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事業戦略の立て方と策定手順|効果的なフレームワーク7選を解説

事業戦略とは、経営戦略によって配分される経営資源を基に、事業部や事業責任者が目標を達成するために考える戦略です。

具体的には、市場や顧客にどのような価値を提供し、競合他社との差別化を行う営業戦略の立案を行います

効果的な事業戦略を立案するには、企業の大きな指針となる経営戦略や、事業戦略を現場に落とし込んで実行するための機能戦略を理解する必要があります。

そこで今回は、事業戦略の立て方と、4つの立案手順、効果的なフレームワーク5選を徹底解説します。

これから起業する方はもちろん、既存ビジネスの改革・改善をすすめたい方も、ぜひ参考にしてください。

 

事業戦略とは

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事業戦略とは、企業が目指す最も大きな指針である「経営戦略」を実働部隊である各部署に落とし込み、社内のリソースを最も効果的に活用するための戦略です。

明確な経営戦略を基に組織が利用できる資源を最も効果的な方法で配備・管理することで、効果的な事業戦略を立案し、市場や顧客に競合他社よりも価値のある商品やサービスを提供できるようになるでしょう。

経営戦略、事業戦略、機能戦略へと落とし込んでいく手順は、以下の図のようになります。

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以下で、それぞれの戦略について解説します。

経営戦略

経営戦略は、企業の長期的な目標を実現するために、社内外へのビジョンの策定や浸透を目的とした戦略を指します。

経営戦略では、自社の基本となる事業を明確に定め、市場や競争、サービスなどの分析を行い、各事業部などへ経営資源の配分を行います。

経営戦略においては、事業を多角化するために経営資源を拡大すべきか、それとも自社の強みを生かした事業に経営資源を集中するかという、経営資源の配分の仕方が特に重要です。

経営戦略についての詳しい内容は「経営戦略の必要性と立案・実行の手順、代表的な6つのフレームワークを解説」をご参照ください。

事業戦略

事業戦略とは、経営戦略で配分された経営資源を基に、経営目標を達成するための事業部や事業責任者が考える戦略です。

具体的には、市場や顧客にどのような価値を提供するか、また競合他社との差別化といった「市場や顧客」「商品やサービス」などに関する営業戦略などの策定を行います。

事業戦略では、自社事業における具体的な営業戦略を提案し、ビジネスモデルを作ることも重要です。

機能戦略

機能戦略とは、事業戦略の目標を実現するために考える、事業の現場を意識した戦略のことです。

経営戦略や事業戦略は、どのような業種であれ最終的な機能戦略に影響を及ぼし、事業の現場で実行されます。

機能戦略は、大きく生産戦略、マーケティング戦略、営業戦略、人事戦略、財務戦略などに分類されます。また、具体的な機能については企業ごとに異なるのが一般的です。

機能戦略の具体例

  • ・メーカー企業の機能戦略:研究開発、購買や生産、営業、物流などの戦略
  • ・流通企業の機能戦略:商品企画、仕入、営業、物流などの戦略
  • ・販売業の機能戦略:マーケティング、ブランド、販売、営業などの戦略
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  • 事業戦略の立て方

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    事業戦略を立てる際は、次の5つのステップで行うのが効果的です。

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  • 1.目的やビジョン、定量目標を設定する
  • 2.現状分析を行う
  • 3.事業の方向性を決定する
  • 4.戦略を実現できる可能性を見極める
  • 5.戦略施策を立案して実行する
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  • 以下で、それぞれ解説します。

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  • 1.目的やビジョン、定量目標を設定する

  • 事業戦略を策定するには、まず目的や定量目標の設定する必要があります。

  • 目的と定量目標とは「今年度中に100億円の売上を達成する」といった具体的なビジョンのことです。 

  • そして、最終的に計画通りに目標を達成できたかどうかが、今後の事業方針を検討する際の指標となります。

  • 2.現状分析を行う

  • 目的と定量目標が決まれば、次は現状についての分析を行います

  • 現状分析では、自社の内部環境や外部環境を分析し、その中で現在の自社の立ち位置を把握します。

  • 現状分析は、事業戦略を策定するプロセスの中でも最も重要です。もし現状分析の仕方を間違えると今後の戦略すべてが破綻してしまう恐れがあるため、後で紹介する各種フレームワークを適切に選んで分析しましょう。

    3.事業の方向性を決定する

    現状分析が完了したら、その結果を基に事業戦略の方向性を決定します

  • 外部環境の分析結果から競合他社にはない自社の強みを明確にし、その強みを活かした商品やサービスを顧客に提供できるような仕組みづくりを行いましょう。そして事業戦略を実現するために、自社のリソースの準備と活用方法を決定します。

  • この段階においては、複数の戦略案を用意しておくことが重要です。もし1つの方向性で結果が出なかった場合に、次の施策をすぐに実行できるように準備しておくことで、失敗のリスクを軽減できます。

  • 4.戦略を実現できる可能性を見極める

  • 施策を実際に実行する前に、事業戦略が実現可能かどうかを見極めることも大切です

  • ここでは、実施する施策によって売上や利益がどの程度見込めるかなどを事前に調査します。

  • 調査方法は、上記のプロセスで検討してきた複数の戦略案の中から最も実現の可能性が高い施策を選定し、戦略を実施する際の費用対効果やリスクなどを客観的にシュミレーションするのが一般的です。

    5.戦略施策を立案して実行する

    そして最後に、戦略を実現できる可能性を見極めた、成功確率の高い施策を具現化していきます

  • 施策の実行にあたっては、複数の戦略を立案し、優先順位をつけて実行スケジュールを立てることが重要です。

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  • 事業戦略の立案に効果的なフレームワーク7選

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    事業戦略を立案する際に役立つフレームワークには、多くの種類があります。

    ここでは、その中の代表的なフレームワーク7つを紹介します。

    ビジネスモデルキャンバス

    ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスの構造を整理して設計図のように表現するフレームワークです

    近年は、企業のグローバル化や顧客ニーズの多様化により、ビジネス構造が複雑化しています。そこでビジネスモデルキャンバスを活用し、ビジネス構造を可視化することで、ビジネスモデルをわかりやすく表現できます。

    ビジネスモデルキャンバスは、既存ビジネスの改善を行う場合や、新規事業を創出する際に用いられるケースが多いのが特徴です

  • ビジネスモデルキャンバスを活用することで、社内外のステークホルダーから理解を得るのにも役立ちます。

  • STP分析

    STP分析は、顧客ターゲットに対する自社の市場での立ち位置を明確にするためのフレームワークです。

  • STPとは、次の3つ言葉の頭文字をとったもので、S・T・Pの順に分析を行います。

  • ・セグメンテーション(Segmentation)
  • ・ターゲティング(Targeting)
  • ・ポジショニング(Positioning)
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セグメンテーションでは消費者を年齢や性別、居住地といった属性に分類し、ターゲティングではターゲットにする消費者層を設定します。そして最後に、ポジショニングで競合他社の状況も踏まえたうえで、市場における自社の立ち位置を明確にしていきます。

STP分析は事業戦略立案の基本となる分析ですので、必ず実施しましょう。

VRIO(ブリオ)分析

VRIO(ブリオ)分析とは、企業の内部環境の分析から「自社にある価値」を客観的に探るためのフレームワークです。

企業価値は、次の4つの観点で計量可能です。

  • ・経済価値(Value)…会社が、どのように、どれくらい世の中の役に立っているか。
  • ・希少性(Rarity)…自社の商品やサービスに、どのくらいの希少性があるか。
  • ・模倣困難性(Inimitability)…自社の特許や企業や商品のブランディングストーリーなど。
  • ・組織(Organization )…社員の経営者意識や改善意欲など。


企業の経営資源に対し、上記の4つが多いほど競争で優位となり、顧客満足度を高めることで市場におけるシェアを拡大できます。

自社にとって「V・R・I・O」のどこに強みと弱みがあるかを明確にすることで、強みをさらに伸ばし、弱点を最小にするための経営戦略を立案します。

VRIO(ブリオ)分析は、おもに製造業で用いられるフレームワークで、サービス業でも応用可能です。

PEST(ペスト)分析

PEST分析とは、次の4つの要因からマクロ環境を分析するフレームワークです。

  • ・Politics:政治的要因
  • ・Economy:経済的要因
  • ・Society:社会的要因
  • ・Technology;技術的要因
  •  

これらの要因は、自社でコントロールできません。このような外部的な要因を分析するのがPEST分析の役割です。

PEST分析によって、世の中の動向やトレンドに合わせた事業展開が可能となります。近年では新型コロナウィルスの蔓延により、さまざまなオンラインツールをはじめとするWebサービスが急進しました。

企業環境はこのような外部環境の変化による影響を受けやすいため、常にマクロ環境を調査・分析し、必要に応じて自社の経営戦略を見直すことが重要です。

3C分析

3C分析は「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」を客観的に分析するためのフレームワークです。

  • ・「市場・顧客」:市場規模や成長率、顧客ニーズを分析
  • ・「競合」:競合他社の強みを分析
  • ・「自社」:自社の強みを分析
  •  

このような3つのCを分析することで、成功要因の発見に繋げるのが目的です。

どの分析でも言えることですが、自社と競合を分析する際は「客観的な視点」でデータを観察することが重要です。そこで企業経営に携わる方は、正確な情報とデータを基に分析を行い、戦略設計しなければなりません。

SWOT(スウォット)分析

SWOT(スウォット)分析とは、次の4つの視点から分析を行うフレームワークです。

  • ・Strength:強み
  • ・Weakness:弱み
  • ・Opportunity:機会
  • ・Threat:脅威
  •  

SWOT (スウォット) 分析は、自社のビジネス全体や特定のプロジェクトにおいて、強み、弱み、機会、脅威となる要因を特定するための手法で、事業の規模や形態を問わずさまざまな組織で幅広く利用されています。

SWOT分析では、市場を取り巻く外部環境と自社の商品やサービスの価格や品質などの内部環境について、プラス要因とマイナス要因の両面から客観的に分析可能です。

5F(ファイブフォース)分析

5F(ファイブフォース)分析とは、次の5つの競争要因から業界内の構造を分析するフレームワークです。

  • ・業界内の競合他社
  • ・買い手の交渉力
  • ・売り手の交渉力
  • ・代替品の脅威
  • ・新規参入の脅威
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上記5つを分析し、自社に対する脅威を明確化するのが5F分析の目的です。

現代では、商品やサービスに対する顧客のニーズやウォンツの変化が早く激しいため、新サービスをリリースしてもすぐに代替品が出るのが普通です。そこで自社プロダクトに対する5F分析を常に行い、脅威を明確にしておくことが大切です。

 

事業戦略のまとめ

今回は、事業戦略の立て方と策定手順、効果的なフレームワークについて解説してきました。

事業戦略では、市場や顧客にどのような価値を提供し、競合他社との差別化を行うための戦略を立案するため、どの企業においても非常に重要な施策と言えるでしょう。

もし事業戦略の立案が上手くできない方や、策定方法がわからないという方は、この記事を参考に自社の分析から始めてみてください。

また事業戦略に関する疑問や質問がある場合には、いつでもアルマ・クリエイションにご相談ください。

 

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