ビジネス文書研修を内製化|わかりやすい文書の書き方を徹底解説
ビジネス文書研修とは、ビジネスに必要な文書を、わかりやすく効果的に書くためのスキルを身につけるための研修です。
ビジネス文書の中には、社内文書や社外文書があり、フォーマットがある文書も多いでしょう。
しかし、提案書や企画書などのビジネスで重要な文書にはフォーマットやテンプレートがないため、社内研修で競合他社に勝てる文書の書き方を教育する必要があります。
競合に勝てる文書を書くためには、目的が明確で、相手に伝えるべきことがわかりやすく伝わることを重視しなければなりません。
そこで今回は、わかりやすいビジネス文書の書き方と、研修の仕方について徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
ビジネス文書とは
ビジネス文書とは、企業の社内や社外で扱うさまざまな文書やメールなどの総称で、大きく分けて社内文書と社外文書があります。
社内文書は、企業内でやりとりされる文書で、報告書や稟議書、届出書、通達書などがあります。そのため、正確さと簡潔さが重視される文書となります。また儀礼も最小限にとどめるのが一般的です。
社内文書に関しては、その多くが企業内で決まったフォーマットを使用することが多く、その様式に従うことで、比較的容易に作成できるでしょう。
一方社外文書は、自社以外の企業に対して送付する文書であるため、決まったフォーマットのある挨拶文などの他に、企画書や提案書などの重要なビジネス文書を書くケースも含まれます。
社外文書では、正確さだけでなく、形式を守ることも大切です。形式を守ることで、礼を尽くすことができるため、取引文書と社交・儀礼の文書に分ける必要があります。
取引文書には、見積書や請求書、契約書、発注書、納品書、領収書など、ある程度フォーマットの決まった文書だけではありません。
企画書や提案書は、ビジネス上で最も大事な書類の1つですが、書き方に決まりがないため、しっかりと研修を行い社員に教育する必要があります。
そこで以下では、企画書や提案書などのビジネス文書に特化した研修の目的とやり方を解説します。
ビジネス文書研修の目的とやり方
ビジネス文書研修の目的は、ビジネス文書の基本を理解し、相手に見やすく伝わりやすい文書の書き方を教育することにあります。
企画書や提案書は、自社の業績を大きく左右する重要な文書であるため、競合他社に勝つためにも社内全体でスキルアップを目指しましょう。
以下では、伝えたい情報を整理し、相手に明確かつ簡潔に伝える研修のやり方とコツを解説します。
ここにある内容は、そのまま研修で使えるようにまとめていますので、ぜひご活用ください。
良い文書を書くコツ
企画・提案書を作成する際に最も気をつけるべきことは「誰が読む(見る)か」を明確にすることです。
企画・提案書は、クライアントとなる社外の担当者や責任者に見てもらったり、提出したりしてプレゼンテーションすることの多い資料です。
そこで、読み手となるクライアントの担当者に対し、その企画を採用することで「どのようなメリットを得られるか」や「どのように問題の解決策を導けるか」を伝えることが重要です。
「PASBECONA(パスビーコーナ)の法則」で書く
人の心を動かす説得力のある文章には『PASBECONA(パスビーコーナ)』という公式があります。
この『PASBECONA(パスビーコーナ)』とは、次の9つの項目に沿って文章を書くことで、人の心に突き刺さる文章を自然にかける公式です。
- Problem(問題)
- Affinity(共感)
- Solution(解決策)
- Benefit(利得)
- Evidence(証拠)
- Contents(内容)
- Offer(提案)
- Narrow down(絞り込み)
- Action(行動)
この9つの項目に沿った文章をかくだけで、人の心を本当に動かせるの?と思った方に、実際によく使われるコピーライティングの事例を紹介します。
以下では、この9つの項目ごとに、良く使われるコピーライティングの事例をあてはめてみましょう。
1. Problem(問題)
まず最初に、自分が商品やサービスを紹介したいターゲットに「問題」を定義します。
ここでは「痩せたい人」をターゲットにしながらよくある事例を紹介しましょう。
たとえば「夏を前に新しい水着で海やプールへ行きたいけど、ちょっとお腹周りが気になる…。そんな方方も多いのではないでしょうか?」など。こんなフレーズを、1度は聞いたことがあるでしょう。
商品やサービスを言葉で売るときは、まずターゲットの「問題」を定義して、解決してあげることが重要です。そこで、誰もが「そうそう!」と感じるフレーズを準備することが大切になります。
2. Affinity(共感)
次に行うのが「共感」すること。ターゲットに寄り添いながら共感し、解決策があることを優しく示します。
たとえば上記の続きで言うと「実際に多くの方がそんな悩みを持っています。でも大丈夫です!今日ご紹介する〇〇を飲めば、あなたのお悩みを解決できます!」
このようにターゲットに優しく共感し、安心感を与えることで、続きを見たり読みたくなるでしょう。
3. Solution(解決策)
そして次に提示するのが「解決法」です。痩せたい人には「痩せる方法」を伝授します。
「水着を新調したいけど、ちょっとお腹周りが気になるといったお悩みをもつあなたに。今日おすすめするのが〇〇ドリンクです。この〇〇を毎朝コップ1杯飲むだけで、お腹周りがスッキリと痩せられます」
さらに、もっと強くアピールしたいときは「なかなか痩せられないあなたに、今すぐ簡単にできるたった1つのダイエット法」など、数字を使って印象付ける手法もあります。
4.Benefit(利得)
Benefit(利得)では、上記の「この〇〇を毎朝コップ1杯飲むだけで、お腹周りがスッキリと痩せられます」といった、具体的なユーザーへの利益を強調します。
なぜこの商品をおすすめするのかや、この商品を使うことでユーザーにどのように成功し、どのような素敵な未来を提供できるかを示しましょう。
5.Evidence(証拠)
Evidence(証拠)とは、この商品を使って実際にどれだけの成功データがあるかなどを、ユーザーが一目で理解できるように示す必要があります。
学術的なデータはもとより、具体的に「〇〇%の方が効果を感じています!」というように、数字を使ってわかりやすく示すのも良い方法です。
6.Contents(内容)
Contents(内容)では、提供する商品やサービスがどのようなものかを、わかりやすく示すことが大切です。
上記の商品を例にすると「爽やかな柑橘ジュースのような飲みやすさで、毎朝飲むのが嬉しくなる“美味しく飲めて、楽しく痩せられるドリンク”です!」など、ユーザーが欲しくなるような内容を詳しく解説しましょう。
7. Offer(提案)
では次に、文章の流れを大切にしながらターゲットに購入を促す「提案」をします。
たとえば「今なら1ヶ月分のご購入で、購入代金20%割引します」など、具体的な数字を入れてアピールしましょう。
8. Narrow down(絞り込み)
ここまで来たら、次は更に購買意欲のある方だけを絞り込みます。
たとえば「今回ご購入いただけるのは、本当に痩せたい方だけ」など、この言葉で「あなたが対象です」と訴えかけます。
9. Action(行動)
そして、最後に行動を促します。
「購入いただけるのは、今から30分以内にお電話いただいた方限定です!本当に痩せたいと思った方は、今すぐお電話を!」このように、できるだけすぐに行動してもらえるように誘導しましょう。
企画書や提案書は「コピーライティング」で書く
ビジネス文書における良い文書の定義は「目的が明確で、わかりやすく心に響く文章」です。
そこで以下では「相手の行動を操る文章の書き方の11のポイント」を紹介します。
提案書や企画書などのビジネス文書を書く際は、以下の11個のコツを理解して活用しましょう。
6W2Hのフレームワークを使う
企画書や提案書の目的が決まれば、まずは「6W2H」のフレームワークを使って、より具体的に内容を整理していきましょう。
6W2Hの使い方は、以下の6つのWと2つのHで構成します。
- ・Who:誰がするか
- ・What:何をするか
- ・Whom:誰にするか
- ・Where:どこでするか
- ・Why:なぜするか
- ・How:どのようにしてするか
- ・How much:いくらでするか
これらの項目に沿って、企画内容を精査していきましょう。
キャッチコピーで読者の心を掴む
キャッチコピーで読者の心を掴む
ここで言うキャッチコピーとは、文章のタイトルと考えて下さい。タイトルは、読者やユーザーが必ず目を通す大事な言葉となります。
タイトルを見ただけで「読みたい、詳しく聞いてみたい!」と思わせるコピーを考えましょう。
書き出しで文章を読むメリット(結論)を伝える
文章の書き出し(リード文)は、特に重要なパートです。なぜなら、せっかくタイトルを見て読む気になってくれた読者が、このリード文の内容1つで読むことすらやめてしまう可能性があるからです。
ここで大切なことは、この記事を読んでくれた読者に、どのようなメリットがあるかを十分に伝えることです。
そのために、まずは結論(メリット)を伝えるようにしましょう。
好奇心を刺激する
コピーライティングの基本は、読者の好奇心を刺激することが重要となります。そこで有効なのが、前項で解説した「PASONAの法則」です。
この法則を理解することで、ここまでの3つのポイントを理解できるでしょう。
小見出しを効果的に使う
見出しとは、文章の段落ごとに短いタイトルを付ける方法です。この記事では、文字の大きさを変えるなどをしながら「大見出し」や「小見出し」などを使用しています。
それぞれの段落で、伝えたいことを分かりやすく示しましょう。
一文一義で書く
一文一義は、1つの文章で1つの事を伝える最もシンプルな方法で、コピーライティングの基本となります。
例)今夜は星空が綺麗なので、明日もきっと晴れると思う。
→今夜は星空が綺麗だ。だから、きっと明日も晴れるだろう。
このように、伝えたいことをシンプルに書くことがポイントです。
読者目線で書く
ここで言う「読者目線」とは「読者に寄り添う」という意味です。
「御社では○○といったことでお悩みではありませんか?」などがよくあるテンプレですが、実際に悩みのある方を早く抽出できて便利な言葉です。この「読者目線」は非常に重要です。
分かりやすい言葉を使う
企画書や提案書の作成でありがちなミスに「専門用語を使いすぎること」があります。
「この文章を読むメリットは〇〇です」を、わざわざ「この文書を読むベネフィット(価値)は〇〇です」などと難しく書く必要はありません。
できるだけ、普段使う言葉に近い丁寧な言葉で書きましょう。
図・表・箇条書きを上手く使う
数字や変化、項目の多い内容は、図や表、箇条書きで分かりやすく伝えましょう。
正確な数字を使う
正確な数字とは、実数が分かっているときには「できるだけ詳細に伝える」ことです。
約20万人と記すより「199,625人」と書く方が現実味があります。ただし、この場合には根拠となる資料やリンクなどを必ず添えましょう。
不必要な言葉は使わない
これもミスをしやすいポイントで、特に冗長表現の使いすぎには注意が必要です。
例)「不要な言葉」とは、要らない言葉を使いすぎないということです。
→「不要な言葉」とは、要らない言葉を使いすぎないことです。
文章内で不要な言葉を使いすぎると、読者が混乱する可能性があります。そこで、文章はできるだけシンプルに書きましょう。
すぐにできる!わかりやすい文章の書き方
ここでは、わかりやすい文章を書くコツを紹介します。
わかりやすい文章を書く際は、以下のコツを意識しましょう。
- ・PREP法で書く
- ・少ない言葉で詳しく書く
- ・抽象的より具体的に書く
- ・主語と述語を分かりやすく配置する
- ・読点の打ち方に気を配る
- ・代名詞を使い過ぎない
- ・同じ文末を繰り返さない
- ・専門用語には説明を加える
- ・二重否定を使わない
- ・推敲(すいこう・文章を作る際に何度も練り直すこと)する
- それぞれ解説します。
PREP法で書く
PREP法とは『結論・理由・例・結論』の順に文章を書く手法で、要点を分かりやすく簡潔に伝えるのに役立ちます。
少ない言葉で詳しく書く
少ない言葉で、情報を詳しく提供できる文章は、分かりやすくて良い文章です。PREP法を応用することで、比較的簡単に実行できるでしょう。
抽象的より具体的に書く
たとえば「長年にわたり多くの人に愛されている会社です」このような文章は、意外に抽象的でわかりにくいものです。
それよりも「創業から100年にわたり述べ1000万人のお客様にご購入いただいています」の方がイメージしやすくなります。
数字などを効果的に使い、具体的な表現を心がけましょう。
主語と述語を分かりやすく配置する
「私は、昨日のオリンピックの試合で金メダルを獲得したシーンを見て、感動しました」このように、主語と述語が離れている文章は、間延びした印象を受けます。
そこで「昨日のオリンピックの試合で金メダルを獲得したシーンを見て、私は感動しました」のように、主語と述語を近づけると読みやすくなるでしょう。
読点の打ち方に気を配る
読点の付け方には、実は明確なルールはありません。読者が読みやすいように、適度に使いましょう。
代名詞を使い過ぎない
1つの文章に代名詞(彼・この・その・これ・それなど)を多用すると、文章の意味が伝わりにくくなります。
できる限り具体的に書くことが、ビジネス文書の書き方の基本です。
同じ文末を繰り返さない
同じ文末を繰り返すと文章が単調になります。「~です」や「~ます」などは、連続しやすい文末です。
できるだけ3回以上連続しないように注意して使いましょう。
二重否定を使わない
たとえば「二重否定を使うと、読者が読みにくくなるリスクがないとは言えません」これが二重否定です。
この文章では「二重否定を使うと、読者が読みにくくなるリスクがあります」の方が分かりやすい文章になります。
推敲(すいこう・文章を作る際に何度も練り直すこと)する
一度書いた文章を推敲することで、より分かりやすい文章を作成することができます。
慣れないうちは特に注意して、何度も音読みしながら読み返してみましょう。
専門用語には説明を加える
ビジネス文書を書いていると、専門用語などが頻発することがあります。
そんな時は、上記の推敲(すいこう・文章を作る際に何度も練り直すこと)のように()を使って解説文を入れると意味が伝わりやすく、読者に親切な印象を与えます。
説得力を高める文書を書くコツ
企画書や提案書には、以下のような「盛り込むべき訴求要素」があります。
ビジネス文書の訴求要素は以下の8つで、これらを上手に盛り込むだけで、記事の説得力が大きく向上します。
- ・効果の訴求
- ・期間や時間の訴求
- ・方法や難易度の訴求
- ・価格訴求
- ・実績の訴求
- ・権威性の訴求
- ・緊急性や限定生の訴求
- ・専門性や好奇心の訴求
それぞれ解説します。
効果の訴求
あなたがおすすめする商品やサービスを使う事で得られる効果を明確に伝えましょう。
より具体的な効果を訴求できれば、他の競合よりも強い印象を与えられます。
期間や時間の訴求
期間や時間の訴求も大切な要素です。あなたがおすすめする商品やサービスを使う事で、いつ効果が出て、いつ成功できるのかを明確に提示しましょう。
また、購入できる期限を設定するのも、期間や時間の訴求の重要な要素の1つです。
方法や難易度の訴求
ターゲットとなる顧客が、あなたのすすめた商品やサービスを使うとき、どのくらい簡単に使えるのかを明示しましょう。
また、自社の商品やサービスのサポート体制などなども具体的に示すと信頼度が増すでしょう。
価格訴求
価格訴求では、無料、半額、返金保証などを積極的にアピールします。
価格は、クライアントにとって最も気になる訴求ポイントの1つと言えるでしょう。
ただし、BtoBビジネスにおいては、価格よりも品質を重視するケースも多いため注意が必要です。
実績の訴求
実績の訴求には、○○実績№1、売上1位、顧客満足度99%、〇〇セレクション金賞受賞など、さまざまな基準があります。
あなたが推奨する商品やサービスに訴求できる実績があれば、積極的にアピールしましょう。
BtoBビジネスでは、クライアントに対する自社の実績訴求や、クライアントの顧客に対する訴求でも活用できます。
権威性の訴求(医学博士監修など)
権威性とは、社会的に認められた資格を持つ人が「お墨付き」を与えることで、記事や広告の信憑性が高まります。
社会的に認められた資格には、比較的難易度の高い医学博士や弁護士、公認会計士などが例として挙げられるでしょう。
企画書や提案書に記載する場合は、採用するデータの権威性が求められます。
緊急性や限定生の訴求
緊急性や限定性とは、限定〇台のみ、先着〇〇名、今から30分限定など、数量や時間などを限定するケースが多く使われています。
BtoBビジネスでは、クライアントの顧客に対する訴求に活用できるでしょう。
専門性や好奇心の訴求
専門性や好奇心の訴求とは「〇〇にお悩みのあなた」や「あなたの常識は間違っている!」など、クライアントのターゲットの潜在意識や意外性を訴求する手法です。
上記のさまざまな訴求要素を効果的に使う事で、記事や文章の説得力が高まるでしょう。
ビジネス文書研修の内製化のまとめ
このように、ビジネス文章研修を内省化する際は、上記のようなポイントを押さえておくことで、効果的でわかりやすい研修を実施できるでしょう。
研修で文章の書き方を教える際は、できるだけ自社で取り扱う商品やサービスに合わせた具体例を入れながら解説すると効果的です。
企画書や提案書には、決まった書き方やフォーマットがありませんが、上記のルールを守って書くことで、相手に伝わりやすい文書を作成できます。ぜひ参考にしてください。
もしビジネス文書の書き方でお困りの際は、お気軽にアルマ・クリエイションにご相談ください。
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