クエストエデュケーションとは?学習の概念やメリット、学び方を徹底解説
クエストエデュケーションとは、学習者が自らの興味や好奇心に基づいて、自分でテーマを決め、自分で調べ、自分でまとめるという学習方法です。
クエストエデュケーションでは、学習者が自らの学習プロセスを主導し、自らが何を学ぶかを決定します。そのため、クエストエデュケーションにおける学習の進め方は自由度が高く、教師が細かな指導を行いません。
このような学習者が自ら主体となって学ぶ「アクティブラーニング」などと呼ばれる学習法は、近年「探究学習」というカリキュラムで実際に小学校の授業から取り入れられています。ただ、アクティブラーニングのような形式の学習法はさまざまであるため「詳しくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、クエストエデュケーションについて、学習の概念やメリット、学び方を徹底解説します。他の学習法との違いも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
クエストエデュケーションの概念
「クエストエデュケーション(Quest Education)」とは、学習者が自分の関心や興味に基づいて自主的に学ぶことを促す学習方法論の1つです。
具体的な方法としては、学習者が自らの目標を設定し、そのために必要な知識やスキルを自己学習やグループ学習で獲得しながら、実践的な課題やプロジェクトに取り組むことで、深い学びを促進するアプローチです。
クエストエデュケーションは、近年注目を集めているアクティブラーニングの1つとされています。
またクエストエデュケーションは、ゲームの要素を学習に組み込むことで、学習に対するモチベーションを高め、学習の体験をより魅力的なものにするのが目的です。
そのためクエストエデュケーションの指導者は、学習者に対して、目標を設定し、その目標を達成するために必要なスキルや知識を獲得するためのヒントや手掛かりを提供するのが特徴です。
学習者は、自分のペースで学習プロセスを進めることができ、達成感を得ることができます。
クエストエデュケーションは、特にSTEM分野(科学、技術、工学、数学)において広く利用されており、コンピューターゲームやバーチャルリアリティなどの技術を活用して、学習を促進する方法が開発されています。
クエストとエデュケーションそれぞれの意味
ここでは、もう少し噛み砕いて理解ができるように「クエスト」と「エデュケーション」それぞれの意味を分けて解説します。
クエストの意味
「クエスト(Quest)」とは、目的を達成するための冒険的な旅や探索のことを指します。ゲームの世界でよく使われる用語で、プレイヤーが主人公となって、目標を達成するためにさまざまな困難や障害を乗り越え、成長していく過程を表現するために使われます。
クエストは、RPG(Role-playing game)と呼ばれるゲームの中で特によく使われている言葉です。RPGでは、プレイヤーは自分が演じるキャラクターを操作し、さまざまなクエストを達成することで、レベルアップや装備の獲得などの報酬を得ることができます。
クエストは、プレイヤーに対して、目標を与え、達成感を与えることで、ゲームをより楽しいものにする役割を持っています。
このクエストの概念を教育に応用したのが「クエストエデュケーション」というアプローチです。クエストエデュケーションでは、学習者に対して目的を与え、学習のプロセスをクエストのような冒険的な旅に見立てて、学習のモチベーションを高めることを目的としています。
エデュケーションの意味
「エデュケーション(Education)」とは、知識、スキル、価値観などを習得し、人間としての成長を促すための学習のことです。エデュケーションは、学校や大学での教育だけでなく、社会や家庭での経験や独学など、さまざまな形で行われています。
エデュケーションは、個人の成長だけでなく、社会や文化、経済などの発展にも密接に関連しています。なぜなら、現代社会においては高度な知識やスキルを持つ人材の需要が高まっており、教育が「個人の人生」だけでなく「社会全体の発展」にとっても重要な役割を担っているからです。
エデュケーションは、さまざまな形式で提供されています。例えば、講義、セミナー、ワークショップ、オンラインコース、インターンシップ、アプレンティスシップなどです。
また、教育には、教える側と学ぶ側の両方が協力し、知識や経験を共有し合うことが求められます。
クエストエデュケーションと他の学習方との違い
以下では、クエストエデュケーションと他の学習法との違いを解説します。
アクティブラーニングとは
アクティブラーニングとは、受動的に情報を受け取るだけでなく、学習者が積極的に自分で考え、問題を解決したり、意見交換したりすることで、より深い学びを促進する学習方法です。
従来の講義形式に代わり、グループワーク、プロジェクトワーク、ディスカッションなどの方法を取り入れることで、学習者の自律性や創造性、コミュニケーション能力などを養うことができます。
アクティブラーニングは、現代社会で求められる能力を身につけるための教育手法として、多くの教育現場で採用されています。
このようにアクティブラーニングは、クエストエデュケーションと深く関連する学習法です。
プロジェクトベースドラーニングとは
プロジェクトベースドラーニング(Project-Based Learning: PBL)とは、実践的な問題解決を通じて、学生が自ら考え、自ら学ぶ学習方法です。PBLでは、学生が興味や関心のあるテーマについて調査・研究を行い、実践的な課題に取り組むことで、知識やスキルを身につけることができます。
PBLの特徴は、問題解決のプロセスを重視する点です。具体的な課題を設定し、それに向けての目標や計画を策定し、情報収集・分析を行い、解決策を提案するといった一連のプロセスを経て、最終的に成果物を作成することが求められます。
このプロセスを通じて、学生は協働的な学習、クリティカルシンキング、問題解決力、コミュニケーション能力などを身につけることが可能です。
PBLでは、教師は学生たちをサポートし、指導する立場にあります。具体的には、プロジェクトの設計や進行管理、質問や提案、フィードバックの提供などを通じて、学生たちが学びを深めるための環境を整える役割を担います。
PBLは、現代の教育において重要な位置を占める学習方法の一つです。PBLは、STEM教育やSTEAM教育などの分野での活用が進んでおり、将来的にはさらに幅広い教育領域での導入が期待されています。
探究学習(たんきゅうがくしゅう)とは
探究学習とは、学習者が自分で問題を見つけ、自ら考察することによって深い理解を得る学習方法です。探究学習は、学習者が自らの興味・関心に基づいて学習の目標を設定し、自己学習を進めることができます。
探究学習は、従来の講義形式や教科書による学習よりも、より自己主導的であり、自ら問題を発見して、解決策を見つける能力を育成することができます。また、探究学習においては、学習者が問題解決に必要な情報を自ら収集し、自ら考えることによって、より深い理解を得ることが可能です。探究学習においては、教師は指導者としての役割を果たし、学習者が学ぶために必要なサポートを提供します。
探究学習は、プロジェクトベースドラーニングやアクティブラーニングとも関連しており、学習者の能動的な参加を促し、学習者が自己学習能力を向上させることを目的としています。探究学習は、科学や数学、社会科学などのあらゆる教科に適用され、現代の教育において重要な位置を占める学習方法の一つです。
クエストエデュケーションと探究学習の違い
上記のように、クエストエデュケーションと探究学習はいずれも学習の方法論の一種ですが、その概念に違いがあります。
クエストエデュケーションとは、学習者が自らの興味や好奇心に基づいて、自分でテーマを決め、自分で調べ、自分でまとめるという学習方法です。つまり、学習者が自らの学習プロセスを主導し、自らが何を学ぶかを決定します。学習の進め方は自由度が高く、教師が指導するわけではありません。クエストエデュケーションは、プロジェクトベースドラーニングやPBL、アクティブラーニングとも関連する教育手法です。
一方、探究学習は、学習者が主体的に問いを立て、その問いに答えるために必要な情報や知識を収集し、自ら考察することによって、深い理解を得る学習方法です。つまり、学習者は問題解決のために必要な情報や知識を自分で集め、自分で考え、自分で答えを見つけます。探究学習は、科学や数学、歴史などのあらゆる教科に適用されます。この学習方法は、探究的学習、探究的アプローチ、探究学習プロセス、問題解決学習などとも呼ばれます。
簡単に言えば、クエストエデュケーションは、学習者が自分自身で学び方を決定し、探究学習は、学習者が問題解決のための方法を発見するために自分自身で問いを立て、答えを見つけるために調べるという点で異なります。
クエストエデュケーションが求められる背景
現代にクエストエデュケーションが求められる背景としては、従来の教育に問題点があると考えられているからです。従来の教育は、知識を一方的に伝える講義形式が主であり、受講者が知識を受け取ることが主眼です。
しかし現代社会においては、情報が豊富で、単なる知識の受け手ではなく、自ら考え、判断し、問題を解決することが求められるようになってきています。また、単に知識を受け取るだけでは、社会で活躍するために必要な能力やスキルを身につけることができないという課題も顕著となっています。
クエストエデュケーションは、単なる知識の受け手ではなく、自ら問題を発見し、解決する能力を身につけることができる教育手法です。またクエストエデュケーションでは、受講者が自己の興味・関心に基づいて学習に取り組むことができるため、受講者のモチベーション向上にもつながります。
さらに、クエストエデュケーションは、グループワークやディスカッション、プレゼンテーションなどのアクティブラーニングを取り入れることが多いため、コミュニケーション能力や協働性を身につけることができるのもメリットです。
このように、クエストエデュケーションが求められる背景には、従来の教育の問題点や社会の変化に対するニーズがあります。
クエストエデュケーションの目的
クエストエデュケーションには、次のような目的があります。
1.学習者のモチベーションを高める
クエストエデュケーションでは、学習者が自分で設定した目標を達成することで、達成感や自信を得ることができます。
学習のプロセスをクエストのような冒険に見立て、学習者の興味を引き、学習への意欲やモチベーションを高めることが可能です。
2.学習の方向性を決めるための自己分析を促す
クエストエデュケーションでは、学習者自身が自分の学びたいことや興味を持つことを見つけ、クエストの目標設定やプランニングを行います。
自己分析を通じて、自分の強みや興味、関心を再確認し、将来の学習やキャリアの方向性を決定するための基盤を作ることが可能です。
3.問題解決能力やクリエイティブな思考力の育成
クエストエデュケーションでは、学習者が自ら問題を解決し、クリエイティブな思考力を発揮することが求められます。
クエスト達成のために、自分で考えた戦略やアイデアを実践することで、問題解決能力やクリエイティブな思考力を育成することが可能です。
4.社会的スキルの向上
クエストエデュケーションでは、単独でクエストを達成するだけでなく、他の学習者と協力してクエストを達成することも求められます。
このようなコラボレーションを通じて、コミュニケーション能力やリーダーシップ、チームワークなどの社会的スキルを向上することが可能です。
クエストエデュケーション役割
クエストエデュケーションには、以下のような役割があります。
1.学習者の自主性と自律性の育成
クエストエデュケーションでは、学習者が自分自身で目標を設定し、自分で学ぶプロセスをプランニングし、実行することが求められます。
このような取り組みを通じて、学習者自身が自主的かつ自律的に学び、成長することを促す役割があります。
2.学習者の興味や関心を引き出す
クエストエデュケーションは、学習者の興味や関心に合わせたテーマや問題を提供できます。また学習者が自分でクエストを選択し、目標を設定することで、学習の主導権を握ることができます。これによって、学習者の興味や関心を引き出し、学習への意欲やモチベーションを高める役割があります。
3.学習者の学習成果の可視化
クエストエデュケーションでは、学習者が自分で目標を設定し、その目標を達成することで、自らの学習成果を可視化できます。このようなプロセスを通じて、学習者自身が自分の成長を実感し、自信を持つことができます。
4.学習者の社会的スキルの向上
クエストエデュケーションでは、学習者が協力してクエストを達成することが求められます。このような協力のプロセスを通じて、学習者のコミュニケーション能力やリーダーシップ、チームワークなどの社会的スキルを向上させる役割があります。
クエストエデュケーションのメリット
クエストエデュケーションには以下のようなメリットがあります。
1.学習のモチベーションが高まる
クエストエデュケーションでは、学習者に対して目標を与え、学習のプロセスをクエストのような冒険的な旅に見立てることで、学習のモチベーションが高まります。目標達成に向けて頑張ることで、自己成長や達成感を感じることができます。
2.自己学習能力が向上する
クエストエデュケーションでは、学習者自身が自分で学びたいことを見つけ、学習の方向性を決めることができます。自己学習能力を向上することで、将来的にも学習を継続するための基盤を作ることができます。
3.問題解決能力が身につく
クエストエデュケーションでは、クエスト達成のために様々な困難や問題を解決しなければなりません。問題解決のプロセスを通じて、学習者の問題解決能力が向上することが期待できます。
4.クリエイティブな思考力が養われる
クエストエデュケーションでは、学習者が自分なりのクエストを設計することができます。自分でクエストを設計することで、クリエイティブな思考力が養われ、自分のアイデアを形にする力を身につけることができます。
5.学習成果が可視化される
クエストエデュケーションでは、学習の成果がクエスト達成や報酬の獲得などとして可視化されます。このような形で学習成果が可視化されることで、学習の意義を実感し、学習のモチベーションが高まることが期待できます。
クエストエデュケーションの事例
クエストエデュケーションの事例としては、以下のようなものがあります。
自己学習型プログラミング学習プラットフォーム
学習者が自分のペースでプログラミングの学習を進め、プロジェクトやコンテストに参加することで、実践的なスキルを身につけることができます。
プロジェクトベースの授業
学習者が自分で課題を設定し、実践的なプロジェクトを進めることで、研究やデザイン、起業などのスキルを身につけることができます。
ロールプレイング型英会話学習
学習者が自分の役割になりきり、会話を進めることで、実践的な英会話スキルを身につけることができます。
ゲームベースの学習プラットフォーム
ゲームのように楽しみながら学ぶことができるプラットフォームで、学習者が自分のペースで進めながら、知識やスキルを身につけることができます。
これらの事例は、学習者が自律的かつ主体的に学びを進めることで、深い学びを促進するアプローチを採用しています。
クエストエデュケーションのやり方
クエストエデュケーションのやり方は、以下のステップで行われます。
1.テーマの選択
学習者が興味を持っているテーマや問題を選択します。クエストエデュケーションでは、学習者自身が自分でテーマを選び、目標を設定することが重要なポイントです。
2.目標の設定
学習者が自分で目標を設定し、その目標を達成するためのステップをプランニングします。目標は、学習者が興味を持っているテーマに関する知識やスキルを身につけることになります。目標の設定は、学習者の自主性と自律性を育成するために重要なプロセスです。
3.クエストの開始
学習者は、目標を達成するために、クエストを開始します。クエストは、学習者が自分でプランニングしたステップに従って進められます。
4.レッスンの受講
クエストのプロセスで、学習者が必要とする知識やスキルがあれば、レッスンを受講します。レッスンは、オンラインで提供されることが多く、ビデオや音声、文章などを通じて学習することができます。
5.アクションの実行
学習者は、レッスンで学んだことを実践するアクションを行います。アクションは、学習者自身がプランニングし、実行することが求められます。
6.チェックポイントの達成
学習者は、アクションを実行し、目標に向けて進んでいく中で、チェックポイントを達成します。チェックポイントは、学習者が目標に向けて進んでいることを確認するためのポイントで、目標に向かって進むためのステップとして設定されます。
7.クエストの完了
学習者は、目標を達成し、クエストを完了します。クエスト完了後は、自己評価や他者からのフィードバックを通じて、自分の学習成果を振り返ることができます。
また、次のクエストに向けて、新たなテーマを選択することも可能です。
クエストエデュケーションの注意点
クエストエデュケーションには、以下のような注意点があります。
目標の設定
クエストエデュケーションでは、学習者自身が目標を設定します。しかし、目標があまりにも大きかったり、現実的でなかったりすると、学習者が失望して挫折してしまう可能性があります。そのため、目標を設定する際には、現実的で達成可能な目標を設定することが重要です。
サポートの必要性
クエストエデュケーションは、学習者自身が自己学習することを前提としていますが、完全な自己学習は難しい場合もあります。学習者が教育者やメンターからのサポートを必要とする場合は、サポートを受けられる環境を整えることが大切です。
評価の問題
クエストエデュケーションでは、学習者が自分で目標を設定し、それを達成することが求められます。しかし、学習者自身が自分の学習成果を評価することは難しい場合があります。そのため、適切な評価方法を用いることが必要です。
リソースの制限
クエストエデュケーションは、学習者が自己学習することを前提としていますが、必要なリソースが限られている場合もあります。例えば、学習者がアクションを実行するために必要な物品や機器がない場合は、学習が進まなくなる可能性があります。
モチベーションの問題
クエストエデュケーションは、学習者自身が自分の興味や関心をもとに学習を進めることを前提としています。しかし、学習者のモチベーションが低下した場合、学習が停滞してしまうことがあります。そのため、学習者のモチベーションを維持するための方法を考えることが必要です。
クエストエデュケーションのまとめ
このように、クエストエデュケーションは、現代の教育において重要な手法であり、注目されている学習法です。クエストエデュケーションは、教育機関だけで得なく、さまざまなシーンで活用可能です。
もし、クエストエデュケーションに関する質問や疑問があれば、いつでもアルマ・クリエイションにご相談ください。それぞれの企業ごとに最適なソリューションをご提供いたします。
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