優秀な営業マンの人材育成方法|営業力強化に必要な研修ノウハウを解説
企業の持続と成長には「売上をあげること」が欠かせません。そこで「売上」をあげるためには、営業マンの人材育成が経営の重要な課題となります。
ただ、国内市場はすでに過当競争の状態にあり、そこに追い討ちをかけるように労働者不足や労働基準法の厳守などの企業にとって厳しい経営課題が山積しています。
このような経営環境の中では、自社にあるリソースを最大限に活用し、優秀な営業人材を社内で育成することが非常に重要です。企業内の人材育成に関しては、厚生労働省が多くの支援策を実施していますが、そのほとんどがITやDXなどのデジタル化へ向けた支援となっています。
そこで今回は、お金をかけずにできる、優秀な営業マンの人材育成方法と、営業力強化に必要な研修ノウハウを徹底解説します。いますぐ「売れる営業マン」を育成したい方は、ぜひ参考にしてください。
「売れている企業」と「売れていないの企業」特徴
現代社会においては、人口減少やグローバル化の影響もあり、経済市場の縮小が顕著となっています。このような経済状況の中で「売れている企業」と「売れていない企業」が、ハッキリと分かれているのが現状です。
そして「売れている企業」には、近年急速に増えているスタートアップやベンチャー企業が多いのが特徴です。一方「売れていない企業」には、老舗と呼ばれる古くからある会社や、日本を代表する大手企業が多く含まれています。
ただ、スタートアップやベンチャー企業がすべて右肩上がりの成長を遂げているかと言えば、決してそんなことはありません。
ここで注目していただきたいのは「売れている企業」と「売れていない企業」の違いです。スタートアップやベンチャー、老舗、大手企業にかかわらず「売れている企業」の多くは、現代社会に適応した「営業プロセス」を確立できています。逆に「売れていない企業」は、いつまでも過去の営業手法にこだわっていたり、新しい営業手法を取り入れていないケースがほとんどです。
そこで「自社に優秀な営業マンがいなくて困っている」とお嘆きの経営者の方は、まず自社が「売れる営業プロセス」を取り入れているかを確認することが重要です。
あなたの会社は営業プロセスの変化に対応できている?
上記で紹介した「売れる営業プロセス」とは、しっかりとしたマーケティング戦略に沿った営業活動ができているかどうかで決まります。
ここで言うマーケティングとは、商品やサービスが「売れる仕組み」のことです。現代のマーケティングは、インターネットが急速に普及したことで大きく変化し、Webマーケティングに代表される「営業プロセスの分業」が当たり前の時代となりました。
従来の営業プロセス
従来の営業プロセスにおいては、営業マンがフィールド営業による「足を使った営業」で飛び込み営業を行い、クライアントのヒアリングからプレゼンテーション、クロージングまでを1人かチームで担当するのが一般的でした。
現代の営業プロセス
現代の営業プロセスは、従来の手法とは異なり、新規顧客にアプローチして見込み顧客の獲得とナーチャリングなどを行うインサイド営業チームと、十分な顧客育成を行った成約率の高い顧客にクロージングを行うフィールド営業チーム(または個人)の分業化が明確になされています。
このようなマーケティング戦略とシステムの構築ができている企業が「いま売れている企業」の特徴です。
「売れていない企業」の特徴
それでは次に「売れていない企業」の特徴を紹介します。まず第一に、売れていない企業は「古い価値観で非効率的な営業を行っている」ケースがほとんどです。
「営業は足で稼げ」や「売れるまで帰ってくるな」といった根性論が口癖の経営者や上司がいる企業は、まず現代のマーケティングをマネージメント層が学ばなければいけません。
昭和や平成時代には、このようなやり方で実績を上げていたとしても、現代ビジネスではまったく通用しないのが現実です。
自社のマネージメント層が、年齢にや経歴に関係なくいまだに根性論で仕事をしている場合は、現代ビジネスに対応するための変化を受け入れるか、経営陣を一掃する必要があるでしょう。
そこで、もし古い体質のままで営業成績が伸びないとお悩みの方は、まず「マーケティングの基礎概念とは?データを重視するビジネス戦略の構築」の記事をご参照ください。この記事では「売れている企業」になるためのマーケティングの基本を紹介しています。
「売れる営業マン」と「売れない営業マン」の違い
それでは次に、売れている企業の「売れる営業マン」と「売れない営業マン」の違いについて解説します。
「売れる営業マン」の特徴
「売れている営業マン」には、まず「売るべき相手を見極める能力」があり、顧客に選ばれるのではなく「顧客を選ぶ営業」を心がけています。そのため、成約の見込みのない顧客への訪問や売り込みはしません。そもそも、売り込む営業は時代遅れと分かっているからです。
営業のプロセスにおいて重要なことは、マーケティングの過程でナーチャリングをしっかりと行い、成約の確率が最高点に達した状態になって初めてアプローチすることです。そうすれば、営業人材を最小限にして最大の結果を獲得できます。それまでに必要なことは、MA(マーケティング・オートメーション)ツールを活用して、自動的にナーチャリングを行い、インサイド営業チームが定期的に見込み顧客の進捗を確認するだけで十分です。
そして最終的に「売れている営業マン」にクロージングを任せることで、ほぼ確実に成約に結びつけることができるでしょう。
「売れている営業マン」が実際にしていることは、自社の商品やサービスを「本当に求めている企業や担当者」に対し、売るべき相手を見極め、クライアントの言いなりにならずに適正価格で販売します。そのためには、不必要な顧客に固執せず、売れない顧客をリストから除外することが重要です。
「売れない営業マン」の特徴
売れない営業マンの特徴として、ある意味「どの顧客へも平等に対応してしまう癖」があります。そのため、売れる見込みが低い見込み顧客であるにもかかわらず一生懸命に売り込みをかけてしまい、無駄な時間とリソースを消費します。
このような人材は、基本的に目標設定や現状の把握が苦手です。ただ、このような人材が「ダメな人材」かと言えば、まったくそんなことはありません。逆に言えば、このような人材が多い企業は、マネジメント層が前述した営業プロセスを知らないケースがほとんどです。
そこで「優秀な営業マン」を育成するための研修が必要となるのです。
営業力強化に必要な研修
近年は、労働人口の減少が進み、どの業界でも人手不足が社会問題となっています。このような状況の中で、大手企業では優秀な人材を確保するためにさまざまな採用戦略を策定し、若手のビジネスマンの獲得競争が激化しています。
しかし資金力や知名度の低い中小や零細企業においては、自社の少ないリソースを最大限に活かすために、社内の人材を育成することが重要です。
優秀な人材を育成するための営業研修には、目的によっていくつかの種類があります。そこで、自社に合った研修を実施するために、まず研修の種類を決めましょう。
基礎研修
基礎研修は、営業活動に関する基礎的なスキルや知識などを身につけるために実施します。基礎研修は、一般常識に関する知識なども教育するため、営業手法の種類にかかわらず実施すべき研修と言えるでしょう。
社外研修では教えてくれない、自社の業界特有のルールや常識がある場合には、この研修でしっかりと教育しておくことが大切です。
基礎研修で教育するのは、業界特有の常識や営業ルールだけではありません。営業に関わる「マインド」や「行動」の基礎が身につくような研修を心がけましょう。
「マインド」教育は、営業を行う目的についての教育です。営業のもっとも重要な役割は、自社の売上を確保しつつ利益を上げることに他なりません。しかし、企業の利益を確保するのは経営陣の仕事であり、営業担当者が利益を追求するのは間違いです。
営業とは、顧客に自社製品の活用で得られるベネフィットをわかりやすく説明し、購入に繋げる活動であることを教育します。
「行動」教育では、営業で「売り込む」のではなく、顧客の悩みや課題をしっかりと聞いたうえで「解決策を提案する」方法を教育します。
このような内容は、一般的な研修機関で教育することが少ないので、社内研修でしっかりと教育しましょう。
提案型営業の研修
提案型営業の研修目的は、自社製品で「顧客の悩みや課題を解消すること」にあります。
そのために提案型営業の研修では、顧客の悩みを解決するための知識や実践的なスキルを身につける必要があります。
提案型営業で必要となる主な研修項目は、次の5つです。
- ・ヒアリング能力
- ・分析能力
- ・企画能力
- ・提案力
- ・クロージング力
高いヒアリング能力を身につけ、市場を分析しながら自分で仮説をたてて検証し、企画した営業プランを提案してクロージングするのが営業の実戦手順です。
上記の5つの能力を身につけることで、新人やベテランに関係なく、営業力を発揮できるでしょう。
インサイドセールス研修
インサイドセールスとは、近年急速に浸透している営業手法の1つです。
インサイドセールス研修は、企業の働き方改革や企業のIT化、DXにより、営業活動にインターネットを活用して効率化させるために行います。
インサイドセールスでは、主に顧客よりもリード(見込み顧客)の獲得に重きをおくため、提案型の営業研修とは内容が異なります。
インサイドセールス研修で実施する研修内容には、電話でのテレアポスキル研修やメールによる営業文章の作成研修、Webマーケティング研修などがあります。
自社のインサイドセールスの実施方法や目的に合わせて実施しましょう。
営業研修の効果的な実施方法と5ステップ
それでは次に、効果的な営業研修を実施する方法と5つのステップについて解説します。
効果的な営業研修を実施するためには、研修の内容はもちろん重要です。しかし研修を手順よく行うことで、効率よく研修を行い、早く営業現場で活かすことができます。
そこで、以下の手順を参考にしながら研修プランを策定しましょう。
1.営業の基本概念を策定する
自社の営業力を高めるためには、営業担当者それぞれの力量が必要となります。ただ上記でも述べたように、営業活動を行う目的や目標は各企業ごとに異なるため、自社における営業の基本的な概念を策定してから研修を実施しましょう。
自社の商品やサービスを提供することにより、顧客の悩みや課題を解決するのが一般的な営業の基本概念です。しかし、企業が取り扱う製品によっては、顧客のどのような悩みに寄り添うべきかが異なります。
そこで、自社が提供する商品やサービス、顧客にとってどのような満足を満たすのかという基本概念を社内研修で共有しておくことが大切です。
2.営業のゴールを設定する
営業のゴールは、企業の営業形態や商品・サービスの種類によって大きく異なります。
BtoBやBtoCなど、新規顧客に商品やサービスを販売するケースが一般的な営業活動と言えるでしょう。しかし、近年ではSaaSなどのサブスクリプション型の商品やサービスが増えたことで、アップセルやクロスセルをWEB上で営業するといったケースも少なくありません。
このように、自社の営業スタイルや顧客の種類、販売する製品に合わせて営業研修の内容も変える必要があります。そこで、まずは自社の営業のゴールが何かを明確にすることが重要です。
3.営業のロールプレイングを実施する
営業の基本やゴールが決まれば、自社の営業活動を具体化し、実際の営業現場に見立てた「ロールプレイング」を実施します。
「ロールプレイング」を実施する際のポイントは「失敗できる」ことにあります。最初から完璧を目指す必要はなく、営業の定量的な目標値を目指しながらも、個々の個性を活かした営業方法を実践してみることが重要です。
各営業担当者の対応力を磨くためにも、ロールプレイングの段階では、さまざまな手法を試してみるのも大切です。
4.営業現場に同行する
ロールプレイングである程度の経験を積めば、実際の営業現場へでて、営業活動に参加しましょう。最初のうちは、挨拶回りを兼ねて上長などについてもらうのも良い方法です。
いきなり1人で新規顧客の開拓をさせる企業もありますが、結果的に効率の良い方法とはなりません。まずは現場の空気や、自社と取引先との距離感などを肌で感じるところからスタートしましょう。
現場に同行する営業活動も、ある意味では研修の一貫です。その感覚をもって、企業全体で研修参加者を見守ることも大切です。
5.PDCAを回す
実際に営業現場やロールプレイングを実施したら、その後に必ずフィードバックを行い、PDCAを回しましょう。
営業研修は、研修をすることが目的ではなく、研修によって営業スタッフの技量を向上させるのがゴールとなります。
そのため、研修中や研修後のフィードバックについては、その評価内容に確実性を持たせるためにもできるだけ複数の上長や先輩の方々が評価やアドバイスを行うようにしましょう。
このように営業研修では、営業の基本から実際の営業現場での研修まで、さまざまな内容が含まれます。そのため外部に委託する場合でも、結局はその後に社内研修が必要となります。
そこで営業研修を内製化することにより、費用や期間を抑えながら、最も効果的な研修が実施できるでしょう。
営業研修を行うメリット
営業研修については、必ず実施している企業もあれば、実施したことがない企業もあることでしょう。ここでは、営業研修を行うメリットについて解説します。
営業研修を実施するメリットは、主に次の3つがあります。
- 1.営業成績の向上が期待できる
- 2.新人教育コストを削減できる
- 3.営業手法の幅を広げられる
それぞれ解説します。
1.営業成績の向上が期待できる
営業研修を実施することで、営業成績の向上に期待できます。特にこれまで研修を実施してこなかった企業では、大幅に売上や利益が上がる可能性があります。
営業成績は、個々の営業スタッフの力量に左右されやすい特徴があります。そのような企業では、営業活動が属人化しているケースが多く、成績の良い人材の営業スキルやコツを共有できていないケースが少なくありません。
営業成績が良いスタッフには、他のスタッフとは異なるスキルがあることが多く、そのコツを共有したことで企業の売上が倍増するケースも少なくありません。
ただ、営業成績の良いスタッフの技術を、他のスタッフに無償で提供して共有するのは不公平です。営業スキルを提供するスタッフには、特別手当や昇給など納得のいく手当を用意しましょう。ただ一方的にスキルの提供を共有するようでは、転職されてしまうリスクが高まるので注意が必要です。
2.教育コストを削減できる
営業研修を効率よく実施することで、社内の営業リソースへの教育コストを削減できます。営業研修を実施しない企業では、先輩社員が一定期間つきっきりで指導したり、経験豊富な営業社員が独自に指導するケースもあるでしょう。
しかしこのような方法では、社内教育が体系的に行われないことにより、社員の質にバラつきが生じてしまいます。
社員の質がバラバラになると、配置換えや新たなチームで業務に当たる際に上手くまとまることができず、新たな教育の時間とコストが必要となるでしょう。
そこで定期的に営業研修を実施することで、安定したスキルと体系的な営業活動が可能となります。
3.営業手法の幅を広げられる
営業研修は、新たな営業手法を定着させる際にも効果的です。特にインサイド営業の手法はこれからも増える可能性があり、自社の製品や営業スタイルに合わせ、柔軟に対応することが大切です。
そのため、一部のスタッフが特定の社外研修にでて学ぶよりも、社内に講師を招いたり、社内の優秀なスタッフが研修を行うスタイルの方が効果的な研修を実施できる可能性が高いと言えるでしょう。
営業やビジネスのスキルは、社会や時代の流れによって常に変化しています。そこで社内や社外を問わず、新しい研修を取り入れて、常に客観的な視点で事業をフィードバックするように心がけましょう。
優秀な営業マンの人材育成方法のまとめ
このように、優秀な営業マンを育成するためには、まず自社のマーケティング戦略とシステム構築が不可欠です。そして、企業の経営層が「売れている企業」の特徴を理解した上で、人材育成できる研修を行いましょう。
「優秀な営業人材」の育成には、決まったノウハウを教えるだけでなく、売れる営業マンのマインドセットも重要な要素です。
そこで経営者の方は、現代の企業経営の本質を知るために「営業マンにおすすめの本|新人から管理職の方も読んで欲しい書籍を紹介」もぜひご参照ください。
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