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リカレント教育とは?企業の導入目的やメリット、支援方法を徹底解説

リカレント教育とは「教育機関で学ぶこと」と「就職して働くこと」を繰り返しながら、知識や技術を習得する教育法です。

欧米では、一旦就職してから自らのキャリアを形成していく中で、大学や大学院などの高等教育機関へ戻り、必要な知識や技術、資格を習得するといったリカレント教育を受ける人も少なくありません。

また人手不足が深刻化している日本においても、近年は中高年者の再就職や社会参加のために、リカレント教育が注目されています

ただ日本におけるリカレント教育については、生涯学習と勘違いされる方も多く、まだ浸透しているとは言えません

そこで今回は、企業からみたリカレント教育の目的やメリット、導入方法などを徹底解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 

リカレント教育とは

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リカレント(recurrent)とは、日本語で「循環する」「再発する」を意味する言葉です。そしてリカレント教育とは、大学などの学校教育を卒業して社会に出てからも必要に応じて再び教育を受け、仕事と学習を繰り返すことです。

日本では、仕事を休まず学び直すスタイルもリカレント教育に含まれます。このようなケースは、社会人になってから自分の仕事に関する専門的な知識やスキルを学ぶために「社会人の学び直し」とも呼ばれています。

リカレント教育が注目される背景

リカレント教育が注目される背景には、少子高齢化や生活スタイルが変わったこと、さまざまな分野で技術革新が急速に進んだことなどが挙げられるでしょう。

今から約50年ほど前の1970年代、日本の定年退職年齢は55歳が一般的でした。その後1990年代には60歳未満の定年退職が禁止され、今では70歳まで働く機会の確保を努力義務とする法案が成立し、70歳まで働き続けられる環境が整いました。これは、単に平均寿命が伸びたからと言うだけではなく、労働人口の減少に歯止めがかかっていないことも大きく影響しています。

このような状況のなか、急速に進む情報化社会の技術革新に対応するためには、過去に学んだ知識やスキル以外の学びが必要です。もちろん、このような理由以外にも、働き方やライフスタイルの多様性といったスマートな理由もあるでしょう。

いずれにせよ、今の時代は「大学を出れば学びは終わり」ではなく、学校を卒業してからも「学び」を続けることが重要であることが浸透し始めています。

 

リカレント教育の目的

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リカレント教育の目的には、主に次の2つがあります。

  • ・マクロ視点=労働人口の減少や技術革新への対応といった、社会的な課題を解決する目的
  • ・ミクロ視点=高等教育を受けられなかった方が、社会人になってから学び直す目的
  •  

ただしこれらに共通するのは、学習する方が生きがいを養う「生涯学習」とは異なり、あくまでも仕事に役立つ知識やスキルを習得するための教育であることです。

このようにリカレント教育は、学びたい方が主体的に取り組む学習方法です。一方、企業が事業戦略の一環として従業員に教育機会を与えることを「リスキリング」と言います。

 

リスキリングに関しては「リスキリングとリカレント教育の違い|メリットや導入ポイントを解説」を参照ください。

 

企業から見たリカレント教育のメリット

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リカレント教育が必要となった理由については、次の3つが主な要因となっています。

  • ・企業の競争力が向上する
  • ・人材不足の解消
  • ・従業員の離職を防ぐ
  •  

それぞれ解説します。

企業の競争力が向上する

従業員がリカレント教育を受け、学ぶことで、社内教育では身につけられないような専門知識やスキルを習得できるでしょう。

現在の業務に直結した知識やスキルを学び直し、習得することで、他の従業員への教育指導にも役立ち、企業の生産性の向上にも期待できます。

人材不足の解消

少子高齢化社会による労働人口の減少が進む国内産業において、労働者の安定的な確保が企業にとって大きな課題となっています。

このような状況の中で、出産や育児などを理由に離職中の人材や、すでに定年退職した人材に対してリカレント教育を支援することで、積極的な復職を可能にします。

企業がリカレント教育を活用することにより、優秀な人材が長く活躍できる環境を整えられるため、人材不足の解消にも役立つでしょう。

また学び直しの機会を与えることで、仕事に意欲のある人材に魅力的な職場となり、採用市場においても有利となるのもメリットの1つです。

従業員の離職を防ぐ

企業や従業員の終身雇用に対する概念が変化し、近年は従業員が個々の能力の成長や、実力を発揮できる職場環境を求める傾向が強くなっています。

このような状況においては、企業がリカレント教育を支援し、従業員が積極的に学べる環境を整えることが重要です。

企業が売上や利益を追求するだけではなく、従業員とともに成長して社会に貢献することで、従業員の仕事に対するモチベーションが向上し、従業員の離職率の低下にも繋がります。

 

従業員から見たリカレント教育のメリット

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それでは次に、従業員から見たリカレント教育を受けることのメリットを紹介します。

従業員がリカレント教育を受けるメリットは、次の3つです。

  • ・専門性の高いスキルの習得
  • ・年収の向上
  • ・長期的なキャリア形成の実現
  •  

それぞれ解説します。

専門性の高いスキルの習得

従業員がリカレント教育を受けることで、これまでに就いていた業務や、新しい仕事に対する専門的な知識やスキルを習得できるチャンスが生まれます。そして、より専門性の高い職種や業務に就くことが可能となるでしょう。

特にこれまで経験してきた業務に関する学び直しを行うことで、知識やスキルの習得スピードが未経験者よりも格段に早くなります。そのため、従業員自身のキャリアアップを一気に高めることが可能です。

近年は、情報化社会と言われるほどIT産業が躍進しています。そこで必要となる知識やスキルは、ものすごいスピードで変化し、日々の行の中で習得することが難しいのが現実です。

そこで、リカレント教育によって従業員自身が、積極的に学ぶ姿勢が重要なのです。

年収の向上

従業員がリカレント教育を受けることで、仕事の知識やスキルが向上し、最終的に収入がアップします。

リカレント教育を受けた従業員が同じ職場に戻る、もしくは新しい職場に就いた時に、自己啓発を行うことで、ほとんどの人の収入がアップしたと言う報告があります。

またリカレント教育を受けた後、より報酬条件の良い職場に再就職しやすいのも、年収が上がる理由の1つと言えるでしょう。

長期的なキャリア形成の実現

近年の働き方改革や労働に対する考え方の変化により、労働者が自身の「長期的なキャリアアップ」を意識する傾向が強くなっています。

リカレント教育は、個人がキャリアアップをする上で、最も効果的な手法の1つです。

 

リカレント教育における企業の課題

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リカレント教育における企業の課題には、もともとリカレント教育が浸透している欧米諸国との企業風土の違いが影響しています。

日本の企業や仕事には「終身雇用」と「年功序列」の概念が根強くあるため、リカレント教育を受けた人材の評価基準を見直すことが必要です。

せっかく自社の従業員にリカレント教育を実施しても、カリキュラムの終了後に満足な職場環境と報酬を用意しなければ、離職や転職を避けることはできないでしょう。

リカレント教育では、企業が費用の支援を行うのが一般的ですが、支援したからといって従業員がずっとその企業で働いてくれるとは限りません。この辺りも、日本の企業風土とは考えが異なる点です。

あくまでも実力主義で人材を評価し、教育中の従業員の教育や生活支援(リカレント教育に対する有給制度の整備など)を行うことが、企業にとっても重要な施策となります。

 

リカレント教育における従業員の課題

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一方、リカレント教育を受けたいと考える従業員側にもいくつかの課題があります。従業員の課題は企業にとっての課題と重なる点も多く、これらの課題を理解した上で職場を決めることが、従業員のキャリア形成に繋がるでしょう。

従業員がリカレント教育を受けたいと思っても、企業に受け入れ体制がなければ、退職してから自ら費用を負担して教育を受けなければなりません。

また仕事を続けながらリカレント教育を受ける際には、リカレント教育の時間をどのように確保していくかに課題があるでしょう。

このようにリカレント教育を受ける際は、現職の職場の理解や支援が不可欠と言えます。

大企業のような教育体制が比較的整った会社では、定期的なリカレント教育による社員の育成が浸透していますが、中小企業においてはまだまだ浸透していないのが現実です。

そこで企業と従業員の双方が信頼できる環境を整備し、安心して働き、学べる体制を構築することが大切です。

 

企業によるリカレント教育の支援方法

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上記のように、企業が積極的にリカレント教育を支援することは、これからの企業活動に非常に大きなメリットをもたらすでしょう。そこで以下では、企業によるリカレント教育の導入方法について解説します。

企業がリカレント教育を支援する方法には、退職してからではなく就業時間外に教育を受けられる体制を整えることや、教育環境を整備することがあります。

仕事と勉強を両立できるように、就業時間外に学習時間を設けることで、一般大学が開校する社会人向けリカレント講義を受講できるでしょう。企業においては、このようなカリキュラムを受講する際のスケジュール調整や費用に関する支援を積極的に行います。

また公的な大学などの教育機関ではなく、社内で独自のリカレント教育支援プログラムを組んだり、eラーニングを実施する方法もあります。

企業においては、カレント教育が終了してからの従業員の受け入れ体制を構築し、人事評価や休暇制度はもちろん、リカレント教育を受けた人材を現場で有効に活用できる業務の展開への準備も行いましょう。

 

リカレント教育に関する給付金や助成金制度

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このようにリカレント教育には、さまざまなメリットがある一方で、負担すべき費用が高いといった課題があります。

そこで活用したいのが、国が用意している給付金や補助金制度です。

リカレント教育に関する一般的な厚生労働省の支援制度は、大きく分けて「企業を支援」する助成金と、労働者を支援する「給付金」があります。

それぞれ、厚生労働省ホームページの人材開発で詳しく解説されていますので、ぜひご参照ください。

 

リカレント教育のまとめ

このようにリカレント教育は、労働人口の減少やグローバル化による競争の激化など、国内企業が直面するさまざまな課題を解決できる方法の1つとして注目されています。

中小零細企業が多い日本では、まだまだ浸透しておらず、普及するまでには時間がかかるでしょう。

自社の人材を計画的に育てることや教育の支援を行うことは、企業の規模に関係なく、優秀な人材を獲得・維持するためには欠かせない施策です。

そこで、リカレント教育やリスキリングなどの教育制度に関する疑問や質問がある方は、いつでもアルマ・クリエイションにご相談ください。それぞれの企業ごとに最適なソリューションをご提供いたします。

 

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