DX人材育成の流れと必要な3つのスキル|国内企業の成功事例も紹介
近年、インターネットが急速に整備されたことで、さまざまなデバイスやITツールをいつでもどこでも利用できるようになっています。しかし国内の企業においては、効率良く事業を行うために欠かせないITツールを、自社のビジネスに上手く活用できていない企業が多いのが現状です。
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化については、政府が強く推奨しているにもかかわらず、世界基準にはまだまだ追いついていません。なぜなら、DXの実現に欠かせない、ITに精通したDX人材が国内で足りていないからです。
そこで今回は、DX人材を社内で育成する際の流れや必要な能力、成功事例を徹底解説します。
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DXとは?
DXを簡単に言うと「ITによって人々の生活をより良く変革すること」です。
国内企業においては、DXによって事業を効率化することで、大きな課題の1つである「労働人口の減少による人手不足」をカバーできる可能性があります。
IT人材とDX人材
そこで急務となるのが、DXを推進できるDX人材の獲得です。
DX人材は、明確な資格などによって定義されている職種ではないため、国内の高等教育においても育成されていません。そのため各企業では、自社に必要なDX人材を育成していくことが求められるでしょう。
ただ、DX人材となるリソースを発掘して育成する際には、ITの専門的なスキルが高い人材を候補にあげて失敗するケースがあるため注意が必要です。
なぜならDX人材に求められるのは、ITリテラシーだけではなく、ITの知見を持って企業に変革をもたらすことのできる知識とスキルを持った人材だからです。
このように、DX人材を育成するためには、社内にITとマーケティングなどの知識とスキルを持つイノベーティブな人材が求められます。
国内でDXが進みにくい要因
世界の先進国の1つと言われる日本ですが、DXについてはアジア諸国だけを見ても遅れているのが現実です。
日本がDX後進国となっている要因の1つに、これまでの年功序列を代表とする日本的経営があると言えるでしょう。21世紀に入り急速なIT化が進む世界において、企業や教育現場で、既存の枠組みを壊せない環境がDXを阻害しています。
年配の上司が新しいことを嫌うなど、業務が属人的に行われやすい日本の企業体質が、いつまでもDXが進まない大きな要因と言えるでしょう。
DX人材を育成するメリット
DX人材を短時間で獲得するには、他社で実績をあげているコンサルタントへ依頼したり、フリーランスを中途採用したりする方法があります。
一方、時間がかかるものの、自社でDX人材を育成することも非常に重要です。なぜなら、DXは1つの部署が単体で行うものではなく、全社として取り組むべき課題であるからです。
以下では、DX人材を社内で育成する3つのメリットを解説します。
社内体制を構築しやすくなる
DXの推進は全社で取り組む必要があるため、それぞれの部署間の連携が必須となります。
そのため、企業外部のコンサルタントや中途採用の人材では、企業の特徴に合わせたDX推進ができない可能性があります。
そのため最初は外部に委託したり、コンサルタントに依頼したりしながら、時間をかけて社内の人材を育成していくことが大切です。
自社の事業に合わせたDXを推進できる
自社でDX人材を育成できれば、自社事業にとって最適なDXを推進できるでしょう。
DX人材は、社内のリソースを最大限に活用し、業務の改善や新規事業の開発などの経営戦略を考えます。そのため、社内の商品やサービス、システム、人材、資金などに精通した人材でなければ、DXを最適化することが難しいのが現実です。
最初の数年は外部のコンサルタントなどを活用しながら自社のDX人材を育成し、計画的にDXを進めていきましょう。
社内のシステムを一括管理できる
DXの推進には、社内のシステム管理を一元化することが大前提となります。なぜなら、各部署がそれぞれバラバラにシステム運用している状態では、効率良く業務を進めることができないからです。
そのため中規模以上の企業においては、外部のコンサルタントが全社の経済活動を俯瞰的に管理することが難しく、効率化ができない可能性があります。
そこで、社内の重要なポストに複数のDXに関連する社員を配置して、効率よく業務の進捗を管理することが重要です。
また、DXは既存のシステムを新しく改善したり、新規事業を立ち上げたりするだけではありません。社内システムの改善後も、定期的にアップデートを行い、安定的な運用管理をする必要があります。
このように、スムーズにDXを進めていくためには、社内でDX人材を育成することが大切です。
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DX人材に必要となる3つの能力
以下では、DX人材となる人に求められる3つの能力を解説します。自社でDX人材を育成する際は、まず次の3つのスキルや素養のある人材を探すところから始めましょう。
ITリテラシー
DX人材となるためには、高度なITリテラシーが求められます。社内で運用するITシステムやセキュリティに関する知見や、デジタルマーケティングなどのスキルなども必要です。
そのため、営業や経理といった1つの部署の業務に限定せず、さまざまな業務を網羅できる知識やスキルのある人材を探し、育成していかなければなりません。
最初の段階ではなかなか見つからない場合でも、社内でじっくりと育成可能です。焦らずに育てていきましょう。
ビジネススキル
ITリテラシーがあっても、ビジネスに応用できる能力がなければ企業に利益は生まれません。ITやデジタルリテラシーを実際のビジネスに応用するためには、マーケティングや経営に関する知見も必要です。
そのためDX人材の多くは、マーケターやプログラマーなどの人材から育成されるケースが多い傾向にあります。
課題解決能力
DX人材には、ITを活用しながら企業を牽引していく能力が必要です。そこで大切なのが、社員全員を取りまとめ、社内全体を目標へ向けてリードする能力です。
ビジネスを論理的に考え、常に冷静で適切な判断を行い、社内全体が納得のいく計画を立案してDXを進める。そんなビジネスにおける課題解決の流れを構築できる能力が求められます。
このように、DX人材の候補となり得る人には、さまざまな分野で高度なスキルと能力が必要です。
DX人材育成の流れ
ここではDX人材育成の育成の流れを、次の4つのステップで解説します。
- DX人材の候補者を選ぶ
- 座学でDXについてのスキルや概念を学ぶ
- 学びを職務現場で実行して経験を積む
- 自社内以外からも情報を獲得して学ぶ
それぞれ解説します。
1.DX人材の候補者を選ぶ
DX人材を社内から選ぶ際は、先に解説したようにITリテラシーやビジネススキル、課題解決力といった能力が必要です。
しかし、これらを完璧に身に付けている社員がいなくても問題ありません。社内でDXを推進する場合には、これらのスキルを身につける素養のある人材を候補とし、本人がDX人材になりたいかどうかを確認して任命しましょう。その際は、部署や役職、年齢や性別を選考の対象とせず、幅広い視野を持って選ぶことが大切です。
2.座学でDXについてのスキルや概念を学ぶ
候補者が決まれば、次に座学研修を行います。DX人材の研修には、社内での研修や社外研修もあります。もし社内で研修を行うリソースや見識がない場合には、社外の有料研修を積極的に取り入れるとよいでしょう。その際は、自社の業種やDX化の目的に合わせた内容を選んでから、候補者を受講させましょう。
適切な研修を受けることで、候補者はDXに必要なスキルだけでなく、DXの意味やノウハウなども学ぶことができます。
3.学びを職務現場で実行して経験を積む
座学での研修が終わったら、次に社内へ戻り、実際に現場で実務経験を積んでいきます。これはOJTとも呼ばれる方法で、実際にプロジェクトを計画・立案し、実行しながらDX人材へと成長していく段階です。初めのうちはチームや上司、先輩のサポートなども必要となるため、全社で取り組む必要があります。
この段階で、本当にDX人材としての素養があるかどうかを最終的に確認できるでしょう。
4.自社内以外からも情報を獲得して学ぶ
OJTを進めながらも、DX人材は常に社外の情報網をもって、広い視野で社会を見渡す見識が必要です。そこで、社内だけではなく、社外の勉強会やセミナーなどにも積極的に参加し、新しい情報収集を怠らないようにしなければなりません。
ITの進歩や変化は非常に速いのが特徴です。そのため常に最新の情報を入手し、技術や知識を習得することが重要です。
DX人材育成の成功事例
最後に、実際に国内企業でのDX人材育成の成功事例を紹介します。ぜひ貴社のDX人材育成の参考にしてください。
ダイキン工業株式会社の事例
ダイキン工業株式会社では、2017年に大阪大学の協力を得て、社内講座である『ダイキン情報技術大学(DICT)』を創設しました。その後の2021年9月の発表では、2023年までの間に約1,500人のDX人材を育成する目標をたてて実行しています。
講座の内容としては、選抜した社員を対象としたハイレベルな講座から、新入社員向け、全社員向けに最低限のAIリテラシーの向上を図るといった「AI活用講座」まで、各レベルに応じた、幅広い内容で実施。ダイキン工業株式会社では、全社をあげて中長期的な計画の元、DX人材の育成を進めています。
日清食品ホールディングスの事例
日清食品ホールディングスでは「DIGITIZE YOUR ARMS(デジタルを武装せよ)」をスローガンに掲げ、全従業員のデジタルスキル向上に取り組んでいます。
社内のデジタルスキル向上事業の一環として、業務改善システムの開発を外部に依存することなく、内製化できる組織体制の構築を目指します。
そして、組織体制の構築で重要な役割を果たしているのが「ローコード開発ツール」です。ローコード開発ツールとはコードを書かずにアプリケーションの開発が可能なツールで、これによって事業部門内で開発を完結できる環境を構築しました。
各事業部門内でのアプリケーション開発と実用化が蓄積されることで、自社内でのDX推進力が高まっています。
ソフトバンク株式会社の事例
ソフトバンク株式会社では、2017年にDX本部を設立しました。営業部門や企画部門で活躍していた既存の社員を中心に、120名をDX人材の候補者として選出。その後、DXに必要な研修を提供しました。
DX人材は、担う職種や求められるスキルが多岐に渡るため、実際の研修現場での方向づけが重要です。そこで『事業プロデューサー制度』を設け、求められる人材を明確化しています。このように、育成方針や成果を可視化することで、DX人材の育成に役立てています。
DX人材育成のまとめ
現代の企業組織では、デジタル化が進んでいることから、DX人材の必要性を実感しておられる方も多いはずです。DX人材の育成には、それぞれの企業が独自に研修やマニュアルを作成して行うケースもあれば、外部の専門機関やコンサルタントに依頼するケースもあります。
ただ、この記事で成功事例として挙げた大手企業でなければ、数百人規模のDX人材を育成することは難しいでしょう。そこで中小企業においては、社内全体のITレベルを引き上げながら、自社に合ったDXを推進できる体制づくりを始めましょう。
企業のDX化で重要なポイントは、まず企業内の業務や部署間で属人的な業務を作らず、風通しの良い環境を作ることです。その中で自社の社員からDX人材となり得る人材を見つけ出す、または採用し、じっくりとDX化を進めていきましょう。
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