販売戦略の立て方|立案方法や市場分析のフレームワークを解説
販売戦略とは、自社の商品やサービスを「誰に、どのように売るか」といった販売プロセスを立案するための重要な施策です。販売戦略を立てることで、自社のリソースを効率的に活用し、再現性の高い販売活動に結びつけることができます。
販売戦略で売上を上げるためには、販売する商品やサービス、また自社の市場価値そのものの「強み」や「弱み」を分析し、競合他社と差別化をしなければなりません。
そこで今回は、販売戦略の意味や目的を解説し、販売戦略を立てる手順や立案に必要なフレームワークを紹介します。
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販売戦略とは
販売戦略とは、自社の商品やサービスを「いつ、誰に、いくらで、どのようにして売るか」というマーケティング戦略の1つです。
企業によっては、経営者の勘や経験を頼りに商品を販売し、販売戦略を立てなくても商品が売れたというケースもあるでしょう。しかし、どの業界もレッドーシャン化しつつある現代の市場では、もし売れなくなったときに必要となる重要なデータの蓄積ができません。
今後のマーケットは、オフラインからオンラインが主流となるビジネスが増えると考えられています。そのため、顧客への販売チャネルはさらに多様化し、複雑になっていくでしょう。
オンラインマーケティングにおいては、必要なデータや分析ができない状態での成功はまずないといっても過言ではありません。なぜなら、インターネットを使ったWebマーケティングは、地元の顧客を相手に小さなお店を営業するスタイルとは販売手法や営業スタイルが全く異なるからです。
もしこれからWebマーケティングを取り入れようとお考えの方は、まず今回ご紹介する商品やサービスの「販売戦略の立て方」や「市場分析の方法」から取り組みましょう。
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販売戦略の代表的な手法
以下では、販売戦略の代表的な手法を5つ解説します。どの戦略も、中小企業が大手に勝つために必要となる、アイデアとデータ分析から生まれた手法です。ぜひ実践しましょう。
ランチェスター戦略
ランチェスター戦略とは、中小零細企業が大手に勝つために考えられた手法です。
まともに大手企業の商品やサービスと戦っても勝てないと判断した場合に、エリアや市場を狭くし、競合他社と明確に差別化しようとするのが「ランチェスター戦略」と呼ばれる手法です。
ランチェスター戦略での重要なポイントは、徹底した商品力と営業力の強化、そして明確な顧客のターゲティングによって差別化することにあります。
ニッチ化戦略
ニッチ化戦略とは、競合がほとんどいない「ブルーオーシャン」な市場を見つけ出し、そこでトップシェアの獲得を目指す戦略です。
誰も気づいていない、もしくはチャレンジしていないマーケットで、自社の商品やサービスのユーザーニーズがある市場を発見できれば、価格競争もなく大きな利益を期待できるでしょう。また、市場のパイオニアとしてのブランディングも可能です。
ランチェスター戦略とニッチ化戦略は、一見すると違いがわかりづらいかもしれません。そこで明確な区別の仕方として、次の違いに着目してください。
- ・ランチェスター戦略‥戦いやすい市場を探す、または選ぶ
- ・ニッチ化戦略‥戦う必要のない市場を探す、または選ぶ
このような違いがあります。
コストリーダーシップ戦略
コストリーダーシップ戦略とは、市場価格の優位性によって勝負する戦略です。
価格の優位性を実現させるには、大量生産による製造コストや物流コスト、人件費などの削減や、地産地消による直接仕入れなどがあります。
ただし、これまでの行き過ぎたコストリーダーシップ戦略により、国内市場における価格競争や価格崩壊が起きた事実は見過ごせません。このようにコストリーダーシップ戦略には、市場の成長を阻害し、デフレを招く原因の1つとなることも考慮する必要があるでしょう。
サンドイッチ戦略
サンドイッチ戦略とは、「平均値を好む」日本人特有の心理を活用し、自社の売りたい商品を顧客に選択させる戦略です。
サンドイッチ戦略は、おもに3種類の価格やプランを用意し、真ん中の商品やサービスを積極的に販売します。
日本では「松・竹・梅」というランク分けがよく使われてきましたが、この中で最も売れるのが「竹」という現実をビジネスに活かしたものです。自社の一番利益率の高い商品を「竹」に設定し、売りやすくするための手法です。
バンドル戦略
バンドル販売とは、複数の商品をセットにして割引販売する手法です。ファストフード店の「〇〇セット」がわかりやすい例と言えるでしょう。
そのほかにも衣料品や家電量販店、食品スーパーなど、さまざまなお店などで採用されている手法です。
バンドル戦略では、顧客にとっては「安く買える」魅力があり、店舗にとっては「客単価が上がる」といったメリットがあります。
上記の他にも、販売戦略にはさまざまな手法があります。ここで紹介したものは、あくまで代表的な戦略です。自社にあった販売戦略がないか、上記の販売戦略に改良の余地はないかなど、日々探求しながらマーケティング活動を行っていくことが大切です。
販売戦略立案のプロセス
販売戦略を立案するためには、以下の6つのプロセスを基礎にすると比較的戦略を立てやすく、失敗する確率も低くなりますので、ぜひ参考にしてください。
1.市場を分析
まずは自社の商品やサービスのターゲットとなる市場について、現在の景況やビジネス環境、流行といった外部環境を客観的なデータに基づいて分析します。
2.競合を分析
競合となる企業のシェア比率やランキング、商品力や営業力について「強み」と「弱み」を分析します。
3.顧客ニーズを分析
自社の商品に対する顧客のニーズやウォンツ、抱える課題や問題を調査、分析します。また、対象となる商品や関心を持っているリード顧客や潜在顧客の有無なども調査しましょう。
4.自社を分析
自社のブランド力や商品力、営業力などについて、客観的な視点で分析します。自社の商品やサービスの「強み」や「弱み」だけでなく、自社そのもののイメージについても調査します。
5.課題を抽出し対策を検討
上記のような分析結果から課題を抽出し、それぞれの対策を検討します。
6.販売戦略とアクションプランを策定
課題を抽出し対策を検討したら、次に販売戦略を策定し、具体的なアクションプランを策定します。
さらに大きな視点で市場を判断する「マーケティング戦略」に関しては「マーケティング戦略立案の流れ|市場分析に必要なフレームワークも解説」をご参照ください。
上記のような販売戦略を立案するプロセスにおいては、さまざまな市場分析などを行うフレームワークを活用します。以下では、販売戦略に重要なフレームワークについて解説します。
販売戦略の策定に使えるフレームワーク
フレームワークとは、広くマーケティング戦略や販売戦略を考える際に使います。
公式のようなフレームワークを使うことで、企業が取るべき行動や戦略を具体化できます。フレームワークは「何をどのように分析するか」といった目的によって、それぞれ使い分けましょう。
市場分析については「市場分析のフレームワーク|5つの分析手法で成果を最大化する方法」をご参照ください。
PEEST分析
PEST分析とは、次の4つの要因からマクロ環境を分析するマーケティングフレームワークです。
- ・Politics:政治的要因
- ・Economy:経済的要因
- ・Society:社会的要因
- ・Technology;技術的要因
これらの要因は、自社でコントロールできません。このような外部的な要因を分析するのがPEST分析の役割となります。
PEST分析によって、世の中の動向やトレンドに合わせた事業展開が可能となります。
近年では新型コロナウィルスの蔓延により、さまざまなオンラインツールをはじめとするWebサービスが急進しました。
このようにマーケティング戦略は外部環境の変化による影響を受けやすいため、常にマクロ環境を調査・分析し、必要に応じて自社の戦略を見直すことも重要です。
SWOT分析
SWOT分析とは、次の4つの視点から分析を行うフレームワークです。
- ・Strength:強み
- ・Weakness:弱み
- ・Opportunity:機会
- ・Threat:脅威
SWOT (スウォット) 分析とは、自社のビジネス全体や特定のプロジェクトにおいて、強み、弱み、機会、脅威となる要因を特定するための手法です。
SWOT分析は、事業の規模や形態を問わず、さまざまな組織で幅広く利用されています。
SWOT分析では、市場を取り巻く外部環境と自社の商品やサービスの価格や品質などの内部環境について、プラス要因とマイナス要因の両面から客観的に分析可能です。
SWOT分析については「SWOT分析とは?事業の課題解決の手法と企業別の事例3選を紹介」をご参照ください。
STP分析
STP分析とは、次の3つで構成されるフレームワークです。
- ・Segmentation(セグメンテーション):市場の把握
- ・Targeting(ターゲティング):市場の選定
- ・Positioning(ポジショニング):自社や商品の立ち位置
STP分析では、セグメンテーションで市場の全体像を把握し、ターゲティングでその中から狙うべき市場を選定し、ポジショニングで競合他社との位置関係を決定する方法です。
あくまでもユーザー目線に立ち、ユーザーの行動を客観的に把握し、それに応じた事業展開を行うことが重要です。
4C分析
4C分析は、次の4つの要素(4C)について分析するフレームワークです。
- ・Customer Value(顧客にとっての価値)
- ・Cost(顧客が払うお金)
- ・Convenience(顧客にとっての利便性)
- ・Communication(顧客とのコミュニケーション)
顧客目線に立って、価値のある商品やサービスがどのようなものかを把握するために活用します。
4P分析
4P分析は、次の4つの要素(4P)について分析するフレームワークです。
- ・Product(商品)
- ・Price(価格)
- ・Place(流通)
- ・Promotion(販売促進)
こちらは4C分析とは逆に、自社目線で商品やサービスにフォーカスしたフレームワークです。
4P分析に関しては「4P分析のフレームワーク|自社製品の競合市場を4つの視点から分析」をご参照ください。
ペルソナ設定
ペルソナとは、ターゲットとなる顧客を具体化した人物像です。この人物像を詳細に設定することで、販売チャネルや広告戦略が明確にできます。
ペルソナ設定では、以下のような項目を明確にします。
- ・年齢、性別、居住地などの顧客属性
- ・職業、年収、働き方、最終学歴
- ・起床時間や就寝時間、休日の過ごし方などのライフスタイル
- ・性格や価値観
- ・家族構成
- ・趣味、関心など
カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーとは、商品の認知、検討、購入、利用後の問い合わせや情報拡散といった顧客が商品やサービスを購入するまでのプロセスを具体化する手法です。
カスタマージャーニーマップでは、顧客がたどる購入プロセスを「旅」に見立て、時系列で整理し、自社との関わりを分析します。これにより、最も効果的な販売戦略を構築していきます。
販売戦略のまとめ
このように販売戦略を構築するためには、上記のフレームワークを活用した客観的な分析と、その分析結果に基づく販売戦略が必要です。
新しい商品を市場に出す前に、まずは消費者のニーズを確認し、市場の競合や社会状況を把握したうえで自社や商品・サービスのもつ価値を客観的に分析すること。そして、現実的で具体的な販売戦略を立案することが大切です。
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