リーディング・ファシリテーターの
後藤安賀里(ごとうあかり)です。
リードフォーアクションの読書会は、
ただ「事前に読まなくていい」「ワークショップ型」
というだけではありません。
実は、参加した人に「変容」を促します。
もちろん、リーディング・ファシリテーター自身も、
自らのうちに起こった変容を体験している人たち。
今回は、技術職のキャリアウーマンとして仕事に励む傍ら、
家庭では小さなお子さんを育てるお母さんである、斎藤恭子さん。
育児ブログである
「それでも育児はおもしろい」で、
子どもの頃から秘めていた
「日常を漫画で描いてみたい」
という思いを実現され、
多くのファンから支持されていらっしゃいます。
そんな斎藤さんに、リードフォーアクションの読書会や
リーディング・ファシリテーターになったいきさつなど、
たっぷりお話をうかがいました!
仕事とプライベートの両立に悩むお母さんには必見です!!
* * * * *
(1) 第一のステージ
2004年前編 働き方に疑問を持てたらチャンス?!
~キャリアがストップしてしまうとしたら~
会社員3年の頃、私はそれまでの「働き方」に
疑問を持ちはじめました。
当時は大手自動車メーカーで主に
自動車エンジンの設計業務を担当していて、
技術職の職場は男性ばかり。
私の周りには、
仕事とプライベートを両立させている
女性のロールモデルのような方はいませんでした。
そんなあるとき、
結婚や出産などでキャリアストップして
会社を辞めたり、あるいは、
この会社がなくなったりしたら、
自分に何が残るのかをふと考えてみたのです。
その時、私に再び働き口はあるのだろうか?
企業教育により、
会社の中では通用する人材に育っていても、
果たして会社の外の世界で自分は通用する人材であるのか?
そんなことを考えていました。
もし家庭を持ったなら、
出産でキャリアがストップしたならば……
そんな見えない将来像に対し
漠然とした不安があることに気付きました。
自分がどんなキャリアを築きたいのか全く考えてなく、
ただ流れに身を任せ、
今の会社におんぶに抱っこだったことにも気付きました。
結果、自分のキャリアを考える上で、
ひとつの会社文化や教育だけでなく、
ここだけではない外の文化や教育を
覗いてみる必要があるのではないかと考えました。
そこでたどり着いたのが、
「パラレルキャリア」だったのです。
ひとつの組織に属して働くだけでなく、
社外でも活躍できる場や新しい経験を求めて
パラレルキャリアを実践しようと思いました。
(2) 第二のステージ
2004年後編 動いてみようと思うなら、即行動!
当時私は、仕事でもプレゼンが上手くなりたい
と思っていました。
プレゼンを教えてくれる講座を探したのですが、
地元ではそのような講座を開催しているところがなく、
代わりにアナウンサーの講座を受講しました。
元アナウンサーの方が講師をされていました。
そのご縁もあって、
その講師の先生が経営されている会社で
働かせてもらうことになりました。
イベント請負をされている会社だったのですが、
普段の業種とは全く異なる、
女性や人との関わりが多い仕事を希望して、
そこで働かせてもらうことにしたのです。
土日のみ働くボランティアスタッフとして登録し、
イベントの企画・運営、営業から接客まで
経験させてもらいました。
自らイベントを企画して
ホテルや店舗へ持ち込んだり、
ブライダルフェアなどを開催して
ウェデイングプランナーとして
お客様への企画提案や売り込みをしたりしました。
現場では、司会や現場監督、介添え、音響や照明まで!
イベント開催に必要なあらゆることが経験できました。
当時の私は技術者色が強く
「理論が正しければ、同じ方角を向いて仕事ができる」
という考えを持っていたのですが、
この会社で働くことで
「人と人の関係性や感情で仕事が動く事がある」ことや、
直接お客様を喜ばせる仕事の魅力を
知るきっかけになりました。
接客と営業の基礎を学びながら、
相手の気持ちを考えて行動すること、
相手を観察し気を配ること、
といったチームプレイを学びました。
その一方で、本業で務めている会社の教育の良さ……
資料のまとめ方、新人教育のやり方、
問題解決手法の思考などに、
改めて気づくこともできました。
異業種でパラレルキャリアを両立させるのは
とても大変なのではないか?
と想像されるかもしれません。
けれども私にとっては、
直接にお客様に出会い、
喜ぶ姿を見ることができるというのは、
働くことの大きなモチベーションでした。
普段はエンドユーザーに会えるような
仕事ではありませんでしたから、
とても刺激的でした。
もしパラレルキャリアを両立させる
コツがあるとするならば、
学習や経験への欲求、
「違う環境、仕事を楽しめるか」
がコツだと思っています。
単に
「お金を稼ぐ手段として、色々なキャリアを経験しておきたい」
ということで、始めていたなら、
私のパラレルキャリアの両立は
続かなかったでしょう。
結婚、出産などを視野に入れると、
自分の身体1つで自由に動ける時間は
どうしても限られてしまいます。
私も子供を産んでから、
気付いたことなんですが(笑)。
だからこそ「動いてみようと思うなら、即行動!」
もしパラレルキャリアを模索されている
女性の方がいらっしゃれば、そうお伝えしたいです。
(3) 第三のステージ
2011年リードフォーアクションとの出会い
友人の誘いで、
初めてリードフォーアクションの読書会に
参加したのが2011年です。
一身上の都合もあって、
パラレルキャリアとして
働いていた会社を辞めていた時期でもありました。
リードフォーアクションに出会って、
自ら異業種を体験しなくても、
読書会の参加者や本との出会いにより、
異業種を知り、新たな学びの場を
手にすることができることを知りました。
私が誰かと一緒に本が読みたくて、
リーディング・ファシリテーターになったのです。
これまでに開催した読書会のなかで、
いくつか印象に残っている読書会があります。
私が最初に開催した読書会は、
20代〜40代ビジネスマンを対象にした
「ビジネスモデルジェネレーション読書会」です。
意見が中々出ない、
混沌とした状態がすごく強かった読書会でした。
私はその状況に飲まれ、
全くファシリテーターとして機能していなかった。
共同開催してくれた
先輩ファシリテーターがいなかったら、
崩壊していたかもしれません。
当時を思い出すだけで、
屋上から飛び降りたい気分になります(笑)。
そして「ビジネスモデルYOU読書会」。
初めて読書会に参加した主婦の方が、
読書会の最中に急に泣き出してしまったのです。
当時の私は、
泣きだした彼女になんと声をかけていいのか
わからなくなってしまったのですが、
読書会に参加くださった他の方が、
丁寧に彼女の気持ちを聞きながら、
みなさんでフォローしてくださいました。
一緒に参加しているメンバーが彼女の話を真剣に聞き、
優しいフィードバックをしたことが
彼女の琴線に触れたのだと思います。
そうして無事に読書会が終了しました。
同じく20代~40代のビジネスマンを
対象にした「腹八分目読書会」。
これは、お互いの小さな悩みを共有して、
解決策を積読本から探し、
それをベースにお互いに好き勝手に
アドバイスするという内容。
それを受け取るのも受け取らないのも、自分次第。
100%を求めずに楽しむ読書会です。
当時、私が17年付き合っていた彼氏との
進展のないプライベートに対しても、
色々なアドバイスをもらいました。
私が一番楽しんでいたといっても
過言ではないと思います(笑)。
毎月続けていたこの読書会では、
色々な人との出会いがありました。
小さな悩みから気づいた自分の願望、
その未来に向けた小さな一歩、
お互いの成長を喜びあいました。
お互いの成長を応援し合える仲間ができました。
出産でこの地を離れることになった際は、
この読書会の参加者でお別れ会を
開いてもらいました。嬉しかったです。
色々な出会いがあり、失敗があり、喜びがある。
そんな積み重ねで、
これまでに開催した読書会回数は
大小合わせて、100回以上。
主な開催地は名古屋ですが、
東京、大阪、岐阜の団体・事業主からオファーを戴き、
出張読書会も開催しています。
名古屋では、リードフォーアクションを使った
企業研修の経験もあります。
得意分野は「自分の働き方を考える」
「小さな悩みの問題解決」
をテーマにした、
自分の日常や仕事にプラスとなるものを
見つける読書会となりました。
読書会は、本と人との出会いによる
自身の成長の場であり、
客観的に自分を見つめられる場だと
思っています。
自ら多くの職を経験しなくても、
本や異業種の方と対話を広げる事で、
多くを学び、自分の毎日を
豊かにすることができます。
私はその想いを、
読書会を通じて発信しています。
(4) 第四のステージ
2014年 新しい働き方へ~キャリアがストップしたときこそ~
出産を機に、
社内外の全てのキャリアがストップしました。
生活拠点が愛知県から東京に移り、
読書会からも離れてしまったのです。
キャリアストップに不安は全くありませんでした。
だけど、新しい生活のために、
今までのライフスタイルを大きく変える
必要性が出てしまいました。
妊娠前のように好き勝手にはできなくなった。
私はその状況を、
新しいものを手にしたのだから、
諦めるものもあって仕方がないと思っていました。
そんな時です。
友人に誘われて、
初めて子供を夫に預けて、
読書会に参加しました。
木村祥子さんが開催した
「なぜ人と組織は変われないのか」
(ロバート・キーガン&リサ・ラスコウ・レイヒー著)
の読書会です。
この本では
「人も組織も新しい変革や必要な変革を拒む免疫機能がある」
と言っています。
その免疫機能が私の何を守ろうとしてるのか?
この読書会で、
「限界を決めていたのは自分で、
自分がやりたいことをやれていない理由は
自分の中にある」と気づきました。
だから私は、
まずは小さい頃からの夢だった
「漫画家になりたい」を
スタートすることにしたのです。
中学生の頃から、
まわりのエピソードで漫画を描きたい
と思っていました。
受験が終わったら、
時間ができたらと・・・と
ドンドン後回しにしていたことを、
「今始める!」という後押しを
読書会にしてもらったからです。
そして今、
「それでも育児はおもしろい」
というブログで夢をかなえています!
しかもこれがきっかけで
読書会のファシリテーションを
再開するようになりました。
ブログを読んでくれた方から連絡をもらい、
ランチ会などをするようになったのですが、
同じような月齢の子供がいる中で、
色んな悩みがあり、
今までと変わってしまった
ライフスタイルへの不安などを
話すようになっていました。
すると「たまには本でも読みたいよね?」
という参加者の言葉から、
読書会をするように!
題材はそのとき不安に思うことの解決を探る、
というものにしました。
読書会が私に多くの転機をくれました。
読書会のファシリテーターをやってよかった、
と思うことがあります。
読書会を運営することで、
特に、ゴールの設定、
周りや全体を見るチカラや
とっさの判断力が付いたように思います。
そして、読書会でやっていること
1つ1つを理解すると、
そのやり方は全てに応用が効くのだと感じています。
仕事に復帰し、
育児などのプライベートと両立するなかで、
いよいよ働き方が変わってきたことを実感します。
私にとっての
「働き方の新たなステージ」とは、
自分のライフスタイルと自分のやりたいことの融合です。
制約に対して、
悲観して諦めていたことを見直して、
それを受けとめて進められるか?
それがとても大切だと思っています。
育児休暇も終わり、
2016年には仕事復帰するようにもなりました。
現在は、3歳になる息子と日々奮闘中。
主婦として、母として、落ち込む日もありますが、
育児ブログ「それでも育児はおもしろい」
を通じて出会った人達と、
読書会やおしゃべり会などを開催し、
みんなで悩みを共有しつつ、
パワーチャージをしています!!
※育児ブログ「それでも育児はおもしろい」
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斎藤恭子さんのお話はまだ続きます!!
このインタビューの続きは番外編として、
<とよた男女共同参画センターで開催される読書会>
に関するインタビューをお届けします!!
(2017年8月取材 後藤安賀里)