リーディング・ファシリテーターの
下良果林(しもらかな)です。
今回は、徳島~四国全域を拠点に、
起業・創業支援、新事業のサポート、
コワーキングスペースの運営、そして
読書会のプロデュースなど、
多方面でご活躍中のリーディング・ファシリテーター、
観元 眞人さんをご紹介いたします。
* * * * *
― 普段は、どんなお仕事をされていますか?
徳島にて 4 年半前(2012年頃)から学びをベースとした
コワーキングスペースを運営しております。
主に起業・創業支援やビジネスモデル構築支援などを
おこなっております。
また、3 年前(2013年)からは本を介さない、
ダイアログ/フューチャーセンターの役割も
担っております。
2016 年には、
にし阿波・地域連携ビジネス創出支援事業運営協議会様より
「にし阿波・ビジネス創出支援アドバイザー」
に認定いただきました。
「にし阿波に人(企業・大学等)を呼び込み、
当地に集った人と人(地域事業者等)をつなぎ、
新たな地域ビジネス創出への取組を支援する」
という行政の事業目的のもと、
ビジネスモデル構築への支援をおこなうという役割です。
2015 年に立ち上げ、現在事務局長をつとめる
創業スクール・一般社団法人地域活性士会
「夢や理想をカタチに実現する女性が輝く創業スクール」では
「マインドセット」「仲間づくり」「スキルアップ」
の3つを重視し、オリジナルカリキュラムの中に
本からアイディアを得るリードフォーアクションの読書会を
2 年連続で取り入れています。
2015 年度は「全国創業スクール選手権」において、
全国の創業スクール受講者 3,050 名の中から
セミファイナリスト 16 名に、
我々の創業スクールから 1 名選出していただきました。
2016 年度は「優秀 スクール 10 選」
に表彰していただきました。
まさしくリードフォーアクションの読書のスキームを生かして
本の作者に問いかけつつ、
本から得られたトリガーワードを
商品開発アイデア~商品化~ネーミング~パッケージ案
に活用する、ということをしております。
日本一の清流と言われる穴吹川が流れる美馬市においても、
本から得られたアイディアをもとに、
小麦の生産を農家さんと共に 3 年前から着手しております。
― リーディング・ファシリテーターとなった時期と
そのきっかけについて、教えてください。
2014 年 4 月 13 日、大阪で木村祥子
シニア・リーディング・ファシリテーターのもと、
養成講座を受講いたしました。
その大きなきっかけは、同年 2 月に参加した、
大阪帝国ホテルにおける神田昌典先生の 2022 講演会です。
講演の中で「まちぐるみ読書会(まちヨミ)」を推進中の
リードフォーアクションの読書会の活動についてお聞きし、
リードフォーアクションの読書会そのものの可能性だけでなく、
地域活性をおこなう流れがその読書会によって
できうるだろうと強く感じたことにあります。
地域活性について、四国で初めての
コワーキングスペースの運営を
4 年半前(2012年頃)から開始し、
事業のマッチングや創業、
事業構築のご支援をしているかたわら、
地域活性について人と人がどうすればつながりやすくなるのか、
またつながる場をもっと増やせないかと模索していた折に、
リードフォーアクションを知ることができました。
本を通じての対話……人がつながり、
行動につなげていくというコンセプトに、
強く共感いたしました。
そしてその年の 7 月に、四国で初めて、
徳島県の公共施設を借り切り、
木村さんをお招きして「まちヨミ」も実施。
その際は約 45 名もの方にご参加いただき、
マスコミ各社にも取り上げられました。
実は、そこからマッチングが生まれた、ということも。
美馬市の農家さんの小麦と
上勝町の阿波晩茶のコラボのきっかけにもなりましたし、
結果的にその 2 年後「にし阿波・ビジネス支援アドバイザー」
に認定していただいたことにもつながっています。
― 読書会から人とつながって、お仕事上のマッチングが生まれ、
そしてさらなるビジネスの展開につながっている、
というのはとても素晴らしいですね!
読書会の特徴について教えていただけますか。
読書会開催のディレクションをメインにしています。
リーディング・ファシリテーター養成講座を
終えた方の読書会開催デビューのサポートをおこなっています。
地元書店で本を仕入れ、読書会企画や
リーファシの得意分野を生かした
テーマを一緒に考えたりしながら開催しています。
特に地方における課題は山積み。
各分野に精通する方の特徴や強みを分けて
各読書会の運営サポートをしている感じです。
各ファシリテーターの自主性を重んじて
開催するように気をつけています。
神田先生の年始の 2022 講演会では、
2015 年~2017 年の 3 年連続で
前座イベントとして読書会を開催したときは、
四国のリーディング・ファシリテーター
の方々にご協力をいただき、
メインファシリテーターと
テーブルごとのファシリテーター、
という役割を担っていただき、
講演会の前準備としてより深い気づきや発見を
高めていただこうと開催しております。
― 地域活性化と読書会のつながりについて、
考えていらっしゃることがございましたら
教えていただけますでしょうか。
人と人、人と地域、地域と地域がつながる方法として
リードフォーアクションの読書会を取り入れることで、
より地域の方々の交流の活性や、
また他府県や海外から来られた方との
交流につながると思い、
微力ながら四国でリードフォーアクションを
広めていきたいと思っております。
読書会の企画を、延べ 100 回を超えてサポートし、
その参加人数は 1,300 名を超えております。
その間に感じたのはコワーキング、
すなわち協働とリードフォーアクション
がリンクした、ということ。
なぜなら私は
「リードフォーアクションは移動型のコワーキングスペースである」
と位置づけています。
テーマや本で、集まってくる人が変わり、
その場でつながる。
それは、私どものコワーキングスペース運営の基本にある
「学び つながり 成長」のコンセプト通りで、
いわば場所を持たずに動きながら
コワーキングできることの素晴らしさを実感したからこそ。
コワーキングと読書会の親和性は、特に高いと感じております。
そのようなこともあり、リードフォーアクションと出会って
本を通じたコミュニティを育てていこうと、
2014 年 10 月に
「私設図書館 まちライブラリー@イノベーションセンター徳島」
の機能も持ちました。
本を通じて、ご縁の場を広げていっております。
― 場の盛り上がり、ご参加者の特徴などにおいて
「こういう話をすると毎回盛り上がる」など、
地域性を感じられたエピソードはございますか。
リードフォーアクションそのものが、本を通じた場づくりです。
ご参加くださった方々が、自発的に内省対話ができ、
人との対話を通じて気づき、
さまざまな視点から進行される、
その順序が循環されていく仕組みがなされています。
もちろん、各リーディング・ファシリテーターによって
ファシリテーションそのものの経験値に差はあるものの、
リードフォーアクションの流れに沿って読書会をおこなうことで、
面白いことがおこります。
「小細工なしでできる」というのがいいですね。
シンプルかつ、誰からも喜んでいただける仕組みです。
やはり一番盛り上がるのは、自己紹介の時の「アレ」ですね。
すみません。これは、リードフォーアクションの読書会に
参加された方の特権なので、ここでは内緒にしておきます。
ですが、ご体験いただくと……「なるほど!」となります。
「アレ」をすることで、その場が勝手に盛り上がっていきます。
いわば、リードフォーアクションの読書会の醍醐味ですね。
―地元の書店と連携し開催された
「あなたの会社が最速で変わる7つの戦略/神田昌典 新刊読書会」
について、お聞かせください。
地元の書店との連携開催をおこなう際は、
新刊を課題図書とすると決めています。
「あなたの会社が最速で変わる7つの戦略/神田昌典 新刊読書会」
は、本の発売前におこないました。
通常、徳島は通常の発売日より遅くに出回るのが当たり前。
ですが地元書店・平惣グループの担当の方に
懇意にしていただいており、
大変なご無理を申し上げて「1日でも早く」
と出版社様や取次業者様に掛け合っていただき、
発売前に届けていただきました。
神田さんの新刊を誰よりも早く入手できること、
また書店でおこなったこともあり、
本好きな鶏肉加工業の経営者様やキャリアコンサルタント、
事業主の方々にお集まりいただきました。
この本の 4 人目に、NTTグループの三宅泰世さんのことが
リードフォーアクションの企業研修、
企業内イノベーションの事例として掲載されている、
ということを出版前に知り、
そこで読書会には、リードフォーアクションならではの
メソッド「ぐるぐる読書」でおこないました。
ただし、課題図書が同じなので、
質問(問い)を回すかたちでご自身のキャリアの棚卸しを含め、
質問に対してご参加者同士がより
お互いを知っていただける
次につながるような流れにしました。
その結果、それぞれの気づきがさらに深まり、
読書会終了後も大変盛り上がり、
そしてFacebookでもつながり、
皆さん交流を始められているようです。
― ご参加くださった方々がつながり、
仲良くなっていくというのは、それだけその「場」が
素晴らしかったということでもあると思います。
今後やってみたい読書会についてお考えのことがございましたら、
ぜひお聞かせください。
3つあります。
一つ目として、今後はリードフォーアクション読書会を、
企業内研修や組織風土改革の一助にしていければ
と思っています。この 2 年半で沢山の
リーディング・ファシリテーターが誕生し、
各々ファシリテーション力を磨いてきました。
二つ目は、教育分野ですね。
2016 年 5 月には、
徳島県立高等学校の学校司書様向け(図書室管理)として、
30 数名の司書様にリードフォーアクションの読書会を体験いただきました。
メインのファシリテーターは吉野哲一さんに任せ、
テーブルごとのサポ―トとして、
南部真也さん、内藤史治さん、あずまかずえさん、宮尚司さん、
宮美紀さん、中川利津代さん、そして
高知県の織田茜さんにもご協力いただきました。
とても評判がよく「また体験したい」
というお声をいただいたことから、
すでに 2017 年 8 月に二度目の実施が決まりました。
前回は 1 時間 10 分と短い時間でしたので、
次回は 2 時間 50 分いただけました。
学生や生徒、児童といった若い人たちが本を通じて、
将来を見据えて考える力やつながる力、
対話を通じてコミュニケーション力が高められ、
より自発的、自主的に日々の生活に
向き合っていただきたいです。
三つ目はやはり、地域活性につながる課題解決です。
今後は、空海聖人(弘法大師)様がつくった
四国 88 か所霊場のお遍路にちなみ、
88 名のリーディング・ファシリテーターの誕生サポートと、
88 か所リードフォーアクション読書会の開催を視野に入れております。
現在、徳島ではリーディング・ファシリテーターが 20 名を越えています。
88 を四国四県で割ると 22 なので、
徳島はほぼ到達しており、
他の香川・愛媛・高知でも同じくらいの人数になるように
リードフォーアクション協会と強く連携して
養成講座の開催も増やし、
リーディング・ファシリテーターになっていただき、
そして各地でリードフォーアクション読書会が開催され、
県外や海外の方も参加して地元の方とつながる仕組みができると、
四国がより元気になるのではと思っております。
2022 年~2023 年までには、その人数を達成したいですね。
四国の方でリードフォーアクション読書会を
開催してみようとお思いの方は、ぜひお声掛けください。
この3つの目標は、いわば
経営分野・教育分野・地域課題分野
それぞれに関わっていく、ということになります。
そして、それぞれの分野での読書会が可能というのも、
リードフォーアクションならではでしょうね。
多様な本を通じてダイアログをおこない、
多様な方が新たな気づきを得て
アクションにつなげられるという
素晴らしい仕組みなので、
とてもわくわくしております。
今後の展開に、どうぞご期待ください。
(2017年2月取材 下良果林)