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自分の会社への『違和感』を変革したいなら

2019.10.11
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リーディング・ファシリテーターの平田江梨子です。
私は、現在の会社には
新卒より勤めて17年ほど経ちました。
約4千人の従業員が働くいわゆる大企業で、
すべての社員が高いモチベーションを保って
働き続けることはなかなか難しい状況です。
また、業態としてもデジタルの躍進により
順風満帆とは言い難いステージに来ています。
そこで、組織が成熟し、
その後衰退期を迎えている今、
どのように変革できるのか、
「組織的」な目線でヒントを得たいと思い
手にしたのが『モンスター組織』です。

組織課題の原因は「人」や「集団」ではなく
その組織メカニズムによる「認知のひずみ」であること。
制度(ハード)で会社は変わらないため、
組織心理(ソフト)に根ざしたものが必要であること。
また、万能薬はないということから
「症例数」を増やすために「組織変革の疑似体験を増やす」
という観点で組織課題を起こりうるケース別に
紐解いた本です。

1自社に組織的な問題があるとすればなにか

各ケースには成長企業や成熟企業にありがちな
組織病に陥った模擬的な企業と
その中で組織変革に取り組む人物たちが登場します。
そして、組織人事のソフト面の課題について
リアリティを持って追体験すべく、
各人物が様々に葛藤しながら
組織を変えていくストーリーとして
描かれているため、
自社の組織の問題と照らし合わせて
考えることができます。
ケースにおける重要なポイントは、
これらの人物がどのようなバックグラウンドを持ち、
どのような考えで行動しているかという点です。
また、主要な人物間で起こる対立構造にも
注目しながら読むことで、
戦略実行にあたり人物間の対立が障害となって
前に進めない企業が多いということに気づきます。
いかにそこから脱却するか、
という視点を各自で持ちながら
読みすすめることでさまざまなヒントを得られます。

2自社の問題に対して人事制度で取り組める点はなにか

自社の課題としてとらえた場合、
自分のキャリアアップを優先するあまり
自己成長は求めるが献身意欲が高くない、
いわゆるフリーライダーが増えてしまい、
実務能力の高い社員に仕事が集中し、
不満の種となっているのではないか、
と考えました。
また、やりがいはあまり感じていないが
待遇がよいために在籍しているにすぎない社員もいます。
トップと各部門長の時間軸のすり合わせを考えると
トップは3年先、5年先を見据えて
情報をキャッチし外部内部に発信しているが、
部門長や課長クラスは半期単位で成果を出さねばならず、
目先の課題に目を向けています。
トップはしっかりと時間軸を現場目線に落として
組織体制の構築や再編を図ることが求められているのです。

3“組織”を考える上で何がもっとも重要な点なのか

「採用戦略の欠如」も問題といえます。
イメージ先行で採用を行うことで、
入社後に期待値とのギャップを生んでいるのです。
よって、本当に必要とする人財を定義し、
そうした人財の採用・定着化を図るための
人事戦略の明確化が求められています。
・人事部、各局の人事担当者を組織化し、
採用方針を含めた人事制度全般の見直しを行うこと。
・会社のブランドのみに惹かれた社員を見極め、
事業コミットの高い社員を採用するようにすること。
・評価するべき項目をどう浸透させるかということ、
またそれらを保有する人財を採用できるような
採用基準の作り込みが求められること。
それらを「育成」「評価」していくことが求められる、
と個人的に感じました。
『モンスター組織』は
人事や経営戦略に携わる方、
また、自社に対して何か「違和感」を感じ
変革を望むすべての方におすすめしたい1冊です。

この本で登場する様々なケースは
そのまま自社にあてはめることは
できないかもしれません。
それでも、
「各ケースの登場人物の対立はなぜ起こっているのか」
と考えを深めることで
自社のとりはらうべき対立軸を
あぶり出すことができます。
 

執筆者プロフィール


平田江梨子(ヒラタエリコ)
都内企業に勤めながら定期的に読書会を主催しています
コミュニティ(Chiyoda update)を主催
 
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