社内研修の種類と目的ごとのメリットやデメリット、効果的なやり方を解説
社内研修とは、社員のスキルや知識を向上させるために行われる教育活動のことです。
社内研修にはさまざまな種類や目的がありますが、どのように選択や実施すれば、効果的な研修になるのかとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
社内研修の種類には、新入社員研修、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)や、オフ・ザ・ジョブ・トレーニング、キャリア開発研修、リーダーシップ研修などがありますが、それぞれの研修目的や対象者、期待される効果は異なります。
また、研修の方法や内容によって、それぞれにメリットやデメリットがあるため、注意が必要です。
そこで今回は、社内研修の種類と目的ごとのメリットやデメリット、効果的なやり方を詳しく解説します。社内研修のやり方などでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
社内研修とは?必要性と重要性を解説
社内研修とは、社内の人材が講師となって、社員に知識やスキルを教えることです。
社内研修の目的は、社員の成長やコミュニケーションスキル、ビジネスマナー、企業文化の理解などです。
社内研修は、技術の進歩やリモートワークの浸透などにより、変化が激しく予測困難なVUCA時代に対応できる人材を育成するために重要視されています。また、社内研修の形式も多様化しており、オンライン研修やブレンド型学習などが取り入れられるようになっている点にも注目です。
社内研修のメリットは、社員の生産性やパフォーマンスの向上、社内風土の改善、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上などが挙げられます。一方、社内研修のデメリットは、研修の企画や運営にコストや時間がかかること、研修の効果測定が難しいこと、研修の質が講師の能力に左右されることなどが挙げられるでしょう。
社内研修を効果的に行うためには、目的達成に向けた目標設定や、参加者の立場や目的に応じた研修プログラムの用意、研修内容や目的に応じた受講スタイルの検討、社員同士の交流の場の設定、研修後の振り返りなどを十分に行う必要があります。
社内研修の種類と目的
社内研修の種類には、主に以下のようなものがあります。
OJTとOFF-JT
OJTは実際の業務を通してスキルを習得する方法で、OFF-JTは仕事の現場を離れてセミナーやロールプレイングなどを行う方法です。
階層別研修
新入社員や管理職など、組織内の階層に合わせて研修を行います。基本的なビジネスマナーや仕事の姿勢、リーダーシップやマネジメントなどが対象です。
職種別研修
営業やエンジニアなど、職種に応じた専門スキルを学びます。ヒアリングやプレゼンテーション、プログラミングやデザインなどが対象です。
テーマ別研修
ハラスメントや個人情報保護など、階層や職種を問わず必要とされるテーマに沿って研修を行います。普遍的な知識やスキルが対象です。
社内研修の種類ごとのメリット・デメリットや注意点
以下では、上記の各研修制度のメリット・デメリットや注意点を解説します。
OJTのメリット・デメリットや注意点
OJTとは、職場での実務を通じて行う人材育成の手法です。
OJTのメリットは、業務に直結するスキルや知識を現場で学べることです。また、指導者と受講者のコミュニケーションや信頼関係が深まることで、その後の業務に良い影響が出やすいのも魅力です。
さらに、指導効果の測定やフォローが容易で、金銭的なコストが低いのもメリットと言えるでしょう。
また、研修後の仕事にすぐに活かせることから、受講者の仕事に対する満足度やモチベーションが高まりやすいこともメリットです。
しかし、その一方で、指導者の負担が大きいという懸念材料があります。指導者は同じ社内の上長であることが多いため、研修を実施することで、さらに負担が増えるからです。また、指導者の能力や経験に依存しがちな点もデメリットとなる可能性があります。
近年は、どの企業でもIT化やDXが進んでいるため、年配の社員では講師が務まらないケースもあるでしょう。そのため、指導内容や方法がばらついたり、指導期間が長くなるといった課題があるケースもあります。
また、慣習的な研修を実施することで、受講者の主体性が失われると言ったデメリットもあります。
そこで、OJTを効果的に行うためには、以下のようなポイントに注意する必要があります。
- ・OJTの目的や目標を明確にする
- ・受講者の立場やニーズに応じたプログラムを作成する
- ・指導者の能力や負荷を考慮する
- ・指導内容や方法を統一する
- ・受講者の主体性や自己評価を促す
- ・指導後の振り返りやフィードバックを行う
OFF-JTのメリット・デメリットや注意点
OFF-JTとは、職場外で行う人材育成の手法です。
OFF-JTのメリットは、一度に多くの受講者に知識やスキルを教えることができる点です。また、座学による質の高い指導を提供しやすいのもメリットと言えるでしょう。OFF-JTの場合は、OJTとは異なり、さまざまなケースを例として指導内容や方法を統一可能です。
また、短期間で実施できる点や、他部署や他社の人材とも交流できるメリットがあります。そのため、スタッフの広い視野や主体性を育成できる可能性があります。
これらにより、受講者のモチベーションやエンゲージメントを高められるのも魅力です。
一方で、OFF-JTには、指導者や会場の費用がかかることや、指導効果の測定やフォローが難しいといったデメリットがあります。なぜなら、全ての講習内容が、職場に役立つとは限らないからです。
また、指導内容や講師の選定が難しかったり、受講者が受け身になりやすいのもデメリットとなるでしょう。
このように、OFF-JTは、業務との関連性が低いことが懸念材料です。
そこで、OFF-OJTを効果的に行うためには、以下のようなポイントに注意する必要があります。
- ・OFF-JTとOJTをバランスよく組み合わせる
- ・指導者の能力や負荷を考慮する
- ・受講者の立場やニーズに応じたプログラムを作成する
- ・受講者の主体性や自己評価を促す
- ・受講者の学習効果を継続させるためのフォローアップを行う
階層別研修のメリット・デメリットや注意点
階層別研修とは、社員を役職や年齢などの属性に応じて分類し、各階層に必要なスキルや知識を身につける研修のことです。
階層別研修のメリットは、各階層に適した研修を実施できるため、効率的な人材育成ができる点です。また、同じ階層の社員同士の交流や一体感を促進できるのもメリットです。
それぞれの社員の役割や、ステップアップに向けた目標を明確にできたり、社員の主体的な学習意欲を高めることができるというメリットもあります。
一方、階層別研修では、研修のレベル設定が難しい場合があります。それは、同じ階層であっても個々の社員によってレベルが異なるからで、特に経験豊富なほど差が出やすいでしょう。
また、研修のコンセプトが曖昧になりがちで、目的意識が低下する可能性があるのもデメリットです。このようなケースでは、研修が形骸化しやすく、受講者が受け身の姿勢になる恐れがあります。
また、階層別研修だけでは個人のニーズに応えられない場合も考えられるでしょう。
そこで、階層別研修を効果的に実施するためには、以下のようなポイントに気をつける必要があります。
- ・体系的に統一された研修を実施すること
- ・技術的課題と適応課題の両方にアプローチすること
- ・定期的に研修内容をブラッシュアップすること
- ・適切なフィードバックを行うこと
- ・実践的な内容を盛り込むこと
- ・公募研修や選抜研修と組み合わせること
職種別研修のメリット・デメリットや注意点
職種別研修とは、各職種の業務を遂行する上で必要となる専門的な知識やスキルを身に付けることを目的とした研修です。
職種別研修のメリットは、実際の業務に学習を活かしやすく、社員の専門性を高めることができる点です。職種別研修で、専門性の高い研修を受けることで、効率的な人材育成ができるでしょう。
また、同じ職種の社員同士の交流や一体感を促進できたり、社員の役割やキャリアパスに向けた目標を明確にできるのもメリットです。
これにより、社員の主体的な学習意欲を高めることができます。
一方、職種別研修では、研修のレベル設定が難しい場合があります。それは、同じ職種であっても、個々の社員の業務レベルが異なるからです。
また、研修のコンセプトが曖昧になりがちで、目的意識が低下する可能性があるのもデメリットです。このような場合には、研修が形骸化しやすく、受け身の姿勢になる恐れがあるでしょう。
また、職種別研修だけでは個人のニーズに応えられない場合もあります。
職種別研修を効果的に実施するためには、以下のようなポイントに気をつけると良いでしょう。
- ・体系的で統一された研修を実施すること
- ・技術的課題と適応課題の両方にアプローチすること
- ・定期的に研修内容をブラッシュアップすること
- ・適切なフィードバックを行うこと
- ・実践的な内容を盛り込むこと
- ・公募研修や選抜研修と組み合わせること
テーマ別研修のメリット・デメリットや注意点
テーマ別研修とは、伸ばしたいスキルに着目してテーマを設け、そのテーマに基づいて実施する研修のことです。
テーマ別研修のメリットは、研修の内容が決定しやすく、学習者が1つのテーマのスキルを集中して伸ばすことが可能となることです。
また、社員一人ひとりの補いたいスキルに対応しやすい特徴があるため、テーマに沿って研修効果を測定しやすいのもメリットです。
一方、テーマ別研修では、テーマがあいまいだと研修の目的や効果が不明確になるというデメリットがあります。
また、テーマが固定化されると、新しいニーズや変化に対応できないことや、逆にテーマが多岐にわたると、研修の管理や運用が煩雑になるといった課題があります。
そこで、テーマ別研修を効果的に実施するためには、以下のようなポイントに気をつけると良いでしょう。
- ・解決したい課題や目標を明確にすること
- ・受講対象者のレベルやニーズに合わせてテーマを選ぶこと
- ・研修形式や期間、カリキュラム、講師などを適切に決めること
- ・研修の効果測定や改善を定期的に行うこと
社内研修を効果的に実施するコツと手順
社内研修を効果的に実施するコツと手順は、次のようになります。
- 自社の課題を洗い出す
- 研修の目的を設定する
- 研修の計画を立てる
- 講師を選定する
- 研修の準備をする
- 研修後の振り返り方法を決定する
- 研修を実施する
- 受講者に対するフォローを行う
以下で、それぞれ解説します。
1.自社の課題を洗い出す
研修を行う前に、自社の現状や目標、課題を明確にすることが重要です。
課題を洗い出す方法としては、社員アンケートや面談、業務分析などがあります。
課題を具体的に定義することで、研修の目的や内容を絞り込むことが可能です。
2.研修の目的を設定する
研修の目的は、課題を解決するために必要なスキルや知識、態度などを明確にすることです。研修の目的を設定する際には、SMART原則(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)に沿って、具体的で測定可能で達成可能で関連性の高い期限のある目標を立てることが望まれます。
3.研修の計画を立てる
研修の計画は、研修の目的に沿って、研修の内容や方法、期間や場所、予算や人員などを決めることです。研修の計画を立てる際には、受講者のレベルやニーズ、研修の効果測定方法などを考慮することが必要です。
研修の計画は、文書化して管理することで、研修の進捗や成果を把握することができます。
4.講師を選定する
講師は、研修の内容や方法を伝える人で、研修の効果に大きく影響する要素です。講師を選定する際には、研修の目的や内容に合った専門性や経験、教育力やコミュニケーション力などを評価することが重要です。
講師は、社内の人材や外部の研修機関や専門家などから選ぶことができます。
5.研修の準備をする
研修の準備は、研修の計画に基づいて、研修の実施に必要な物品や資料、設備などを用意することです。研修の準備をする際には、研修の内容や方法に応じて、テキストやワークシート、プレゼンテーション資料、ビデオや音声などの教材や、ホワイトボードやプロジェクター、インターネットなどの設備を確保することが必要です。
また、受講者に対して、研修の日程や場所、持ち物などを事前に通知することも忘れないようにしましょう。
6.研修後の振り返り方法を決定する
研修後の振り返り方法は、研修の効果を測定するために行う方法です。研修後の振り返り方法には、受講者の満足度や学習度、行動変容度、業績向上度などを評価する方法があります。
研修後の振り返り方法を決定する際には、研修の目的や内容に合わせて、アンケートやテスト、面談や観察などのツールを選ぶことが重要です。
7.研修を実施する
研修を実施するときには、研修の計画や準備に従って、研修の内容や方法を受講者に伝えることです。研修を実施する際には、受講者の関心や理解を高めるために、講義や演習、ディスカッションやゲームなどのさまざまな手法を使うのが効果的です。
また、受講者のフィードバックや質問に対して、適切に対応することも忘れないようにしましょう。
8.受講者に対するフォローを行う
受講者に対するフォローは、研修後に行うことで、研修の効果を持続させるための活動です。受講者に対するフォローには、研修の振り返りや評価、研修内容の復習や補足、研修内容の実践や共有などがあります。
受講者に対するフォローを行う際には、研修の目的や内容に応じて、メールや電話、面談やミーティングなどの方法を使うことができます。
社内研修と社外研修の違い
社内研修と社外研修の違いについては、以下のような特徴が挙げられます。
社内研修の特徴
社内研修は自社のリソースを使って行う研修であるため、社内の文化や価値観に沿った内容を提供できます。
社内研修のメリットは、社風に合った研修ができることや、継続的に研修内容を確認できることです。一方、社内研修のデメリットとしては、社員のモチベーションが向上しない傾向があることや、研修の用意が大変なことが挙げられます。
社外研修の特徴
社外研修は外部の研修機関や専門家を利用して行う研修で、社内とは異なる価値観やスキルを得ることができます。
社外研修のメリットは、イベントの準備が社内研修より簡単なことや、専門的スキルを身に着けられることです。一方、社外研修のデメリットは、意図通りの研修ができない可能性があることや、費用が高いことなどが挙げられます。
社内研修で失敗しないためのポイント
社内研修で失敗しないためのポイントについて、以下のようにまとめられるでしょう。
研修の目的を明確にすること
研修を行う理由や目標をはっきりさせることで、研修の内容や方法を適切に選ぶことができます。
研修の目的は、会社の課題や目標、受講者のニーズに合わせて設定することが重要です。
研修の難易度や関連性を考慮すること
研修の難易度は、受講者のレベルや能力に合わせて調整することが必要です。難しすぎると理解できませんし、簡単すぎると退屈になります。
また、研修の関連性は、受講者の業務や役割に応じて選ぶことが大切です。関係ない研修は、受講者のモチベーションや信頼を失う可能性があります。
研修後のフォローを行うこと
研修だけでは、研修の効果は持続しません。研修後には、受講者のフィードバックや評価を行うことで、研修の成果や課題を把握することができます。
また、研修内容の復習や補足、実践や共有などを行うことで、研修の効果を定着させることが可能です。
社内研修のまとめ
このように、社内研修とは、会社の業務に必要な知識やスキルを習得するための教育活動です。
社内研修には、さまざまな種類がありますが、本記事では、その代表的なごく一部のみを紹介しました。
社内研修を効果的に進めるためには、研修の目的と方法を明確にし、教育係や運営スタッフを選び、予算を決め、参加者に通知し、研修を実施し、フィードバックを行うというプロセスが必要です。これらをしっかりと準備して研修を実施することで、より効果的な研修が実施できるでしょう。
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