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『リーダーシップ進化論』の要約|書籍紹介

著者:酒井 穣(さかい・じょう)



▲引用:リーダーシップ進化論

著者略歴


1972年、東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒、オランダTilburg大学TiasNimbas Business School経営学修士号(MBA)首席取得。商社にて新事業開発などに携わった後、オランダの精密機械メーカーに転職しオランダに移住する。2006年末に各種ウェブ・アプリケーションを開発するベンチャー企業であるJ3 Trust B.V.をオランダで創業し、最高財務責任者(CFO)として事業戦略の展開、人事制度の構築、採用、人材育成などに従事した。
2009年春、8年と8ヶ月を過ごしたオランダを離れ、活動拠点を東京に移して現職に就任。2008年に執筆した『はじめての課長の教科書』  (ディスカヴァー・トゥエンティワン)は10万部を突破するベストセラーとなり、世間の注目を集めた。講演活動も積極的に行っており、人気著書のタイトルと同じテーマを中心に講話する。

ファシリテーターの感想・おすすめのポイント


本書では、 リーダーシップに関する経営的な理論を紹介するが、それらは本書においては枝葉だ。そうではなくて、人類誕生以前からやがて来るシンギュラリティの時代まで、膨大な資料を駆使し、再構成して、家族や企業、そして国家と言った「組織」を形成してきた人間の歴史を振り返る。そこで、組織が、異なる社会環境で生き残るために、どのようなリーダーシップを必要としてきたのかを考察する。



本書の要点

第1章 人類以前のリーダーシップ
第2章 旧石器時代のリーダーシップ
第3章 農耕以降のリーダーシップ
第4章 四大文明の誕生以降のリーダーシップ
第5章 ルネサンス移行のリーダーシップ
第6章 インターネット以降のリーダーシップ

目次

第1章 人類以前のリーダーシップ

1-1. この宇宙はどうできているか(自己組織化)
1-2. 動物の群れにはどのような規則があるか
1-3. 本当は序列を嫌っていない?純正という規則
1-4. 愛は血縁の距離によって変わる
1-5. 人間は自らを家畜化してきた
1-6. 家族とは何だろうか


第2章 旧石器時代のリーダーシップ

2-1. 料理が人間を進化させた?
2-2. ミラー・ニューロンの発見とその機能
2-3. コレクティブ・ラーニングがもたらした進化
2-4. 狩猟採集社会とはどのような社会なのか
2-5. 虚構を信じる力は私たちを人間にしたか
2-6. 返報性と社会活動


第3章 農耕以降のリーダーシップ

3-1. そもそも農業とは何か
3-2. 資源管理の登場と発達
3-3. 言語の広がりは、農耕の広がりが生み出した?
3-4. 人間の群れは際限なく拡大できるようになった
3-5. 権力とその講師におけるテクニックの発達
3-6. マルサス・サイクルを出現させないための戦い

第4章 四大文明の誕生以降のリーダーシップ

4-1. 神々の姿から読み取れる人間の立ち位置
4-2. 枢軸時代に人間は(ほぼ)出そろっている
4-3. 教育が国家という幻想を支えている
4-4. 四大文明の波紋効果として世界史をとらえる
4-5. アレクサンドロス・リーダー( 人々を守るリーダー)
4-6. 文化の意味と役割について



第5章 ルネサンス移行のリーダーシップ


5-1. ルネサンスと何か
5-2. 航海時代とヨーロッパの奇跡
5-3. 産業革命とは何だったのか

5-4. 第二次世界大戦は最後の世界対戦となるか
5-5. 人間の心理学的な理解は平和を生み出せるか
5-6. 「知識人」という概念は生き残れるか


第6章 インターネット以降のリーダーシップ

6-1. 資本主義のおごりと戦争のリスクの増大
6-2. 超裕福層の王を中心とした封建社会の出現
6-3. スピリチュアル系と ポピュリズムを警戒すべき
6-4. 新たな年齢別差別の出現(年功序列の終わり)
6-5. 自己組織化による歴史の終わりを回避するために必要なこと
6-6. ソーシャル・ビック・クランチ(social big crunch)
おわりに



要約


第1章

リーダシップの系統:家族型

もっとも原始的な組織は、家族型組織であると考えられる。こうした、家族型組織を率いる家族型リーダーは、組織のメンバーとの血縁距離が近いか、またはメンバーを家族や親友のように扱う存在である。

また、家族型リーダーは、特定の個体のことを指す言葉ではない。
家族型リーダーは、状況に応じて柔軟に交代するという点については、特に注意が必要だ。

第2章

リーダシップの系統:学習型

旧石器時代における典型的な組織は学習型組織であると考えられる。

こうした学習型組織を率いている学習型リーダーは、メンバーの経験が世代を超えて共有され、組織の財産として積み上がることをうながす存在である。


第3章

リーダシップの系統:学習型農耕社会における組織は、順位型組織であると考えられる。

コースター順位型組織を率いるリーダーは、 メンバー間の争いを調整しつつ、厳格な順位による指揮命令系統確立し、組織を維持する存在である。

第4章

リーダシップの系統:専門型四大文明における組織は、専門型組織であると考えられる。こうした専門家組織を率いる、専門型リーダーは、組織のメンバーを多様な専門性に分化させ、多数の専門集団間の利害を調整する存在である。

第5章

リーダシップの系統:扇動型ルネサンス以降の組織は、扇動型組織であると考えられる。こうした扇動型組織を率いる扇動型リーダーは、メンバーに対してビジョンを示し、組織の行動に正義と自尊につながる目的を与える存在である。

第6章

リーダシップの系統:周辺型
インターネット以降、現在に至るまでの間に生まれた新たな組織は周辺型組織であると考えられる。こうした周辺型組織を率いる周辺型リーダーは、権力者のビジョンに疑いを投げかけ、弱者の立場から代替案を提示し、それを進める存在である 。

おわりに

自分が、こうした社会的な創発の中で、どのような役割を担っているかをイメージする力こそ、これからのリーダーに求められるものである。

そのために必要となるのは、複雑な現象の背景に存在する規則を知ろうとすることだ。この力を鍛えないと、それと知らずに、自分が社会の毒にもなってしまう。

良かれと思ってしたことが、この社会を破壊してしまうかもしれない。リーダーシップとは、途切れ途切れで短期的ではあっても、仏陀のごとく目覚めていくことだと思う。

自己組織化が生み出す成り行きの未来を警戒し、必要に応じて、自己組織化にあらがうことがリーダーの役割ではないだろうか


では、私たちは、どうすれば目覚められるのだろう。それは繰り返されてしまう悲惨な歴史を動かしている規則を理解することから始まる。


歴史は、過去である。そうした過去が、未来を創るのではない。出現する未来が不確定である以上、未来がどうなるかによって、過去が意味づけられるのだ。


リーダーとは、 成り行きで出現する未来と戦う存在であり、成り行きとは別の未来を実現する人間なのだ。私たちは、 何かを終わらせて、何かをはじめなければならない。その行動の繰り返しこそが、リーダーの責務である。


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リーダーシップ進化論

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