【現代版】営業クロージングのコツ|売れるテクニックと参考本を解説
営業クロージングとは、営業のプロセスの最終段階で、顧客に対して契約や取引を成立させるための意思決定を促すことです。そのため営業クロージングは、これまでの営業活動が成功したかどうかを決定する上で、最も重要なステップの1つと考えられてきました。
しかし近年は、営業活動のプロセスそのものが大きく変化したこともあり、クロージングに対する考え方から改める必要があります。
そのため、もしクロージングに対して「何度やってもうまくできない」や「いつまでも営業に慣れない」といった苦手意識のある方は、根本の思考を変えることが重要です。
そこで今回は、現代版の営業クロージングのコツや、売れるテクニック、おすすめの参考本を徹底解説します。営業に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
営業クロージングとは?
営業活動におけるクロージングとは、営業活動の終了段階における取引の締結や契約の成立などを指します。このクロージングは、営業活動が成功したかどうかを決定する上で、最も重要なステップの1つと考えられてきました。なぜなら、クロージングに失敗することで、これまで積み重ねてきた営業活動がすべて無になる可能性があるからです。
そのため、これまでの営業活動におけるクロージングは、顧客との取引を成立させるために必要なスキルのあるベテラン営業マンが努めることが多くありました。
しかし現代のビジネスにおいては、営業プロセスそのものが大きく変化したことにより、クロージング活動の重要性がほとんど無くなっていると言ってもよい状況です。
もちろん、業種や業態によっては、まだまだクロージングが大事というケースがあるかもしれません。しかし、そのような業種の場合でも、今後はインサイドセールスなどを取り入れた営業手法へシフトしていくことが重要となるでしょう。
以下では、クロージングが重要ではない理由を解説します。
クロージングが重要でない理由
これまでの営業活動は、顧客へアプローチするためのフィールドセールスを行い、見込み顧客を獲得するところからスタートし、見込み顧客へのヒアリング、営業提案のプレゼンテーション、そして最後にクロージングというプロセスで行われてきました。
上記のような営業スタイルでは、見込み顧客の獲得は新人営業マンが行い、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージングへと移行するごとに、知識や経験のある営業担当者へと引き継がれるのが一般的でした。
しかし現代では、このような一連のマーケティング活動を、インサイドセールスやフィールドセールスのチームが分けて行ったり、クロージングに至るまでの全ての工程をWebマーケティングで完結したりするケースもあります。
このように、現代の営業活動においては、見込み顧客へのアプローチからクロージングに至るまでの役割がしっかりと区別されているため、それぞれの専門スタッフが顧客に適切に対応できるのが特徴です。
特に現代のビジネスでは、アプローチの段階を最も重要視しながら、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージングへと移っていく中で顧客の選別を行います。
上記のようなやり方では、まだ購入の意思のない顧客に対して無理なクロージングを行わず、ナーチャリング(顧客育成)を続けるのが一般的です。
このように現代の営業では、成約しそうにはない顧客へ無理にクロージングを行ったり、売り込みをしたりすることは、せっかくの見込み顧客を失う可能性が高いため、おすすめできません。
営業で重要なプロセスは、質の良い「見込み顧客の獲得」と「ヒアリング」
現代の営業プロセスにおいて、もっとも重要視されるべき工程は、上記の図で言えば「アプローチ」と「ヒアリング」のプロセスです。
現代の営業でまず大事なことは、質の良い「見込み顧客の獲得」と「ヒアリング」によって、顧客の課題や問題をしっかりと抽出することです。あとは、解決に向けた提案(プレゼンテーション)を行うことで、自然とクロージングに繋がるアクションが取れるでしょう。
そこで以下では、営業のクロージングに向けて必要となるスキルのいついて解説します。
営業クロージングのコツと成約テクニック
営業のクロージングのコツといっても、世間では非常に多くの成約テクニックが必要とされています。
そこには、課題解決力やヒアリング能力、情報収集能力から情報を分析して整理する能力など、Webサイトで「営業スキル」や「営業のクロージングスキル」と検索するだけで「営業やクロージングには〇〇のスキルが必要です」などと解説されています。
しかし正直なところ、それができれば誰だって苦労しませんし、それで成約できるのであれば皆さんはすぐにトップ営業マンです。
そして、もしなれなかったら「自分には精進が足りなていない」や「この本は中身が薄い」と考える方がほとんどではないでしょうか。
もしあなたが、本当に営業力を強化したいのであれば、次の3つを磨くだけで十分に対応できるはず。
そこで、まずは次の「営業に必要な3つのスキル」を紹介します。
- 1. コミュニケーション能力
- 2. 課題解決力
- 3. セルフマネジメント能力
この3つの能力があれば、トップ営業マンとして活躍可能ですので、それぞれ解説します。
1. コミュニケーション能力
まず第一に、営業職にはコミュニケーション能力が必要不可欠と言えるでしょう。
近年は、これまでの営業手法とは異なり、Webマーケティングやインサイドセールスといった非対面式のオンライン営業も増えています。しかし、BtoBなどの大口取引では、最終的な契約時のオフラインやオンラインの対面形式での商談が欠かせません。そのため、コミュニケーション能力はやはり必要です。
営業におけるコミュニケーション能力では、営業相手の話を理解して課題を共有し、自社の商品やサービスによって課題解決の提案をするのが一般的な流れとなります。そのため、一方的に自分の話をしてしまったり、何も話せず終わってしまうことが無いように、インタラクティブなコミュニケーション能力が必要です。
ここで注意すべきことは、営業におけるコミュニケーション能力が「媚(こび)をうる」ことと勘違いしないことです。営業とは、相手にお願いして「買ってもらう」ことではなく、自社の商品やサービスによって相手の課題をどのように解決するかを提案することです。
SPIN話法などを活用し、クライアントの悩みや課題を引き出し、解決手段を提案できるコミュニケーション能力を身につけましょう。
2. 課題解決力
課題解決力とは、コミュニケーション能力によって獲得したクライアントの課題や問題について、自社の商品やサービスをどのように活用して解決に導くかを考えることです。
そして考えられる解決法をロジカルに展開し、それぞれのクライアントに合わせた施策に落とし込んで提案することが重要となります。
特に営業の提案や企画書を書く場合には、さまざまなデータを論理的に組み立て、課題を解決できる結論に導かなければなりません。
ただし、こちらも営業の落とし穴に引っかからないように注意が必要です。営業の本質は成約ではなく、相手の課題を解決できる提案を行うことです。あなたの提案が正しく、それを理解できれば、商談は成約するでしょう。もし予算などの要因で成約に至らない場合は、取引先の問題であり、あなたの失敗ではありません。
営業とは「相手にとって利益(ベネフィット)のある提案」をして、成約すれば「自社の商品やサービスを使って相手の課題を解決する」のが目的であることを忘れないようにしましょう。
3. セルフマネジメント能力
営業で最も重要と言える能力に「セルフマネジメント能力」があります。
セルフマネジメントといえば、仕事やプライベートの「時間」や「行動」を自己管理する能力と考える方も多いかと思います。
しかし営業で必要なセルフマネジメントは、自己管理能力だけでなく「肉体的・精神的に安定を維持できる能力」です。
営業の仕事は、多くの方がイメージしている通りハードで、肉体的にも精神的にも辛いことが多い職種です。そこでセルフマネジメント能力を高めることで「自分の理想を実現できる」ように、自分自身をコントロールできるようなトレーニングが必要です。
セルフマネジメント能力を高める方法として、企業によっては禅寺での修行を研修に取り入れたり、自己啓発で社外研修に参加することを勧めるといった取り組みがあります。しかし「自己啓発とかちょっと苦手…」という方も多いのではないでしょうか。
そこで、おすすめなのが「自分がなりたい自分を紙に書く」という「セルフコントロール術」です。今ではメジャーリーグで活躍中の大谷翔平選手が作った曼荼羅チャートなどが有名ですが「紙に書いた理想の自分を朝晩見る」ことは、実際の多くの成功者が実践している手法です。
このように、営業で成果を出すには、この「3つのスキルだけ」で十分。他にやることは、自分にあった本を見つけて実践することです。
営業マンにおすすめの「これだけは読んでほしい本」5選
ここで紹介するビジネス本は、営業テクニックだけではなく、営業にある本質的なゴールである「相手の利益」と「自分の利益」の両方を達成できる内容が書かれた書籍です。
そのため、本を読むだけでなく「自分のビジネスと目標にあてはめて考え、相手の課題を解決に導く答えを見出し、相手に伝えること」を実践してください。
そこで、まずは「読んでほしい本」を順番に紹介します。
1. 新装版・非常識な成功法則
▲出典:新装版・非常識な成功法則
著者:神田 昌典
出版社 : フォレスト出版
発売日 : 2011/10/28
一般的なビジネスの成功本は「幸せはお金で買えない」「謙虚であれ」「出会いを大切に」といった「常識的」な言葉を「成功法則」として紹介しています。
しかし、これから仕事の実力をつけ、成長していこうとするビジネスパーソンにとっては、これらが本当に役に立つ成功法則かといえば疑問です。
お金を考えずに、謙虚に無理な交渉を受け入れ、出会いを大切にしてやりたくない仕事ばかり引き受けて「本当に成功するか?」といえば、答えは「NO」となるはず。
本書の著者である神田昌典氏は、これから「成功者がさらに成長するため」に必要なことが、ここで書かれている「非常識な成功法則」にあることを解説しています。
本書では、神田昌典氏本人が、外務省から米国家電メーカーの日本代表を経て、経営コンサルタントとして成功を収めた「目標の作り方」「潜在意識の活用方法」「セルフイメージを高める方法」が、誰でもすぐできるのに実行している人の少ない成功メカニズムであることを、わかりやすく解説しています。
そしてこれらを解説した上で、さらに成功できるテクニックとして、速読術の「フォトリーディング」などの情報獲得術、相手から「売ってください」と頼まれる殿様営業術などを紹介しています。
この本には、お金に管理されることなく「お金を管理する原則」や、将来に向けた決断を下す方法など、成功を収める上での心構えから、あまり触れられることのない「成功のダークサイド」な部分にまで言及されていています。
そのため、本質を読み間違えると、本当に「非常識な」一冊かもしれません。しかし、本気で営業成績を上げたい方や収入をアップさせたい方、独立や起業を目指している方に、ぜひ読んでいただきたい最初の1冊です。
2. 凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク
- 著者:佐藤 昌弘
- 出版社 : 日本実業出版社
- 発売日 : 2003/12/4
本書は、神田昌典氏が主宰する「顧客獲得実践会」のパートナーコンサルタントであり、10万部を超えるベストセラー『図解・成功ノート』(共著・三笠書房)の著者の1人である佐藤昌弘氏によって書かれた書籍です。
内容は極めてシンプルでありながら、心理学とセラピーを徹底的に学んだ著者ならではの「読ませる仕掛け」が解説されています。
本書の最初「お客が欲しいというものを、売ってはいけない」で始まるその内容の根底には「お客の潜在的な欲求を聞かずに、営業はできない」という、マーケッターならではの視点があります。
また、心理学に基づく深い人間観察力と、営業コンサルタントとして1,000社以上の指導で培った実践感覚が詰まった内容です。
「ダメセールスの典型トーク例」「99%のセールスパーソンが陥る『アリ地獄』とは?」「モノマネ注意の6つのセールス法」「心理じゃんけんの法則」「顧客が持っている60の欲求と交流分析」「5分で信頼関係を築く法」「4つのセールストークで魔法を起こす法」
「世界最強のクロージングトークとは?」「1日2分間・凡人が最強営業マンに変わるイメージトレーニング」など、面白い視点で営業テクニックとノウハウを紹介するトピックが満載です。
3. あなたの会社が90日で儲かる!
▲出典:あなたの会社が90日で儲かる!
- 著者:神田 昌典
- 出版社 : フォレスト出版
- 発売日 : 1999/12/20
この本は、無駄な時間をかけずに売り上げを飛躍的に伸ばしたい営業マンにピッタリの1冊です。
これまで、マーケティングの常識は「お客様主体の営業」でした。しかしこの本では、本来の営業にあるべき「営業側主体の営業」への転換方法や、お客様をどのように生み出し、利益を生み、営業効率を飛躍的に上げるかというエモーショナル・マーケティングの具体的なメカニズムが書かれているため、この最強の技術を習得可能です。
一度読めば、いつの間にか神田昌典のビジネス観とその魅力に引き込まれるでしょう。
また注目すべきは、ビジネス本には珍しいショッキングピンクの表紙と、最初に目に付く奇抜な前書き「なぜ、あなたはこの本を手にとりましたか?」という言葉。そして、裏表紙には本書による驚くべき成功実績の一覧表がびっしりと書かれています。
この本のつくり自体が「エモーショナル・マーケティング」の手法によって構成されており、営業に応用可能な仕組みがわかるはず。発売から今なお増刷を重ねていることが納得できる、読めばわかる1冊です。
4. もっとあなたの会社が90日で儲かる!
- ▲出典:もっとあなたの会社が90日で儲かる!
- 著者:神田 昌典
- 出版社 : フォレスト出版
- 発売日 : 2000/6/1
本書は「3. あなたの会社が90日で儲かる!」の続編で、あなたの〜を読めば、必ず読みたくなる本です。
- 第1章 同業者には笑われた。でも私の本が売れ始めたとたん…
- (捨て身になれば、ホームラン/まぐれ当たりか、それとも本物か? ほか)
- 第2章 お客さんの感情を味方につける方法
- (なぜ、ビジネスは難しいと思われているのか?/感情マーケティングを実践するための、五大ポイント ほか)
- 第3章 正直者が陥るビジネス常識四つの罠
- (なぜ私は敵をつくるのか?/「口コミで、凄く売れているんです」 ほか)
- 第4章 エモーショナル・マーケティング実践編
- (誰もが必ず犯す五つの間違いーだからお客が集まらない/いきなり人生を語ってしまう ほか)
- 第5章 感情マーケティングで、お客をトリコにする
- (なぜ言葉の選択で、反応が変わるのか?/お客の感情をベースに、ビジネスを再構築する ほか)
このように、営業だけでなく、ビジネスの本質をわかりやすい例で紹介する内容となっています。そのため、今営業職に従事していながら「今後は独立して起業したい!」とお考えの方に特におすすめしたい1冊です。
5. 口コミ伝染病〜お客がお客を連れてくる実践プログラム〜
▲出典:口コミ伝染病〜お客がお客を連れてくる実践プログラム〜
- 著者:神田 昌典
- 出版社 : フォレスト出版
- 発売日 : 2001/3/10
この本では、口コミ5つの間違った常識とお客がしゃべりたくなる7つの引き金、口コミの伝染プロセス、鍵となる6つの設定条件、口コミを伝染させ売り上げもアップする5つのステッププログラムをわかりやすく解説しています。
「口コミ」をキーワードに、お客の話題になる会社づくり、営業販売戦略づくりをし、口コミを味方につけようという考えは、一般的にBtoCのみで有効と考えられるスタイルをBtoBでも活かすことができます。
本書は一部を会話形式で構成しているため、マーケティングの知識がない人でも読みやすく、非常に理解しやすい内容となっています。
ただし、実際のフィールドセールスのシーンでは役に立つ内容ばかりです。「口コミなんて関係ない業種」とお考えの営業マンも、絶対に一読の価値ある1冊です。
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