新人教育の教え方|基本的な考え方や効率の良い研修のやり方を解説
新入社員が入社してまず行うのが、新人研修などの教育指導です。多くの会社では、社会人としてのマナーや自覚、コンプライアンスなどについての定型的な教育を実施していることでしょう。
ただこのような新人教育が終わっても、いざ仕事が始まると、また1から各部署で仕事に関する新人教育をやり直すのが一般的です。
このような非効率的な研修を毎年繰り返してしまう原因は「新人教育を行うこと」が目的となっているからです。
そこで今回は、新人教育の教え方と基本的な考え方、効率の良い研修のやり方について徹底解説します。これから新人教育を行う方はもちろん、研修のやり方を抜本的に改革したい方も、ぜひ参考にしてください。
新人教育とは
新人教育とは、新卒の新入社員や中途採用、パートやアルバイトなどに対して行う、仕事を教えるための研修を指すのが一般的です。
ただほとんどの場合は、新卒の新入社員に対しての教育を意味し「まず社会人とは…」といった、業務に直接結びつかない研修に時間をかけているケースが目立ちます。
そこで、まずは新人教育で本来行うべき目的について解説します。
新人教育の目的
新人教育本来の目的は「早く業務を覚えて戦力となり、仕事の現場で活躍してもらうこと」です。
ただ同じ新人でも、社会人としてのマインドセットや仕事に関する知識やスキルに差があるため、ここの新入社員の特徴やスキルに合わせた新人教育を行うことが重要となります。
とくに日本の企業では、新入社員を一括りにして、それぞれの新入社員レベルに関係なく同じ教育カリキュラムを実施するのが一般的です。
そのため多くの企業では、定型的で非効率な新人教育が毎年繰り返し行われており、結果として業務効率を下げる要因の1つとなっています。
そこで新人研修を行う際は、以下で解説する教え方ややり方を参考に、仕事の即戦力となる人材を育成することを念頭におくことが大切です。
新人教育の教え方
新人教育については、まず次の5つを理解して、教え方を整理しておくことが重要です。
- ・教育の目的を明確にする
- ・新入社員ごとに適した教育を行う
- ・教育担当者を戦略的に選ぶ
- ・定期的に教育のフィードバックを行う
- ・ゴールを決めて教育を行う
それぞれ解説します。
教育の目的を明確にする
新人教育を行う際は、まず目的を明確にすることが重要です。なぜなら、多くの企業で人手不足が深刻となっているいま、これまでのような定型的で非効率な新人研修を行うことで、社内リソースを浪費する可能性があるからです。
しかし新入社員が、教育なしでいきなり即戦力となるケースはほとんどありません。そこで、新人教育を行う目的を明確にして、必要な教育のみを効率的に行うことが重要です。
新人教育で社会人としてのルールやマナーを教えるのか、業務内容を教えるのか、いつまでにどれだけのことを教えるのかを明確にして、まず社内全体で共有しましょう。
新入社員ごとに適した教育を行う
新入社員とはいえ、入社するまでに仕事をしたことのある中途人材もいれば、まったく初めて仕事に就く新卒社員もいます。そのため、新入社員を大量に採用する大企業を除き、新入社員を一括りにして定型的な新人教育を行うことは非効率と言えます。
企業理念やコンプライアンスに対する考えなどは、実際の業務を遂行する中で教育する方が理解しやすい内容です。そこで、新入社員の全体研修を行うのではなく、実際に配属する各部署単位で新人教育を行うことをおすすめします。
なぜなら、営業部や製造部といった企業のさまざまな部署においては、業務の内容が大きく異なるからです。
企業にとって必要な人材は、各業務のスペシャリストです。そこで、即戦力を育成する人材教育を目指しましょう。
教育担当者を戦略的に選ぶ
各部署で実践に即した教育を行う際は、教育担当者を決めなければなりません。
教育担当者は、担当する部署の業務経験が豊富で、さまざまなケースに対応できる知識やスキルのある方が適任です。そこで、該当部署の責任者である部長が教育担当を担うのが理想と言えるでしょう。
しかし、部長クラスの人材が新人教育にかかりきりになることで、業務の遂行に支障が出てしまう可能性があります。
そこで教育担当を選ぶ際は、業務に詳しいことはもちろん、教える技術にも長けている信頼度の高い人材を登用するのがおすすめです。
業績だけを見て教育担当者を選んでしまうと、教育のやり方が一方的になり、新入社員の個性を潰す可能性があります。そこで教育担当者を選ぶ際は、コミュニケーション能力や組織をまとめる能力の高い人材を選ぶようにしましょう。
定期的に教育のフィードバックを行う
新人教育では、教育の過程でこまめにフィードバックを行い、PDCAを繰り返すことが重要です。なぜなら新人教育の過程においては、仕事のやり方の間違いや小さなミスを、早期に発見して修正する必要があるためです。
一般的な業務と同じように、新人教においてもKGIとKPIを策定し、いつまでにどの程度の知識やスキルを身につけるべきかを明確にしましょう。そうすることで、教育をうける新入社員が仕事を覚えやすくなり、モチベーションも高まるはずです。
ゴールを決めて教育を行う
新人教育を行う際は、ゴールとなるKGIも明確にしましょう。新人教育におけるKGIとは「ここまでできれば研修が終了する」といった指標で、業務に必要となる知識やスキルの習得度合いを指標化することで明確にできます。
例えば1人で営業ができるようになるためには、自社の企業理念や商品・サービスについての知識が必要です。またそれ以外にも、顧客情報の管理の仕方やアプローチの仕方、企画書や見積書の作り方、契約やクロージング方法などさまざまな工程があります。これらをすべて指標化してKPIを定め、1つずつクリアしながら評価とフィードバックを繰り返し、KGIへと導くのです。
効率の良い新人研修のやり方
上記のような「新人教育の教え方」を理解できたら、実際に効率のよい新人教育を実践していきましょう。
効率の良い新人教育のやり方としては、次の5つのステップを踏むことが重要です。
- 1.新人教育の目的を共有し、仕事をイメージしながら行う
- 2.仕事の内容と進捗確認の方法や手段を共有する
- 3.実際に仕事をさせてみる
- 4.仕事をサポートしながら、経過を見守る
- 5.結果を評価してフィードバックを行う
それぞれ解説します。
1.新人教育の目的を共有し、仕事をイメージしながら行う
新人教育の実践にあたりまず大切なことは、教える側と教えられる側が教育の目的を共有し、実際の仕事をイメージしながら行うことにあります。
新人教育の目的が、自社企業にとってどのように貢献し、新入社員のどのようなキャリアに繋がるかを明確にします。その上で、実際の業務内容や仕事で求める結果とメリットを分かりやすく解説して、部署全体で共有しましょう。
しっかりとした教育の目的や目標を定めることで、効率よく研修がすすみ、新入社員のやる気も向上するはずです。
逆に目標を共有せず、型にはめた研修を行ってしまうと「研修のための研修」となり、時間と経費の無駄遣いで終わってしまうでしょう。
2.仕事内容の理解度や進捗確認、改善方法を共有する
人材教育の手法にはいくつかの種類がありますが、新人教育においては、社内で先輩などの指導を受けながら職場で業務を学ぶOJT(On the Job Training)が基本です。
そこで仕事内容の理解度や、実際の業務を遂行するにあたっての進捗確認や改善方法を共有する必要があります。
新入社員と言えど、これまでに経験したことや、仕事に対する知識やスキルは千差万別です。そこで、新入社員が教育プラン通りに業務を遂行できているか、業務内容をしっかりと理解しているかを常に確認しなければなりません。そして業務の進捗度合いが十分でない場合には、どのような改善方法を実施するかを、部署全体で共有しておきましょう。
3.実際に仕事をさせてみる
教育方針が定まれば、実際に業務を任せてみましょう。ただいきなり全ての業務を任せるのは会社にも新入社員にも重荷となるため、まずは最初の目標(KPI)となる業務を任せるのが良いでしょう。
営業プロセスであれば、自社商品への理解の深さの確認、挨拶メールや電話の仕方など、初歩的なところから確認します。そして次に営業する際のマナーや身だしなみといった具合に、自社の営業プロセスに添いながら確認し、フィードバックを繰り返します。
4.仕事をサポートしながら、経過を見守る
新人教育の過程で仕事を行う際は、教育係がしっかりとサポートしながら経過を見守りましょう。もしミスや間違いが起きても、会社やクライアントに損害がないように、未然に防ぐことも教育係の仕事です。
もし何度も同じ失敗を繰り返したり、業務の内容を理解できないといった場合には、そもそも業務や配属部署に対するミスマッチが起きている可能性があります。ミスマッチが起きた場合には、配属部署の変更など、当該部署だけではなく全社における対応が必要です。
5.結果を評価してフィードバックを行う
新人教育の過程を全て終了したら、これまでの結果を評価してフィードバックを行います。この場合の評価とは、仕事の良し悪しを定型的に判断するのではなく、良かった点と改善すべき点をしっかりと確認することが大切です。
良かった点については、どこがどう良かったのかを説明し、悪かった点に関しては、どのような改善を行えば良いかを明確にします。
フィードバックを行う際は、悪かったところや苦手な業務を改善するために、社内で結果を出している社員を参考にしてアドバイスを行うと良いでしょう。また教育係が上手く教えられない業務に対しては、その業務を得意とする社員にサポートしてもらうのも良い方法です。
新人教育を行う際の課題
新人教育を行う際には、次の3つの課題があります。これらに留意した上で、効果的な新人教育を実施できる体制を構築しましょう。
- ・教育担当者の選出と教育
- ・教育担当者へのフォロー
- ・教育コストの負担
それぞれ解説します。
教育担当者の選出と教育
新人教育を実施する際は、教育係を選任しなければなりません。教育係を担当する社員はその部署で優秀な社員でもあるため、コア業務に大きな影響が出る可能性があります。
一般的な研修とは異なり、新人教育には比較的長い時間を要することが多いため、当該部署のコアな業務が滞ることがないように、企業全体でフォローできる体制を構築しましょう。
教育担当者へのフォロー
また教育担当者には、精神的な負担が大きいことも課題の1つとなります。自身の業務であれば、ある程度はやり甲斐やストレスをコントロールできますが、新人教育では個人に合わせた臨機応変な対応が必要となります。
そこで教育係だけに指導を任せるのではなく、それぞれの社員が得意な分野や強みを活かし、社内全体で教育担当者をフォローすることが重要です。
教育コストの負担
新人教育には、当然ながら時間や人的コストの大きな負担が強いられます。企業の規模によっては、教育コストが毎年大きな負担となるケースも少なくありません。
そこで新人教育を効率よく行うために、新入社員を配属する際は、各部署へのマッチング度合いを見極めることが重要です。適材適所に人材を配置できれば、教育機関が短く済むだけでなく、早い段階で新入社員を戦力活用できるでしょう。
新人教育の基本と教え方のまとめ
このように新人教育を行う際は、まず新入社員のマッチングをしっかりと行い、教育工程を短くすることが重要です。適材適所に新入社員を配置し、優秀な教育係をつけることで、入社から数ヶ月後には新しい自社の戦力として活躍してくれるでしょう。
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