提案書の書き方|相手に伝わる構成やテンプレート作成の流れを解説
ビジネスシーンにおいて、提案書の作成を依頼されて困っている方も多いのではないでしょうか。
それもそのはずで、提案書は非常に重要であるにもかかわらず、誰かに書き方や作成方法を教わることがほとんどない書類の1つです。
そこで誰かの提案書を見よう見真似で急いで作成し、結果として不採用となるケースも少なくありません。でも、せっかく書いた提案書は、だれでも採用されたいと考えるのが当たり前です。
採用される提案書を書くにためには、相手に伝わりやすく、説得力のある企画を作成することが重要です。
そこで今回は、提案書を書く際に活用したいテンプレートと、相手に伝わりやすい構成と作成の流れを紹介します。
これから提案書を書く方はもちろん、今まで提案書の書き方を詳しく教わってこなかった方も、ぜひ参考にしてください。
企画書に関する詳しい内容は『企画書の書き方|誰もが納得できるプレゼンやテンプレートの事例を紹介』をご参照ください。
提案書とは
提案書とは、自社や取引先の企業や担当者などに、ビジネス上の課題に対する解決策を提案する資料です。また提案書と似た書類には「企画書」があります。
以下では、提案書の詳しい内容と、企画書との違いを解説します。
提案書は課題解決を提案する資料
提案書とは、自社や取引先の課題に対し、解決策や取り組むべき提案内容をまとめた資料です。提案書を採用するか否かは、提案先の決済者が内容を精査して判断します。
社外の取引先に対して提案書を作成する場合は、顧客の課題解決に向けて自社サービスを営業するケースがほとんどです。
一方、社内の課題解決のために提案書を作成する場合は、業務の改善や、営業・生産過程のプロセス改善などの課題解決を目指します。
社内向けの提案書は、売上の向上だけでなく、業務の効率化を目指すことも大切です。
提案書と企画書の違い
提案書と混同しがちな資料に企画書があります。ただ、提案書と企画書に関しては厳密な定義がないため、業界や企業によって使い分けるのが一般的です。
提案書は課題を解決することが前提となるため、課題を解決する方向性や施策を説明、提案する資料と考えて間違いないでしょう。
企画書とは、自社の商品やサービスを活用し、課題を解決する企画をまとめた資料です。
提案書の書き方で注意すべきポイント
提案書の書き方は、提案する相手や内容が違っても、相手に伝わりやすく書くという共通のポイントがあります。
ここでは最も多い提案書の事例として、社外のクライアント(顧客)に対して提出する提案書を作る際の重要ポイントを解説します。
提案書を書くときには、まず下記の6つのポイントを押さえることが大切です。
- ・提案書の目的を明確にする
- ・提案先の課題を把握する
- ・提案後の流れを明確にする
- ・提案内容の裏付けをとり、信頼性の高い資料を作成する
- ・提案を採用するメリットを明確にする
- ・伝わりやすい文章やデザインを使う
それぞれ解説します。
提案書の目的を明確にする
提案書は、クライアントの課題を解決する施策を説明する資料です。
そのため、提案書の最終目的は「クライアントに自分が提案する解決策を採用してもらい、課題を解決する」ことにあります。
ただ、提案を採用してもらうためには、クライアントにとって魅力的な内容であることが必要です。
なぜなら、提案書をだす場合は、競合他社の提案書と比べられるケースがほとんどだからです。
そこで、自社の解決策が他社よりも優れていることをしっかりアピールしなければなりません。
提案先の課題を把握する
クライアントの課題を解決するためには、しっかりとクライアントのマーケット状況や、課題についての調査を行う必要があります。
取引先の業種により、抱える課題は千差万別です。営業だけでなく、マーケティングチームと連携して、しっかりと調査しましょう。
提案採用後の流れを明確にする
提案書を書くときは、提案後の流れも明確に示しましょう。
提案した企画が通ってから施策の実行を開始するまでの期間や、最終的な目的達成のゴールがいつになるのかなど、スケジュール管理も徹底して行います。
また予算計画も必要ですが、実際にかかる経費よりも安く書きすぎて後からトラブルにならないよう、しっかりと精査しましょう。
提案内容の裏付けをとり、信頼性の高い資料を作成する
提案書に記載する内容は、信頼性の高い内容でなければなりません。
具体的な数値を記す場合には、どの資料を参考にしたのか。またマーケットの調査をいつどこで行い、誰が発表したのかなどを明示しましょう。
提案を採用するメリットを明確にする
提案書を書く際は、まず自社の企画する提案を採用してもらうことが目的となりますが、クライアントにとっての採用目的は「その企画を実施することで得られるメリット」です。
そこで、自社の企画を採用することによって「どのようなメリットがあるか」をできるだけ明確に、わかりやすく記載しましょう。
伝わりやすい文章やデザインを使う
提案書の書き方として、難しい表現や専門用語、ビジネス英語などを多用する必要はありません。まず大前提として、相手にわかりやすく伝えることを第一に考えましょう。
とくに新しいツールやスキルなどのビジネス英語は、使いやすい反面、相手に伝わらないリスクがあります。
どうしても使用せざるを得ない場合は、その概要を記しておくと親切と受け取られ、相手方へ好印象をあたえられるプラス材料となるでしょう。
また、わかりやすい図表などを積極的に使い、見やすい提案書を作ることも大切です。
見やすくて書きやすい提案書の構成事例
提案書を書く際には、以下の構成を活用することで、見やすくてわかりやすい提案書を書くことが可能です。
以下では、提案書の最もオーソドックスな構成案をテンプレートとして紹介します。
社外のクライアント(顧客)向けの提案書を例に解説しますので、ぜひ参考にしてください。
まず大まかな流れとして、次の13項目を忘れずに記載しましょう。
- ・表紙・タイトル
- ・挨拶と導入文
- ・目次
- ・採用データの整理
- ・課題の定義
- ・提案の内容
- ・提案を採用した場合のメリット
- ・提案の詳細
- ・過去の成功事例
- ・リソースの体制
- ・費用(見積もり)
- ・スケジュール
- ・会社概要と実績
それぞれについて解説します。
表紙・タイトル
表紙とタイトルは、提案書において重要な項目です。
とくに提案書のタイトルは、提案内容とメリットがわかりやすく伝わるようにコピーライティングの技術を活用し、相手が興味を持ってくれるインパクトのあるものにしましょう。
提案書の表紙やタイトルを制作する際は、クライアントに合わせた製品の固有名詞などを使用することで、相手にわかりやすく魅力的に提案できます。
挨拶と導入文
挨拶文では、まずクライアントにチャンスを貰えたことへの感謝を伝えましょう。
そして、今回提案する企画内容の要約と、提案するに至った背景をシンプルに記します。
なお最初の挨拶は、クライアントとの関係性を考慮して省略することもあります。
目次
目次に関しては、提案書の内容を端的に理解するために重要です。
とくに企画を詳細に説明したいときは、本文が長くなるため、できるだけ分かりやすいキーワードで目次を構成しましょう。
目次は提案書においての必須項目ではありませんが、提案資料のボリュームや提案相手の企画提案への理解度に合わせ、記載する内容と項目を調整してください。
採用するデータの整理
提案書を制作する場合は、課題を解決する際に欠かせない参考データの収集が必要です。
そして、提案書の作成に向けては、採用したデータの整理が欠かせません。
事前に収集したデータの時期や調査の対象などが統一できているかどうかを、整理してわかりやすく明示することが重要です。
課題の定義
課題の定義では、提案先のクライアントが抱える課題を整理し、解決すべきポイントを定義します。そしてその定義を基に、課題解決策を提案します。
クライアント側の現状を踏まえ、提案する企画を実施した場合としなかった場合を比較すると、相手に提案内容の重要度が伝わりやすくなります。
できるだけ数値や図表などを用いて、具体的に示すことが重要です。
提案の内容
提案書の内容については、先ほど定義した課題を解決する方法をわかりやすく、具体的に説明します。
後で紹介する「提案の詳細」の項目で提案の詳細を解説するため、この段階では提案の方針と概要といった、企画の全体像を大まかに明示するに留めましょう。
ここで重要なことは、企画の提案内容を見ただけで企画の全体像が把握できることです。
できるだけ分かりやすく問題を提起し、解説策の結論にスムーズに導きましょう。
そうすることで、クライアントが次の説明を詳しく聞きたくなるでしょう。
提案を採用した場合のメリット
企画を提案する際に最も重要なことは、提案を採用することでクライアントが得られるメリットを明確に示し、後押しすることです。
そのため、メリットは数値を用いて具体的に示し、クライアントが提案する企画の成功をより明確にイメージできるよう心がけてください。
数値で示しにくい場合には「将来の展望」や「新規マーケットの拡大」など、提案した企画を実行した後で得られるメリットをできるだけ具体的に明示しましょう。
ここで注意したいことは、自分が提案する企画の特徴だけではなく、クライアントから見たメリットを具体的に明記することです。
提案の詳細
提案の詳細では、さきほどの提案の内容をより詳しく説明します。
この段階では、提案の具体的な実行方法などを中心に、提案のゴールであるクライアントのベネフィット(利益)を交えながら記載することが重要です。
ここで提案する内容に曖昧な箇所があると、顧客から疑問や不安要素を指摘されることになり、せっかく提案した企画が通らなくなる可能性が高まります。
クライアントのベネフィットを分かりやすく説明し、プレゼンする内容に信憑性のあるデータを採用して、現実性の高い提案を記載しましょう。
過去の成功事例
自社において、過去に同じような企画を実行したことがある場合は、実施した成功事例をクライアントに紹介しましょう。
さらに、これまで自社の提案を採用して成功した会社がある場合は、クライアントがどのような流れで課題を解決し、どのようなメリットを得たのかを記載します。
公開できる情報は、できるだけ詳細に説明し、自社の実績や提案内容の信頼性をアピールすることが大切です。
リソースの組織体制を構築する
リソースの組織体制を構築する際は、提案内容を実行するために必要な組織と、その役割や人員の配置を明示します。
クライアントとの共同プロジェクトの場合は、自社の人員の体制と合わせて組織を構築しましょう。
費用(見積り)
費用(見積り)には、提案内容を採択し、施策を実行する際に必要となる金額を明記します。
なお費用の見出しは「お見積り」や「予算」など、施策の内容やクライアントに合わせます。
見積もりを提示する場合は、総額だけでなく、見積りの内訳を確認できることも大切です。
提案する企画内容が複数のフェーズを必要とする大型のプロジェクトの場合は、とくに内訳を詳細に記載しましょう。
高額の見積りを曖昧な内容で提出すると、自社の信用問題にもかかわるため、とくに慎重に見積り内容を精査し不備の無いように作成することが大切です。
スケジュール
スケジュールを提示する際は、期間のスケジューリングだけではなく、提案する内容について、いつ・誰が・何をすることで、どのような成功を得られるのかを明確にすることが重要です。
リソースの組織体制とあわせて、スケジュールや担当するタスクを明記しましょう。
会社概要と実績
提案書の最後は、自社の事業紹介や過去の実績について記載します。
提案書がクライアントの稟議に上がることも考慮し、社外向けに、概要や実績を分かりやすく記載しましょう。
社内向けの業務改善案の提案書を作成する場合
社内向け提案書では、業務の効率化や改善などを提案する内容が一般的です。
社内向けの提案書に記載する内容も、基本的には課題、提案内容、実施にかかる費用、期待される効果などを記載します。
また社内向けの提案書の場合は、あらかじめ決められたフォーマットが用意されていることが多いため、フォーマットに従って内容を記載しましょう。
提案書の書き方のまとめ
提案書を作成する際は、自分で書いた提案書を採用してもらうことが目的となります。
しかし本質的には、あくまで提案した企画がクライアントに対してどのような成果を生み出せるかが重要なポイントです。
そのため、採用されたいからと言って実現不可能な目標を立てても意味がありません。もし提案が採用されたとしても、実際に満足の行く結果を出せなかった場合のリスクもあります。
そこで、具体的な成功をイメージできる企画の提案が重要となります。
提案書の制作は、営業とマーケティングチームが一体となり、しっかりとしたデータを基に行ってください。
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