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フレックスタイム制の仕組みと特徴は?導入前の注意点やコツまで徹底解説

作成者: 水落康稀|2024.10.1

フレックスタイム制に興味はあるものの「導入のメリットや具体的な仕組みがよく分からない」「自社に適しているか判断できない」とお悩みではありませんか?

確かに、準備不足のまま導入すると、コミュニケーション不足や労務管理の複雑化など、思わぬ問題が発生する可能性があります。

しかし、適切な知識と準備があれば、フレックスタイム制は企業と従業員双方にメリットをもたらす制度です。

本記事では、フレックスタイム制の基本的な仕組みから、導入のメリット・デメリット、具体的な導入手順、さらには運用のコツまで徹底解説します。

自社に最適なフレックスタイム制を設計し、スムーズに導入するためにも、ぜひ最後までお読みください。

フレックスタイム制とは?基本的な仕組みと特徴

フレックスタイム制は、従業員が自身の勤務時間を柔軟に選択できる労働時間制度です。

この制度では、1日の所定労働時間を遵守しつつ、始業・終業時刻を従業員が決められます。

フレックスタイム制の主な特徴は、以下のとおりです。

勤務時間の柔軟性

従業員は自身のライフスタイルに合わせて勤務時間を調整できる

効率的な時間管理

個人の生産性が高い時間帯に集中して働ける

ワークライフバランスの向上

私生活と仕事の両立がしやすくなる

通勤ラッシュの回避

混雑時を避けての通勤が可能になる

フレックスタイム制を導入する際は、労使間で合意し、就業規則に明記する必要があります。

ただ、フレックスタイム制といっても、24時間いつ出勤してもいいわけではありません。

フレックスタイム制を導入する前に、必ず出勤していなければならない時間と自由に出退勤できる時間があることを理解しておく必要があります。

コアタイムとフレキシブルタイム

フレックスタイム制では、「コアタイム」と「フレキシブルタイム」の2つの時間帯が設定されます。

2つの違いをまとめると、以下のとおりです。

コアタイム

全従業員が必ず勤務しなければならない時間帯

フレキシブルタイム

従業員が自由に勤務開始・終了時刻を選択できる時間帯

フレキシブルタイムの設定には、業務の性質や顧客対応の必要性を考慮する必要があります。

適切な設定により、業務の効率化と従業員の柔軟な働き方の両立が可能になります。

フレックスタイム制に適している業種・適していない業種

フレックスタイム制は、多くの業種で導入可能ですが、業務の性質によって適性が異なります。

フレックスタイム制に適している業種と適していない業種をまとめると以下のとおりです。

適している業種

適していない業種

IT・ソフトウェア開発

デザイン・クリエイティブ

研究開発

コンサルティング

経理・財務

小売業(店舗販売)

飲食業

製造業(生産ライン)

医療・介護

緊急サービス(消防、救急など)

適している業種の特徴

適していない業種の特徴

  • 個人の裁量で仕事を進められる
  • 成果物で評価できる
  • 顧客との直接的な対面が少ない
  • 定時での対応が必要
  • チームでの同時作業が不可欠
  • 緊急時の即応が求められる

ただし、同じ業種でも職種や役割によって適性が変わることがあります。

例えば、小売業でもバックオフィス業務はフレックスタイム制の導入が可能です。

また、製造業でも研究開発部門では導入しやすいでしょう。

フレックスタイム制の導入を検討する際は、業務の性質や顧客ニーズを十分に分析する必要があります。

部分的な導入や試験的な運用から始めるのも一つの方法です。

従業員の働き方の柔軟性を高めつつ、業務効率を落とさないバランスを見つけることがポイントとなります。

フレックスタイム制導入のメリットとデメリット

フレックスタイム制の導入は、企業と従業員の双方に多様な影響をもたらします。

フレックスタイム制の導入を検討する際は、自社の状況や業務の特性を踏まえ、メリットとデメリットを慎重に評価する必要があります。

ここでは、企業・従業員のメリットをそれぞれ確認していきましょう。

また、フレックスタイム制導入のデメリットも解説しているため、合わせて確認してください。

企業にとってのメリット

フレックスタイム制の導入は、企業にとって多くのメリットをもたらします。

主なメリットは、以下のとおりです。

生産性の向上

従業員が最も集中できる時間帯に働くことで、業務効率が上がる

優秀な人材の確保・定着

柔軟な働き方を提供できれば、人材採用や定着率が向上する

オフィスコストの削減

出勤時間の分散により、オフィススペースを効率的に利用できる

企業イメージの向上

働き方改革に積極的な企業として認知され、ブランド価値が高まる

従業員の自律性促進

時間管理の裁量を与えることで、責任感とモチベーションが向上する

これらのメリットは相互に作用し、企業全体の競争力を高めます。

生産性向上は個人とチーム双方の効率を上げ、時差出勤で顧客対応時間の拡大も可能になります。

多様な人材の確保は、組織に新たな視点をもたらし創造性を促進してくれるでしょう。

さらに、フレックスタイム制は企業の危機管理能力を向上させ、事業継続性の強化につながります。

このように、フレックスタイム制は企業の持続的成長を多角的に支援する仕組みといえるでしょう。

従業員にとってのメリット

フレックスタイム制は、従業員にとっても多くのメリットをもたらします。

主なメリットは、以下のとおりです。

ワークライフバランスの向上

私生活と仕事の調和が図りやすくなる

通勤ストレスの軽減

ラッシュ時を避けた通勤が可能になる

自己管理能力の向上

自身で時間管理を行う力が養われる

これらのメリットにより、従業員の生活の質と仕事の満足度が向上します。

家族との時間や趣味の時間が確保しやすくなり、育児や介護との両立もできるようになるからです。

フレックスタイム制の導入で、個人の生活リズムに合った働き方ができるため、心身の健康維持や職場満足度の向上にもつながるでしょう。

結果として、従業員の定着率が高まり、離職率の低下にもつながる効果が期待できます。

考慮すべきデメリットと課題

企業側にも従業員側にもメリットがあるフレックスタイム制ですが、デメリットも存在します。

主なデメリットには、以下のようなものが挙げられます。

労務管理の複雑化

勤怠管理が煩雑になり、管理コストが増加する可能性がある

コミュニケーション不足

従業員間の直接的なコミュニケーションの機会が減少する恐れがある

業務の偏り

特定の時間帯や従業員に業務が集中する可能性がある

これらの課題に対しては、適切な対策が必要です。

対策には、以下のようなものが考えられます。

  • 勤怠管理システムの導入や運用ルールの明確化
  • 定期的なミーティングの実施やオンラインツールの活用
  • 業務の可視化やタスク管理の徹底

 

また、フレックスタイム制の適用範囲や運用ルールを慎重に検討し、必要に応じて段階的な導入を行うことも効果的です。

それぞれの課題に適切に対処すれば、フレックスタイム制のメリットを最大限に活かせるでしょう。

導入前には十分な準備と従業員への説明を行い、導入後も定期的な見直しと改善を行う必要があるでしょう。

フレックスタイム制の導入要件

導入する企業が増えているフレックスタイム制ですが、企業の判断だけで導入できる制度ではありません。

フレックスタイム制を導入するためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  • 労使協定で所定の事項を定める
  • 就業規則等への規定

 

それぞれ詳しく確認していきましょう。

労使協定で所定の事項を定める

フレックスタイム制を導入するためには、労使協定で制度の基本的枠組みを定めておかなければいけません。

主な項目は以下のとおりです。

対象となる労働者の範囲

制度を適用する従業員を特定する

清算期間

労働時間を平均化する期間を設定する

総労働時間

清算期間中の所定労働時間を定める

標準労働時間

1日の基準となる労働時間を設定する

労使協定では、上記の必須項目に加え、コアタイムやフレキシブルタイムの時間帯を任意で定められます。

協定の締結は、従業員の過半数を代表する者と使用者の間で行います。

締結後は、従業員全員に内容を周知しましょう。

労使協定で基本的な枠組みを定めることで、制度の透明性が確保され、円滑な運用が可能になります。

また、労使双方の理解を深め、トラブルを未然に防ぐ効果もあります。

詳しくは、厚⽣労働省の「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」を確認してください。

就業規則等への規定

フレックスタイム制の導入には、就業規則等への明確な規定が必要です。

主な記載事項は以下のとおりです。

適用労働者の範囲

フレックスタイム制を適用する部署や職種を明記する

清算期間と総労働時間

労働時間を平均化する期間と、その期間中の総労働時間を定める

標準労働時間

1日の標準的な労働時間を設定する

就業規則には、始業・終業時刻を従業員の決定に委ねる旨を明記しなければいけません。

例えば「フレックスタイム制が適用される従業員の始業および終業の時刻は、従業員の自主的決定に委ねる」といった文言を入れます。

また、フレキシブルタイムとコアタイムの時間帯も以下のように具体的に定めてください。

  • 始業時刻は午前6時から午前10時まで、終業時刻は午後3時から午後7時までの間で従業員が決定する
  • 午前10時から午後3時までをコアタイムとする

それぞれの規定を就業規則に明記しておけば、制度の適用範囲や運用ルールが明確になり、円滑な導入と運用が可能になります。

フレックスタイム制運用のためのヒント

フレックスタイム制を効果的に運用するには、いくつかのポイントがあります。

適切な運用は、従業員の生産性向上やワークライフバランスの改善につながります。

一方で、不適切な運用は混乱や不満を招く可能性もゼロではありません。

ここでは、フレックスタイム制を運用するための3つのヒントを紹介します。

  • コミュニケーション不足への対策
  • 労務管理の効率化
  • 公平性の確保と不公平感の解消

 

それぞれ詳しく確認していきましょう。

コミュニケーション不足への対策

フレックスタイム制導入後の課題の一つがコミュニケーション不足です。

社員の出勤時間にずれが生じるため、同じ部署内でも顔を合わせない機会が増える可能性があるからです。

コミュニケーション不足への対策には、以下のようなものが挙げられます。

対策

具体例

定期ミーティングの設定

週1回のオンラインチームミーティング

チャットツールの活用

Slackでの日次業務報告

オンライン掲示板の設置

社内イントラネットで情報共有

複数の対策を組み合わせることで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。

例えば、定期ミーティングで決定した事項をオンライン掲示板に掲載し、チャットツールで周知すれば、情報の伝達漏れを防げます。

各ツールの特性を活かし、緊急度や重要度に応じて使い分ける対策も有効です。

日々の細かな連絡はチャットツール、重要な決定事項は掲示板、詳細な議論が必要な案件はミーティングのように使い分けると良いでしょう。

労務管理の効率化

フレックスタイム制の導入に伴い、労務管理の効率化は避けて通れません。

労務管理の効率化には、以下のようなツール活用がおすすめです。

対策

具体例

クラウド型勤怠システムの導入

スマートフォンでの打刻が可能なシステム

業務管理ツールの活用

Trelloでのタスク管理

自動集計レポートの作成

労働時間の月次自動集計

ツールを導入する際は、従業員への十分な研修が必要です。

特に、新しいシステムの操作方法や、タスク管理ツールの効果的な使用法に関して、詳細なマニュアルを作成し、説明会を開催すると良いでしょう。

また、導入後も定期的にフィードバックを収集し、必要に応じてカスタマイズや改善を行うことも大切です。

公平性の確保と不公平感の解消

フレックスタイム制導入時の公平性の確保も、課題の一つです。

規定が曖昧なままでは、従業員間に不公平感が生まれやすくなってしまうからです。

導入してから、問題とならないようにするためには、以下のような対策が挙げられます。

対策

具体例

明確な評価基準の設定

成果主義を取り入れた評価制度

コアタイムの設定

10時から15時をコアタイムに

適用範囲の明確化

対象部署と職種の明確な規定

対策を実施する際は、従業員との十分なコミュニケーションが不可欠です。

評価基準の変更や適用範囲の決定に関して、事前に従業員の意見を聞き、納得感を高めることが重要です。

また、定期的に制度の見直しを行い、運用上の課題や不公平感のチェックをおすすめします。

必要に応じて柔軟に制度を調整すれば、より公平で効果的な運用が可能になります。

フレックスタイム制のまとめ

フレックスタイム制は、働き方改革の一環として注目を集めている勤務形態です。

本記事では、その仕組みや特徴、メリット・デメリット、導入要件、そして運用のヒントまで徹底的に解説しました。

導入を検討されている企業の皆様、次のステップとして以下のアクションをおすすめします。

  • 自社の業務特性を分析し、フレックスタイム制の適合性を確認する
  • 従業員にアンケートを実施し、ニーズや懸念点を把握する
  • 労務管理システムの導入や就業規則の改定など、具体的な準備を始める
  • 試験的な運用を行い、課題を洗い出す

 

フレックスタイム制は、適切に導入・運用すれば、企業と従業員双方にメリットをもたらします。

本記事を参考に、自社に最適なフレックスタイム制の設計と導入を進めてください。

もし、フレックスタイム制に関する疑問や質問のある方は、いつでもアルマ・クリエイションにご相談ください。貴社に最適なソリューションを提供いたします。

 

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