ダイバーシティー研修に関して徹底解説!目的や種類・内容から実施手順まで紹介
ダイバーシティー研修は、近年多くの企業で注目されている研修です。
しかし、「ダイバーシティー研修って具体的に何をやるの?」「効果があるの?」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ダイバーシティー研修に関して徹底解説します。
目的や種類、内容、実施手順はもちろん、研修を成功させるための注意点まで詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ダイバーシティー研修とは
ダイバーシティー研修とは、企業や組織が多様性を受け入れ、活かすための重要な取り組みです。
研修では、性別、年齢、国籍、文化的背景、障害の有無など、さまざまな違いを持つ人々が共に働く環境の整備を目指します。
主な目的は、多様性を理解するだけではなく、それぞれの個性を尊重し、活かすための考え方や行動様式を身につけ、組織全体のパフォーマンス向上を目指すことです。
また、組織全体でダイバーシティを推進する意識を構築し、インクルーシブな職場文化を構築するためのスキル習得も促進します。
ダイバーシティ研修では、講義形式の知識伝達だけではなく、ロールプレイやグループディスカッションなどの参加型活動を取り入れています。
参加者が実際の職場で起こりうる多様性に関する課題を疑似体験し、適切な対応方法を学べるからです。
例えば、異文化コミュニケーションの演習や、障害のある同僚との協働をシミュレーションするワークショップなどを通じて、参加者は多様性に対する理解を深め、実践的なスキルを身につけます。
体験型学習により、社員の意識変革と行動の改善が促進され、結果として組織全体の生産性向上や新たなアイデアの創出につながります。
ダイバーシティー研修の目的
ダイバーシティー研修を実施する目的には、以下のようなものが挙げられます。
- 多様性に関する理解を深める
- 無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)に気づく
- インクルージョンを促進する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
多様性に関する理解を深める
ダイバーシティー研修の目的の一つは、多様性に関する理解を深めることです。
現代社会は、価値観やバックグラウンドが多様化する時代を迎えています。
画一的な価値観や人材では、変化の激しい環境に対応し、持続的な成長を実現するのは難しくなっています。
多様性とは、性別、年齢、人種、宗教、障がい、LGBTQ+など、さまざまな属性に基づく違いです。
ダイバーシティー研修では、それぞれの属性が持つ特性や課題に関して学び、無意識の偏見や思い込みに気付き、多様な価値観を受け入れる土台を作ることが重要です。
ダイバーシティ研修では、以下のような具体的な内容を通して、多様性に関する理解を深められます。
- 性的マイノリティに関する講義
- 障がい者雇用に関するワークショップ
- グローバル人材育成プログラム
多様性への理解は、画一的な価値観から多角的な視点へと思考を広げる第一歩です。
多様な視点を活かすことで、新たなアイデアや発想が生まれ、組織全体の活性化につながります。
無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)に気づく
ダイバーシティ研修では、無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)に気づくことも目的の一つです。
私たちは、生まれ育った環境や経験、文化などによって、無意識のうちに偏見や思い込みを形成しています。
誰もが無意識の偏見を持っており、それが多様性を阻害する要因となることがあるため注意しなければなりません。
具体的な無意識の偏見には、以下のようなものが挙げられます。
- 性別役割バイアス(男性は仕事、女性は家事といった固定観念に基づいた考え方)
- エイジズム(年齢による偏見や差別)
- ルッキズム(外見による偏見や差別)
- ホモフォビア(LGBTQ+に対する偏見や差別)
ダイバーシティー研修では、さまざまなワークショップや体験型学習を通して、自分自身の無意識の偏見に気付き、克服するための方法を学びます。
インクルージョンを促進する
インクルージョンの促進は、ダイバーシティー研修の目的の一つです。
インクルージョンとは、多様な背景を持つ全ての人々が組織の中で尊重され、公平に扱われ、自分らしく活躍できる環境を作ることを意味します。
具体的には、ダイバーシティー研修を通じて、以下のような効果が期待できます。
■価値観や経験を認め合う意識
社員一人ひとりが持つ固有の価値観や経験を認め合い、互いの違いを強みとして活かす意識が育まれます。
■多様な視点や意見を取り入れる環境
意思決定プロセスや日常業務で、多様な視点や意見を積極的に取り入れる環境が構築されます。
結果として、社員全員が自分の意見を自由に表現でき、公平な機会が与えられる職場環境が実現します。
ダイバーシティー研修の主な種類
ダイバーシティー研修には、さまざまなものがあります。
ここでは、代表的なダイバーシティー研修を紹介します。
女性活用推進研修
日本政府は女性の社会進出を推進しており、多くの企業で女性活躍推進に向けた取り組みが進められています。
しかし、依然として女性の管理職登用率は低く、企業全体の課題となっています。
厚生労働省の調査によると、2022年の女性の管理職比率は12.7%で、欧米諸国の30%~40%と比較すると低い水準です。
参照:厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査 企業調査結果概要」
女性活用推進研修は、女性社員だけではなく、男性社員や管理職も対象とした研修を実施することで、組織全体の意識改革を促し、より働きやすい職場環境づくりに貢献します。
LGBTQ研修
LGBTQ研修は、LGBTQ+に関する理解を深め、性的マイノリティへの差別や偏見をなくし、誰もが働きやすい職場環境づくりを目指す研修です。
近年、LGBTQ+に関する社会的な理解が深まる中、企業にとってもLGBTQ+社員への配慮やサポートは重要な課題です。
しかし、LGBTQ+に関する知識や理解が不足しているために、適切な対応ができないケースも少なくありません。
LGBTQ研修では、LGBTQ+に関する基礎知識を習得し、適切なコミュニケーション方法や対応方法を学び、LGBTQ+当事者が働きやすい職場環境づくりの実現を目指します。
シニア活躍推進研修
シニア活躍推進研修は、企業でのシニア社員の活躍推進を目的とした研修です。
高齢化社会の進展や働き方改革の影響により、企業で働くシニア社員の割合が増加しています。
シニア社員は豊富な経験や知識を持ち、企業にとって貴重な戦力となりますが、年齢や体力的な制約など、特有の課題も抱えています。
シニア活躍推進研修では、シニア社員の能力を最大限に活かすための施策を検討し、シニア社員自身が自身の強みやキャリアプランを考えることを目指します。
障がい者活躍推進研修
障がい者活躍推進研修は、企業での障がい者社員の活躍推進を目的とした研修です。
障がい者雇用促進法の改正や社会福祉制度の充実により、多くの企業で障がい者雇用が増えていますが、依然として障がい者雇用には課題も多く残されています。
障がい者活躍推進研修では、障がい者に関する正しい理解を深め、障がい者雇用の法制度や制度に関して学び、障がい者社員が働きやすい職場環境を整備していきます。
外国人活躍推進研修
外国人活躍推進研修は、グローバル化が進む現代の企業にとって重要な研修の一つです。
研修では、外国人社員の受け入れや、彼らとの効果的な協働方法を学びます。
主な内容には、異文化コミュニケーションスキルの向上、言語の壁を乗り越えるための工夫、外国人社員の強みを活かす管理手法などがあります。
また、日本の企業文化と外国人社員の文化的背景との違いを理解し、互いを尊重しながら働ける環境づくりを目指すことも研修目的の一つです。
ダイバーシティー研修として活用できるゲーム
ダイバーシティー研修として活用できるゲームには、以下の2つが挙げられます。
- NASAゲーム
- バーンガ
やり方などを詳しく解説します。
NASAゲーム
NASAゲームは、ダイバーシティ研修で人気の高いグループワークの一つです。
NASAゲームでは、参加者が宇宙飛行士として月面に不時着したシナリオを想定して行われます。
まず、個人で生存に必要な15のアイテムの優先順位を決めます。
その後、グループで話し合い、全員の意見を集約して最終的な順位を決定します。
ゲームを通して、参加者は多様な意見の重要性や、効果的なコミュニケーション、意思決定の方法を体験的に学びます。
バーンガ
バーンガは、異文化コミュニケーションの難しさを体験できる、ダイバーシティ研修に適したゲームです。
参加者は複数のグループに分かれ、それぞれ異なる文化的ルールを与えられます。
各グループは自分たちのルールに従って行動しながら、他のグループと交流します。
このとき、言葉を使わずにコミュニケーションを取ることがポイントです。
ゲームを通じて、参加者は文化の違いによる誤解や摩擦を実体験でき、非言語コミュニケーションの重要性や、異文化に対する柔軟な姿勢の必要性も体験できるでしょう。
ダイバーシティー研修に取り入れるべき内容
ダイバーシティー研修には、以下の内容を取り入れることが大切です。
- ダイバーシティーの基礎的知識
- ユニバーサルな思考
- ハラスメントの防止
順番に確認していきましょう。
ダイバーシティーの基礎的知識
ダイバーシティの基礎的知識は、効果的な研修の土台となる重要な要素です。
具体的には、以下のような内容を学びます。
- 性別、年齢、国籍、文化、障害の有無など、多様性の各側面
- ダイバーシティとインクルージョンの違いや関連性
- 無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)の概念や、それが意思決定や人間関係に与える影響
これらの基礎知識を通じて、参加者はダイバーシティーの本質を理解し、その重要性を認識できるでしょう。
ユニバーサルな思考
ユニバーサルな思考は、ダイバーシティー研修を実施する上で不可欠な要素です。
ユニバーサルな思考とは、性別、年齢、国籍、障害の有無に関わらず、誰もが活躍できる環境や製品、サービスの創出を目指す考え方です。
ダイバーシティー研修では、参加者に自身の無意識の偏見に気づかせ、より包括的な視点を養うことを目的としています。
例えば、製品やサービス開発の場面では、開発者が無意識に自分に馴染みのある属性をターゲットにしがちです。
しかし、ユニバーサルな思考を身につけることで、より多様なユーザーのニーズを考慮し、幅広い層に受け入れられる製品やサービスの創造が可能になります。
ハラスメントの防止
ダイバーシティー研修では、ハラスメント防止は重要なテーマの一つです。
多様な価値観を持つ人々が協働する職場環境では、ハラスメントは深刻な問題となりえます。
研修では、以下の点に重点を置き、ハラスメントを未然に防ぐための知識を学びます。
- ハラスメントの種類と具体例
- ハラスメントの加害者・被害者双方の視点
- ハラスメントが発生した際の対応
ハラスメントの防止は、ダイバーシティを推進し、個々の能力を最大限に発揮できる職場環境を実現するための重要な要素です。
研修を通して、ハラスメントに関する知識とスキルを習得し、働きやすい職場づくりを目指しましょう。
ダイバーシティー研修の実施手順
ダイバーシティー研修の実施は、以下の3つのステップで進めましょう。
- 研修の目的を明確にする
- 研修内容と形式を選ぶ
- 研修後のフォローアップ
順番に詳しく見ていきましょう。
研修の目的を明確にする
ダイバーシティ研修を実施する前に、研修で何を達成したいのか、具体的な目的を明確にする必要があります。
目的が曖昧なままでは、研修内容が散漫になり、効果も得られにくくなってしまうからです。
具体的には、以下の点を明確にしておきましょう。
研修の対象者 |
全社員、管理職、特定の部署など |
研修のゴール |
理解促進、意識改革、行動変容など |
研修で達成したいこと |
アンコンシャスバイアスの解消、コミュニケーション能力の向上、イノベーション創出など |
研修の目的を明確にしておけば、研修内容を設計し、効果の測定が容易になります。
研修の目的は、企業の経営理念や戦略、そして直面している課題に基づいて設定する必要があります。
また、研修参加者の属性やニーズを考慮することも大切です。
研修内容と形式を選ぶ
研修内容と形式は、研修の目的と対象者によって異なります。
具体的には、以下の要素を考慮して選ぶ必要があります。
項目 |
具体例 |
研修の目的 |
|
対象者 |
|
研修時間 |
|
研修形式 |
|
上記内容に加えて、研修予算も検討する必要があります。
研修内容や形式によって、費用は大きく異なってくるからです。
研修内容と形式を決定したら、研修教材や講師の手配、会場の予約など、具体的な準備を進めていきます。
研修後のフォローアップ
研修で得た知識や気づきを活かし、より効果的なダイバーシティ推進を実現するために、研修後のフォローアップは欠かせません。
具体的なフォローアップ施策として、以下のような取り組みが挙げられます。
研修内容の振り返り |
研修で学んだことを参加者同士で共有し、理解を深めるとともに、具体的な行動計画を策定する |
個別面談 |
研修担当者や人事担当者が、参加者一人ひとりと面談を行い、研修内容の理解度や今後の課題などをヒアリング |
eラーニング |
研修内容をまとめたeラーニング教材を作成 |
制度の見直し |
研修で課題となった制度や慣行を改善に向けて検討 |
研修後のフォローアップは、研修の効果を最大限に引き出すために欠かせません。
上記の施策を参考に、自社に合ったフォローアッププランを策定し、ダイバーシティ推進していきましょう。
ダイバーシティー研修を実施する際の注意点
ダイバーシティー研修を実施する際には、以下の3つの点に注意しましょう。
- ディスカッションできる場を設ける
- 目的に合わせて研修内容を決める
- 管理者層の理解を深める
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ディスカッションできる場を設ける
研修参加者は、年齢、性別、国籍、宗教、障がいの有無、LGBTQ+など、さまざまな属性を持つ多様な人材で構成されています。
ダイバーシティー研修を実施する際には、それぞれの価値観や考え方を理解し尊重し合う姿勢が必要です。
しかし、一方的な講義形式の研修では、参加者が主体的に学び、自身の考えを深める機会が得られにくくなります。
そこで効果的なのが、ディスカッションを積極的に取り入れた研修です。
ケーススタディなどを用いて、具体的な状況を設定し、グループワーク形式で課題解決に取り組むことで、参加者は互いの意見を交換し、多角的な視点から問題を考えられます。
ディスカッションを通して、参加者は互いの価値観や考え方を尊重し、理解し合う機会が得られます。
また、自分とは異なる意見に触れることで、自身の考え方の偏りに気付き、より客観的な視点を養うきっかけになるかもしれません。
研修担当者は、参加者が活発に意見交換できるよう、場の雰囲気作りに努めましょう。
目的に合わせて研修内容を決める
ダイバーシティー研修は、実施する目的によって内容を変える必要があります。
例えば、育児・介護休暇制度の利用促進を目的とする場合、制度の内容や利用手続きに関する説明だけではなく、ワークライフバランスに関する意識改革を促すような内容を取り入れることが重要です。
また、女性活躍推進を目的とする場合、無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)に関する理解を深める研修や、女性リーダー育成のための研修などが効果的です。
このように、研修の目的や参加者のニーズに合致した研修内容を実施するようにしましょう。
管理者層の理解を深める
ダイバーシティー研修を成功させるためには、経営層や管理職をはじめとした、組織全体の理解が不可欠です。
研修の目的や意義を十分に理解していない状態では、研修の効果が十分に発揮されず、せっかくの投資が無駄になってしまう可能性があるからです。
ダイバーシティー研修を成功させるためには、管理者層自身が研修を実施できるぐらいに、ダイバーシティーに関する理解を深めておく必要があります。
また、研修後に管理者層が率先してダイバーシティを推進する体制を整えることも重要です。
まとめ
企業のダイバーシティーへの取り組みがますます重要になっています。
その一環として、ダイバーシティー研修を実施する企業も増えています。
ダイバーシティー研修は、多様な人材が活躍できる職場環境づくりを目的とした研修です。
研修にはさまざまな種類があり、ゲームを取り入れることで楽しみながら学ぶことができます。
研修を実施する際には、目的を明確にする、対象者に合致した内容にするなどの点に注意する必要があります。
そこでもし、ダイバーシティ研修に関する疑問や質問のある方は、いつでもアルマ・クリエイションにご相談ください。貴社に最適なソリューションを提供いたします。
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