現代では、営業の提案で『売り込み』するのは時代遅れと言われています。
なぜならデジタル社会となった今では、さまざまな情報がインターネット上に溢れており、顧客が自分で必要な商品やサービスといった情報を収集できるからです。
そのため、営業担当者が自社の製品を一所懸命に売り込んでも、顧客にとって必要な情報を提供することが難しいのが現実です。
そこで重要となるのが、顧客に必要な潜在的な課題や痛みをヒアリングによって顕在化し、その問題を解説に導ける提案をすること。
ここでは『顧客が断れない営業提案』をするためのヒアリングからプレゼンまでのテクニックと、顧客の潜在的な悩みを見つけ出す方法について徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
これまでの営業提案では『顧客のニーズに合わせて、必要な商品やサービスを提案・提供する』ことが重要でした。
しかし、インターネットが整備されて情報過多となった現代では、顧客が必要な情報をいつでも簡単に検索できる時代です。
そのため、顧客の顕在化されたニーズを満たす商品やサービスをいくら売り込んでも、門前払いされるケースがほとんどではないでしょうか。
そこで営業に求められるのは、顧客自身が気づいていない『潜在的な課題や痛み』を営業担当者が見つけ出し、顧客がまだ気づいていない問題を『顕在化して解決に導く』提案です。
提案営業とは「顧客の潜在的な課題を顕在化し、解決策を提案する営業方法」です。
一方、御用聞き営業とは「顧客の要望(注文)を聞いて、それに合わせた商品やサービスを提案・提供する営業方法」です。
この違いは、提案営業が『潜在的な課題に対して解決策を提案する』のに対し、御用聞き営業では『顕在化した課題に対して商品やサービスを提供する』ところにあります。
御用聞き営業では顧客が自らの課題をすでに認識しており、課題の解決に必要な商品やサービスがあらかじめ決まっているため、結果として「価格競争」に巻き込まれるケースが圧倒的に多くなるのが問題です。
しかし提案営業では『顧客が気づいていない課題を顕在化してあげる』ために手間がかかりますが、顧客が断れないだけでなく、提案した側が主導権を握る形で営業できるメリットがあります。
営業における提案を成功させるには、提案に至るまでの7つのプロセスが重要となります。
営業提案を行う際は、次の流れに沿って行いましょう。
それぞれ解説します。
営業をするにあたって、まず大事なのが「リードの獲得」です。リードとは、今後顧客になる可能性のある「見込み顧客」のこと。
一般的には、相手企業(または個人)の名前や連絡先、住所やメールアドレスなどを取得した時点でリードの獲得となります。
リードの獲得方法については、マス広告やWeb広告からの資料請求や、コンテンツマーケティングでホワイトペーパーを提供する際のメールアドレス登録などさまざまです。
リードの獲得で重要なことは、数はもちろんのこと「質の高いリード」をどれだけ獲得できるかにあります。質の高いリードを獲得するためには、リードジェネレーションの成功が欠かせません。
リードジェネレーションに関しては『リードジェネレーションとは?見込み顧客の獲得方法を具体例で解説』の章をご参照ください。
マーケティングで最も重要な顧客情報を集める施策がリード獲得です。以下では『デジタル時代最強のリード・マグネット52事例』を無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
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リードの市場調査を行う際は、営業担当者だけではなく、マーケターなどの協力が必要です。自社のマーケターやマーケティングチームに正確な情報と、これからの市場動向の予測などを提供してもらいましょう。
また、市場調査を実施する前に必要なのが『リードナーチャリング(育成)』と『リードクオリフィケーション(絞り込み)』です。
営業提案は、全てのリードに対して行う施策ではありません。顧客になる確率の高いリードから順にヒアリングを実施して、効率よく提案・成約に結びつけることが最も大切です。
そのためリードジェネレーションからリードナーチャリング、リードクオリフィケーションへの流れをしっかりと構築していきましょう。
リードナーチャリングからリードクオリフィケーションについての解説は『リードナーチャリングの意味や施策の事例|見込み顧客育成の効率化に役立つツールを解説』の章をご参照ください。
また、リードクオリフィケーションの絞り込みによるマーケティンング施策を効率化する方法は『3つのファネル分析でマーケティング施策を効率化する方法』の章で解説しています。ぜひ参考にしてください。
ご自分で市場分析を行う際は『市場分析のフレームワーク|5つの分析手法で成果を最大化する方法』をご参照ください。
次に行うのが『リードのヒアリング』です。ヒアリングを行う際は、まずリードの現状や企業の背景などを、マーケティングチームと協働しながらできるだけ詳しく調査しておきましょう。
リードの置かれている市場や、相手企業の資本金や売上、経常利益、社員数、業績の推移などを把握しておくことで、ヒアリングする際に余計な会話を省くことができます。また、相手にも「よく業界を理解している」という信頼度もアップするでしょう。
ヒアリング内容は、一度のヒアリングですべてを聞き出す必要はなく、15分〜30分程度の相手に負担をかけない程度のミーティングを何度も重ねることが重要です。そこで、相手と自分のタスクを増やさないためにも、基本的にオンライン面談をおすすめします。
何度もミーティングを重ねる理由は、お互いを知ることで信頼関係が構築できるなかで、相手企業や市場にある潜在的な課題や痛みが徐々に見えてくるからです。
また回数を重ねることで、リードへのナーチャリングもできるので、一石二鳥です。
ヒアリングのコツについては『SPIN話法とは|商談や成約に繋がる営業ヒアリングのフレームワーク』の章で解説しています。ぜひ参考にしてください。
営業提案で最も重要な工程が『潜在的な課題を顕在化させる』作業です。まずはリードとのヒアリングのなかで『リードの潜在的な課題や痛み』を見つけ出しましょう。
例えば「新規顧客の獲得が思うようにできない」という課題を抱えているリードが、どのように新規顧客を開拓するかに悩んでいる場合。
ここでよくあるのが、リード分析や市場調査をした結果「既存製品の市場が飽和状態にあり、新規顧客の開拓よりも既存顧客のクロスセルやアップセルを重視すべき」といったケースです。
もし自社の製品が顧客管理ツールなどの場合には『顧客管理を徹底することにより新規開拓に多大なリソースを使うのではなく、アップセルとクロスセルを行いながら顧客満足度を高めつつ、口コミによる新規顧客の開拓を目指す』といった営業方針の転換を促す提案営業が実施できます。
このように『顧客(リード)が気づいていない』または『経営陣が気づいていない課題を営業部が知っているにもかかわらず、上司が怖くて提案できない』といった企業に、適切な施策を立案し提案するのが『提案営業の本質』です。
提案書を作成する際は、まず次の6つのポイントを押さえることが大切です。
このポイントを押さえた上で、顧客の具体的な課題や痛みに対して理想的な構造を示したのが「PASBECONA(パスビーコーナ)」です。
PASBECONAは、Problem(問題)・Affinity(親近感)・Solution(解決)『・Benefit(利得)・Evidence(証拠)・Contents(内容)』・Offer(提案)・Narrow(適合)・Action(行動)の9要素から成り立っています。
このPASBECONAを活用することで、提案書に必要となる要素が、漏れなく、そして早く書けるようになります。
PASBECONAは「人を動かす原理原則」であるため、企画書や提案書、プレゼンにも有効なのです。
提案書の書き方については『提案書の書き方|相手に伝わる構成やテンプレート作成の流れを解説』の章をご参照ください。
プレゼンテーションでは、営業相手の現状を理解して課題を共有し、自社の商品やサービスによって課題解決の提案をするのが一般的な流れとなります。
そのため自分が一方的に話を進めてしまったり、逆に何も話せず終わってしまうことが無いように、インタラクティブなコミュニケーションを心がけることが重要です。
ここで注意すべきは、営業が「媚(こび)をうる」のと勘違いしないこと。
なぜなら、営業は相手にお願いして「買ってもらう」のではなく、自社の商品やサービスによって相手の課題をどのように解決するかを提案することだからです。
そのためにも、プレゼンテーションだけでなく営業プロセスのなかでは、排他的なリードを選別して『断る営業』が効果的です。
この手法については、神田昌典著『非常識な成功法則』の第5章『殿様バッタのセールス』で解説されていますので、ぜひご一読ください。
▲出典:新装版・非常識な成功法則
提案営業のクロージングは、他の営業手法と比較しても非常に重要なプロセスとなります。なぜなら、提案営業では契約後もプロジェクトの実行などで、クライアントと深く関わりながら業務を遂行するからです。
もし強引にクロージングを行い、契約後のフォローがいい加減になってしまうと、自社の信用を著しく落とす可能性があります。
そこで提案営業のクロージングでは、クライアントの課題や痛みに寄り添いながら、成功に向けた施策を確実に実施していきましょう。
クライアントに満足いただくためにも、常に正確な進捗状況をクライアントに伝え、市場の動向についての情報共有を怠らないことが重要です。
また提案営業で契約するプロジェクトは、一般的に金額も大きな契約となるケースが多いため、しっかりと責任感のある営業活動を行うことが大切です。
このように、営業における提案を成功させるコツは『常に顧客目線に立つ』ことです。ただし、提案営業を成功させるための本質は、ここで多くの営業担当者が間違いやすい「落とし穴」に気付けるかどうかにあります。
最も重要なポイントは、顧客目線の『顧客』が『リードの顧客』であることです。リード目線で提案書を作成すると、必ずしも『消費者』ではなく『自社の製品を購入してくれるリード』に対するメリットばかりを強調してしまい、本質がズレる可能性が高くなります。
提案営業では、あくまでも自社とリードが共同で『消費者に対してどのようなベネフィットを提供できるか』を考えることが大切です。
そして、自社が提供できる商品やサービスによって、リードとその先の消費者にどれだけのメリットがあるかを具体的に提案しましょう。そのためにも、自分が提供する製品に対する知識はもちろん、成功事例も積極的に伝えることが大切です。
もし提案内容が『リードの顧客(消費者)』に対してベネフィットを与える施策であれば、リードがあなたの提案を断る理由はありません。
このような『顧客が断れない営業提案』を行うには、リードはもちろん、その向こう側の消費者にも利益のある施策を立案して提供することが重要です。
現代社会は情報過多や情報洪水と言われる時代で、企業の決済者が独自に情報を仕入れやすい環境が整っています。そのため、営業による提案がなかなか受け入れられなかったり、商談にすら持ち込めない営業担当者の方も多いのではないでしょうか。
しかし多くの企業では、自社の潜在的な課題や痛みに気づいておらず、業績を伸ばすために『何をどうして良いのかわからない』といったケースがほとんどです。実際に『何も問題のない企業』などないことでしょう。
今業績を伸ばしている企業の多くは、この『リードの潜在的な課題や痛みを解決に導ける企業』です。
もしもあなたが、この成功方法をもっと学びたいとお考えであれば、ぜひアルマ・クリエイションにご相談ください。