジェクトをトラブルなく予定通りに終わらせるためのPDCA」も 回しているべきである。
これが上位の PDCA だ。
- 大きな課題のときだけ回せばいいと思っている
本来、 PDCA は複数抱えることができるものであり、しかも、その対象を選ばない。
鶏と卵の関係にあるPDCAと自信
これは実際にやってみないと一生わからないだろうが、「PDCA」と「自信」は鶏と卵のような関係である。
PDCA を回すと自信が湧き、 自信が湧くから PDCA を続けられる。
特に PDCA を早い段階で身につけると PDCA力自体の向上によってレバレッジがかかる。
いままで難儀していたことでもすぐにマスターし、次のレベルに上がっていける。
すると仕事でも私生活でも、 自信が湧いてくる。
そこまでの成果が出ない段階でも、ゴールと現状のギャップを把握しながら計画を立て実行に移してるだけでも「前進している自分」を実感できる。
PDCAを極め、「鬼速」で回せるようになると、仕事に一切の迷いや不安がなくなる。そして、常にモチベーションを保ったまま、天井知らずに成果をあげられるのだ。
鬼速PDCAとは何か
鬼速 PDCA の解説の前に、改めてPDCAサイクルをおさらいする。
- 計画(PLAN)
- 実行(DO)
- 検証(CHECK)
- 調整(ADJUST)
計画を立て、
実行に移し、
その結果を検証して調整する。
一巡した時のアウトプットは改善案や伸長案になるはずだ。
それらを次のサイトに反映させて、 改めて計画、 実行、検証、調整を行う。
シンプルに整理されているが、あまりにもシンプルすぎて
「 PDCA を回すとどうなるのか?」
「 各フェーズでは具体的に何をするのか?」といった 一番知りたい答えが理解しづらい難点がある。
鬼速PDCAでは、PDCA のAを、一般的に知られている日本語訳の「改善」ではなく
「調整」としている。
「改善」だけに目を取られて、「伸長」を忘れないためである
PDCA に不慣れな人や組織の場合、大きな課題や目標をまず分析してみて、その中でも重要で効果が大きい指標に絞って、小さなPDCAをいくつか回したほうが、 断然扱いやすくなり、結果的に速くなる。
「鬼速」という表現には、個々のPDCAが速いという意味だけではなく、「その人の人生そのものの成長スピードが速くなる」という意味合いも込められている。
2章 計画初級編:ギャップから導き出せる「計画」
ステップ①ゴールを定量化する(KGIの設定)
この際のポイントは3つある
期日を決める
- 定量化する
- ゴールを適度に具体的なものにする
ゴールは必ず数字に落とし込む必要がある。
期日設定を含めて、定量化したゴールのことを本書では
KGI(Key Goal Indicator)と呼ぶ。
定性的な目標であっても、
それを数値化し、
具体的に把握しやすい状態に置き換える必要がある。
「痩せたい」→「体脂肪率20%未満」
「会社を大きくしたい」→「売上100億円」
「上司に認められたい」→「人事評価 A」
あらゆる PDCAは、たどり着きたいゴールを決めることから始まる。
その際に質問してみてほしい。
「 そもそも、なぜそのゴールを目指すのか?」
PDCA を回し始める前に、
あらためてその「背景」、つまり上位に位置する PDCA を
意識することが大切になる。
ステップ②現状とのギャップを洗い出す
ステップ③ギャップを埋める課題を考える
課題抽出は正確に、かつもれなく行うことが理想ではある。
鬼速で PDCA を回すにはこの段階でいかに物事を整理し、
深い分析ができるかが重要である。
ただいくら情報を集めて
課題やギャップを正確に把握しようとしても、
完全な把握などまずできないと思った方がいい。
むしろ、 課題を洗い出すために PDCAを回すという意識が重要なのだ。
ステップ④課題を優先度づけして3つに絞る
一般的に課題をリストアップすると
かなりの数になるはずである。
よって重要なのは、選択肢をふるいにかけ、
「やらないこと」を決めると同時に、「やること」
について優先付けを行うことである。
その時に使う基準は3つある
- インパクト(効果)
- 時間
- 気軽さ
インパクトと気軽さについては ABC の3段階評価を振り、
時間についてはその課題をクリアするために要すると思われる
工数(延べ時間や日数)を考え、
最終的には各課題に優先度を振っていく。
そして最終的には、3つの課題に絞り込む。
優先度づけのヒント
①インパクトのもっとも大きいもの最低でも一つ選ぶ
②インパクトがとっても短い時間でできそうなものがあれば選ぶ
③同列の課題が並んでいたら、気軽さを基準にして絞り込む
ステップ⑤各課題をKPI化する
課題が絞り込まれたら、次はそれらの課題を数値化していく。
KPI(Key Performannce Indicator)、結果目標である。
検証フェーズで客観的に進捗状況を把握するためのものであり、
ゴールに近づくための「サブゴール」のことだと思えばいい。
「部下から心を開いてもらえない」という課題の場合、
「1日に5分以上、雑談できたかどうか」といった基準で数字を追ったり、
自己評価で「今日は部下から自分にどれだけ話しかけてくれたかどうか」で点数付けをする。
KPI はあくまでも「目指すべき結果」であって、 行動の目標ではない。
「笑顔のトレーニングをするセミナーに参加する」
「部下全員に1日1回会話を仕掛ける」
などは行動目標であり、次の実行フェーズで設定するもので混同しないように気をつけたい。
「 セミナーに行った結果どうなりたいのか」
「部下と会話をして、どうなりたいのか」
の「どうなりたいか」の基準となるものが KPI である。
各課題のKPI を一つに絞ると良い
3つの課題から3つの KPI が決まることになるが、その中から「最重要 KPI」 を定めておくことが重要である。
ステップ⑥KPIを達成する解決案を考える
解決案とは「大まかな方向性」のことだ。
ここで考えた解決案は、4章で解説する実行フェーズで、
具体的なアクションへと分解され、
具体的なタスクに落とし込まれていく。
ステップ⑦解決案を優先度づけする
ステップ③と同じように
「インパクト」「時間(工数)」「気軽さ」の三つの基準で優先度をつけて行く。
優先度をつけるときの判断基準
・最重要 KPI 達成につながる解決案については、最低1つできれば2つ以上残す
・それ以外の KPI についてもできればインパクト重視で解決案を一つ残す
・短時間で終わるものについてはインパクトが弱くても残す
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